紅葉と愛奈
「ちょっと愛奈どうしたのよ?」
「桜井さん大丈夫?」
立川と紅葉が心配そうにしゃがみこむ。
道行く人たちは何事かとチラチラみてくる。野次馬のように立ち止まってみている者もいる。
ひそひそと警察呼んだ方がよくない?という声も聞こえてくる。
叫び声が止まらない聖恵をどうすればいいのかわからない2人の元に突然影芝が現れた。
聖恵を見た途端、素早く聖恵の元に行き抱き締める。
「愛奈、大丈夫だ。心配しなくていい。落ち着け。」
影芝に抱き締められたことで、聖恵の叫び声は止まり、徐々に落ち着いていく。
「大丈夫だ。俺がついてる。」
影芝は聖恵の頭を撫でる。
安心するように聖恵は影芝を両手で抱き締める。
「海、私いったい···」
「愛奈は何も心配しなくていい。少し休め。」
右目の瞳の色が赤くなり、左目は青くなったかと思うと、影芝に撫でられたことで、安心したのか聖恵は意識を失ってしまった。
「ちょっとカゲ。どういうことなのよ。」
「紅葉か。まさかこんな所で会うとはな。まぁちょっと待て、まずは愛奈が先だ。そこのお前、ノノ花を呼んでこい。」
状況の説明を求める紅葉を軽く流すと、立川を指差す。
「えっ?えっと?」
突然現れた眼帯ヘッドホン男にビビり、立川は戸惑う。それを見かねた影芝の影が立川の影を捕まえる。
「接続、命令。天守閣付近にいるノノ花をここに連れて来い。」
立川は頭の中にノノ花を連れて来なきゃという目的意識が強くなり、ノノ花を探しに走り出した。その間に影芝は、聖恵をベンチに移動させ横にして休ませる。
数分後、汗だくの立川と息を切らしたノノ花が戻ってきた。何故か取り巻きの2人も一緒だ。どうやらあの流れで一緒に行動していたのだろう。
「影芝さん。聖恵は?」
「大丈夫、眠っているだけだよ。」
「良かったぁ。」
ベンチを立つと、ノノ花に座るのを指示するように席を譲る。ノノ花は大きく息を吐いて、聖恵の無事に一安心した。
「悪いけど、後は頼めるかい?」
「いいですけど、一体なにがあったんですか?」
「それはそこの男と、目が覚めた後の聖恵自身に聞いてみるといいよ。」
影芝はそう告げると紅葉と共に立ち去っていった。
「立川、一体何があったのよ?」
「いやそれが、俺にもよく分かんなくてさ。なんかさっきの眼帯の人に付いて行った赤い眼鏡の姉ちゃんが、桜井さんを知ってる感じで話しかけてきたんだよ。そんで、少し話してたら桜井さんが突然叫び出したんだよ。そんで眼帯の人が来て、桜井さんを落ち着かせて今に至る。」
立川自身も本当にわかっていないようで、全然上手く話せないようだ。
「けどあの人たち、桜井さんを誰かと勘違いしてたのか名前間違えてたな。」
「名前?」
「そう、桜井さんは聖恵って名前なのにあの2人は愛奈って呼んでたんだよ。」
「愛奈·····」
ノノ花は愛奈という名前を聞いて、影芝も居合わせたということで、もしかしたら聖恵の過去が関係しているのではないかと感じた。赤い眼鏡の人は影芝同様に聖恵の過去を知る人物かも知れない。
あとは聖恵自身に聞いて見るしかないと思い、目覚めるまではベンチでのんびりすることにした。




