第5章 25番目の光 ニジの秘密
1. 時の始まりへ
四つの季節の過去を巡った24人は、ついにアカシアのいる「時の始原宮」へたどり着きました。
そこは、宇宙が生まれる前の世界でした。
星も、太陽も、月もありません。
ただ、静かな光だけが広がっています。
アカシアは、ニジを見つめました。
「ニジ。お前に真実を伝えよう」
ニジは少し震えながら答えます。
「私は、何のために生まれたの?」
アカシアは、空中に一つの光景を映し出しました。
それは、宇宙が生まれたばかりの遠い昔のことでした。
最初の星々には、まだ色がありませんでした。
そこに、一つの小さな光が生まれました。
その光は、星々に色を与え、命を育み、時間の流れを作りました。
それが、最初の虹色の光でした。
「お前は、最初の光から生まれた存在なのだ」
ニジは驚きました。
「じゃあ、私はみんなよりずっと昔からいるの?」
「そうだ。しかし、お前は完成された存在ではなかった。24の色が生まれたとき、その一つひとつをつなぐために、25番目の光として分かれたのだ」
アカシアは続けました。
「春、夏、秋、冬。それぞれの色は、それぞれに美しい。しかし、24の色が互いを認め、支え合うとき、初めて虹の力が生まれる」
桜色がニジの手を握りました。
「だから、ニジは私たちの仲間なんだね」
ニジの目から、小さな涙がこぼれました。
「私……特別な使命があるから、みんなと一緒にいると思っていた。でも、本当は……みんなと一緒にいたかっただけなんだ」
桃色が笑顔で答えました。
「それでいいんだよ!」
24人がニジを囲みました。
ニジの光は、これまでにないほど温かく輝きました。
2. 時の始祖が恐れていたもの
そのとき、アカシアの背後に巨大な黒い歯車が現れました。
歯車は、時の始原宮全体を覆い始めます。
アカシアは驚きました。
「なぜだ……。この歯車は、封印したはず……!」
クロノスが叫びました。
「アカシア! お前の背後に何かいる!」
黒い歯車の中心から、巨大な影が姿を現しました。
その名は――エンドラ。
エンドラは、時間の終わりから生まれた存在でした。
宇宙のすべてがいつか終わることを知り、その終わりを恐れるあまり、時間そのものを閉じ込めようとしていたのです。
「時の始祖よ。お前は時間を守ってきたつもりだろう。しかし、時間が進む限り、別れも悲しみも生まれる」
エンドラの声が響きます。
「ならば、時間を止めればよい。すべての星を永遠の一瞬に閉じ込めれば、誰も失わずに済む」
アカシアは答えました。
「それでは、命の成長も、出会いも、未来も失われる!」
エンドラは笑いました。
「未来など必要ない。永遠に同じ景色を見ていればよい」
黒い歯車が回転し始めました。
時の始原宮の壁が崩れ、24人の結晶が暗くなっていきます。
そして、ニジの体から七色の光が吸い取られ始めました。
「ニジ!」
桜色が駆け寄ります。
しかし、ニジは小さく首を振りました。
「大丈夫……。私の光は、みんなの中にもあるから」
3. クロノスとアカシア、過去の罪を越えて
エンドラの攻撃を止めるには、時の歯車を動かす必要がありました。
しかし、その歯車は過去・現在・未来の三つの力がそろわなければ動きません。
アカシアは過去の力を持っていました。
クロノスは、かつて時間を操っていたため、現在の流れを支える力を持っていました。
そして未来の力は、ニジに宿っていました。
「私たち三人で歯車を動かすしかない」
アカシアが言いました。
しかし、クロノスはためらいました。
「私はかつて、時間を乱し、多くの星を傷つけた。私にその資格があるのか……」
アカシアは静かに答えました。
「過去に何をしたかだけで、お前の未来が決まるわけではない。過ちを認め、今何をするかが大切なのだ」
クロノスは目を閉じました。
かつて自分が奪った色。
傷つけた星々。
失われた笑顔。
それらを忘れることはできません。
しかし、だからこそ今度は守りたい。
「私は逃げない。今度こそ、未来を守る!」
クロノスは黒い力を、歯車へと注ぎ込みました。
アカシアは黄金の光を送り、ニジは七色の光を放ちます。
三つの力が重なり、時の歯車が動き始めました。
しかし、エンドラはさらに巨大化していきます。
「無駄だ! 時間の終わりは、誰にも止められない!」




