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ルナ達と合流してお説教されてから拠点に来ていた。
とりあえず住めるようにした小部屋の片方に移動する。
ルナは注文してあったベッドを2つアイテムボックスから取り出し設置していく。
それとテーブルに椅子を3脚。
私の分はなくても良いから一脚はここに来る前に買ってきたアエローちゃんの分だ。
アエローちゃんも私達と一緒にプレイしたいと言う事で許可を出して転移装置を使えるようにした。
その時に転移装置がまだ広まって無くて注目を浴びることと拠点で採れる素材は街に持って行かないことをお願いしておいた。
住む場所に関してはいずれ世界樹の枝の上に家を建てるんだと言っていた。
飛べるから階段とか無くても良いって言ってたけどもし木の上で暮らすのなら飛べない人が行くこともあると思うし上れるようにした方が良いと思う。
今は宿の一室みたいな最低限しかモノがないこの小部屋だけど少しずつ快適にしていこう。
「それでこれからどうするんですか?」
「エリア2の依頼が増えてきてたけど特に変わったのはなかったよ」
アエローちゃんとルナが言う。
二人の方は特に新しい情報とかはなかったらしい。
なので私が教えて貰った情報を伝える事にする。
それは…。
「「大掃除?」」
「うん、大掃除だよ。さっきルガードさんに教えて貰ったんだ」
期間はゲーム内での7日間でリアルで言うと30日の0時から31日の18時まで。
やる事は掃除だ。
この期間は殆どのお店が店を閉めて掃除をするそうだ。
例外はギルドや飲食店、それに宿だそうだ。
従業員や店員は掃除の方で手を取られてしまう事があるらしい。
飲食店は近くの店と話し合ってローテーションで店を閉め掃除を行うお店もあるとか。
全くやってないとそれはそれで困ってしまうから助かるけどね。
私達の常識と違うと言えるのが二つあって一つは害獣掃除って言ってたけど駆除だよね。
要は討伐のクエストみたいな感じらしい。
ターゲットはこの時期に何故か大量発生するネズミのモンスターらしい。
街中でも出現するらしくそれの討伐だ。
もう一つが遺跡掃除。
これは以前ルガードさんが言ってた遺跡の掃除だ。
でもギルド職員に信用されている人でないと紹介されない特殊な依頼になるらしい。
ちなみに私はルガードさんに紹介されたから遺跡に入る権利を得ている!
そうそうこのイベント?はポイント制なんだそうだ。
こなした内容、規模、時間などでポイントが加算していくらしい。
貯まったポイントは景品と交換できリアルで31日の18時から年明けの3日間が設けられている期間だそうだ。
ポイントはギルドカードに自動で記録されるそうで不正はできないとか。
PTを組んでいるとメンバーにポイントが分配されるけど行動によって貰えるポイントは違うみたい。
どうやって判断してるかは不明。
「行動によってっていうのはラストアタック、所謂LAで変わってくるんじゃないかな?」
「掃除に関しては何をしたかで貢献度みたいなのが変わるんだと思います。例えば水拭きと掃き掃除で違うとか」
ルナはゲーム詳しいけどアエローちゃんもわかってる感じ?
「お姉ちゃん、一応私にゲーム勧めたのアエローだからね」
「そうなんだね。あれ、ならどうして始めるの私達より遅かったの?」
「リア充だからだよ!」
「はいはい。遅かったのはですね、機器が高いから買う余裕無くてVRは避けてたんですよ」
ルナが不満そうに言うのを適当に流しているアエローちゃん。
ルナのゲームを始めた切っ掛けがアエローちゃんだったのは知らなかった。
てっきりアエローちゃんはゲームより部活とかスポーツに力を入れてるんだと。
それを伝えるとアエローちゃんは何か言いにくそうな顔をする。
「ユキさん、言っておくけど私だって息抜きでゲームとかするんだよ?」
そう言われてルナの方を見る。
「息抜きは大事だからね。まぁ今は私の方がゲーム詳しいんじゃないかな」
「ちょっとした気分転換のつもりで勧めたけどルナったら私以上にハマっちゃったから焦ったよ~」
おかげで私はルナとこうして遊べるようになったから感謝しないとね。
そういえば結構話し込んじゃってる。
「結構時間経ってるけどこれからどうしようか」
「んー、シュティにイベントの事はメールしておいたから他にやる事無いし3人で戦闘に行く?」
「欲しい素材とかあれば集めれば良いんじゃないかな」
アエローちゃんが素材集めを提案してくれてルナもそれに頷く。
それぞれ欲しい素材を上げていく。
ルナは特に浮かばなかったみたいだけど私はもちろん魔動核。
アエローちゃんは防具を整えたいという事。
防具だと敵の見た目がアレだけど昆虫系統が良いんだっけ?
