82
お店を出てレオンさんと別れた私はとりあえず移動する事にした。
一応荒地に拠点を作るのを頼まれているけど、結界珠の設置に行くのは1人じゃちょっと不安だ。
設置さえしてしまえば転移装置を置くつもりなので移動の手間はなくなるし結界で安全になるはず。
そうすれば妖精達を連れていって土地の整備かなぁ。
今は目的もないしサロユさんのところに行って魔道具でも用意して貰っておこう。
そう思って工房までの地図を思い浮かべているとメールが届いた音がした。
誰だろう。
開いてみると別れたばかりのレオンさんだった。
内容は…、ギルドに寄れ?
理由を聞く為にメールを送るが、帰ってきた返事は行けばわかると一言だけ。
要領を得ないメールだけど無視するのもどうかと思って進む方向を工房からギルドに変更する。
ギルドに到着すると外から見てもわかるぐらいに人が少ない。
けどいないわけじゃないのは今日が休みの人なのかな。
って、よく考えたら休みじゃなくても午前中は空いてる人もいるだろうし、夜勤で朝帰ってきてお昼に寝るという人もいるだろう。
そう思うと人それぞれ都合があるんだって気づいた。
それに相手の現実の事を詮索してるみたいに思えるし失礼かな?
とりあえず外にいても仕方がないので冒険者ギルドの中に入る事にした。
中に入るといつも人がいるカウンターやテーブルは、普段と反対に人がいる方が珍しい状況だ。
私はどうしようかと思ってキョロキョロと辺りを見回す。
するとそれに気づいたのかルガードさんがこちらへ近付いてきていた。
「よう、嬢ちゃん!丁度用事があったんだが…、空いてるようだな。こっちへ来い」
私の返事を聞かずに個室のある方へ進んでいくルガードさん。
苦笑しながらもついて行く。
その際職員の方にお辞儀をしていく。
やっぱり普段と違い余裕があるようで、私の方を見ていた職員さんが多かったのだ。
職員さんは礼を返してくれたり、手を振ってくれたりと対応は違うけど笑顔だ。
案内されて個室に入ると、ルガードさんはいつもの様に魔道具を起動させる。
「悪いな。急な用件が上から来ててな」
そう言って差し出されたのは以前見た事のある物に似ていた。
「招待状ですか…?」
「まぁ、そうだな。内容は全然違うがな」
開けた方が良いんだよね。
そう思ってルガードさんを見る。
「あぁ、嬢ちゃんじゃ開けれねえか。代わりに開けるぞ?」
そう言われて頷くとルガードさんは中身を取りだし開けてくれた。
あれ、そういえば…。
「ルガードさんは中身見ても大丈夫なんですか?」
「まぁ…、大体の内容は知ってるからな。大丈夫だろ」
そう言われたので重要な話じゃないんだと思って読んでいく。
今回の用事はパーティーとかではなく、島の運営に関して異人達の意見が欲しいので会議に参加して欲しいという内容だった。
「私達以外にも参加する異人は多いんですか?」
「そうだな。全員参加すると結構な人数になったはずだ」
どうしようかと見ているともう1枚手紙が入っているのに気づいた。
広げて内容を読んでみる。
そこに書かれていたのは先ほどの真面目な文章から一転して友人に宛てて書いた感じだった。
ソフィア様が麦茶を飲んで美味しいと喜んでからは料理人達が炒り具合を変えてみたりと色々試して飲んでいるそうだ。
はちみつも中々手に入らない物を瓶で貰ったから、パンに塗って食べたりして楽しんでるみたい。
そこまで日が経っていないのに私やシキ姉さんが次来るのはいつかと度々聞かれるそうで、今回の件で来るときにシキ姉さんを連れて会いに来て欲しいと書かれていた。
読んでいてついつい笑みがこぼれる。
会いたいって言ってくれてるのは嬉しいよね。
また何か持って行こうかな?
まだ手紙には続きがあるので目を通す。
できればで構わないからメギーアー女王に声をかけて欲しいと書かれていた。
誘えば来る気がするな…。
と言うか絶対行きたがるんじゃないかな。
一通り読み終わったけど、返事はどうすれば良いんだろう?
