最終勝ー決意ー
このお話も最終話です。
今までの二話、見てくれた方。この賞を見てくれる方、本当にありがとうございます!
あまり書き慣れていないので、少々...いや、多々あるかと思います。
それでも読んでいただけると、とても嬉しいです。
これからもいい作品が書けるようにたくさん書いていこうとおもいます!よろしくお願いします!
第3章 ~決意~
「おーい!!!早く練習行こうよ!!!涼ちゃん早く!!!」
「待ってよ陽太...気合入りすぎじゃない?」
「だって選手に入れたんだよ!!!補欠だけど。」
「補欠でもよかったじゃんか。補欠っていざって時のキーマンになりそうでなんかかっこいいよな。」
「いいよねぇ涼ちゃんはぁ~。」
「なんで?」
「だって、U-18の代表に選ばれてんじゃん。」
「ま、まぁそうだけど...」
すると向こうから同じクラスの可愛いと人気な女子がこっちに来た。
「ねぇ~陽太く~ん。一緒に今日帰り道でカフェよってお茶しない??」
「あぁごめん。遅くまで練習するから行けないや。また誘ってね!」
「しょうがないなぁ。うん!練習頑張ってね!!!応援してる!!!」
「ありがとう!!!」
女子は少し残念そうだったけど、気を持ち直して小走りで学校へ向かった。
「いいなぁ陽太は女子にモテて。あの子、可愛いって人気の女子じゃん。付き合ってんの?」
「まさか。あんまり恋愛とかそういうの興味ないかな。よくわからないし。なんか女子ってワガママそうだから僕たち男子はなんか損しそうじゃん。」
「陽太、お前ってやつは...それはモテるから言える事だぞ羨ましいな。僕だってモテたいのになぁ。」
「え、でもこの前、茶道部っぽい2年生に告白されてたじゃん。結構かわいいなって見てたよ。」
「みてたのかよ...まぁ告白されてうれしかったけど...断った。」
「なんでなんで。」
「だって一人の子だけずっとなんて嫌だよ。いろんな女子にモテてちやほやされたい。」
「ひっどいなぁ。あんなにかわいい子振っちゃうなんて。」
「だって、もし仮にその子と付き合っちゃったらあの子とずっと一緒に帰ることになりそうだし、そしたらもう陽太と一緒に帰れなくなるし、それに陽太の面倒見るやつがいなくなっちゃうだろ。」
「...そっかぁ。なんだかんだ言って涼ちゃんは僕の事大好きなんだね。」
「そ、そういうわけじゃないけど...」
それから授業というとても疲れる6時間を終えて、部活をしっかりやった後、僕と陽太は残った。
「あとどのくらいやったら帰る?」
「ん~...涼ちゃんに合わせるよ。」
「じゃああと20分くらい。」
「分かった。.........ねぇ涼ちゃん。」
「ん?なに?」
「涼ちゃん、僕の前から突然いなくなったり...なんてしないよね...?」
「なんだよいきなり。」
「ん、なんとなくだよ~」
「大丈夫だよ。僕は小さい時からいつも一緒だったんだ。もう家族みたいなもんだし、それに陽太は僕が居ないとすぐ何かしらやらかしちゃう。僕はそのこと知ってるからそばに居ないとってずっと肝に銘じてあるんだよ。」
「そっかぁ!僕って愛されてるんだね!!!僕も涼ちゃんの事大好きだよ!!!」
「な、なんだよ今日の陽太...大丈夫?」
「勉強しすぎて疲れてんのかもね。今日数学と英語の小テストが続いたから。」
「だよな。二つも多すぎるよ。...そろそろ終わりにしよっか。」
「うん!」
いつもの陽太となんとなく違うような気がした。だけど、それはきっと気のせいだとじぶんにおしえた。
僕はあの病気が奇跡的に完治してから、色々なことが沢山起こってきた。楽しいことも、辛い事も...だけどこの沢山の事は今ここまで生きてこれなかったらきっと経験することはできなかったと思う。僕が今ここに居られるのは、母さんや父さんのたくさんの手助けだったり、いろんな人の支えがあったからだととても感謝している。でも、誰よりも一番感謝したいのは、陽太だった。
あの病気の事母さんから伝えてもらった。僕は聞いた側になったことはないけれど、きっとつらいだろう。陽太だって辛かったはずだ。陽太は昔っから泣き虫だったから。でも、僕と会うときは全く泣かないで、いつも笑顔だった。入院少しの間していたとき、いつも朝起きるのが苦手で陽太の母さんか僕が起こしに行ってたけど、その間は自分でちゃんと早く起きて、いつも朝一で僕のいる部屋までお見舞いに来てくれた。だから今度は僕が陽太を守っていきたい。そう思った。あの時お世話になった恩返しを僕はしたいと思った。
―大会前日―
「...んn...ねむ...。ん、なんだろ...あ、涼ちゃんからメール...なんだろう...」
『 陽太へ
今日、急に妹の花が熱出ちゃったから、母さんもいないし心配だから、部活先行ってて!