「防具だとお手頃なのはアーマードセンチピードかな」
「センチピードって…ムカデだっけ?」
「うん、かなり大きかったかな」
「行きたくない…」
「なら私の持ってるの上げるよ」
そういえば残しておいたんだよね。
「ホントですか!?ならユキさんが欲しいアイテムを多めに集めましょう」
「あー、あれ良い素材なんだけどお姉ちゃんは使えないもんね」
二人は問題無さそうなのでウッドゥンビートルゴーレムから魔動核を狙う事に。
「ファエリも来る?」
「いく~」
ファエリはルナの肩でウトウトしていたようで目を擦りながら間延びした返事で応えた。
私達は北エリア2側に歩いて向かう。
「そういえばアエローの武器はその手甲だろうけど戦い方ってどんな感じ?」
「んー、鳥獣人だから空中から攻撃がメインかな。手甲にしたのは一番扱えそうだったから!」
えーっと、鳥系の獣人って事だよね?
改めてアエローちゃんを見てみる。
人間と違いが見当たらない顔、黒い革製のジャケットにズボンと言う恰好。
長袖を着ている上に肘から先は手甲で見えなくなってるし、膝下は金属でできた装備を付けて脚を隠している。
「特注で手足の金属装備作って貰って防具とか手が出せなくなっちゃったんだよね」
そう言って右脚を上げて右手で叩く。
防具とかわかんないけど脚のはブーツみたいな感じなのかな?
手甲とぶつかると金属がぶつかる音がする。
「空中から手甲って攻撃しづらそうだね」
「んー、まぁメインは魔法になるかな?手甲は突撃用」
「ほー」
返事を聞いたルナは気が抜けた返事をしている。
面白い答えでも期待していたのかもしれない。
実際空中から手甲で攻撃するのは鉤爪でも付いてれば別だろうけど攻撃はしにくそう。
いずれは変えていくのかな?
それよりも…。
「その…、鳥獣人って手足ってどうなってるの?」
「んー、ユキさんはハーピーってわかる?」
「女性の腕が翼になってて下半身が鳥の生物だっけ?」
サービス開始前に調べた中に敵でいたのを思い浮かべて言う。
「そうそう、そんな感じだと思って貰えればわかりやすいかな。翼の先で指みたいに動かせたから手甲はそれを利用してる感じ」
「それって力入るの?」
「やっぱり弱い感じでね。手甲に腕通せるベルトみたいなの付けてあってそれで固定してるの」
ルナが力が入るのかを確認するとそこまで強くは入らない様子だ。
武器を持ってないのは力が入れにくいから持ち続けれないのもきっとあるんだろう。
その点腕でも固定出来るようにしてある手甲は他と比べて使いやすいのかもしれない。
「脚の方は?」
「よくぞ聞いてくれました!これはホント鍛冶屋のおっちゃんに無理言ったんだよね~」
それは金属の臑当と甲掛をくっつけた感じだ。
甲掛の形状が変わっていて前三本後ろ一本の趾を保護するため合わせた形状のようだ。
靴とは違い底がない作りになっていて脚の鉤爪で掴んだりする事ができるようになっている。
これだと確かに特注じゃないと無さそうだね。
「向こうも面白かったみたいで乗り気でやってくれて割引してくれたから助かったよ」
そう言って笑顔のアエローちゃんだけど思ったよりお財布事情がキツかったのかもしれない。
「普段は何食べてたの?」
「野菜を焼いたモノとウサギを焼いたモノですね」
「アエローそれって味付けは…?」
ルナが味付けについて聞いている。
焼くだけにしても塩とか調味料は使ってると思う。
「素材の味そのままでした」
そう言ったアエローちゃんの目から光が消えていた。
野菜の敵を倒して得て素材をそのまま焼いて食べてたって事!?
