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 サービス開始から5日目、拠点を設置してからリアルで2日が経過して今日は12月29日。

 もうすぐ大晦日だから掃除はしておきたいとは思ってる。

 明日やる予定。

 母さんは昨日まで仕事でようやく連休に入ったのでゆっくり寝てるようだった。

 なので那月と一緒に朝食の準備をしている。

 と言っても私は味見と指示が殆ど、できるのは野菜切ってサラダの用意かな。

 それでもルナは楽しそうに鼻歌交じりに調理をしている。

 火を使う事に関しては車椅子だと高さが足りなくて作業出来ないんだよね。

 朝食の準備ができると那月が母さんを起こしに行った。

 3人で朝食を食べ終える。


「洗い物はしておくからアンタ達はゲームでもしてなさい」


 何て母さんに言われてしまった。

 那月は嬉しそうに返事をして車椅子を押して私の部屋に。

 私達は朝、昼、夜の3回ログインしている。

 朝の8時から11時、昼は14時から17時、夜は20時から23時の約9時間が1日のプレイ時間になっていた。

 もちろんちょっと遅くまでやったり早くやめる事はあるけどね。

 ゲームをやめて空いた時間でストレッチなどをして身体を動かすようにしている。

 身体を動かす事はやる前は一人じゃ続けれるか不安だったけど那月が付き合ってくれるから何とか続けられそう。

 ログインも那月と合わせてゲーム内で1度は顔を合わせて一緒に食事を取るようにしていた。

 そうしないと那月がふてくされるんだよね。

 拠点の整備が楽しくて連絡とかしないでずっとやってたらふてくされちゃって大変だった。

 機嫌直して貰うのにゲームやってない間ずっと那月に抱きつかれてたんだ。

 イヤじゃないけどね。

 でもご飯も食べさせようしてくるから私の精神が磨り減っちゃいそうだったよ。

 母さんが居るときだったせいでこっち見て笑ってるし。

 いつものようにログインのためベッドに横になると那月が抱きついてくる。


「お姉ちゃん私そろそろ別行動限界」


 頭を私の胸にグリグリと押しつけながらそんな事を言ってきた。

 最近は毎日拠点の整備でほとんど籠もっていた。

 出掛けるのは木材集めでその為に一人でボス戦をしたりもした。

 前回倒れてしまった事を教訓にMPにポイントを振って最大値を増やしイビルトレントを伐採しまくった。

 《アイスチェーンソー》の消費MP予想が480ぐらいだったので3倍を超える1500までMPを増やした。

 ボーナスポイントを20も消費したのは痛手かもしれないけど普通のMPポーションの回復量が30%だから1回分の回復はすぐに行える。

 一応検証も私なりにしてみたんだけど一つの魔法で二つの動きがあるのが消費を増やしてるみたいなんだよね。

 一つは今までの剣や槍と同じように武器を振るう動き、もう一つがチェーンソーの刃が回転する動き。

 チェーンソーの刃を止めた状態で振るった時は22だった。

 何度か試してみたから間違いないかな。

 これから予測出来たのは一つの魔法で二つの動作をさせたら消費MPが二乗されると言う事だ。

 実際に《アイスランス》の魔法を回転させてドリルみたいにしてみたら消費が二乗された。

 一応最初は念のためルナに付き合って貰ったけどね。

 3割のMP消費で急性魔力欠乏がでるのかわからなかったからね。

 結果は問題なくて何周もしてるとルナが暇になって別行動になったんだけど。

 ほんとはウッドゥンビートルゴーレムから手に入る魔動核が欲しいからそっちも狙いたいけど多分一人では倒せないからね。


「じゃあ今日は二人で行動しようか?」


 実際の所、拠点の方はある程度作業が終わっていた。

 通路は土魔法で石にできるようになったので魔水晶以外の土を石にしておいた。

 魔力を回復させながら大部屋と小部屋も石造りに変更した。

 小部屋の方はイビルトレントから得た木材でスノコ状の床を作り高さを出しそこに板を敷いていいった。

 その後で玄関部分に当たるところも作った。

 壁も木材を貼りつけて直接石が触れないようにはしてみた。

 やる事は沢山残っているけど、とりあえず家具とかあれば住む事はできるかな?