「ルガードさん返事ってどうすれば良いんですか?」
「伝えておいてやる。どうするんだ?」
「えっと、行きます。けど会議は午後からみたいなんですが午前中から伺っても良いか聞いておいて貰えますか?」
「おう、わかった。急だったから会議は二日後…、明日には返事を貰っておく。何時でも良いから寄ってくれ」
「わかりました」
「よし、じゃあ用事はこれで終わりだ」
そう言われてルガードさんは魔道具を切って部屋を出る。
私も用事が済んだみたいだし部屋を出た。
そういえば長い事クエストボードは見てなかったと思って近付いていく。
見ていると一部のクエストに以前はなかったギルドランクが表記され注意点等が書かれていた。
私がやった事あるクエストはFやEと書かれており難易度が低かった。
眺めていると手持ちのアイテムでも大丈夫なら達成できるのを見つけた。
それを選択して受注するとカウンターへ移動する。
注意点として書かれている事は蜂と敵対しない、ケーキを持っていく事とある。
確かに注意点を守れば手に入りそうだなんて思った。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「クエストの報告をしたんですけど…」
「はい。…はちみつの納品ですね、品物を確認してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
一瓶アイテムボックスから取り出して納める。
職員の方はそれを確認して…。
「確かに。クエストの方は達成となります。ありがとうございました」
私は礼をしてカウンターから離れていく。
はちみつ一瓶で金貨1枚、10000ガルになったのだ。
取り方が確立していても買い取り高いんだね。
余裕があれば売っても良いかも、なんて思いながらギルドを後にする。
今度こそサロユさんのところに行くかな。
のんびりと移動をしていく。
いつもの様に建物の裏に回る為に路地裏を進んでいると何かが聞こえた気がして止まる。
キョロキョロと見渡してどこから聞こえてきたか探すと、どうやら脇道の1つのようだった。
木箱が積み上げられていて視界が悪いけど、どうやら木箱の影に誰かがいるみたいだった。
近付いていくとその声がはっきりと聞こえてくる。
声を抑えるようにしているが時折鼻をすすり、泣いているようだった。
そーっと覗き込むと小学生ぐらいの小さな子が膝に顔を埋めて座っていた。
少女は泣いていて私の事は気づいていないようだ。
気づかれてはいないけど流石にこのまま放っておけそうになかった。
だから…。
「どうしたの?何で泣いているの?」
声をかける。
すると少女はビクッとして恐る恐ると言った様子で顔を上げる。
しかし私がどこにいるかわからなかったみたいでキョロキョロと周りを見ている。
なので見える位置に降りてもう一度声をかける。
「大丈夫?」
少女は声をかけた私をボーッと見つめていた。
「妖精…さん……?」
「えっと、そうだね。私はスノーフェアリーのユキって言うの。よろしくね?」
自己紹介をすると鼻をすすり袖で涙をゴシゴシと拭いた。
「は、初め…っ…まして。ぐすっ、ミナって…言うの」
「ミナちゃんは何でこんな所で泣いてたの?」
私がそう言うとまた目尻に涙が貯まっていく。
「ご、ごめんね。言いたくなければ言わなくて良いんだよ」
慌てて私がそう言った瞬間。
ぐ~っとお腹が鳴る音がした。
この場には私とミナちゃんしかいないわけで、食事をしてきた私じゃないと言う事は…。
ミナちゃんは今ので羞恥の方が勝ったのか涙は止まって顔を真っ赤にして下を見ていた。
えっと…。
「とりあえずお昼食べに行こっか?」
顔を上げて私を見てすぐ下を見るというのを数度繰り返したミナちゃんは。
「お金…無くなっちゃって……」
「大丈夫、私が買ってあげる」
そう言うと少し迷ってからこくりと頷いてくれた。
何が食べたいか聞きながら屋台の多い通りへ向かって歩いて行く。
気になるお店の料理を時々買ったりしてゆっくり食べれるところが良いかと思って以前行った事がある公園に行く事にした。
あそこなら静かだもんね。
私達はテーブルのあるイスに座って買った物を広げていく。
「「いただきます」」
