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黄龍の診療所 ― 世界を診る気導士、龍界で開業中  作者: 転々丸
玄武編

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43/43

43話『青龍編』再会

挿絵(By みてみん)


青く澄みきった空の下、東の神殿は

天空を指す指標のようにそびえ立っていた。


翡翠色の屋根をいただくその楼閣は

まるで天を目指す龍の背骨を模したかのように

幾層もの雲を突き抜けている。


山肌を洗ういくつもの滝が、白銀の糸となって神殿を縫い

その飛沫を巻き込んだ風が絶え間なく祈りの声を運んでいた。


ここは青龍の領域――水と風が交わり

龍界全土へ「命のパルス」を送り出す循環の心臓部だ。


人々の願いはこの地で風にほどけ

龍脈トラフィックとなって世界を巡る。


この巨大な建築物そのものが、祈りという名のエネルギーを受容し

変換するための器として機能していた。


「……やっぱり、ここは空気の解像度が違うわね」


神殿に到着したナギは

白衣を激しくなびかせる風を心地よく受け止めた。


「ちょっと涼しすぎるけど、データの透明度は高いわね」

肩の上でハチが尻尾をアンテナのように揺らす。


「風の神殿は、他より気の出力スループットが強いのです。

ここが滞れば、龍界全体が窒息します」

シオンが北の沈黙とは対照的な動的な気圧に目を細め


隼人も「まさに風の神殿って感じだな」と空を仰いだ。


石段の先、二人の巫女が風を切り裂くように現れた。


一人は黒髪を風に預けた東の守護者・カグヤ。

そしてもう一人は、白虎の地より一足早く到着していたツクヨミ。


「お待ちしていました。

風の気が、あなた方のアクセスを教えてくれました」


ツクヨミの柔らかな微笑みが、長旅の疲れを癒やしていく。


「久しぶりね、二人とも。元気そうで何よりだわ」

ナギの言葉に、カグヤは静かに、けれど重大な事実を告げた。


「クシナダ様(師匠)たちは、すでに王宮へ発たれました。

他の方陣の師たちも、王子の意識復帰をサポートするため

中枢センターに集結しています」


その一言で、場の空気が一気に引き締まった。

師たちが前線を離れたということは


今、この広大な神殿を守り、風を司るのは

この場にいる自分たちだけなのだ。


ナギは静かに瞳を閉じ

そして真っ直ぐにカグヤを見据えた。


「……なら、私たちのターンね。

次代がこの地を支え、師たちが王宮で戦う。

完璧なフォーメーションだわ」


「ここで風の指向性を整えれば

龍界全体の巡りは正常化されます。……きっと」


「ふん、風のノイズ(乱れ)なら私の鼻が真っ先に検知するわよ。

任せなさい!」 ハチが胸を張り、ナギがその背を優しく撫でる。


「頼りにしているわよ、ハチ」


ナギは視線を神殿の深部、青龍の心臓部へと向けた。


「行きましょう。

世界の詰まりを、今度こそ完全に解消デバッグしに」


その言葉に、隼人、シオン、ツクヨミ、カグヤが力強く頷いた。


五人の足音が、青龍の回廊に響き渡る。

龍界の運命を左右する、最後の「調律」が始まろうとしていた。



挿絵(By みてみん)


ご覧いただきありがとうございますm(_ _)m

毎週火曜日と金曜日20時に更新しております☆

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