 何とか宿の部屋を取ってる間に目処は付けれたと思う。

 なので那月と行動しても良いかなとは思う。

 それを聞いた那月は顔を上げ嬉しそうに笑顔で頷いていた。


「今那月はどこにいるの?」


「宿だよ。お姉ちゃんは?」


「私は拠点だからログインしたらそっちに向かうよ。朝食は一緒に食べよう」


「うん!急いで準備しなきゃ」


 そう言うと私から離れて機器の準備をしていく。


「私は先にログインしてるね」


 そう言って機器を着けてゲームを立ち上げた。




 目を覚ましたのは拠点の小部屋。

 ここ数日、倒れた私を運ぶのに使っていた桶をそのまま寝床として使っている。

 中の雪や氷を浮かせて桶をアイテムボックスにしまう。

 外まで持って行き世界樹の根元に置いていく。

 魔力で作った雪や氷だから溶けた時に良い栄養になるのだとファエリが言ってた。

 シュティが試しに作ったらしい小さな畑が耕されている。

 どの苗も成長が早いと言ってた。

 コレも世界樹の恩恵なのかな?

 世話はファエリが手伝っているみたい。

 時々シュティが人を連れてきていたけど何か色々肥料を持ってきてた。

 とりあえず地下の転移装置のところに行く。

 氷像を作って周りに浮かせてから転移装置を起動させた。

 街の噴水につくとすぐに移動する。

 思った以上に転移が目立つようで色々噂になっているみたい。

 ルナが掲示板で騒がれていると言ってたからそのうち絡まれそうで怖いなぁ。

 宿についたら一階にある食堂でルナを探す。

 丁度二階から下りてくるところだったみたいで私を見つけて嬉しそうに手を振っている。

 壁際にある二人席を確保して座る。

 PT欄は私とルナが白でシュティがグレーになっているからシュティはログインしてないみたい。

 ファエリはルナの肩の上にいた。

 私が机に座るとファエリも同じように座る。


「「おはよう」」「おはよ~」


 タイミングを合わせたみたいに一斉に挨拶をして笑っていると女将さんが注文を取りに来てくれる。


「おはよう。今日はどうするんだい?」


「「おはようございます」」「おはよ~」


「私はいつもので、お姉ちゃんはどうする?」


「ルナのを分けて貰うから良いよ」


「じゃぁ、カットフルーツもお願いします」


「はいよ。そうだ妖精さん熊肉余裕があったら卸してくれないかい?」


「良いですよ。これくらいでいいですか?」


 女将さんからの個人依頼になったみたいで表示されたので応えながらYesを選択するとウインドウが表示されたので熊肉を5個選択する。


「あぁ、助かるよ。ありがとうね」


 報酬としてお金が所持金に入った。

 そういえばいずれ熊肉の取り扱い方法も教えて貰いたいな。


「いえいえ。そういえばすぐじゃないですけど今度熊肉の調理法教えて貰っても良いですか?」


「あたしで良いなら構わないよ。素材だけは用意してきてくれればいくらでも教えてあげるよ」


「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします!」


「はいよ。じゃぁ、朝食の準備してくるね」


 そう言って離れていく女将さん。

 私の方にはクエストが表示されていた。

 《クエスト「料理練習:熊肉」を受注しました》

 依頼をする方になるのだがプレイヤーから修行クエストなんて呼ばれている。

 私が冒険者ギルドで揉めた後に職人のところに行ってこれを発見した人が多数いたのだ。

 クエストの説明に時間のある時にお願いしてみようって書いてあるからきっといつでも問題はないと思う。

 今度熊肉補充してこないとね。

 しばらく待って運ばれてきた食事に舌鼓を打つ。

 私とファエリはルナに分けて貰ったサラダとスープにフルーツだ。


「今日はファエリはどうするの?」


「ん~、シュティナが数日の間はあまり起きてないかもって言ってたから二人についていくー」


「時期的にシュティもリアルで忙しいみたいだもんね」


「そうだね。親戚で集まったりで移動してるかもしれないもんね」


 そんな事を話しながら食事を取る。

 美味しいから拠点に移っても食べに来ても良いかななんて思っちゃう。

 しばらくは調理場がないんだよね。

 拠点の排水はどうしようかと思っていたんだけど世界樹が吸ってくれる事も発見してるけど全部任せちゃダメな気がするんだよね。

 実際魔道具で下水処理に使われていると思うのがあったからまずはコレを設置してから水回りを用意したいところ。

 食事をしながら今日はどうしようか話す。

 私もルナも特に目的は決めてなかったから何も決まっていない。

 ファエリは一人でいると退屈で付いて来ただけで目的はないみたい。


「みつけた!」


 そう言って私達のテーブルの隣に知らない女の子が立っていた。

 緑色の肩まである髪に頭の上にはぴょこんと髪が一房逆立っているけどアレが所謂アホ毛と言う奴かな?