私はご飯の後だったからちょっとしたおやつを買ってきた。
焼き菓子をちぎって口に入れる。
ミナちゃんは最初は遠慮がちに食べていたけど、口に合ったのか途中からパクパクと食べている。
一応ここに来るまでに色々話を聞いてみた。
ログインしてPTに入れてくれる人を掲示板で探したけど見つからず、仕方がないから一人で草原に行ってみたそうだ。
しかし攻撃が当てれずにやられてしまって死に戻り。
街でアイテムや装備を揃えようとお店を探していたときに路地裏に入ってしまい迷子になって疲れて座り込んでいたそうだ。
休んでるうちに泣けてきたのだという。
泣いてた理由は詳しくは聞けなかったけど、なにか思う事があったんだろう。
私の事は掲示板で見た事があったそうで警戒してたのではなくて迷惑じゃ無いか気にしてたのだという。
話を聞いていたときに現実の事も話しかけたので注意しておいた。
初対面だからちょっとは警戒した方が良いよってね。
後ルナ達に言われてるネット上でのマナーとか注意点を伝えておいた。
話をすると本人もしまったという表情をしたので話すうちに気が緩んでしまったのかもね。
次第に緊張もなくなってきた様で、途中からは笑顔も見せてくれるようになっていた。
「これ、おいしいよ」
手にしているのはサンドイッチで、硬いパンが主流の中で異人が作っている柔らかいパンのお店の物だ。
そのお店は住人雇っていてインしていないときでも生産して販売してくれる。
きちんと契約をしていて売り上げの持ち逃げやレシピの流出等はないのだそう。
「人気店みたいだからね。人が多い日はすぐに売り切れちゃうんだよ」
「そうなんだー。はむっ…」
そういえばミナちゃんが言っていた掲示板というのは私が知っている掲示板とは違ってゲーム外からも書き込みができる掲示板だそう。
これは一部のプレイヤーが色々試した結果使えるようになったのだという。
そこで有名なプレイヤーの姿と名前やちょっとした紹介が載っていてそこに私も乗っていたそうだ。
ちなみに教えて貰って確認したけど…。
氷属性の魔法をメインに使う妖精。
魔法による攻撃だけなら現状は上位だと思われるが、ステータスが高いのではなく消費魔力によるごり押しの様だ。
初日からファンクラブが作られており、可愛らしい姿からか住人にも人気がある。
周りに影響がある事を度々行って話題に上がるが、その都度情報を提供してくれている。
チームを立ち上げマスターをしている。
悪い事は書かれて無くてちょっと安心。
オフェンシブホルスタインの時のスプラッタ事件は巻き込まれた人もいたからなぁ…。
んー、他の人はどんな感じなのかな。
そんな事を思って掲示板を見ていると、ミナちゃんは食べ終わったようだった。
私は焼き菓子を3分の1ぐらい食べたけどお腹がいっぱいになったので残りはしまってある。
「「ご馳走様でした」」
「ミナちゃんはこれからどうする?」
「決めてない…。ユキお姉さんは暇…?」
お姉さん!
そんな呼ばれ方した事なかったからちょっと新鮮かな。
それよりも私の方を伺うように質問をしてきたミナちゃんへの返事だ。
特に予定がなかったからサロユさんの所へ行こうと思っていた。
だから暇かと聞かれれば暇だったので頷いて肯定する。
すると嬉しそうに顔をほころばせて。
「ミナに戦い方を教えて!」
私はとりあえずミナちゃんとPTを組む事にした。
その後、冒険者ギルドにきていた。
理由は簡単だ。
わたしが たたかいかたを おしえることが できない 。
戦闘よりは生産が好きだとは思うけど、そう言う問題じゃないのだ。
まず武器を持てない。
それ故に武器を持った事がなかった。
なので武器を持った戦闘を教えるほどの技術と知識がないのだ。
困り果てた私はギルドに行ってヘルプを頼む事にしたのだ。
「で、俺の所に来たと?」
「ルガードさんが一番相談しやすいかなって」
「いや、普通に受付に行って戦闘訓練の申請でもして来りゃ良いだろうが…」
「そんなのあるんだ?」
私は知らなかったから聞くとルガードさんは若干疲れた様子を見せる。
「ネルアジャーナルのヤツらが色々調べてたが知らねえか?」
それって調さんが冒険者ギルドに引き籠もってたときの事かな?
