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 ホームに戻るとテーブルには人影があった。


「おかえりなさいー。妖精さん達もお集まりですよー」


 テーブルに調薬に使う機器を広げて作業をしていた光葉さんが声をかけてきた。


「「「ただいま」」」


 -おかえり-

 -おか~-

 -おかえりなさい~-

 -おかか~-


 すでに妖精達も集まっていた。

 それにしても…。

 関係ない妖精達も多く来てるなぁ。

 いや、名付けには関係なくても仲間の祝い事って感じなのかな?

 別に悪い事じゃないから良いんだけどね。

 あちこちを飛び回ってる妖精達や机に立ったり座っている妖精達。


「せっかく集まっていたので手伝って貰っていましたー」


 そう言っている光葉さんの手元には妖精達によって、容器に魔法で水を入れられたり風の魔法なのか薬草が容器の中でミキサーにかけられる様に細かくなっていた。


「今は何を作ってるんですか?」


「HP回復ポーションですよー。色々試してて回復量はまちまちですがー、悪い出来では無いのでお渡しするので良ければ使ってくださいー」


 光葉さんがそう言うとルナが嬉しそうに反応する。


「ほんと!?材料教えてくれれば取ってくるから交換にしようよ」


「良いんですかー?助かりますよー」


「交渉成立だね。どれ使うか教えて」


 ただで貰うのはルナも悪いと思ったのか交換という形に話を進めていた。

 光葉さんもその方が生産をして熟練度を上げれるからか喜んでいる。


「ポーションは数を買うとお金がかかりますからね。そういえば薬草類の栽培はどうですか?」


 シュティが始めていた室内での薬草栽培だけど、今は光葉さんが管理をしているようだ。

 使いたい薬草や珍しい薬草を中心に栽培していたと思う。

 中で育たない薬草は外の畑の一角に植えて、薬草畑を作ったって言ってたかな。


「悪くないですよー。環境が良いのか薬草類の品質が高くなってる気はしますー」


「それは良いですね」


 そうしているとファエリが私の所に来て腕を引く。


「ユキ様早くー」


 引っ張られるまま移動すると9人の妖精が並んで待っていた。

 それぞれ表情は違うけど楽しみにしてくれてたみたい。

 あまり目立つのは好きじゃないけど、注目されているのがわかる。

 契約は世界樹に触れながら、契約する妖精に触れて名付けを行えば良いらしい。


「えっと、とりあえずどんな名前にするか伝えた方が良いかな?」


「んー、ユキ様がつけてくれる名前だったらみんな嬉しいと思うからもう契約で良いと思うよ」


 ファエリに聞いて返ってきた答えが考えてた以上に責任重大に思えて緊張してくる。

 いや、そこまで信頼されてるなんて思わなかったよ。

 とりあえずそれならここにいても仕方が無いから移動した方が良いよね。


「じゃあ移動しようか」


 名前を付ける妖精達が頷くのを確認して移動を開始する。

 ぞろぞろと野次馬の妖精達が付いて来て、その後ろをのんびりとルナとシュティが来てるみたい。


「行ってらっしゃい-」


 光葉さんはそう言って手を振ってたから調合を続けるんだろう。

 MP回復ポーションのことも相談しよう。

 HP回復ポーションより値段が高いのに私は使う頻度多いからね。

 休憩しつつやってる時は良いんだけどポーションに頼ってるときはやっぱりあるからね。

 刻印するときとかね。

 一部の妖精はその場に残って手伝いをするみたいだった。

 さて、外に出てどこが良いか考える。

 真っ先に浮かんだのは繭だ。

 まだ生まれてはいないけど、サクヤとの契約でもあるから一緒の方が良いかな。


「ちょっと待っててね」


 洞の入り口の方へ行くとみんなに声をかけて待ってもらい中へ入る。

 繭の所までたどり着くと明滅して反応してくれる。


「うん、ただいま」


 さて、どうすれば良いかな…。

 そう思って繭に触れると細い蔦が腕に絡まってきた。

 それはキツくはなくて、包帯やサポーターを巻いてるような感じ…かな?