 背が高くスタイルは良いと思う。

 装備は多分初期装備なのかなよく見るプレイヤーの恰好でガントレットって言うのかな?を腕に付けていた。

 頭上表示にある名前はアエローと表示されている。

 私の知り合いでは無さそうだ。

 美花先輩はまだ始めてないってメールが着てたし恭助もまだだったと思うしもう一人の幼馴染みもまだのはず。


「なっちゃんの事探してたけど広すぎて全然見つからなくてユキさん探してようやくだよ…」


 この一言で私は誰かようやくわかった。

 穂風ちゃんだ!


「えー、アエローがしばらく一人で遊ぶって言ってたからだよー」


 ルナは頬を膨らませて反論している。


「そうは言ったけど連絡とか取る方法がわかんなかったんだもの」


「ぇ、メールしてくれれば良いじゃん」


「どうやるの?」


「チュートリアルで教えて貰ったでしょー」


「飛ばした」


 そう言ってアエローちゃんは手を腰に当て威張るように胸を張る。

 そして空いている席に座る。

 ルナは半眼で呆れたような表情だ。

 私達は丁度食事が終わったところだけどアエローちゃんは食べたのかな?


「とりあえずやり方教えてよ」


「やり方って…教えるも何もメニューにメールってあるじゃん」


「ぁ、ホントだ。メニュー開いてなかったから気づかなかったよ。とりあえずフレンド登録しておこう」


 そう言って宙を操作している。


「それでアエローは何か目的ができたの?」


「なっちゃんが何か冷たい…ユキさんどうしてでしょう?」


 確かにちょっとルナの視線が冷たい。

 機嫌が悪くなってるみたい。 


「多分久しぶりに私と遊ぶとこだったからじゃないかな」


「あぁ、そういう事。装備決めたから一緒に遊ぼうと思って来たんだけど…」


 アエローちゃんはそう言ってルナの方を見る。

 始めたばかりの時はきっと色々試したかったんだと思う。

 妖精を選んだから武器は持てなくなったけど私もどの武器を使うかは事前に決められなくて色々触ってみるつもりだった。


「遊ぶのは良いけどなっちゃんはやめて欲しいかな」


 ルナはため息をつきながら呼び方だけは変えてと言う。


「ダメ?」


「リアルバレに繋がりそうだからダメ」


「ユキさんに対する行動やら言動でバレそうな気がするけど…。じゃあルナって呼ぶよ」


 アエローちゃんがそう言うとルナは頷く。

 確かにリアルでルナの私に接してる所を知ってる人は気づきそうだよね。

 特に予定は決めてなかったから私としてはアエローちゃんが一緒でも良いんじゃないかと思うんだけど。

 そう思ってルナの方を伺うとしかめっ面をしていた。

 ルナ的には二人が良かった様子。

 と言ってもファエリもいるし二人っきりではなかったと思うけどね。


「とりあえず冒険者ギルド行って何かあるか見てこようか」


 ため息をついてからルナがそう言うのでアエローちゃんをPTに招待する。

 すぐにPT欄にアエローちゃんが追加された。


『よろしくお願いします』


『よろー』『『よろしく』ー』


 ルナが適当に返事をして私とファエリがそれに続く。


『シュティは今ログインしてないから気にしないでね』


『あ、はい。シュティナさんって有名な対人プレイヤーさんだよね?』


『今は私達と遊ぶのがメインだから対人は控えてるみたいだけどねー』


 アエローちゃんの質問にルナが応える。

 実際シュティは対人スキルは今使わないようにしてるって言ってたはず。

 普通に決闘を挑まれれば対戦はしてるけどね。

 ルナは立ち上がると食器を下げて女将さんに御礼を言って宿を出る。

 私はルナのご機嫌取りのために肩に座っている。

 アエローちゃんはルナの隣を歩いて行く。

 二人はスキルやらの話をしながらギルドに向かってのんびりと歩く。


 その間に私はスキルを眺める。

 最近わかった事があって世界樹の落ち葉や折れて落ちた枝が素材として使えると言う事。

 試しに木工スキルでお土産屋の木刀みたいなのを枝で作ったら思ったより性能が良さそうだった。

 多分スキルの練習ぐらいには使えるんじゃ無いかな。

 今度シュティにあった時に渡そうかと思ってたりする。

 それよりも落ち葉だ。

 用途がわからなかったけどもしかしたらコレって調薬に使えるんじゃないかな。

 薬草とは比べるまでもなく落ち葉とはいえ世界樹の葉の方が貴重なはず。

 だけどモノがモノだけに素材としてギルドに持ち込んだら多分まずいと思う。

 何はともあれ、まずは調薬スキルを取った方が良いかな?