「いえ、知らないです」
「ミナは知ってるよ!掲示板に書いてあった」
ルガードさんの話を聞いて私の隣でミナちゃんが手を上げて主張した。
可愛い。
「おい、嬢ちゃん。そっちのちびっ子に負けてるぞ?」
勝ち負けの問題なのかなー。
情報は武器だって言ってたような気もするし負けで良いのかな。
「成長したら大きくなるもん!」
「異人は成長しないんじゃねえのか?」
「え、そうなの?」
私が考えてる間にも2人は会話を続けていた。
ルガードさんに言われてミナちゃんはこっちを見た聞いてきた。
「変わらないんじゃないかな」
「そっか。じゃあ、リアルで大きくなるもん!」
「おう、なら好き嫌いはせずに何でも食べて元気に遊べよ」
「嫌いな物ないから大丈夫だもん」
「偉いな」
ミナちゃんの頭を撫でるルガードさんだがその表情は普段よりも優しい。
種族的に親子に見えなくもないね。
「んで、戦闘訓練だったか。今日は人もいねえし空いてるヤツがいるだろ」
そう言うとルガードさんは受付にいた職員の女性に確認して色々準備をしてくれてるみたいだ。
「お手数おかけします」
「おじちゃんありがとう!」
「気にすんな。異人が少なくて今日は暇なんでな」
私がお詫びと感謝を込めて言うとミナちゃんも元気にお礼を言った。
それを聞いてルガードさんはそっぽを向いて手をひらひらと振っている。
しばらくして来た冒険者ギルド職員の制服を着たガタイの良い男性について行き訓練所に移動する。
私は初めて知ったんだけどギルドの裏にちょっとした訓練所があったのだ。
訓練所は練習室と違いお金がかからないしスペースが限られている。
それに建物の外だから雨が降ると使わないそうだ。
ちなみにギルドは現在建物の裏に訓練所があり右隣に倉庫兼解体所が併設されている状態だ。
解体所の方は後から整備したのでちょっと不便な部分もあるらしいけどね。
主にスペース的な問題で。
それはさておき訓練所に着いたら、今の様子を見せて欲しいと言われ素振り等をする。
もちろんミナちゃんがだよ。
私は見てるだけだね。
「もう良いぞ」
そう言われて振るのをやめたミナちゃんが私と教官の男性の所に戻ってくる。
教官はミナちゃんに質問をしながら何やら考えている。
「妖精の嬢ちゃんはどう指導した方が良いとかあるか?」
「え、何で私に聞くんですか?」
「何でって、妖精の嬢ちゃんは保護者みたいなもんじゃないのか?」
「違いますよ。付き添いですので気にしないでください」
「そうか。まあ、見てるだけってのもな…」
そう言うとまた考え出した教官。
見た目はガタイが良くて顔にも傷があって怖く見える。
けど見学の私も気にかけてくれてるようだし優しい人みたいだ。
今ミナちゃんは会った時から持っていた斧をしまって、訓練用の武器を渡され使っていた。
その様子を見ていた教官が気になった事があるという。
それはミナちゃんは武器のスキルがないんじゃないかと言う事だ。
確認してみるとスキルポイントを使っておらず、スキルの補助を受けていない状態だった。
私は使ってないから知らなかったけど、武器スキルはアーツが使えるだけでなくその武器を使うときに動きをアシストしてくれるのだという。
それを聞いてミナちゃんは迷っていた。
武器スキルを取ればアシストで午前中より戦えるようにはなる。
しかし斧を使っていくかで迷ってるみたいだ。
他の武器を使ってみて思う所があったみたいで、渡した飲み物を口にしながら考えている。
教官はそんなミナちゃんを見て提案を持ちかけた。
「時間に余裕があるならしばらく俺と訓練してみるか?異人に教えられて住人でスキルを得たヤツがいるなら逆もあると思うんだが」
それって私が魔力操作と付与魔法を覚えたときと同じような感じかな?
あの時は確か…。
ポイントを消費しないで覚えてる!