 あ、このまま出られないかな…。


「サクヤ、貴方と契約したいって言う妖精達がいるんだけどこのまま外に出ても大丈夫?」


 通じるかわからないけど、私の思いに答えてくれてたから期待を込めて聞いてみる。

 すると淡く光ってから蔦がするすると伸びたので引いてみるとどんどん長くなる。

 これはまるで掃除機のコードみたいだね。

 引っ張れば伸びる、みたいな。

 とりあえず問題無さそうだったのでこのまま外に出ようかな。


「じゃあ、一緒に契約しようね」


 そう言うとまた光って答えてくれる。

 待たせても悪いのでとりあえず外へ出る。


「おまたせー」


「むー、お姉ちゃんだけが入れるんだね」


「今はそうみたいだね」


「大きさ的に私達では入れたとしても無理ですけどね」


 そう言うシュティにルナは不満そうに口を尖らせていた。


「私も見たかったなぁ。綺麗に光る繭」


「撮ってきて貰えば良いじゃないですか」


 シュティに言われてるのを見て撮っておけば良かったかなと思った。

 とりあえず私は妖精達に向き合う。


「契約しようか。サクヤも来てくれたし丁度良いよね」


 -えっ!?-


 妖精達だけじゃなくてルナとシュティも驚いてこちらを向いていた。


「と言ってもまだ生まれてないからこういう形だけど」


 そう言って蔓が巻き付いている腕を上げる。

 みんなはその蔦が洞の中に続いてるのに気づいたようだった。

 蔦の先端が少し腕から離れてうねうねと動いた。


「サクヤも挨拶してるのかな。よし、契約しようか」


 私がそう言うと蔦は掌にも巻き付いてくる。

 誰からが良いかなと思ったら背中を押されて近くに来たのは最初に手伝うと言ってくれた青髪の妖精だった。


「え、えっと…」


「いつも手伝ってくれてありがとう。これからもよろしくね」


 そう言って手を差し出す。

 青髪の妖精は俯いてた顔を上げ上目遣いで私を見ると嬉しそうに表情を笑みに変えた。


「はい!」


 おずおずと私の手を包むように取った。

 両手で。

 何となく政治家の方が選挙の時にしてるのが浮かんだ。


「よろしくね。貴方はスイセンだよ」


「スイセン…私の名前……ユキ様から貰った名前……」


 目を潤ませて私を上目遣いで見てくる。

 それに私の手を包む力がちょっと強くなった気がする。

 ヤバイ可愛い。

 ハグしても良いだろうか。

 私がそんな事を考えているとファエリがスイセンの手を引いて私から離す。


「はいはい、後もつかえてるしちょっと向こう行ってこよー」


 そう言ってスイセンを引っ張っていった。

 ちょっと惜しいと思いながら手に残った宝石をしまう。

 次に私の所に来たのは茶髪の妖精だ。

 この子もいつも手伝いを引き受けてくれた。

 無言で頭を下げると手を出してきた。

 私はその手を取って。


「よろしく。貴方はツクシね」


「よろしく」


 宝石ができると手を放し頭を下げて戻っていった。

 何となく魔力が形になっているのはわかる。

 けど魔力の流れはかなり複雑で把握はできそうにない。

 それに宝石は色は鮮やかだけどファエリの時よりも小さい。

 これは妖精同士って言うのも関係あるのかな?

 そんな事を考えていると、私に食事のボードを持ってきたときに初めて会った大きなマントが目立つ緑髪の妖精が来た。

 相変わらずニコニコとして話す気は無いのか手をこちらに向けてくる。

 その手を取って。


「よろしくね。フウラン」


 手の中に宝石ができるとフウランは手を放して両手を上に上げて万歳のポーズをする。

 すると風が吹いて辺りを花びらが舞う。


「こらー。散らかすなって言ってるでしょー!片付けなさい」


 戻ってきたファエリに怒鳴られマントを引っ張られて片付けをしに行ったようだ。

 色とりどりの花びらが舞う光景は綺麗で嬉しかったんだけどね。

 苦笑していると火の子と呼ばれている妖精が来た。


「これからもユキ様のお食事を作らせて頂ければと思います。いずれはサクヤ様のも作らせて頂ければ光栄です。よろしくお願いします」


 そう言って手をこちらに差し出す。

 私はその手を握る。


「こちらこそお世話になるよ。よろしくね、カエンサイ」


「はい、満足して頂ける料理を作ってみせます」


 そう言ってカエンサイはツクシのいる方へ戻っていく。

 今のところ一番まともなのはカエンサイかもしれない。

 次にやってきたのはイベントの途中で種族が変わった子だ。

 一番始めに変わった子なので代表として選ばれたみたいで、シルキーという種族は使う魔法も独特なモノになっているという。


「ユキ様とサクヤ様に誠心誠意お仕えさせて頂きます。よろしくお願いします」


 そう言って空中なのに綺麗なカーテシーをする。

 その後、手のひらを上に向けて手を差し出してくる。

 私は上から手を乗せて握る。

 そういえばエスコートする時って手のひらを上にするんだったっけ?