僕もあとから行くから!!!あ、先生には伝えてあるから!
涼太より 』
なんだ...今日、一緒に帰れないのか...ん、あれ、なんで僕こんなに寂しがってるんだろ。
涼太はいつも僕の事だけじゃなくて妹だったり、他のクラスの子にもとっても優しくて、だからいろんなクラスの子にモテて...この前だって...あれ、なんでこんなにモヤモヤしてるんだろう。なんか心臓っぽい所が何か釘というか矢というか...なんかが刺さってる感じ。これって何なんだろう...まぁいいや。学校行こう。
―ダンッ...ダンッダンッ...
(...まだ来ないや...そんなに花ちゃん重傷だったのかな...)
「...おいっ!!!みんなにちょっと話あるから集合―!!!!!」
ん、安西先生あんなに急いで...なんかあったのかな...結婚とか...
「さっき、涼太のお母さんから電話があって、さっき涼太が飲酒運転していたトラックにはねられて...意識不明の重体だそうだ。最悪...このまま意識が戻らない可能性も...仮に戻ったとしても記憶喪失になる可能性が...」
そんな...涼ちゃんが...涼太がそんな...だって...ずっとそばにいるって言ってたじゃんか...そんな...こんなの嘘だ...
「陽太、幼馴染みだそうじゃないか...今すぐ行ってやれ」
「は、はい...」
― 着くとこ浜咲病院 ―
(涼ちゃん...死なないで...)
「涼ちゃんのお母さん...!涼ちゃんは...?」
「...あのね...陽ちゃん...落ち着いて聞いてほしいんだけど...」
……涼ちゃんは生きていた…けれど、あの時の涼ちゃんじゃなくなっていた…
事故の詳細はこうだった...普通に青信号でみんな渡っていた。→涼ちゃんの前を5歳くらいの女の子が走っていった。→猛スピードでトラックが走ってきた。→慌てて女の子を抱っこして自分が身代わりになった
簡単に言うとこんな感じだと涼ちゃんのお母さんから聞いた。
「失礼しまーす...あ、涼ちゃんいた。涼ちゃん...大丈夫?」
「あの...ごめん...あんた...誰...?」
「え...僕の事覚えてないの...?僕だよ、陽太だよ...!」
「...知らない...」
「...どうして...!!!いつも一緒に居たじゃんか!!!ほら、いつもみたいに僕に毒舌言ってよ...!!!いつもみたいに陽太って言ってよ...!!!」
「...あの...ごめん...キモイ...できれば来ないでほしいんだけど...えっと...陽太...さん...?」
「...え...う、ぅん...」
もう、涼ちゃんは今までみたいに僕を名前で、少しいつも呆れた感じな声で僕を呼んでくれなかった...しかも気持ち悪がられてしまった...僕は、いつもお世話になっていたのに...涼ちゃんにありがとうって言えなかった。ずっと言いたかった...なのに言うこともできず、僕から涼ちゃんは...遠ざかってしまった。あの時の涼ちゃんはもういない...思ってた以上に辛い...もっと僕は涼ちゃんの近くに居たかった...涼ちゃんの1番になりたかった...僕は...涼ちゃんが好きなんだ...友達とかそういうんじゃなくて...もっと大切な...友達感情ではなく...恋愛感情...。そう、僕は涼ちゃんの事が好きだ...。
さっきのはいったい誰だったんだろう。なんか、めっちゃ変なやつだったな。それに僕何でここに居るんだろう。やけに一生懸命だった。それに、なんで俺はここに居るんだろう。っていうか、ここどこだ...まったく何が何だかわからない。
「あ、気分はどうですか?」
看護師さんだ。じゃあここは病院なのか。
「はい、大丈夫です。」
すると次に担当医っぽい人が来た。
「気分はどうだい?」
「あ、大丈夫です。特に痛い所もないです。」
「そうかそうか。それはよかった。それじゃあ本題に入るね。自分の名前・生年月日。家族の名前は言えるかい?」
「はい、えぇっと、杉浪 涼太、......。」
「うん、大丈夫そうだね。」
「あの、さっき来た男の子...えっと確か陽太...って子が来たんですけと、俺まったく覚えてなくて。すごく一生懸命だったんですけど...」
