表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/6

6

【世界侵食率が第一段階へ到達しました】

【第一世界シナリオの開始条件が満たされました】

【全人類を対象とした世界シナリオを開始します】


目の前に、これまで見たものよりも巨大なウィンドウが出現した。


==================


     第一世界シナリオ

    《星なき夜を生き残れ》


       参加対象

        全人類


       制限時間

       夜明けまで


       クリア条件

        生存


       失敗条件

        死亡


==================


【夜明けまで、世界各地に魔獣が出現します】

【時間経過に伴い、出現する魔獣の等級が上昇します】

【現在時刻 02:46】

【夜明けまで、残り三時間十四分】


ただ生き残る。

それだけでも、今の人類にとっては十分に難しい。

だが、俺と同じように《アストラル》の知識やスキルを引き継いだプレイヤーが各地にいるのなら、決して不可能ではない。

そのとき、夜空で銀色の星が強く瞬いた。


【星座『最後の城壁を築く星』が、人類の生存率を観測しています】

【星座『最後の城壁を築く星』が、戦う力を持たない人類の保護を要求します】

【第一世界シナリオへの追加報酬が提案されました】


「追加報酬……?」


【提案が承認されました】


巨大なウィンドウが揺らぎ、シナリオの内容が書き換えられていく。

==================


    更新・第一世界シナリオ


   《星なき夜に城壁を築け》


       難易度

       ☆☆☆☆


       参加対象

    日本国内の全プレイヤー


       制限時間

      夜明けまで


      クリア条件


・指定された領域核を夜明けまで防衛する

・領域核へ接近する魔獣群を撃退する

・各領域を率いる指揮個体を討伐する


       クリア報酬

  日本国内に大規模安全地帯を形成


==================


【安全地帯は、日本国内の七地点へ形成されます】

【各安全地帯は最大百万人を収容可能です】

【領域内では低級および中級魔獣の侵入が遮断されます】

【領域内では魔獣の自然発生が抑制されます】

【領域内では水、電力、医療設備の最低限の機能が維持されます】

【プレイヤーではない一般人も利用できます】


百万人を収容できる安全地帯。

それが七か所。

この夜を乗り越えれば、戦う力を持たない人々にも逃げ込める場所が生まれる。

だが、シナリオの難易度は明らかに上昇していた。

生き残るだけではない。

領域核を守り、魔獣の群れを退け、その群れを率いる指揮個体まで倒さなければならない。

そのとき、夜空の別の場所で赤い星が瞬いた。


【星座『戦火に英雄を求める星』が、更新されたシナリオに関心を示します】

【星座『戦火に英雄を求める星』が、現在の試練では英雄は生まれないと主張します】

【星座『戦火に英雄を求める星』が、指揮個体の強化を申請しました】


「待て……」


【強化申請が一部承認されました】

【世界許容量を超えるため、完全な強化は実行できません】

【上級魔獣の不完全降臨を許可します】


遠くの住宅街から、地面を揺らす咆哮が響いた。

家々の向こうで、巨大な影が立ち上がる。

二本の湾曲した角。

岩のように硬い皮膚。

地面へ届くほど巨大な戦斧。

それを引きずるたび、道路が深く削られていく。


【関東第一領域の指揮個体が選定されました】

【上級魔獣《虐殺角のバルガス》が不完全降臨しました】

【現世適応率:24%】

【全能力が大幅に制限されています】

【メインシナリオの進行に伴い、現世適応率が上昇します】

【早期討伐を推奨します】

【各領域へ異なる指揮個体が配置されます】


上級魔獣。

その表示を見た瞬間、グルガルドとの戦いが脳裏によみがえった。

中級魔獣一体を倒すだけで、俺は死にかけた。

いくら本来の四分の一ほどの力しか出せないとはいえ、今の俺が上級魔獣に敵うはずがない。

直後、見覚えのある星が強く輝いた。


【星座『均衡と平等を求める星』が、試練の不均衡を指摘します】

【星座『均衡と平等を求める星』が、領域防衛者への一時加護を申請しました】

【申請が承認されました】

【領域加護《万軍同調》が付与されます】


==================


領域加護《万軍同調》

領域核の周囲にいるプレイヤーへ、以下の効果を付与します。


・HPおよびMPの回復速度が上昇する

・領域防衛へ参加する人数に応じ、全能力が上昇する

・シナリオ貢献度に応じて、星屑との仮契約権が解放される


有効範囲:

領域核から半径三キロメートル


有効期限:

第一世界シナリオ終了まで


仮契約について:


・契約可能な星屑は、適性と貢献度によって決定される

・契約中は、星屑が持つ力の一部を借り受けられる

・同時に仮契約できる星屑は一体のみ

・強大な星屑ほど、肉体と精神への負荷が増大する

・星屑によっては、契約の条件として特定の行動を要求する


注意:


肉体への負荷が限界を超えた場合、加護および仮契約は強制的に解除されます。

星屑との契約は慎重に行ってください。

すべての仮契約は、シナリオ終了後に解除されます。


==================


「星屑との……仮契約?」


俺は、先ほど対面した『冥門に繋がれし三つ首』の姿を思い出した。

現世に前脚と三つの頭を出現させただけで、世界境界を損傷させた存在。

あれほど強大な星屑の力を、たとえ一部でも借りることができるのなら。

上級魔獣が相手でも、戦える可能性はある。

ただし、無条件で力を借りられるわけではない。

まず領域核へ辿り着き、魔獣を倒し、防衛へ貢献する必要がある。

さらに、どの星屑と契約できるかは、プレイヤーの適性次第。

強大な力には、それだけ大きな危険が伴う。


【日本国内の七地点へ領域核が出現しました】

【最寄りの領域核を表示します】


視界に日本地図が浮かび上がる。

北海道。

東北。

関東。

中部。

関西。

中国・四国。

九州。

それぞれの地域に、巨大な銀色の光柱が立ち上がっていた。


【最寄りの領域核:関東第一領域】

【領域核防衛開始まで 00:29:59】

【領域加護は、領域核への到達後に適用されます】


つまり、加護を受けるためには、まず領域核へ辿り着かなければならない。

その途中には、すでに魔獣の群れが進軍している。


【地域共闘機能が解放されました】

【関東第一領域へ向かうプレイヤーを検索します】

【周辺に三百十二名のプレイヤーを確認しました】


三百十二人。

俺一人では、上級魔獣に勝つことはできない。

だが、数百人のプレイヤーが集まり、《万軍同調》による能力補正を受けることができれば。

さらに、防衛へ貢献した者が星屑の力を借りられるのなら。

不完全な上級魔獣を倒せる可能性はある。

問題は、ここから領域核へ辿り着くまでだ。

領域加護は、領域核の周囲でしか発動しない。

今の俺は、傷だらけのレベル四。

武器さえ失っている。

視界の先では、領域核を目指す魔獣たちが住宅街を進み始めていた。

俺は地面へ落ちた《天命簒奪の輪》を拾い上げ、ステータス画面を開く。

グルガルドを倒したことで、未使用のステータスポイントが三残っている。

そして、新しく獲得した《冥縛鎖》を使うには、今の魔力では足りない。

領域核へ向かう前に、できる限り戦う準備を整える必要がある。


【現在時刻 02:49】

【領域核防衛開始まで、残り二十九分五十七秒】

【夜明けまで、残り三時間十一分】


戦う力を持たない人々の居場所を勝ち取るための戦いが、今、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