 ある程度熟練度を上げると覚えれる能力にオリジナルレシピ化という物があるらしい。

 コレは分量や割合など細かく設定出来て名前も自由に付けれるのが一番の特徴。

 だけどこれの副効果が今回の目的だ。

 何と素材を手に入れた事がある人しか鑑定しても使用素材欄の項目が[????]と表示されわからないと言う事!

 落ち葉でもアイテムボックス内の表示は世界樹の葉と表示されるから隠せる事は重要だと思う。

 道具は…しばらくは買わずに有るモノで頑張ってみようかなと思っている。

 けど拠点のこともあるし手を出すのはまだまだ先になりそうだし保留かな。

 そうこうしてるうちに冒険者ギルドに到着した。

 ルナは迷わず買い取りカウンターへ向かう。


「おぅ、嬢ちゃん達良く来たな」


 ルガードさんが片手を上げて挨拶をしてくきたので各々挨拶をする。

 私はホームを取ってから街に戻ってきてなかったので久しぶりになる。

 二人はクエストを見に行くようでボードの方に歩いて行った。


「最近見なかったけどどうしてたんだ?ぁー、待て。その前に移動するぞ」


 ルガードさんが気になっていたようで聞いてくる。

 が私が発言をする前に止めて個室に移動する。

 部屋に入って向かい合ってから話をする。


「森でやりたい事ができたのでずっと籠もってたんです」


「ほう、その割りには光になって現れるとか噂になってたがな。まぁ何か成果が出たら頼むぜ?」


 多分ルガードさんは拠点の転移機能を使ってるのに気づいているんだと思う。

 けど何も言わずにいてくれるようだ。

 ニヤニヤと笑いながら言ってくるので取引用のウインドウにあるモノを出した。


「おいおい、嬢ちゃんどうやって入手したんだ?」


「えっと、秘密です」


「ふむ、そう言うなら深くは聞かないがな。また入手する事はできそうなのか?」


「できると思います」


 私がすぐ返事をすると考えるような仕草を取る。

 提示したのはプリンセスハニービーから分けて貰った蜂蜜だ。

 多分だけど現状甘味の材料は殆どが船で運んでいるんだと思う。

 そこへもし蜂蜜でも安定して手に入るとなると甘味のレパートリーが増えるのだろう。


「あー、嬢ちゃんは食べてみたのか?」


「えっ、いえ…」


 私の様子を見てため息をつきながらジト目でこっちを見ている?


「こいつは濃厚な甘みに香りも良く栄養もあるから超が付くほどの高級品で欲しがるヤツは多いんだ。けど普通は手に入らないんだよ。実際この島に居るのは把握してたけど採って来れたヤツはいねぇ」