「おや、友達か何かかな?」
「それも分からないんです。」
「...おそらく、記憶の一部が消えてしまっているんだよ。些細な事でもいいから思い出していくともしかしたら記憶が戻るかもしれないよ。少し、カウンセリングに近いリハビリを入れてみようか。」
「お願いします。」
思い出せないけどきっと何かしらつながりがあったんだと思う。あんなに一生懸命俺に話してたんだ。何もないってわけじゃないと思う...。
それから、僕は涼ちゃんのいない孤独に近い心情で試合に出た。涼ちゃんは、来なかった...まぁ、事故のせいで多少体が自由に動いていないらしい...。
―♪(ピーッピーッピーッ)♪
準決勝が終わった。結果は78:74で決勝に勝ち進めた。でも、隣に涼ちゃんはいない...。
「陽太、大丈夫か?さっき足、相手選手に踏まれてなかった?」
「あ、うん...大丈夫...。」
「そうか...明日、平気...?無理だけはすんなよ。」
「うん、涼ちゃんと約束したから...試合に出て、優勝するって...」
「うん。まったく陽太は涼太の事ほんとに好きなんだな。」
「祐介...このまま涼ちゃんが僕の事二度と思い出せなくなったらどうしよう...」
「大丈夫だよ。いつもお見舞いに行ってるんだろう?そのうち思い出してくれるさ。涼太ならきっと大丈夫だよ。ほら、だからもう泣くなって!」
「...うん。それじゃあ、お見舞い行ってくる...」
「おう!また明日な!」
これから先、本当に涼ちゃんが僕の事一生思い出せなかったら、僕これから先どうすればいいんだろう。だんだん病院が近くになっていくにつれ不安とか恐怖が僕を取り囲んでいた。それから“孤独”も。
もうそろそろ陽太君がやってくる。俺の目が覚めてから彼はいつもお見舞いに来てくれる。きっと親密な仲だったんだろう。早く思い出さないと...
~♪~♪~♪~
俺は自分のスマホが鳴っていることに気づき手に取った。電話してきた相手は“近野 祐介”という名前だった。名前を登録しているくらいだからきっと友達だった人であろう。俺は通話ボタンを押した。
「...もしもし...」
「あぁ、ちゃんと出てくれた。俺、近野 祐介って言います。同じ部活で、クラスも一緒でよく一緒に陽太と三人で弁当食ってました。」
「...あれ、俺、近野の事覚えてる...あれでしょ、同じクラスの祐奈に告白したけど、『申し訳ないけどあなたずっとクラスで一番苦手なの。だからごめんなさい』って散々に振られたあの祐介でしょ?」
「なんで一番覚えててほしくないこと覚えてんだよ...俺は一番に忘れたいっていうのに。」
「ごめんごめん」
「じゃあなんで俺は覚えてるのに陽太の事は覚えてないんだ?」
「そうそう、誰か一人でも俺が覚えてるやつ居たらずっと聞こうと思ってたんだよ。その陽太君と俺の関係がどんなのか。」
「まぁ、俺が覚えててよかったな!ていうか、事故って若干記憶喪失になると一人称変わるんだな」
「え、ずっと“俺”じゃなかったの?」
「あぁ、うん。ずっと“僕”だけど。」
それから、俺は陽太君が来るまで祐介と記憶を取り戻すために話していた。話しているうちにたくさんの事が分かってきた。けれど、陽太君の事は思い出せないまま、陽太君は来てしまった。
「失礼します...」
「あぁ、陽太君。今日も来てくれたんだね。いつもありがとう。」
「いえ、いいんです。好きで来てるので。」
いつも陽太君は笑顔だ。陽太君といると何故だかいつも落ち着く。祐介いわく、幼馴染みでいつも片時も離れずにそばにいた...らしい。
「...明日、僕、バスケの決勝なんです...涼ちゃ...涼太くんも本当は一緒だったら...」
「そ、そうなんだ...頑張ってください。」
「うん、ありがとう...!」
「応援に行くことができたら絶対行くから。」
「えっ!ほ、本当に!?」
「うん。」
「嬉しい...!じゃあ、頑張らないとね!うん、今日はもう帰るね!!!」
「うん、また明日ね」
「うん。またあした!」
陽太君は、とてもうれしそうに帰っていった。俺はまた、記憶を思い出すために祐介と電話した...