「よろしくね。貴方はエミリーだよ」


「はい、お嬢様」


「えっと、お嬢様と言う呼び方は…」


「では主様と?」


「お嬢様で良いです…」


「はい」


 返事をしたエミリーは私の右側半歩後ろに移動した。


「えっと。何でそこに?」


「お仕えする為です」


「そうですか…」


「はい」


 さっきのやり取りから説得は難しそうだったので正面を向く。

 それからは問題も無く?4人の名前を付けて契約していった。

 無事名付けが済んだ所で。


「お姉ちゃん!一緒に決めた名前と違うじゃん!」


「ちゃんと参考にはしたよ?」


 ルナと一緒に考えたのを参考にしてつけた名前は…。

 剣を持ってる子がレーテ、杖の子がアスピス、鎚の子がミルル、弓の子をディーヴァと付けた。


「みんな略して付けるなんて思わないじゃん。レーヴァテインの方が格好いいよね!?」


「えっと…」


 そうルナがレーテに聞くけど、聞かれた本人はなんて答えて良いのか困ってるようだ。

 返事がなくてもルナの勢いは止まらず次の子の名前に移る。


「アスクレピオスの杖は確かに杖まで入れちゃうのはどうかと思うから略は仕方ないかなーって思うけど…。ミョルニルは可愛いだけになってるし!」


 アスピスはシュティにどんな杖なのか聞いている。

 ミルルは可愛い名前で喜んでいるようだった。


「ガーンディーヴァをディーヴァって弓から歌姫になってるじゃん!」


「最初はガデヴァにしようかと思ったんだけど可愛くなかったからねー」


 どう略すか考えた中で一番迷ったのがガーンディーヴァだったのだ。

 濁点だらけだし。


「あ、うん。それよりはディーヴァで良かったと思う…」


 流石のルナもガデヴァはないと思ったようで冷静に返事をしていた。


「でも、やっぱり私としては略さない方がよかったなぁ…」


「私としては妖精は格好いいより可愛い方が良いと思ったんだよ。シュティはどう思う?」


 シュティに振ると少し考える素振りをして、私達に向かって思っている事を言葉にする。


「可愛いは正義だと思います」


「でも、シュティ…」


 シュティに反論しようとするがガッチリと肩を掴まれて。


「ルナも可愛い方が良いと思いますよね」


「……はい」


 ルナはシュティからただならぬ雰囲気を感じたのかちょっと涙目で同意していた。

 シュティの説得?によってとりあえず名付けは終了となった。

 妖精達もやる事があるようで私に挨拶をして戻っていった。

 残ったのは私とルナ、シュティにファエリと…。


「エミリーはここにいて良いの?」


 シルキーのエミリーが私の後方に残っていたので、振り返って聞いてみる。


「はい、私はお嬢様付きなので」


「そ、そっか…。とりあえず契約で得た宝石をサクヤの所に置いてくるよ」


 そう言って私は洞に入ると後ろからぶつかる音が聞こえる。

 振り返るとエミリーがおでこを押さえて涙目でこっちを見ていた。

 一緒に来ようとして結界で打ったようだ。


「ちょっと待っててね」


 そう言うがエミリーは目を潤ませてこちらを見ている。


「サクヤ。エミリー入れちゃダメかな?」


 仕方ないから洞の主に相談してみる。

 1本の蔦で器用にある形を作っていく。


 ×


 結構自由に動かせるんだなぁと感心しながらもやっぱりダメなんだと思った。


「ダメみたいだからやっぱり待っててね」


 私がそう言うとエミリーはしょんぼりした後姿勢を正しお辞儀をした。


「いってらっしゃいませ」


 私は4人に見送られて中へ進んでいく。

 今も蔓が手に巻き付いてるから繋がったままだ。

 繭の所にたどり着くと蔓はススッと離れていき繭の中へ消えていった。

 私は宝石を取りだして繭の近くに置いていく。

 繭が明滅すると蔓が伸びてきて、宝石に絡まると繭の中へ持って行った。

 これで名付けに関しては一段落かな。

