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記憶の欠片を辿って  作者: 赤白 青
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4/15

俺の名前は影芝だ


ノノ花が顔を上げてみると、男の顔が見えた。

白髪の髪に右目には眼帯、耳には大きなヘッドホンを着けている。まさしく聖恵の言った通りの男だった。

「あなたが聖恵の言ってた····」

ノノ花は思ったよりイケメンだったのもあり少し見とれてしまう。

(かい)、ノノちゃんを守って!」

「チッ、野郎付きかよ。まぁいいや。お前とじゃなくて、この子たちは俺らと遊びたいみたいなんだよ。だから帰ってくんないかな?」

男は一瞬シラケた雰囲気を出しながらも頭をボリボリと掻きながら、ノノ花たちに近寄ってくると、いきなり顔を殴ってきた。

咄嗟にノノ花を自分から離した眼帯ヘッドホン男は避けることが出来ずに、顔面パンチをくらって、よろめいてしまう。痛くて頬を抑えるが、その間に次は蹴りをくらい地面に倒れこんでしまう。ノノ花が眼帯ヘッドホン男の元に駆け寄ると、男を睨んだ。

「くそ弱い救世主(ヒーロー)だな。」

しかし、男は全く悪びれることなく高笑いをしている。


「ちょ、痛い、ちょっと痛いから離してよ。痛いって言ってるでしょ」

「うるさいんだよ。」

眼帯ヘッドホン男とノノ花の元に行こうと暴れていた聖恵だが、男に本気で腕を捕まれているので、抜け出せない。男が聖恵の暴れるしつこさに右手をグーにして殴ろうとした時、背後にものすごい寒気を感じた。

「おい、小僧。いてぇってよ。」

背後には、さっきまで地面に倒れていたハズの眼帯ヘッドホン男が男の頭をわしづかみにしていた。

基準(タクト)接続(リンク)意識喪失(シャットアウト)指令(レオ)

眼帯ヘッドホン男が、呟くと影が伸びていき5人組の影にそれぞれ繋がる。

「全員整列!」

眼帯ヘッドホン男の掛け声に、5人組は先ほどまでの威勢がなくなり、意識を失ったように整列した。

「今日は5人で遊んでいた。そしたら喧嘩して2人が怪我をした。だから今日はもう帰ろう」

「「「「「今日は5人で遊んでいた。そしたら喧嘩して2人が怪我をした。だから今日は帰ろう」」」」」

眼帯ヘッドホン男が発した言葉をそのまま復唱すると、5人組は小走りで帰って行った。


それを見送った眼帯ヘッドホン男は、土埃で汚れた上着のポンチョをパンパンと右手で払っている。その間にノノ花も聖恵の元に駆け寄る。

「今のはいったいどういうこと?」

「魔法だよ。信じるかどうかは君たちに任せるけどね。」

眼帯ヘッドホン男はさらりと答える。魔法と聞いて、いつもの2人なら笑って、この人頭大丈夫なのかと心配するところだろう。しかし、さっきの光景を目の当たりにした為、否定する処か納得してしまった。

「助けてくれてありがとうございました。えっと~海さん?」

聖恵がお礼を言い、さっき咄嗟に出た名前がこの人の名前かと思い恐る恐る付け足してみた。その言葉に男がピクリと反応する。

「海じゃない。俺の名前は影芝だ。」

珍しく眼帯ヘッドホン男がキチンと反応してくれたことに、聖恵は少し驚いた。

「俺を海と呼ぶやつはもういない···」

男は2人には聞こえないよう、小声でうつむきながら呟いた。

「影芝さん!私の過去を知ってますよね?お願いです。教えて下さい」

「今さらなんで知りたい?明るい家庭に仲良しの友達がいて、過去なんて知る必要はないんじゃないのか?」

聖恵はグッと影芝に近寄り、右手を握って懇願する。しかし、右手をするりと離して、影芝は冷たく聖恵を見る。

「過去も含めて私だからです。」

聖恵の瞳の奥にある力強さを感じ、どこか懐かしく感じる影芝であった。

「俺から話してやれることは何もない。それに今日はもう遅いから帰れ。」

そう言うと振り替えって、公園の出口に向かう。振り返った時に嬉しそうな笑顔を浮かべた瞬間をノノ花は見ていた。

「あのアタシも助けてくれてありがとうございました。」

影芝は足を止めて、ノノ花の元に近寄る団子が崩れないように頭を撫でる。

「俺が助けるまでもなかっただろうけど、君も怪我がなくて良かったよ。」

男の人に頭を撫でられた経験のない、ノノ花は耳まで真っ赤になる。

「あの影芝さん、良かったら連絡先教えてもらえませんか?」

「ん~え~と、悪いんだけど、断らせてもらうよ。ごめんね。あと初対面の不審者と連絡先交換なんてしない方がいいよ。」

影芝は、頭を撫で申し訳なさそうにノノ花に優しい笑顔をむける。そして、振り返ると再び公園出口に向かう。

「影芝さんは不審者じゃないですよ。私は誰とでも交換しませんから!ってかそんな事言わないで、お願いしますよ。えっ?もしかん?!」

振り返った影芝の左手を取ろうと、ポンチョを掴むと腕を掴む事が出来ずにするりと空振りした。そしてその時にノノ花は気付いてしまった。影芝は右目だけじゃなくて、左腕もないということに。驚き尋ねようとした瞬間、ノノ花の唇に影芝の右手の人差し指が触れる。

「あんまり返信出来ないよ。それでもいいの?」

ノノ花は、唇を影芝の人差し指で優しく閉じられている為、コクりコクりと頷く。

影芝がポケットからスマホを取り出すと、ノノ花はすぐさま自分のカバンを取りに行き、自分のスマホを持って戻り、影芝と連絡先の交換をした。その流れで聖恵も影芝と連絡先を交換する事が出来た。

そしてその日は時間も遅かったので、それぞれ帰っていった。


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