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 階段を下りて調さんが会計を済ませる間、私とルナはケーキが並ぶショーウインドウを眺める。

 いろんな種類がある!

 今度来た時はまた違うの頼んでみたいな。

 ただ端の方に凄いのがあるなぁ…。

 何て言うかホラーな見た目なのに人気商品って札が付いてるのもある。

 うん、見なかった事にしよう。


『お姉ちゃんいろんな種類あるしまた今度食べに来よう』


『そうだね、見てると意外にお値段するしお金貯めないと』


『その時は私もご一緒しても良いでしょうか?』


『『もちろん』』


 そんな話をしていると店員の方がこちらの方に来た。


「失礼ですがお客様。少しお願いがあるんですがよろしいでしょうか?」


 店員が私に向かってそう言った直後に確認ウインドウがでた。


 《クエスト「氷室の氷がピンチ!」が発生しました。受注しますか?》


 え?

 ルナを見てシュティナさんの方を見る。

 二人には見えてないのかな?

 とりあえずyesを選択してみる。


 《クエスト「氷室の氷がピンチ!」を受注しました》


「ありがとうございます。こちらに来て頂けますか」


 そう言って店員さんはstaff onlyと書かれた扉の前に移動する。


『あの人なんだろ?』


『何でしょうね?』


『何かあったのか?』


 不思議そうにしてる二人と戻ってきて状況を確認してる調さん。


『すみません。クエストが発生したってでたので受注してしまいました』


『あー、お姉ちゃんに対して個人指定か~』


『条件はなんでしょう』


『とりあえず行ってくれば良いんじゃないか。多分町での発生だからお手伝い系だと思うぞ』


 調さんが内容を予想して伝えてくれる。

 お手伝いか、クエストの名前的に氷作るのかな?


『氷室の氷がピンチらしいです。ちょっと行ってきますね』


『ぁ、私もいくよ』


 そう言ってルナが連れて行ってくれる。

 店員さんは特に何も言う事無く私達を通してくれる。

 しばらく進むと氷室と書かれた扉の前に案内された。


「最近暑くなってきていまして氷が不足しているのです。生成する魔道具では追いつかない状況で…。そこでスノーフェアリーである貴方をお見掛けしましたのでお声かけさせて頂きました」


「私は氷を生成すれば良いんですね?」


「はい、よろしくお願いします。こちらです」


 店員さんが扉を開けて三人で中に入る。

 かなり冷えていて吐く息が白いが氷は部屋の半分もなかった。


「最初は部屋の真ん中まで氷があったのですが…」


「わかりました、それぐらいまで生成しますね」


「少しでも生成して頂ければお礼の方はさせて頂きます」


 少しでも良いんだ。

 氷生成って事は氷魔法が使える事が条件だったのかな。


『氷魔法が使える事が条件みたいだね。内容は氷の補充みたい』


 ルナが外にいる二人に伝えてくれる。


『なるほどなー、って事は他の魔法でも持ってると発生するお手伝いクエストがあるかもな。情報を上げて他のクエスト情報集めても良いか?』


『良いと思う』『お願いします』『よろしくでーす』


『あいよー』


 シュティナさん、私、ルナがそれぞれ返事をする。

 さて、私はお手伝いをしますか!


「多めに作ったらどうなりますか?」


 ルナが店員さんにそんな事を聞いた。


「多い分には助かるので問題ありません」


 そう返事が返ってきた。

 店員さんの指示を受けて氷を生成していく。

 大きさは残ってる氷を参考にしてMPを増減して調整していく。

 私に余裕があると感じたようで最初言われた量よりも多めにお願いされて作っていく。


「こんなにもありがとうございます!こちらが報酬になります。お受け取り下さい」


 《クエスト「氷室の氷がピンチ!」をクリアしました》

 《報酬→ボーナスポイント:3、ケーキ屋スンサーマの優待券》


 報酬を受け取ると店員さんに続いて来た道を引き返す。

 二人と合流してお店を出ると店員さんは入り口までついてくる。


「ご馳走様でした」


「またのお越しをお待ちしてます」


 丁寧にお辞儀をする店員さんに見送られてお店を後にする。

 シュティさんと調さんが並んで歩き出す。

 ルナは二人に続いて後ろを歩く。

 私はもちろん保冷バッグの中ですよ。

 