―大会決勝当日
僕は涼ちゃんが来てくれるかもしれないという小さいほとんど実現できないような希望を持ちながらも会場へ向かった。
「なぁ陽太ぁ~。本当に来るって言ってたのか?涼太。」
「来れたら応援絶対来るって言ってたもん。きっと来る。」
「そっかぁ、じゃ、楽しみに待つとしようか!!!」
「うん...!」
けれど、いつまで経っても涼ちゃんは来ないまま結局試合になってしまった。
―♪―♪―♪―
途中の休憩の時間。
「おい、祐介大丈夫か?」
「ってぇ...ちょっと...やばいかもしれないっす...」
「...どうすっかなぁ...」
「あと...出れるって言ったら...でも...」
「...あいつは...来ない...よな...」
そう、あと一人は涼ちゃんしかいなかった。でも記憶がほとんどない今、来る可能性はほぼゼロに等しい。
「俺、出ます...涼太の分まで...ここまでこれたのは涼太が居て一緒にバスケできたから。だから、俺、出ます。」
「そ、そうか...でも、無理すんなよ。」
「...本当にそのケガで出来るの?試合。」
僕が振り向いた先には......涼ちゃんがいた。
「ったく...おせぇよ。待ちくたびれたわ。涼太。」
「遅くなったな、祐介。陽太も、今まで心配かけててごめんな。」
「...涼...ちゃん...?」
「うん、陽太の幼馴染みでいつも一緒に居る...陽太なしじゃ涼太でいられない...陽太とずっと一緒に居たいって思っている杉浪 涼太だよ。」
「りょ、涼ちゃ......」
「はい、感動の再会果たしたところで、涼太、さっそくだけど、試合、でれる?」
「はい、でれます。任せてください。陽太、あの時の夢、果たしに行くぞ。」
「う、うんっ...!!!」
戻ってきた...あの時の涼ちゃんが...戻ってきてくれた。この笑顔、誰にも奪われたくない。そう、そう思った...。
―ピーッピーッピーッ―
「陽太...お疲れ...」
「涼ちゃんこそ...お疲れ様...!!!」
試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
―「では、閉会式を始めます。...。...。...。結果発表そして授与...優勝...帝明高等学校。...。」
小学校からずっと夢に見ていたこと...二人でずっと追いかけていたたった一つの夢...そして、僕がどうしても叶えたかった夢...“陽太と同じ高校でバスケの試合に出てインターハイで優勝すること”。ついに、叶えることができた。途中からしか出れなかった...少し心残りができてしまったけど、何とかかなえられた...。
「涼ちゃん!!!やっと夢かなったね!!!」
「そうだね。途中からっていうのが心残りなんだけどね...。」
「ん~、じゃあぁ~、この夢、延長ってことで!!!」
「え!?ま、まぁ、そうだよね。...じゃあ、もう、結婚しようか。」
「...へっ...???け、けけけ...結婚...???」
「ん?いや?結婚。ずっと一緒に居られるよ?」
「そ、そうだけど...い、いいの...?ふつうは男女じゃん...?」
「だって...陽太をずっと面倒見てたのは?誰だったかな?」
「...涼ちゃんです...」
「んん???聞こえないぞぉ???」
「りょ、涼ちゃんです!!!ぼ、僕と...ずっといっしょにいてくだしゃい...!!!」
「ん...しゃ、しゃい...ぷっ...ははははあはは!!!!」
「わ、笑うなよ!!!」
「あいしてるよ」
「...///...い、いきなり禁止だからね!!!」
「へいへいwww」
―4年後…
「ほらぁ~早くしろよ~陽太~」
「あぁ~、待ってよ~」
「ほらいつも寝坊だよ...おいてくぞ~」
僕は、同性での結婚が許されているフランスへと移住した。もちろん相手は陽太。陽太は、明石 陽太改め、杉浪 陽太へ改苗した。
僕たちは高校を卒業したのち、大学へ進学した。そして、僕はフランスのバスケットボールプレイヤーに、陽太はフランスの少年バスケットボールチームのコーチを復職に一流企業についた。
僕たちはたまに地元のチームで一緒に試合を続けている。そしていつもぼくは陽太の可愛い寝顔や、真剣な顔、笑っている顔、泣いてる顔全部さらけ出した陽太とずっと一緒に暮らしている。
「陽太。」
「なぁに?」
「愛してるよ」
「僕も涼ちゃんの事だーい好きだよ!!!」
―END―