「ユキお姉さん、クエストが表示されたんだけど受けた方が良いかな…?」
「受けた方が良いと思う」
「うん!」
私に言われて元気よく頷くと宙をタッチしていた。
クエストを受けたのだろう。
すると教官は嬉しそうにすると色々な武器を使うよりはまず1つの武器で、と言う事で使う武器を一緒に考えている。
武器を使っているところを見ていて思った事をもう一度説明していた。
スキルのアシストがないからか刃物よりは打撃武器の方が扱いやすいようだった。
とりあえず当てる事だけを意識すれば良いからね。
私は持っていた斧でも良いんじゃ、と思ったけど問題は長柄だと言う事だった。
身長と同じぐらいの武器を両手で振り回すためどうしても隙が多くなってしまっていた。
ミナちゃんとしては盾を持ちたいという希望を言ったので片手で持てる武器から選ぶ事にしたみたい。
候補に挙がっているのは重さで叩き切るハンドアックス、鈍器としてハンマーやメイスだ。
初めに取れる武器スキルはざっくりとした内容で、例えば剣スキルなら刀やレイピア等も含まれる。
剣スキルが一定の熟練度までいくと刀スキルやレイピアスキルが覚えれるようになるのだという。
魔法と違うのは合成ではなく、派生で剣スキルは覚えたままでいられると言う事だ。
アーツが武器専用の物になるのだという。
動きのアシストも良くなるんじゃないかな。
ミナちゃんの場合はハンドアックスが含まれる斧かメイス、ハンマーが含まれる鎚のどちらかだ。
相談しながら使ってみて鎚に決めたみたいだ。
それからは練習用の武器を使って一対一で練習をしていく。
教官が武器の使い方を教えている。
私は休憩の時に飲み物を渡したり、防ぎきれずに受けた怪我等を治療している。
特にやる事はないんだよね。
と言うわけで私は生産活動中。
以前は微妙だと思った自動操作を刻んだ魔石を量産中。
これを氷の板につけていくイメージとしてはキーボードだ。
魔石の1つずつに1つの動作を入れていき配置していく。
左側に移動関係、右側に攻撃だけど…。
攻撃の指示って難しいなぁ…。
うーん…。
とりあえず人型にこだわるのやめてみようかな?
と言うわけで本体はスモールボアだ。
時々作ってたから氷像を作るのは慣れてる。
普通のスモールボアから変更点としてはサイズを大きくしたモノに前方に牙を伸ばしてみた。
一応牙の先端は丸くしてあるよ。
練習用だし怪我に繋がる原因になるからね。
作ったキーボードを背中に取り付けて、座れるところを作る。
「とりあえずできたかな」
「ほう、大きいが見た目はスモールボアか?」「可愛いね」
ミナちゃんは見た目がデフォルメされてるからわーわーと声を上げながら周囲を回っている。
訓練は丁度休憩みたいだ。
「これで何をするんだ?」
「私が操作して動かせるか試してみようかと。ミナちゃん離れててね」
「うん!」
ミナちゃんは返事をすると教官の横に立ちこちらを見ている。
私はキーボード型操作盤の魔石を確認しておく。
この魔石は適当に形成した粗悪品だから魔力を貯めておけなくなってしまった。
逆にそれを利用して魔力を流したときだけ刻まれた自動操作が機能する。
試しに動かすべく魔力を流すと予想よりも勢いよく前進した。
速度指定がないからか、急加速で前進したのでちょっと危なかった。
この辺はいずれ直していくとして…、まずは一通り指定した動作をするか試してみる。
・
・・
・・・
うん、問題は無さそう。
アイデアは携帯端末で調べ物してたときのキーボードからだけど悪くないみたい。
「すごいすごい!」「使えそうだな…」
楽しそうにはしゃいでるミナちゃんと何か思いついたような教官。
2人の所に戻ると…。
「私も乗りたい!」「対魔物訓練の相手になれ」
「えっと…、ミナちゃんこれは人を乗せれるようなモノじゃないんだよ」
「残念…」
「ごめんね。訓練相手ですか?」
ミナちゃんには悪いけどこれはまだ動きが危ない。
それよりも教官が言った事を聞き返す。
「あぁ、異人は対人より対魔物が多いのだろう?それならそっちの訓練もしてやりたいが外でやるわけにもいかなくてな」
「それで仮想敵として私のこれですか」
「あぁ、どうだ?」