 なるほど。

 プリンセスハニービーもかなり強いだろうし力尽くで奪うのは厳しいだろうしね。

 私達の場合は戦う事なく入手できそうだからかなり有利だ。

 貰った蜂蜜だけでも30本ぐらい瓶詰め出来たからそれなりにある。

 なので1本アイテムボックスから取り出し机に置く。


「味見してみましょう」


「正気か嬢ちゃん…」


「そんな変なモノでも見る目で見ないで下さいよ。私では開けれないのでお願いします」


 そう言うとしぶしぶと言った感じで蓋を開けてくれる。

 アイテムボックスから木のスプーンをだして渡すと自分用の小さなスプーンを取り出す。

 瓶の蜂蜜をすくってぱくり。


「美味しい!ホントに甘みが強いですね。それに香りが良い!」


「だろうなぁ…」


 そう言ってるルガードさんも口にすると目を瞑って味わっているようだ。


「チーズにかけて酒のつまみにしたら最高だろうなぁ…」


「あ、良いですねそれ!蜂蜜酒とかにしても良さそう」


「蜂蜜酒か。もし作るんだったら分けてくれ」


「その時はお持ちします。ぁ、開けた蜂蜜はどうぞお持ち帰り下さい」


「嬢ちゃん…。あのなぁ……」


「まだ沢山あるんで大丈夫です」


 そう言って蓋の開いた瓶をルガードさんの方に押していく。

 ルガードさんは溜息をついて諦めたのか蓋をして受け取ってくれた。

 ルナとシュティは2本ずつで良いって言われて量に余裕がある。

 とりあえず3本を取引に出して様子を見てみる事にした。


「普通なら売ろうとする以前にタダで渡すヤツはいないんだがなぁ…。一瓶5000Gでいいか?」


「はい、大丈夫です」


「嬢ちゃんには世話になってるが…、言っちゃ悪いがこればかりは店と直接取引した方が儲かるぞ?」


 ルガードさんは申し訳ないという気持ちがあるのかそんな事を言ってきた。

 ギルドの買い取りが安めなのは私もプレイヤーの買い取りや住人のお店で買い取って貰う金額を調べた事があるからわかってるつもりだ。


「それはわかってます。その時は紹介お願いしますね」


「その時は交渉も手伝ってやる」


「ありがとうございます」


 その後は気になっていた世界樹関連の事をそれとなく聞いてみる、

 詳しい事は書物とかで調べた方が良いと言われたが大体の内容を教えて貰う事ができた。


 きっかけは一人の冒険者だったそうだ。

 その冒険者は酷い怪我を負い仲間に見捨てられ死を待つばかりだった。

 そこへ偶然妖精が通りかかりその冒険者を自分たちの住処へ運んだそうだ。

 妖精の秘薬もあって冒険者は命を繋ぐ事ができた。

 それでもしばらくはまともに動けなかったようでリハビリなどをして過ごしていた。

 妖精の住処は巨大な樹木を中心としていて、それを世界樹と呼んでいたそうだ。

 月日が経ち冒険者は動けるようになると街へ帰って行った。

 冒険者は助けて貰った礼をしようとお土産を持ってまた妖精の元を訪れた。

 妖精は冒険者との再会とお土産に喜んだ。

 しばらくのんびりとしていたがある日異変が起きた。

 森が切り開かれているというのだ。

 それは冒険者が帰還した事でどんな怪我でも癒す治療薬があると噂が立っていた事が原因だった。

 その噂を流したのは見捨てた仲間だったそうだ。

 噂は内容がどんどん誇張されて広まっていった。

 いつしか噂は森の奥にある素材で作られた薬はあらゆる傷を癒し不老不死になると言われていた。

 冒険者は再会のために訪れた時つけられていたのだ。

 気づいた時には遅かった。

 しかし森の奥にたどり着くのは妖精達の魔法で容易ではなかった。

 だから森を切り開き探しているようだった。

 妖精は言った。

 この森の中心には世界樹があり数少ない妖精達が生まれる場所なのだと。

 冒険者は責任を感じ切り開くのを止めようと説得に行こうとした。

 妖精は冒険者を止めようとしたができなかった。

 どうしても気になり遠くから見守っていると説明しやめるよう伝えた冒険者は邪魔者として殺された。

 それが切っ掛けで戦争になった。

 人間達は森の奥にあるモノを得るため、妖精は森を守るため。

 戦争は森の生物たちが妖精に協力すると一気に戦況は傾き、入ろうとする人間達は排除されていった。

 それに対して人間達は愚かにも森に火を放つという行動に出た。

 その結果多くの命が失われ豊かだった森は焼け野原へと変わった。

 世界樹も例外ではなく逃げる事を嫌った妖精と共に炎に包まれた。

 世界樹の灰の影響かその一帯は年々自然が戻っていったそうだ。


「大体はこんな感じだな。妖精と冒険者の間に恋愛感情があった何て話もある。が、真相は葬り去られちまった。ちなみに世界樹って言う言葉は死んだ冒険者の日記に記されていたって話だな」


 他にも戦争に参加した人間の国は一つではなく三つであったとか。

 世界樹は今もどこかにあるのでは何て話もあるみたい。

 ルガードさん曰くこれはそう伝わってるだけで実際にはもっといろいろな事があったんだろうと言う。

 私もルガードさんの考える通りだと思う。

 マナの影響の事や世界樹の素材を知ってそれを手にしようとした結果失われたんじゃないかな。

 よくありそうな話だと世界樹がある事を知り欲した研究者が国の重鎮や王に不老不死だとかそんな事を言って煽ったんじゃないかな?

 ギルドの資料室や街の本屋にも題材にした物語があるから興味があれば見てみればと言われた。

 私はそれに素直に頷き応えた。

 最近の街の様子や何か変わった事などはないかを聞いてみる。


「変わった事ねぇ…。そういえば嬢ちゃんが前言ってた事を詳しく聞きたいって領主が言ってたぞ」


「お金の話ですか?」


「おう。早くても年明けになるだろうがな」


ルガードさんはそう言いながら顎髭を撫でて考える仕草をすると思いだしたことがあった様で。


「あー、異人達が来てから初の年末か」


「年末は何かあるんですか?」


「掃除だな」


「掃除ですか?」


「おう、大掃除だ」


 ちなみに話を終えて個室を出てルナ達と合流してから蜂蜜の件をぼかしつつもしっかりと報告されてルナに考えなしに人に物をあげたりしないと怒られた。

 ちょっとお裾分けしただけなのに悲しみ。

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