↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/84

バーチャルエネミー

 「それでカトリはなんて答えたのさ?」


 興味津々に問いかけたエマと隼人がそろって身を乗り出した。


 「ゴースケはどう思っているか分からないけど、ワタシの大切な仲間だよ、って答えたわ」


 ありきたりな返事にエマは拍子抜けしていた。


 「スズもエマと同じような顔をしてから、さらに聞いてきたんだよ」


 安心した表情になった隼人が絡んできた。


 「次になんて聞いてきたんだ?」


 「仲間ってことは、リュウザキクンのこと好きじゃないってことよね? って」


 “念を入れてダメ押ししてきたのか”


 ふたたび隼人は息苦しさを感じ始めた。


 「それに対してカトリはどう答えたんだ?」


 「ワタシはゴースケのことを好きとは言えない、って答えたの」


 “鈴の狙いどおりの返事をしたってワケね…”


 「ゴースケのことは好きなんかじゃなくて… 愛している、って言ったの」


 「り、竜崎のことを、あ、愛してる、って言ったのか?」


 すがるような眼差しで隼人はカトリの顔をのぞき込んだ。


 「ゴースケには入学式の日に悩みや苦しみがあるときはワタシにお話しするように言ったのよ。神様とワタシがゴースケを愛しているから安心してね、って伝えたのよ」


 解せない様子の隼人をよそにカトリは話しを続けた。


 「そう、ゴースケのことを愛している、って言ったらスズがワタシを小バカにしたような顔をしてね…」


 “たしかに愛してるって大げさすぎやしないか”


 隼人はいぶかしそうな眼を向けた。


 「それでワタシはゴースケのことを立派な人として尊敬しているし愛している、って言ったの」


 驚く隼人の眼差しにも気づくことなくカトリは話し続ける。


 「ワタシが尊敬できる人が好きだ、ってゴースケに言ったら、言葉づかいに気をつけるようになったり困っている人を助けたりできる人に変わっていってくれた。他人の話をちゃんと聞いてくれて、さらにそれを実行してくれる人なんて、まずいない… ワタシにもできないもの… だから、それができるゴースケのことを本当に尊敬しているし愛している、ってスズに言ったの」


 カトリの話を聞いているうちにエマは目を大きく見開いていった。


 「スズのことを見ると、いつの間にかすっかり自信を無くしたような顔になっていてね…」


 “こんなこと聞かせられたら、スズじゃなくてもカトリには絶対かなわないと思うわ… 人の良いところをそのまま認められて、謙虚で、尊敬できるって素直に言えるなんて”


 「次にはワタシの方からスズに話をしたの」 


 カトリの声色が変わり隼人とエマは我に返ってカトリの方へ向いた。 


 「あなたと同じ日曜日にワタシたち仲間が集まる予定が合宿休みの次の日からたてられていて、メンバーのゴースケやフクモトクンはその日は参加できないって言っていること、そしてその日じゃないと参加できない女の子がいることを話したんだ」


 話を聞いていた二人は目でカトリに続けるようすすめた。 


 「スズはビックリしたような顔になってね… ゴースケから仲間との集まりがあるって話は聞いていなかったこと、先に予定や約束があるって知っていたら別の日にゴースケたちと一緒に合うことにしていたって… 目に涙をためていたわ…」


 思いがけない話を聞いて二人は驚いた。


 「スズがね、もうゴースケたちに合うのを止めるって言いだして… 突然のことにワタシ驚いて… ワタシは別の日に変えてくれないか頼みに来ただけ、って言ったんだけど聞き入れてもらえなくて… あなたたちとの先の約束を守れないゴースケは許せない、って」


 「それでどうしたのよ?」 


 「ワタシは土曜日か日曜日かの希望日をゴースケたちに任せていたワケで約束までしていなかったことを伝えてね… そうしたらスズが土曜日は自分の都合がつかないから、って」


 「それでどうしたんだ?」


 「そこで、ワタシはしばらく考えたの。それからワタシたちの集まりは日曜日の午後からだから、スズたちが合うのを午前中にしてもらえないか? って持ちかけたの。少し考えたスズは本当にそれでいいの? って言ったから、大丈夫だよってワタシは答えたの」


 隼人とエマは顔を見合わせた。


 「つまり、打ち上げは日曜日にできることになったのね!」


 「それでカトリは走って教室へ走って戻って来たのか」


 「ハヤトに思いっきりぶつかっちゃってゴメンね」


 カトリは舌を少し出して隼人にまた謝った。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。