きっとスープとかはあったんだよね?
「生で食べてた日もありました」
ハードすぎる!
何でそんな事になっちゃってたの!?
私も宿代出してないからもしかしたらこうなってたかもしれないのかな…?
「流石に装備用意した時点でお金がなくなってサバイバル生活する事になるとは思わなかったよ」
「道具ぐらいは買えたんじゃ?」
「似たような境遇の人が結構いて味は酷かったけど楽しくてね。こっちで数日一緒にいたんだよ」
二人が話してるのを聞きながら私はルナの肩でファエリと一緒に座っている。
一応ファエリに教えて貰って探知の魔法の練習をしている。
探知の魔法は風と土を同時に使う事で可能になるそうだ。
しかし組み合わせで私達プレイヤーが選べるのは[特殊魔法][上位魔法][基本魔法][形状][状態][種類][特殊]だ。
基本魔法と基本魔法を組み合わせる事ができない。
それがファエリに魔法の講義を受けてからできるようになったのだ。
これは拠点の整備してる時にシュティが畑にたまたま来て雑談していたときにファエリから教えて貰いそれからは時間を作って練習している。
ルナはアエローちゃんと話をしながら歩き、私はファエリと練習していると北の植物エリア2についた。
アエローちゃんも魔法を使える近接職と言う事になるらしい。
ただルナやシュティと違うのは空を飛び移動出来ると言う事と風属性魔法を併用した凄まじい移動速度からの突撃に脚で敵を捕まえて上空から落とす攻撃がある事だろう。
問題は現状速すぎて魔法を使った突撃は直進限定な上にブレーキも上手くかけれないみたいだけどね。
広い場所でなら使えそうではあるんだけど課題は多そうな感じ。
拠点に着いてからアエローちゃんもファエリに付与魔法と魔力制御を習っている。
習得はまだできてないみたいだけどコツを掴めば多分誰でもできるんじゃないかってルナが言ってた。
魔力制御を習得すれば変わるんじゃないかって言うのが私達の予想だけどこればかりは習得するまでわからないね。
そうこうしてるうちに植物エリア2から昆虫エリア2へ続くマップの境目に到着した。
「エリア2から1に戻る場合と違って、どっちへ行くにもボスがでるから周回しやすいね」
ルナがそんな事を言いながら進んでいく。
アエローちゃんはその事が良くわかってないようで質問をしている。
エリア2からエリア1に戻る場合はボスとの戦闘無くエリア間を移動出来た。
しかしエリア2からエリア2に移動する場合はボスとの戦闘が必ずあるらしいと言う事。
「ふーん、このゲームのマップがどういう区切りになってるかわからないねー」
ルナの説明を聞いてアエローちゃんはそんな事を言う。
確かに区切りがどうなっているかはわからない。
昆虫のエリア2植物のエリア2の間はボスがいてそれを倒すと通る事ができる。
けど私が作った拠点も昆虫と植物のエリア2の間なんだ。
「んー、主様がいる深き森は主様が作った結界の中なの。昆虫エリア2って呼んでるのはメギーアー女王様の行動範囲なんだけど、ここまではいい?」
ファエリが知ってる事を教えてくれるようでルナの前まで飛んでいきそう言う。
アエローちゃんはわからないみたいだけど口を挟むつもりはないみたい。
私とルナが頷いたのを確認して続ける。
「ユキ様達がボスって呼んでるウッドゥンゴーレムはこの島のどこかにある遺跡の施設から転送されてきてるって主様は言ってた。主様が言うには転送されてくるゴーレムは住処を分ける為に来るんだって言ってたよ」
なるほど、ゴーレム系は種の交わりを防ぐために移動する相手を無差別で襲うから通る度に戦う事になるんだ。
完全に違う種で交配って事は無いと思うからきっと住処の奪い合いで殺し合うのを防ぐ意味があるんじゃないかな。
「じゃぁイビルトレントやアーマードセンチピードが襲ってくるのは?」
「それは簡単だよ。自分たちより弱いと思って襲ってるだけだもん」
「弱いって何を基準にしてるのかな?」