『どうだった?』


『氷生成をお願いされたんですけど、私に余裕があったからか多めにお願いされました』


『なるほどな、クエストは今回のユキさんみたいに住人から直接受注する場合と今から行く冒険者ギルドなど特定の場所で用意されているのを受ける場合の2パターンがあるんだ。それで、報酬は?』


『そうなんですね。あ、報酬はボーナスポイントが3とお店で割引して貰える優待券みたいです』


『おー!それならまた来ないとね』


 調さんにクエストについて説明を受けたり聞かれた事に答えていく。

 報酬を答えると優待券を貰った事にルナが反応する。

 現実で食べるケーキと比べても美味しかったからか嬉しそうだ。

 シュティナさんもそわそわしてる感じ?


『またみんなできましょう』


 そう言うと二人は嬉しそうに頷く。

 やっぱり私もだけど女の子は甘い物が好きだもんね。

 急いで移動してるわけじゃないし迷惑かけずにすみそうなのもあって心に余裕ができた。

 そうするとやっぱり周りが気になってキョロキョロと見る。

 噴水のあった広場には飲食店が多く武具や服のお店がちょっとあったけど今いる通りは宝石を使った装飾品のお店や薬のお店が多く看板を出してるみたいだ。

 んー、時折シュティナさんは振り返って私達の方を見ているようだけど、どうかしたのかな。


『そういえば外って、どこにいくんですか?』


 きっと用があるならシュティナさんは言ってくるよね。

 とりあえず私は冒険者ギルドに行った後はどこへ行くのか気になって聞いてみる。


『西が砂浜で南が海ですがこの2カ所は避けて北の森か東の草原ですね』


 シュティナさんが歩く速度を落としルナと並んで歩きながら答えてくれる。


『ふむふむ、属性フェアリーは確定ではないけど3つ目のメリットがある可能性が出てきたな。知り合いも属性解放、属性強化以外にもう一つあったそうだ』


『どんな能力だったんです?』


 調さんは歩きながらも知り合いと連絡を取り合っていたようでフェアリーの能力について話し出す。

 ルナが聞くと視界の右側にウインドウが表示される。

 あ、共有ってこういう風に出るんだね。

 視界を遮らない場所で邪魔にならない所にでるのかな?

 内容は能力の詳細表示だった。


 植物妖精

 ・飛行移動

 ・念力

 ・木属性魔法を初めから使用できセットスキルから外すことができない。

 ・木属性魔法を使う時の消費MP減少し効果が上昇する。

 ・周囲に植物が多いほど認識されにくくなり自然回復量が上昇する。

 ・周囲に植物が少ないほど狙われやすくなり自然回復量が低下する。

 ・装備や手持ちの重量が5になった時点で飛べなくなる。

 ・肉類を食べると一定時間飛行移動が無効になる。

 ・効果は状況により変化する。


『デメリットはまだマシな分類だな。よくわからんが木魔法で植物を操って攻撃するらしい?』


 植物を操って攻撃って蔓で叩いたり葉っぱ飛ばして切ったり根で足払いとかかな?

 植物無いとこだと攻撃出来なくなるのかな。

 もしかしたら種があれば急成長させれて操れたりして。


『そんな事より北の森か東の草原、どちらに行きますか?』


『私としてはお姉ちゃんの事を考えると草原より森の方が良いかな』


『そうだな。予定は北で、その前にまずはギルドだなー』


 周りを見ていても全然飽きないけど移動している間にスキルを眺める。

 よくわからないけど何か取っておいた方が良いよね?