 名前って考え始めると数時間とか普通にかかっちゃうよね。


「よし、もうちょっと外で用事あるから行ってくるね」


 サクヤに一言告げると蔦を左右に振って見送ってくれる。

 早く出てきて話したりできたら良いなと思う。

 洞を出るとエミリーがお辞儀をして迎えてくれる。


「メギーアー女王様の所行ってこないとね」


「ん、まだ伝えてなかったの?」


「昨日はミナちゃんと遊んでて忘れてたんだよね。エミリーはどうする?」


 放っておくと付いてくる気がしたので一応聞いてみる。


「私は戦闘に関するスキルがありません…。なので足手まといになるといけないのでお嬢様が戻られるのをお待ちしています」


「それならお願いをしても良いかな?」


「もちろんです。なんなりとお申し付けください」


 私が言うと即座に頷いて話を聞いてくれる。

 頼んでおきたかったのは地下の掃除だ。

 共有スペースや倉庫など普段掃除できてなかったからね。

 調理場は籠もってる妖精達がやってくれてるみたい。

 一応調薬部屋は光葉さんに相談してと伝えて私達はホームを後にする。

 森を歩き始めるとルナがPTチャットで気になっていた事を話題にあげる。


『そういえば妖精の名前聞いた事無いのが混ざってたね』


『4属性の子達ですか。由来は植物でしょうか?』


 ルナに相談してたのはエミリーと冒険者風の格好をしてた子達だけだった。

 シュティも気になってたみたいでこちらに顔を向けてくる。


『一応チーム名が四季に関わるから関連した名前が良いかなと思ってね』


『そうなんですか?』


『ふーん、それよりもカエンサイって何?』


 調べるまで私も知らなかったから詳しくはないけど。


『サトウダイコンの変種らしいよ。テーブルビートとかビーツって言うみたい』


『ビーツは食べた事があった気がします。鮮やかな野菜ですよね』


『へー、私はない…かな?』


『秋の季語で火って漢字が使われてるから火の子って呼ばれてた子に丁度良いかなって』


 私がそう言うとシュティが納得したように頷いた。


『水仙は水、土筆は土、風蘭は風と得意にしてる属性と合わせて考えてあるんですね』


『季節かぶってないの?』


『うん、そこも考えながら選んだからね。水仙が冬で、土筆が春、風蘭が夏だったよ』


 調べて選んでると意外と楽しかったんだよね。

 その分時間もかかっちゃったけど。

 少し進むとシュティが思い出したように口を開く。


『話はまったく違いますが、サロユさんの所でゴーレムの話をしてたじゃないですか』


『ん、してたね。どうしたの?』


『魔道兵器と言っていましたがアレは間違ってるかもしれませんよ』


『『そうなの?』』


 ルナも知らなかったようで一緒になって聞いている。


『掲示板の1つにテイマーの板があるんですがサンドゴーレムをテイムしたという方がいまして』


『あれ、テイムって生物判定いるよね?』


『そうですね。なので魔法生物の類いだとは思うんです』


『へー、じゃあ何でサロユさんは間違ったのかな?』


 気になった事を口にするとシュティが待ってましたとばかりに予想を口にする。


『まずゴーレムと言われて私達が思い浮かべるのは土や石、鉱石で構成された人型ですよね。これは魔法生物だと思われます。他にもウッドドール等も、このゲームでは同じカテゴリーに入るのではないかと思います。では何故魔道兵器と思ったか、それは遺跡で出た球体タイプが原因だと思います』


 球体型は年末に遺跡で戦ったヤツだよね。

 片付けが大変だったみたいだ。


『何が違うの?』


 ルナは考える気が無いのか答えを聞いている。

 あ…。


『片付けがいるって事は沸いたりする敵じゃない…?』


『そうですね。球体型はポップするのではなく遺跡の奥で作られているんだと思います。話は戻りますが元々大陸にも私達がゲームなどでよく知るゴーレムは存在しなかったんでしょう』