「どっちから来たかだよー。例えば結界の外にいるイビルトレントは弱いから弾かれちゃって入って来れなくなっちゃった個体なんだよ」
「でも中のより大きかったのは何で?」
「結界の中は主様に管理されてるから一定より大きくなれないけど外のは栄養とか好きに摂ってるからじゃないかな?」
「ふーん」
それに対してイビルトレントなどのエリアボスって呼んでるのは奥のエリアに適応出来なかったり何らかの事情でいられないけど手前のエリアでは十分強い相手って事かな。
だから奥から来た相手は襲わないで奥へ行こうとする相手を襲うんだね。
二人の話を聞きながら考え事をしているけどボス前のセーフティーエリアにいるしそろそろ戦闘の準備した方が良いかな。
「そろそろ戦闘の準備してアイテム集めしようか」
「はーい」「「はい」」
ルナの間延びした返事に二人が続く。
ここででてくるウッドゥンビートルゴーレムの弱点は赤い球体のコアだ。
攻撃方法は多く葉を飛ばしてくる遠距離攻撃からその巨体による攻撃、地中からの搦め手等があった。
二回目に通った時は意識がなかったからどうやって倒したか詳しく聞いてない。
今回の場合は二組のペアを作って片方が魔法を担当してもう片方が囮をしつつ弱点が露出した時に攻撃を担当する。
魔法の担当は一人が魔法を使って反射の体勢に入ったらもう一人が妨害して弱点を露出させるのが役目でこれは私とファエリがやる事に。
私達が最初にクリアしてから検証した人達がいたみたいで反射してくる魔法がほぼ判明している。
ほぼというのは調べた時は特殊魔法が判明していなかったからだ。
とはいえ私とファエリで問題なく反射行動を誘発できるはずだ。
『こっからはPTチャットで』
ルナの言葉にそれぞれ頷き応える。
アエローちゃんの方を見るとちょっと緊張してるのか表情が硬い。
ルナに目配せして私はアエローちゃんの後ろに回る。
そして首に抱きつく。
「ひゃぁ!」
急に冷たい私が首にくっついて驚いたアエローちゃんが声を上げる。
そしてサッとルナの方に飛んでいく。
ファエリとハイタッチして喜ぶ。
『ひゃぁ!だってー』
『貴方達!』
PTチャットでルナがからかうとアエローちゃんは怒った様子で手を上げる。
『逃げろー』『わー』『あははー』
ルナ、私、ファエリがボス部屋に入っていく。
アエローちゃんもそれに続いてボス部屋に入る。
私達にはお馴染みになっていた赤い光が周りを包み込む。
アエローちゃんはそれに驚き辺りを見回す。
ちょっとからかって緊張を解すつもりが完全に失敗してしまったようだ。
状況が飲み込めないのか慌てて混乱してる。
『ボスが来るよ!』
ルナがそう言うとアエローちゃんはハッとした様子で上から下りてくる赤い球体を見ている。
そして周りの木を纏ってゴーレムとなる。
動き始める前に私とファエリは距離を取る為後ろに下がる。
ルナはアエローちゃんに指示しつつ囮になるためボスの横に回り攻撃をしかける。
最初は不安と焦りからかぎこちなかったアエローちゃんも次第に動きが良くなってくる。
私達はそれを確認してから魔法を唱える。
ファエリが放った風の魔法を反射するために動きを止めたので私は風の魔法をタイミングを見てぶつけて妨害する。
風の爆発が起きて木がバラバラと吹き飛ぶ。
赤い球体のコアが出たところで二人が攻撃して撃破した。
倒したらさっさとエリアを移動する。
セーフティーエリアに移動してアエローちゃんの方を見ると笑顔でこちらを見ていた。
「3人ともお話があります」
私達3人はこの後めちゃくちゃ怒られた。
からかって緊張を解すつもりが裏目に出るなんて。
「主犯はお姉ちゃんなのに…」
「正座辛かったよー」
「まったく…、初めてのボス戦がこんな事になるとは思っても見なかったよ」
そう、ボスと戦った事あると勝手に思っていたけどアエローちゃんボス戦は初めてだった。
だから結界の事とか何も知らなくていきなりの演出に驚いてパニック状態になっちゃったそうだ。
