エピソード25
今日も予定時刻までに起き、宿を出た。今日も空は晴れだった。今思ったことだけど、この世界って毎日晴れじゃない?気のせい?
まあいいや。歩こう。
歩いて数分の紅茶店の扉の前で立ち止まった。まだ開店してなかった。
なのに、「いらっしゃい。おはもふー」と挨拶された。
おはもふ?
「おはもふ」私も言ってみた。
「じゃあ、制服に着替えたら紅茶の淹れ方について教えるわね」
「はい!」
私は制服に着替え、カウンターの内に入った。
「まず、紅茶のパックは下の棚の扉の中に入ってるから」
扉を開けてもらった。扉の中には多くの種類の紅茶の袋が積み重なっていて並べられていた。
「名前は袋のここに書いてあるから」
あー
「で、この袋を開けてティーバッグをここのティーカップの中に入れてお湯を淹れれば完成ね!」
ティーカップは戸棚の透明な引き戸の中に積んである。開けてどれか選んで出せばいいだけだ。
ここまで丁寧に教えてくれたんだからお礼言わなきゃ……!
「ありがとうございます、分かりやすかったです」きちんとお辞儀もした。
「初歩的な事だからお礼なんて感謝が多すぎるわ」と謙遜された。
今は開店前だからお客さんは来てない。もふもふ触り放題だ。
尻尾をふっている狸みたいな癒物に触れようとしたら逃げられた。
「あー残念っ!」
「もふ一息だったですね」
あれ?言葉遣いが……自然とそうなってしまった。もう一息だったねって言いたかった。
「完全にもふもふ病になっちゃってるね。俗称癒物病ともいう」
「もふもふ病?」
「ここにいると自然と意識しなくてもそうなっちゃうのよ」
もふもふが多すぎるから?
「そうなんでふね、あ、まただ……」
そんなことをマーフィーさんと話していると狸の癒物が足下に来てくれた。
あっ、つかまーえーたー。
ひょいと抱きかかえ、腕の中へ。触り心地はざらざらしてて理想のもふもふ、柔らか、さらさらではなかった。
尻尾を触ると嫌がっていたが、動きが可愛かったので触り続けていた。尻尾をふっていて、如何にも触って欲しそうなのに。
「嫌がってるわよ、タヌメちゃん」
タヌメちゃんっていうの?癒物に名前付けるのは全国共通か。
「分かりました、ごめんなさい」
「覚えてくれればいいの」
「それより森子ちゃん、そのレベル……」
「レベル?癒物レベルの事?それとも私のレベルの事ですか?」
「癒物レベルの事よ」
迷いなく大胆にマーフィーさんは答えた。やっぱりと私は思った。
「それがどうかしたんですか?」
癒物レベルが高い事は気づいてて知ってたが、それと仕事と関係あるのかな?




