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朝にする事は大抵誰もが同じだ。
起きて、着替えて、朝食を食べ、各々の行くべき場所へと出かけてゆく。
それはたとえ、西東京の一角に一つの市を作り上げた一流企業タカシロ・コーポレーションの社長とて同じこと。
「いってくるよ」
「ええ、いってらっしゃい、あなた」
まあだからといって、出かける前のお約束の如く頬にキスをし合う親を、朝食を食べながら毎朝見るような息子はそういないだろう。鷹代蒼はトーストを齧りながらぼんやりと、それこそ毎朝のように同じ事を思っていた。
いい加減にしてくんないかなー。
「気をつけて下さいね」
「ああ、勿論だよ。おまえも買い物に行く時には十分に備えをするんだよ」
「ええ。ちゃんと気をつけますわ。あなたこそ、お仕事をしすぎて倒れないようにして下さいね」
「父さん、そろそろ時間」
っていうかそろそろ鬱陶しい。
延々と続きそうな夫婦の会話を溜め息混じりにぶった切り、蒼は父親を追い払うように手を振った。
名残惜しそうにジャケットを羽織ながらリビングを出てゆく父親の後を、鞄を持った母親が見送りに行く。
「……やれやれ」
呆れて頬杖をつく蒼の目にも壁の時計が映る。
7時48分。
「……。あ、やば」
遅刻の危険が迫っていた。




