前へ目次 次へ 23/30 (三)-2 さらに小声で「うざい」「きもい」と誰かがぶつぶつ呟く声が聞こえた。隣を見ると、ボブカットの内側に赤に近い紫の色が見える女性が立っていた。 輝彦は思わず口から出るほどの舌打ちをした。案の定、電車の揺れでぶつかる体になんども肘打ちをしてきた。輝彦は、今日は徹底的に対抗してやる気になり、肘打ちを返した。 「ちょっと何すんのよ!」 女性が俺の方を向いてそう言ってきた。 「なんだと! 肘打ちしてきたのはお前の方だろ!」 (続く)