 所持ボーナスポイント:24


『あれ?』


『どうしたのお姉ちゃん?』


『ボーナスポイントが24あるんだけど。初期で20あってさっきクエストで3貰ったのはわかるけど1がどうして増えてるかわからなくて』


『さっき氷雪妖精の熟練度が50超えてたって言ってたからそれで1貰えたんだよ。ちなみに一部のスキル以外、限界はないというのが運営の話だ』


『あ、そっか。スキルは熟練度が50になる毎にボーナスポイントが1貰えるんだよ』


『そうなんだ。ありがとうございます』


『妖精さんは魔法がメインになると思いますのでスキルを取るなら自動MP回復はあると便利ですよ』


 ふむふむ。

 自動MP回復は…っとあった。

 必要ポイントは10と高め。

 その代わりなのかパッシブスキルでスキルスロットは使わないみたい。

 魔法が一つ2ポイントかー。

 どうせなら全部欲しいような気がする…。

 ぇーと、迷ったら取っちゃう。

 これで残りが6ポイントと空きスロットが2つだね。

 えっと、私は魔法メインになるんだよね。


『6ポイントで魔法使いにおすすめのスキルってありますか?』


『無難な所だと消費MP軽減だが7必要だったか?あとは詠唱短縮も便利だが足りなかった気がするな』


 調さんが上げてくれた消費MP軽減と詠唱短縮は両方ともポイントが足りなかった。

 とりあえず保留で良いかな。

 これで構成は…。


 スキル

 ・氷雪妖精(new)

 ・氷属性魔法

 ・風属性魔法

 ・水属性魔法

 ・火属性魔法(new)

 ・土属性魔法(new)

 ・光属性魔法(new)

 ・闇属性魔法(new)

 ・空きスロット

 ・空きスロット

 控え

 なし

 パッシブスキル

 ・自動MP回復(new)


 newって書いてある所が新しく増えた所だよね。

 何故か氷雪妖精にも付いてるんだけど…。


 氷雪妖精

 ・飛行移動

 ・念力

 ・氷属性魔法を初めから使用できセットスキルから外すことができない。

 ・氷属性魔法を使う時の消費MP減少し効果が上昇する。

 ・周囲の氷や雪が溶けなくなる。(範囲は変更可能)

 ・暑い場所では5秒間で2%HPが減っていく。

 ・火属性魔法の消費MPが増加し効果が減少し、使うとダメージを受ける。(new)

 ・装備や手持ちの重量が5になった時点で飛べなくなる。

 ・肉類を食べると一定時間飛行移動が無効になる。

 ・効果は状況により変化する。


 えっと…。

 増えたのは火属性魔法関連だけど。

 どう見てもデメリットだよね。

 暑いのがダメなんだから火を使うのは流石に苦手か。


『お姉ちゃんどうかしたの?』


『火属性魔法取ったらデメリットが増えたの』


『マジか…。見せて貰っても良いか?』


 言われて共有で見れるようにする。


『うわぁ』『キツいな…』


『状況により変化というのは習得スキル以外にもあるのでしょうか』


『その辺は要検証だろうが、あるんだろうな』


 話しながらもスタート位置だった噴水近くに戻ってきた。

 ここはまだログインしたばかりの人が多いようで混んでいた。

 待ち合わせをしてる人もいるみたいだけど人が多すぎて探すのが大変そう。

 人混みには向かわず迂回しながら噴水の北東にある大きい建物に向かっていく。

 剣と杖が交差している看板が掛かっている。


『ここが冒険者ギルドで身分証となるギルドカードを発行して貰える。俺達はもう持ってるから向こうでクエストを見てくる』


 そう言ってシュティナさんと離れていく調さん。

 私はルナと一緒にと言っても運ばれてるだけだけどカウンターの一つに並ぶ。

 窓口は5つぐらいあって列が進むのは早い。

 ギルド内を見ていると他にも買い取りカウンターや消耗品売り場、資料室と書かれた案内が見えた。

 シュティナさんと調さんはクエストボードと書かれた所の前にいる。


「お待たせしました。次の方どうぞ」


 そう言われてルナが窓口へ。


「ギルドカードの発行をお願いしたいんですが二人一緒でも良いですか?」


「PTで来る方もいますのでかまいませんよ。一人100Gになります」


 そう言われてルナが200G払う。


「はい、確かに頂きます」


 職員の方がお金を受け取り何かを用意している。


「私もお金払うよ」


「後で受け取るから大丈夫」


 ルナに文句を言うもそう言われて引っ込む。

 よく考えたらお金ってこの体で持てるのかな…?


