結婚式当日
その日は晴天。風もまた柔らかく吹いており、花嫁のヴェールをいたずらに揺らしていた。花嫁は祝福されつつもキョロキョロとあたりを見渡しては、少しだけ悲しそうな顔をしていた。
けれどもその顔は、空から花が降ってきたことによって笑顔へと変わる。
何の変哲もない空だった。何の仕掛けもなかった。けれども銀色の花は花嫁と、その隣に立つ花婿を祝福するかのように降り注ぐ。花嫁は空を見上げる。その銀色に、見覚えがあった。
そして、目が合った。知らない髪色、知らない瞳の色。誰よりも艶やかで見覚えのない格好をしていても、それでも魂がそう叫んでいた。
彼女の名前を知っている。思い出せなくても口が勝手に動く。
「エウロス———!!」
手を振って、そう叫んでみれば。
空に浮かんでいた女は、大層目を丸くして。
「大好きよ、イリス! ……どうか、幸せに!!」
そう言い残して、もう一度銀色の花を撒いて、美しい虹を作ってどこかへと飛び立っていった。
◆
「あーあ! せっかく光と闇の禁忌の子だったのにシルティーナが取っちゃった!!」
「色々実験したかったんだけどなあ。まあいいか、あのまま行けば二人揃って厄災コースだからな」
「いえーいピース♡シルティーナちゃん大活躍♡」
「シルティーナは反省しろよ。禁忌の子はとびきり扱いが難しいんだから。うちでも一人しか生き残ってねえし」
「始まりの魔女の一人が可愛がってるあの子でしょ? あの子の方が激ヤバじゃない?」
「まあなー。でもあの子はちゃんとモノにしたからな」
「……ま、今回はいいんじゃない?」
「あの子ら、幸せそうだし」
最後の会話をしていた方々
一人目:金髪に赤い目。朝焼けの目は彼女の領域。
二人目:銀髪に青い目。輝く銀髪は彼の領域。
シルティーナ:横から掻っ攫った。




