再び
放課後
2人は聖恵の過去を知ってる可能性がある男と出会った公園に来ていた。
「今日は誰もいないみたいね。」
ノノ花は周りを見渡しながら、聖恵を見る。聖恵は昨日出会った場所に立ち、ボーッとしてい。
「聞いてるの?」
ノノ花は意地悪するように、聖恵の目の前で両手をパチンと鳴らした。
「あわわわ。いきなりどうしたのノノちゃん。」
「どうしたのじゃないよ。今日は誰もいないみたいだね。」
話しかけたのにまたすぐに考え混んでしまった聖恵を見て、ノノ花は小さくため息をつくも、見捨てることなく、聖恵の考える邪魔にならないようにしていた。
「もうーー思い出せないよ~~~」
頭をぐしゃぐしゃとかきみだしながら、聖恵、は突然叫んだ。
「ちょっといきなりどうしたのよ、大きな声出して。」
「ダメ、あの人の事は知ってる気がするんだけど何にも思い出せない。」
突然叫んだ親友を見て、ノノ花はちょっと焦ったが、心配することはないと思い少し安心した。昔は記憶が混乱して、何度か錯乱状態に入ったのを目の当たりにしていたからだ。
聖恵が思い出せないのと、夕方になってきたということで、今日はもう帰ることにした。
次の日も公園に向かったが、出会えなかった。
次の日も出会えなかった。
3日後
再び放課後に公園を訪れて、2人は眼帯ヘッドホン男が現れるのを待った。
「今日も来ないね~」
聖恵はブランコに乗りながら、前後に揺られている。
「そうね。」
ノノ花は少し複雑な心境だった。聖恵が出会ったという男のことだが、本当に聖恵の記憶を知っているのだろうか?知っているなら普通真っ先に会いに来るものだろう。騙されてるんじゃないだろうか?いや、騙すメリットはなんだろう?しかし、騙されてると言って実は本当に知ってたら、私が聖恵の記憶を取り戻すチャンスを潰すことになる。
色んな事を考え出してしまうが、どれも臆測で決定打に欠ける。だからこそ、ノノ花は自分が実際に会ってみようと思ったのだ。本当に記憶を知ってるならよし、詐欺師みたいな奴ならビシッと言ってやって、ヤンキーみたいな奴なら私が拳でねじ伏せてやる。そんな覚悟で来ていた。
そんなノノ花の思いも知らずに、招かれざる客が公園に訪れてきた。
「ホントにいたよ~」
「だから言ったろ?最近この公園に可愛いJKが居るって」
公園の入り口には、20代の若い男が5人組で2人を見ている。どうやら、その内の1人がここ最近ずっと公園に居る2人に目をつけていたようだ。
5人組は2人に近づいてくるが、聖恵はチラッとだけ5人組を見て、眼帯ヘッドホン男ではないと分かると空を見上げてボーッとブランコをこぎだしている。対してノノ花は、危険を感じ直ぐ様聖恵の元に向かう。
しかし、直ぐに5人組の内の2人に囲まれてしまう。
ノノ花は2人から間合いを取る。さっきまでヤンキーが来たら張り倒してやろうと思っていたが、いざ実戦となると緊張して体がこわばってしまう。
聖恵は、残りの3人に囲まれていた。
「君、可愛いね。俺らと遊ぼうよ」
男の1人がチェーンを掴み、ブランコの勢いを止めると聖恵の肩に手を回して自分に寄せる。
男に触られた事でボーッとしていた聖恵もようやく現状を理解した。そして心の中で思った。やべー。
「きょきょ今日は遠慮しときましょうかね」
聖恵は愛想笑いをしながら、ソッと男の手を払う。しかし、男の手は払うことが出来ずより一層力強く握られる。
「そんな連れないこと言わないで、遊ぼうよ。痛い思いしたくないでしょ~」
周りの男を見ると、みんなニヤニヤしている。
聖恵は恐くなり、声が出せない。
聖恵のピンチにノノ花はというと、ビビって動けなかった。何せホントに絡まれるのははじめてなのだ。町でのナンパとかならノーと言えば直ぐに立ち去るからこんな、本格的に絡まれたのは人生初なのだ。
「ねぇあっちはあっちで遊ぶみたいだから、俺らも遊ぼうよ」
男の1人が伸ばした手を反射的に弾いてしまった。
「触らないで」
「んだよ、こっちはテメーみたいなブサイクで我慢してやろって言ってんだからよ。うんこ乗せた見たいな髪型しやがってよ。」
プチん
男の1人はノノ花に言ってはいけない事を言ってしまった。この発言をした男の横にいたもう1人の男は一体なにが起きたのか分からなかった。
さっきまで、絡んでいた男が鼻から血を出して地面に倒れ、痛みでもがき苦しんでいるからだ。
ブサイクと言われたノノ花はさっきまで怯えていたのが嘘のように、背後に鬼が見えるが如くぶちギレて反射的に正拳突きを顔面にくらわした。殴った瞬間はミシッという音とボキッという音がした。
「お団子ヘアーをバカにするんじゃないわよ。この雑魚男が!」
そして、その勢いのまま隣の男にも渾身の上段蹴りくらわし、地面に沈めた。
ノノ花の様子を見ていた、聖恵と肩を組んでいた男が強引にブランコから聖恵を立たせると、仲間の1人に押し付けた。聖恵も多少の抵抗をするもあまり効果はなかった。
「こいつ逃がすんじゃねぇぞ。」
ノノ花の方に走って向かっていく。ノノ花はまだ2人を見下ろしていて、全く男の存在に気付いていなかった。
「ノノちゃん、危ない!」
聖恵の大きな声で反射的に振り返るも少し遅かった。既に回避不能な距離まで男に詰められており、飛び蹴りが顔面に飛んで来ていた。ガードも間に合わないとノノ花は悟り、歯を食い縛って、目を瞑ろうとした時、突然手を握られると引っ張られ、男の胸に抱き寄せられた。
「この2人は俺のツレなんだけど、何かご用でもありますか?」