「ではお一人ずつコレに手をかざして下さい」


 そう言って電子マネーを使う時にタッチするようなモノを差し出される。

 ルナはそれに従って手をかざす。

 すると下に付いている受け皿みたいなのに光が集まっていきカードが作られる。

 それを持ってルナが私の方を見る。

 私も真似るようにして手をかざす。

 するとMPが少し減った。

 MPを必要な量吸ってカードを生み出すみたいだ。

 出てきたカードに触れるとアイテムボックスに収納するか出たのでyesを選ぶと光になって消えた。


「ギルドカードの発行はコレで終わりです。現状大変混雑しておりまして申し訳ないのですがギルドについてはパンフレットをお渡ししますが説明は後日でもよろしいでしょうか?」


「大丈夫です」


「はい、では良い冒険者ライフを」


 そう言ってルナにパンフレットを渡してお辞儀をする職員さん。

 ルナは素早くカウンターの前から移動する。

 後ろを見ると列はいてまだまだ長い。

 なるほど、説明を聞いていたら滞っちゃうのか。


『光が集まってカードができるなんて凄いね』


 それよりアレは見てて凄いと思った。

 ルナの見てどうなるかわかっててもワクワクしちゃった。


『魔力を集めて物質化させてるとか何とか。正直情報不足だな』


『まぁ、ギルドカードの事なんてどうでも良い人が多そうだよねー。説明に関してはプレイヤーの場合ヘルプでも見れるしβで知ってる人もいるから聞く人はいないんだよね』


『終わってるならいくつかクエストを受けてから行きたいんだけどこっちに来れるか?』


『行くよー』


 ルナが調さんとやりとりして私達もクエストボードの所へ。

 近くへ行くと調さんが掛かっている札をいくつか触る。


 《クエスト「スモールボアの討伐」を受注しました》

 《クエスト「ホッピンラビットの討伐」を受注しました》

 《クエスト「コッコ卵の採取」を受注しました》

 《クエスト「薬草の採取」を受注しました》


 同じように私達も触れてクエストを受けるとボードを離れる。

 メニューのクエスト欄を開いて見ると視界の隅に表示する事ができるみたいだから表示しておく事にする。


『ギルドみたいな場所でクエストを受けるときはボードがあって張り出されている札に触れると受注するかの確認が出る。今回受けたクエストは常時張り出されているクエストだな。一応クエストから内容と状況は確認できるけど説明しておく。上二つは討伐クエストで下二つが採取クエストになる』


『それは聞かなくても見ればわかると思う』


 調さんがシュティナさんに突っこまれて咳払いをする。


『あー、まずスモールボアはデフォルメされたイノシシの小さいので突進してくる敵の練習台みたいな感じだな。ホッピンラビットはジャンプ力が高いウサギで、のしかかろうとしてくる』


『どっちも初期エリアの敵だからそこまで強くはないよ!』


 ルナが少し張り切って教えてくれる。

 シュティナさんも表情は変わってないけど何だか楽しそうに見える。


『どっちもユキさんにソロで戦えるか試して貰おうとは思ってる。先に戦ってみせてどんな相手かわかってからだけどな』


 ちょっとドキドキしてくるね。

 上手く戦えるかな。


『採取の方だけど薬草はお約束の草むしりだな。ただ漠然と薬草って言っても種類は多い。今回受けてもらったのは種類を問わない代わりに報酬は少なめだ。

 卵の方はコッコの雄雌が守っている巣から採取できる。コレもある意味で練習クエだけど実際に見たときに説明するよ』


 薬草採取は定番なのかな。

 そこまで難しいモノではないんだと思う。

 卵の採取も練習なんだね。

 持って運ぶとなると私は大変そうな気がするなぁ。

 一通り説明が終わると冒険者ギルドをでて北門に続く道を歩いて行く。


『お姉ちゃん、森は植物以外にも動物系と虫系の敵が出るけど虫系は北西で、クエスト的に今から行くのは北東で動物系がでるエリアだよ!全くでないって訳でもないらしいんだけど滅多に出ないよ』


 なるほど、エリア毎にメインになる敵の分布が違うみたい。


『後気をつけないといけないのは街からあまり遠いエリアに行かない事だな。例えば動物なら近くに草食系で遠くへ行くほど肉食系が増えるんだ』


 街から離れるほど敵が強くなるって事だよね。

 いずれは遠いエリアも行けるようになるかな?

 まずは近場で慣れないとね。

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