第38話 眷属化 (生後53日目)
前回のあらすじ
水精霊とのバトルに勝利し、ついに有希ちゃんの両親の遺体を発見することができました。俺、感無量です。物凄く嬉しいです!
☆☆☆
疲れたので、一旦遠方憑依を切った。時間は、15時か。楓ちゃん達に心配かけないように、定期的に切って遊んでるから、今回は大丈夫だ。それにしても、今現場は物凄い事になっている。警察や工事関係者でも見つけられなかった遺体を、たった3日で発見したのだ。まず、川を掘り起こす経緯を警察に説明するところから始まった。見つかった遺体については、一応司法解剖する事になった。あと、遺体発見して1時間程で記者連中が来た。嗅ぎつけるの早いよ。今は、事情説明もあってシャットアウトされてるけど、取材準備も着々と進めているだろう。和葉ちゃんと依澄ちゃんは誘拐事件、放火事件、その後すぐに遺体発見だから、相当言われるだろうね。こればかりは、フォロー出来ない。今は、ちょっと小休止しよう。
あ、レオとリルがやって来た。
レオ 『兄ちゃん、遠い目してどうしたの?』
『有希ちゃん達がテレビにでて、色々と騒がれると思うと----ね。』
リル 『有希ちゃん、テレビにでるの、なんで?』
『有希ちゃんの両親が行方不明というのは話したよな。その両親が見つかったんだよ。しかも、有希ちゃん達が見つけんだ。』
レオ 『えー、有希ちゃん凄い!自分で見つけたんだ。』
リル 『あれ、なんで兄ちゃんがそれを知ってるの?』
『ふふふ、俺には有希ちゃんと、いつでもどこでもお話しできる手段があるのだよ。ちなみに、その方法のことを遠方念話というんだ。言いにくかったら念話と略してくれ。あと、レオ・リル・アリー母さんとも、いつでも念話できるぞ。ただし、俺からの片道しかできない。』
レオ
『本当!じゃあ、僕たちが琴美ちゃんの家に行っても、兄ちゃんからお話しできるてこと。』
『そうだよ。証拠を見せてやろう。今、アリー母さんは、今散歩中だから念話してみよう。レオやリルに聞こえるようにするからな。あと、アリー母さんと話すときは、心の中で話せよ。それで通じるから。』
(アリー母さん、聞こえますか?ラッキーです。)
(え、え、ラッキー?、どこにいるの?)
レオ (本当だ、母さんの声が聞こえるよ。)
リル (兄ちゃん、凄いよ)
アリー (え、どういこと!レオとリルの声も聞こえるわ?)
(俺、アリー母さん・レオ・リルと、いつでもどこでもお話し出来るようになったんだ。ただし、俺からだけの片道だけどね。)
アリー (凄いじゃない、ラッキー。でも、どうしてラッキーだけ出来るのかしら?)
(有希ちゃんが言うには、霊力に目覚めてるかららしいよ。人間や動物、少数だけど霊力に目覚めてる者は出来るみたいなんだ。この方法のことを念話て言うんだ。)
アリー (これからは、ラッキーからいつでもお話し出来るのね。嬉しいわ!)
レオ (僕達からも念話したいよ。出来ないのかな?)
リル (兄ちゃん、何とかして。)
(う、そんな目で見ないでくれ。わかったよ、何らかの方法を考えておくよ。)
レオ・リル ((やったー!!))
アリー (レオ・リル良かったわね。)
なんか余計な仕事が増えたような気がするんだけど、まあいいか。
☆☆☆ 南条有希 視点
事情聴取や取材も終わり、やっと部屋に戻って来た。川底の掘り出しより、こちらの方が疲れたわ。時間は21時、お腹減ったな。
明希
「みんなお疲れ様。遅いけど、夕食にしましょう。旅館の女将さんに連絡しておいたの。」
和葉
「ありがとうございます、助かります。それにしても、誘拐事件以降、立て続けに取材されてる気がする。」
依澄
「姉さんはまだいいわよ。私は放火事件の時も取材されてるからね。」
そうだ。依澄さんは、カイ・ランド・タロウの件で、商店街で凄い取材攻勢を受けてたんだ。2人がいなければ、ここまで順調に進まなかった。
2人がいてくれて本当によかった。きちんとお礼を言わないと。
「改めて、和葉さん、依澄さん、今回は手伝って頂き、本当にありがとうございます。無事に発見することが出来ました。」
和葉 「いいのよ。役に立てて嬉しいわ。」
依澄 「そうだよ。さあ、夕食を頂きましょう。」
------夕食を食べ終え、お風呂に入り、やっと身体が落ち着いた。水精霊は、まだ寝てるわね。そっとしておきましょう。明日から忙しくなりそうだ。今回、ラッキーがいなかったら、全員死んでいたわね。お祖母様が言うには、ラッキは言霊使いらしい。言霊を扱える者は、100年に1人と言われる程少なく、ラッキー程、自在に扱える者は、現在、世界には存在しないということだ。じゃあ、ラッキーは、犬だけど世界最強の陰陽師ということになるのかな?
明希 「有希、犬の寿命は何年か知っているかしら?」
犬の寿命?
「はい、大型犬は12年程、小型犬は15年程と聞いています。」
明希
「そうよ。つまり、ラッキーは15年程しか生きられないということになるわ。」
そうだ、短いよ!!!
せっかく、あれだけの才能があるのに15年程しか生きられないなんて。
明希
「理解したみたいね。私も惜しいと思うの。ラッキーが15年程しか生きられないというのは。」
依澄 「あのどういうことですか。」
和葉 「明希さん、まさか、本当にやるんですか?」
まさか眷属化!
「お祖母様、眷属化ということですか。」
明希
「そう。本来、精霊の力を借りずに眷属化させるのは不可能よ。でも、今は水精霊がいる。彼らの力を借りれば可能だわ。どうする?」
ごく。確かに、この場には水精霊がいるし、眷属化は可能だけど、でも-----。
「いえ、やりません。水精霊は、今まで人間に利用されてきたんです。もう、ひっそりと居場所に帰してあげたいです。」
水精霊 「よく言ったね、有希、それが君の答えか。」
「え!精霊様、目覚めてたんですか?」
水精霊
「まあね、彼を15年程で死なせるのは実に惜しいと思ってね。明希と相談していたんだ。」
明希 「ごめんなさい、有希。あなたを試すようなことをして。」
水精霊
「僕に気を使わなくてもいいよ。これは精霊達みんなが賛成しているんだ。理由は、後で話すよ。君の本当の気持ちを知りたい。」
私の本当の気持ち------それは------
有希
「私は、ラッキーともっと長くいたいです。15年だけなんて嫌です!」
そう、嫌だ。もっとラッキーと一緒にいたい。
水精霊
「そうか、君の気持ちはわかったよ。じゃあ、ラッキーを呼んでもらおうか。あとは、彼の返事次第だ。」
眷属化をすれば、寿命が延びる。ラッキーだって、即答するはずよ。
眷属化の内容が、どういったものかは次の話で明らかになります。
ブックマーク、評価、感想をお待ちしています。