5分ほど正座でお話ししてたから慣れないファエリは辛かったようで私に泣きついている。
私は隠れてちょっと浮いてたから平気。
それから時間的にも丁度良かったので食事休憩を取る事にした。
食事を終えたら今度こそボスとの連戦をする事に。
戦闘の役割をローテーションして色々試しながら戦闘をしていく。
役割は敵の攻撃を引きつける囮役に魔法を当ててコアを露出させる役、とどめを刺す攻撃役。
囮とトドメ役がペアで残りのペアでコアの露出を狙うことに。
私は囮役の時につい試してみたくなって《アイスチェーンソー》を使ってみたらコアごと真っ二つにしてしまってルナに作戦も何も意味なくなるから自重してと怒られた。
勝ったんだから良いんじゃないかと思ったけど好き勝手やってたらPTの意味ないもんね。
アエローちゃんも私の魔法を見て悪ノリしたのか超加速からの突撃をしてゴーレムを吹っ飛ばす変わりにとんでもないダメージを反動で受けてルナに怒られてた。
ちなみにゴーレムは吹っ飛んだだけでダメージはなかった。
コアまでダメージがいかなかったみたいだね。
ルナとファエリは無茶な事はしないで安定した戦い方をしている。
ファエリの場合攻撃魔法は得意じゃないと自分で言ってる事もあってトドメと囮をやる時は囮の方に力を入れている感じだ。
魔法の時はボスの特殊行動を取らせて放つ前に妨害させれれば威力は関係ないようで気にならない。
ルナも囮の時に自分が強化魔法を使った状態でどれだけ動けるのかを試しているみたい。
以前使ってた身体能力アップの《フィジカルアップ》以外に魔法能力を上昇させる《マジックアップ》を使えるようになっていた。
それも試しに使っているようでダメージは無いけどどれだけ削れるか試しているみたい。
そんなこんなで私達はゲーム内のお昼過ぎから3時間ほど戦闘し続けた。
倒したウッドゥンビートルゴーレムの数は26体になった。
目的の魔動核はなんと4個も出た。
分配は私が2コでルナとアエローちゃんが1個ずつで良いか確認したら二人とも私が貰って良いという。
冒険者ギルドの買取額を伝えたけど意見は変わらなかった。
使い道は一杯ありそうだし拠点の改造とかで欲しかったから御礼を言って貰っておく。
拠点に戻るとシュティが来ていた。
「おかえりなさい」
「「「ただいま」」」「初めまして!」
「初めまして、シュティナです。よろしくお願いします」
「アエローです。よろしくお願いします」
初顔合わせになる二人が挨拶をする。
シュティにはアエローちゃんもここの拠点を利用すると言う事を伝える。
ルナとシュティは私と同じ小部屋の片方を一緒に使う事にした。
小部屋はもう一つ空いているけどアエローちゃんは木に登って枝にとまって休むと言っている。
ずっと野外の木の上で寝ていたから洞窟内は何だか落ち着かないそうだ。
ちょっと気になってリアルでは大丈夫なのかを聞いてみた。
「リアルは普通に部屋のベッドで寝てますよ。お布団の魔力には勝てません」
わかる、特に今みたいな冬場はお布団から出たくなくなるもんね。
とりあえずリアルで同じように感じてない様だし気にする事じゃなかったみたい。
アエローちゃんと話しているとシュティが少しそわそわしていた。
「シュティ、どうしたの?」
「すみません。勝手に話をしてしまったのですが会って欲しい方がいるんです」
ルナが怪訝そうな顔をしてシュティを見る。
アエローちゃんもわからないからだろう首を傾げてこっちを見ていた。
「このゲーム通常はフレンド登録してあるかメールアドレスを知ってる方にしかメールは送れません」
そう、逆にメールアドレスさえ知っていればゲーム外からでもメールが送れる。
ゲーム内と外で時間の流れが違うから内外のやり取りは基本的に外から中の場合が多い。
利用するのは母さんが連絡をくれるみたいに用があるからやめなさいと言う事の方が多いんじゃないかな?