『あれ、でもお姉ちゃんが持ってた本にはゴーレムもどきって書いてあったんだよね?』


 ルナは疑問を口にして確認するようにこっちを見る。

 私がそれに頷くと推理しているシュティの方を二人で向く。


『えぇ、なのでゴーレムと一緒に追加された物なんじゃないかと』


『ほへー』


『あの球体型をゴーレムと呼んだのが誰かはわかりませんけど、アレが住人達から見た最初のゴーレムだったのでしょう。そこへ異人達が見つけたゴーレムの存在を知って、ゴーレムだからと一括りにしたんではないかと思います。とは言ってもあくまで予想ですし、あってたとしても何か変わるわけじゃないですけどね』


 そう言って進むシュティに私達は並んで森を歩く。

 整備した道に出るとそれに沿って移動している。

 時折ある蜘蛛の巣はシュティが拾った木の棒で取り除いている。

 夕方だけどまだ襲ってくる時間ではないようだ。

 道を逸れ森の中へ移動する人を見かけながらも私達は大きな蜂の巣に到着した。

 メギーアー女王様の居る場所までのんびり歩いて行く。

 闘技場は人が来ているのか人の声と多分武器や防具がぶつかり合う音がする。


「む、ユキ達ではないか。良く来た」


 私達に気づいた女王様が声をかけてくる。


「「こんにちは」」「こんにちはー」


「うむ、それにしてもお主等が来るのは久しぶりじゃな」


「うちに来る方が多いですもんね」


「あそこは居心地がいいからの。それで今日はどうしたんじゃ?」


 普段来ない私が来ている事で用事があると思ったようで来た目的を聞かれた。

 実際私は用事があるときしか来てない気が…。


「えっと、領主様からもし良ければ屋敷…」


「行くぞ」


 言いかけた私が話すのを遮って力強くそう言った女王様は拳を握り立ち上がった。


「まだ言いかけた所だったんですが…」


「誘いであろう?行くぞ、絶対に行く」


「はい…」


 凄く嬉しそうに笑顔で告げた女王様はガードを呼んで指示を始めた。


「していつ行くのじゃ?今からか?」


「いえ、流石に今からは…。予定は明日の朝です」


「そうか、楽しみじゃな。娘達にも土産を買って来ねばなるまい」


 もう明日の事を考え始めている女王様。

 それに土産って街中散策できるかもまだわからないよね。

 ちょっと不安に思っているとつんつんと後ろから突かれた。

 振り返るとルナが突いてきたみたいだ。


「お姉ちゃん、公爵様の奥さんが御目出度なの伝えておいた方が良いんじゃ?」


「あ、そうだね」


 女王様の方へ向き直り声をかける。


「あのー」


「ん?どうした」


「領主様の奥さん…、ソフィア様と言うんですが今身籠もってらして」


「ふむ、妾は祝いの品でも考えておくとしようか。印象を良くして街を歩く許可を貰わねばならぬからな」


 あくまで街の探索がしたいようだ。

 何というか人が食べる物の方が美味しいと知ってからは肉も焼いたりしてるみたいだ。

 なので目的は多分食べ物だろう。

 その時ぐ~っとお腹の鳴る音がする。


「「「「…」」」」


 黙って音のした方へ向く。

 そこには顔を俯かせたシュティがいた。


「すみません。今日はそろそろ帰りませんか?」


 腹ぺこなシュティは表情に殆ど変化はないがそう言って私達の様子をうかがってきた。

 恥ずかしいからか普段よりちょっと顔が赤くなってるかな?


「そうだねー。私もお腹空いてきたし帰ろうか、お姉ちゃん」


「うん。それではメギーアー女王様、明日は朝にお待ちしてますね」


「うむ」


 女王様に挨拶をして巣から出ると、日が暮れていたのでちょっと急いで移動する。

 私達は早くホームに帰宅する為、来た道を引き返す。

 整備した道から外れて森に入り進んでいくと蜘蛛の巣は減った気がする。

 急いでいるのは夜になるとポイズンスパイダーが攻撃的になるし何かあると怖いからね。

 ホームに戻った私達は光葉さんやログインしていた闇菜さん、スノウさんと一緒に食事を取る。

 相変わらず買ってきた料理だけど食事をしながら明日の予定を話しておく。

 領主様のところに行く事と手紙の内容を伝える。

 すると光葉さんはまたハーブティーを作っておくと言ってくれた。

 闇菜さんに言われてログインしてないメンバーにもメールで伝えておく。

 食事が終わってしばらく話をしてから洞の小部屋に戻ってログアウトする事にした。

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