「危なくないですか?」
「大丈夫だろう」
「わかりました」
念のため私に攻撃が当たらないように箱形のカバーをつけた。
前方は見えるように窓を作ってある。
攻撃方法は体当たりと飛びかかり、それに頭部を持ち上げて牙で攻撃する動作だ。
私には攻撃が当たらないようにカバーをしてあるし、武器が訓練用のモノの為全力でやる事ができる。
気になるのはミナちゃんが防げなかったときだけど、大丈夫という教官を信じよう。
色々動きを試せるからお互い練習には丁度良かった。
やってみると直進的な動き以外が難しく、おかげでミナちゃんに直撃する事はなかった。
無念。
休憩を挟みながら何度も訓練をしていると。
「ぁ、クエストがクリアになった」
ミナちゃんがそう言ったので教官の方を2人で見る。
すると教官は頷いて。
「十分良い動きができているだろう。これなら草原でも戦えるんじゃないか」
「ほんと?」
「あぁ」
「やったー」
「良かったね」
「ユキお姉さんもありがとう」
私達は教官にお礼を言ってギルドを出る。
日は暮れ始めているがお店はやっている時間だった。
なのでミナちゃんの武器を揃える為にお店に行こうと思った。
けど私は武器屋に言った事が無かった。
と言うわけでまたもギルドに戻ってルガードさんに聞く。
すると教官がそれに気づいて案内してくれる事に。
お店を教えて貰った上に武器と盾を選ぶのも手伝ってくれた。
お金の方はスキル習得のお祝いとして私が出したよ。
盾の素材や形状、武器の形状を決めるのに時間がかかった事もあり、お店を出たときにはすっかり暗くなっていた。
「「ありがとうございました」」
教官に礼を言うと手を振ってギルドの方に歩いて行った。
時間的には夕食時で空腹度も減っている。
しかし、問題はミナちゃんの手持ちだった。
クエストをクリアしたけど、お金になるクエストじゃなかったはずだ。
なので手持ちはやっぱり厳しいのだろう。
不安そうな表情で私の方を見ていた。
武器と防具は揃えたけど、夜の戦闘はやっぱりまだ避けた方が良いと思うんだよね。
あまり私が何でもやるのは良くないと思うけど…。
「良くして貰ってるお店があるからそこに行こうか」
私の言葉にこくりと頷いたミナちゃんを見て移動した。
お店はいつものごとく以前泊まっていた宿だ。
中に入ると女将さんが出迎えてくれた。
「おや、アンタかい。今日はドワーフのお嬢ちゃんが一緒なんだね。チームの子かい?」
「お食事に来ました。チームの子ではないですよ」
「そうかい。適当に座ってな」
「ぁ、お部屋って空いてますか?」
「ん?空いてるけどアンタはホームがあるだろう…ってそっちの嬢ちゃんか」
「はい、えっと…。とりあえず2泊お願いします」
そう言ってギルドカードを出す。
すると女将さんは顔をしかめて問いかけてきた。
「アンタが払うのかい?」
「彼女お金を失ってしまってるんです。放っておけなくて」
「利用されてるんじゃないんだろうね?」
「大丈夫です。ここに来るときに明日も一緒に行動しようって決めたんで一緒にクエストを受けて宿代を返して貰います」
私がそう言うとじーっと見ていた女将さんは溜息をついてミナちゃんの方へ向く。
「この子はお人好しだから甘いけど、ちゃんとお金は返すんだよ」
「はい」
女将さんに言われてちょっとビクッとしながら返事をしていた。
「怖がらせちゃって悪かったね。とりあえずご飯だろ?席で待ってな」
女将さんはそう言うとミナちゃんの頭をポンポンと撫でて厨房の方へいった。
お水を持ってきてくれた女将さんに注文をして話をしながら待つ。
女将さんが心配してくれてたのがわかって私は嬉しかった。
ミナちゃんはちょっとしょんぼりしながら謝ってきた。
けど私がしたくてした事だから気にしすぎないように言う。
明日頑張って宿代以上にお金稼ごうと伝えるとうん!と元気に返事をしてくれた。
女将さんが怖かった理由はちゃんと理解していて、ホントは優しいのもわかったみたいだ。
食事をしてから待ち合わせの時間を現実の時間とこちらの時間で決めておく。
現実の時間は大体これぐらいという感じになるけどね。
食事を終えたら私はホームに戻ってログアウトした。




