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転生勇姫  作者: 万十朗
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スイーツ・リボン 4

 チータラチョコづくりのためいそいそと帰っていったラグード王子に、我は何も言うことができなかった。

 まあ今度勇者に感想でも聞いてみるか……などと考えていると、向かいの店から出てくる人物と目が合った。


「おや」

「げっ」


 思わず声が出てしまい、口元を押さえて咳き込む真似をする。


「マオルーグさん、奇遇ですねぇ」

「マージェス王子……」


 穏やかなで友好的はずなのに、何故か背筋が一瞬ぞわりとするような声。

 友好国カノドのマージェス王子……何度会っても苦手意識が拭えぬ相手だ。


「今日はよく人に会う日だ……マージェス王子も『スイーツ・リボン』の買い物でしょうか?」

「ええ、まあ」


 そんな当たり障りのない会話の最中に、あることに気づいた。

 マージェス王子が出てきた店は、怪しげな雰囲気漂わせる、魔法道具の店……菓子づくりにはまるで関係ない、はず。


「あの、その買い物袋の中身は……」

「ふふ」

「……『スイーツ・リボン』の買い物……ですよね?」

「ふふふふふ」


 いやそこで意味深に笑うな!

 つい先日この我を子供の姿に変えた薬といい、この男……やはりあのダークマージの生まれ変わりか。

 知的好奇心が満たされるとか何とか言って、奴もよく訳のわからぬ実験を繰り返していたな……


「お菓子はこれから買うんですよ」

「ああ、そうでしたか」

「それにしても、同じ行事でも国ごとに内容が違うのは面白いですね。マオルーグさんは、どうするのですか?」


 む、なんだその含みのある問いは?


「どう……ですか?」

「せっかくのイベント、楽しまなくちゃ損ですよ。カノドのように感謝の気持ちを伝えるか、それとも……リオナットみたいに情熱的な男性になるか、なんて」


 今はリオナットやリンネにも義理チョコや友チョコ文化は浸透していますけどね、と笑って。


「……恥ずかしながらカノドとリオナットの文化は先刻知ったばかりですので、考えてはおりませんでした」

「そうでしたか。でもまだ間に合いますよ?」


 ええい、しつこい奴め!


「か、考えて……おきます」

「ふふふ」


 つ、疲れる……毎度毎度この男の相手をするとやたらと疲れる……


 そしてマージェス王子が去って、ひと息ついて……我はもうひとつ、気づいたことがある。


(あの魔法道具屋での買い物……『スイーツ・リボン』に関係ないとは一言も言っていなかったような……?)


 唐突な話題の路線変更は、まさかそれをごまかすためでは、なんて。


「考えすぎだと信じたい……まさか、まさかな……」


 買い物袋から垣間見えた奇妙な色をした液体の詰まった瓶や、確実にこの辺りでは見かけないような形の草。

 別件でおかしな薬を作られても、それはそれで困るのだが……なるべくあの王子には近寄らないでおこうと心に誓うのだった。

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