それかさっきルナが中から外に送ってたみたいにゲーム内の情報を速く教えてあげたい時だろう。
「私が登録しているアドレスは捨てメアドに変えてあって関わりの無い方でも送れる様にしてあるんです」
今回の会って欲しい方って言うのはそこに連絡してきた人って事だよね。
何となくわかってきたから頷いて続きを待つ。
「メールを送って来た方は種族的にゲームのプレイが厳しくユキさんの拠点を利用させて欲しいと言っているんです」
なるほど、私を頼ってくるって事は多分同じように暑さに弱い種族なんじゃないかと予想する。
ペナルティーが同じかはわからないけど活動できている私を頼りたいと言う感じだろうか?
「わかった、会うよ」
そう言うとシュティは少し嬉しそうなそれでいて申し訳なさそうにして宙を操作する。
相手にメールを送ってるんだろう。
ルナ達の方を見るとルナは仕方ないなぁと少し眉を寄せてアエローちゃんは笑顔でこっちを見ていた。
「連絡を取ったら今ログインしてたので今からでも良いですか?」
「大丈夫だよ」
丁度戻ってきたところだけどアイテムの分配は終えているしこれからどうしようか決まってなかったところだ。
ルナには悪いけどどんな相手か一度会ってみないとね。
「ルナ…」
「お姉ちゃん、アエローとちょっと食料品集めてくるよ」
笑いながらそう言ってくれた妹に御礼を言う。
ぁ、そういえば一人で行動してた時に作った物があったっけ。
「ルナこれあげるね」
「え?」
私が取り出したモノは…。
「「「木刀?」」」
一応ルナに渡したのは70㎝ぐらいの長さにしてある。
これくらいなら双剣を使ってるルナなら扱いやすいかなと思ったんだよね。
念のため2本用意してある。
「シュティはこっちね」
シュティのも一応作っておいた。
こっちはお土産屋さんとかで売ってそうなサイズにしてみた。
短くても使いにくいかなと思って。
ちなみにこれらの木刀は世界樹の周辺でもし枝が落ちてればーって考えながら葉っぱ集めてたときに落ちてきた物を使った。
何となくだけど私が探してたから落としてくれた、そんな気がしてならない。
世界樹にも意志があるのは何となく感じていたけど確信したのはこの時だ。
私の考えを読んだんじゃなくてつい声に出していってたかもしれないからその辺は今度また確認しないとね。
渡した木刀を確認して3人はひそひそと話し合っていた。
木工スキルの熟練度も低いしそんな良いモノではないと思うんだけどどうしたんだろう。
「他の人には気軽にモノをあげないでくださいね」
シュティにそんな事を言われた。
「お姉ちゃん、何か作ったときは必ず私かシュティに見せてね」
ルナに念押しされる様に強く言われた。
「二人とも大変ね」
アエローちゃんは私の方を見ながら他人事の様に笑っていた。
三人とも私に対して失礼じゃないかな?
そんな事を思っているとジト目のルナが無言でウインドウを共有してきた。
私が作った木刀だよねこれ、見てみるとレアリティーがおかしい。
☆が四つ並んでいる。
現状確認されている素材で作ったアイテムで☆3を超えたモノはなかったはず。
と言う事は世界樹の枝はそれほどレアリティーが高いモノだったみたいだ。
「以後気をつけます」
私にはそういうのが精一杯だった。
表示されていたのは。
・木刀
レアリティー:☆☆☆☆
ATK+5 特殊スキル:魔力伝導・A
世界樹の枝から作られた見た目は普通の木刀。
制作者:ユキ
魔力伝導・A
・魔力が伝わりやすい。ランクによって効果は変わるが魔力媒体になったときその真価を発揮する。
なんというか今の二人には丁度いい武器…?
攻撃力は多分低いんだろうけど問題になるのは特殊スキルなんだろう。
とりあえず今この場を切り抜けるには…。
「シュティ相手を待たせたら悪いからすぐ会いに行こう?」
シュティはちょっと呆れた様子を見せるもすぐに頷き転移装置の方へ向かう。
「私、ルナ達と森に行ってくるね。いってらっしゃ~い」
「「いってらっしゃい」」
「「行ってきます」」
両手を振るファエリ、笑顔のアエローちゃんと苦笑するルナに見送られてシュティの後を追う。
追いついたら一緒に街へ転移するために装置を起動した。




