第39話 ラッキーの選択 (生後53日目)
前回のあらすじ
俺がレオ・リル・アリー母さんと戯れてた頃、有希ちゃん達はとんでもない話をしてました。そして、その話内容に俺も巻き込まれそうです。
☆☆☆
いやー、みんなを見て癒されたね。疲れが吹っ飛んだよ。
(ラッキー、今いいかしら。)
あ、有希ちゃんから通信だ。
(有希ちゃん、大丈夫だよ。みんなと遊びまくって癒されたから完全回復したよ。)
(ラッキー、私達が大事な話をしていた時に遊んでいたんだー、へー。)
え、なに、俺なんか変な事言ったかな?
依澄 (ラッキーずるい!自分だけ、他の犬達と遊んで、癒されてたのね。)
和葉 (そうよ、私達は事情聴取や取材やら眷属化やらで大変だったのよ。)
うん、今なんか聞き慣れない言葉を聞いたような?
(すいません。俺が事情聴取にでるわけにもいかず、暇だったので遊んでました。)
有希
(そうね、ラッキーは犬だものね。本当に忘れそうだわ。ごめんね、とりあえず私に遠方憑依してくれないかしら?)
(はい、わかりました。)
------あれ、水精霊、目覚めたんだ。体長は20cmくらいか、可愛いな。
(水精霊さん、初めまして、パピヨンのラッキーです。身体の具合はどうですか?)
水精霊
「初めまして、ラッキー。解放されたおかげで、身体は嘘みたいに軽いよ。ありがとう、私を、いや私達を救ってくれて。」
私達?どういう事だ?
水精霊
「明希には、もう説明しているけど、君達にも順に説明してあげよう。あの話は、その後だ。今回の事件は、20年前から始まっていたんだ。」
水精霊の話によると、陰陽師の中でも4大名家の1つと呼ばれる北条家の暴走が事の発端らしい。順に説明するとこんな感じだ。
目的 : 南条、東城、西條の3大名家を滅ぼし、陰陽道の権力を独り占めにする。
1)精霊を探し出し、霊具で捕獲する。
2)捕獲した精霊を属性毎に分け、霊力を半永久的に搾取する。
3)使用不可能となった数多くの術を復元させる。
ここまで至るのに20年の歳月を必要としたらしい。
4)いくつかの術の復元に成功したため、手始めに南条家を滅する事に着手。
5)復元させた術で、南条隆之、南条茜を殺す事に成功
6)南条有希、南条明希を旅行先で殺す事に着手
7)ラッキーの術により、黒幕の北条源三郎と息子の源蔵は、真っ二つになって死亡!
8)北条家トップの2人の陰陽師が死んだことで、霊具の効果が薄れ、500体程の全ての精霊が解放された。その怒りによって北条本家にいる陰陽師達全員が死亡。
現在に至る
おいおい、権力欲しさのために、精霊を奴隷扱いして、搾取した霊力を使って昔の術を復元し、自分達以外の陰陽師を殺すだと!なに考えてるんだ、北条家!そりゃ、精霊怒るわ。結局、本家の奴らは全滅か、自業自得だな。一応、俺、2人の人間を殺したのか。殺した恐怖とかは全く感じないな。化けて出てきたら、その魂ごと分解してやる!
有希ちゃんを見ると、怒り・悲しみなど色々な感情がでているな。
有希
「権力を独り占めにしたい、ただそれだけのために、両親は殺されたんですか!!!」
和葉 「酷い!自分達の欲望のため殺すなんて。」
依澄 「そんな、酷いよ~。」
明希さんも悲痛な表情をしている。
和葉ちゃん・依澄ちゃんも、有希ちゃんのために真剣に泣いてくれている。
有希
「でも、ラッキーや精霊の方々が仇を討ってくれたんですね。ラッキー、ありがとう。精霊様、ありがとうございます。」
水精霊
「有希の事がなくても、私達はあいつらを滅ぼしていたよ。まあ、完全に血を絶やすわけにもいかぬから、本家だけに留めておいたがな。」
(もし、あいつらが化けて出てきても、俺が魂ごと分解しますの安心して下さい。)
明希 「ラッキー、自分の能力がなんなのか理解しているのね。」
(はい、言霊ですね。言葉に霊力を載せ、術を発動させるでいいんですよね。)
水精霊
「まあ、大雑把に言うとそうだな。ラッキー、これだけは絶対理解しておいてほしい。今現在、言霊を創り、実用可能なレベルまで発動させているのは、この世界においてラッキー1匹だけだ。」
(は、俺だけ!冗談-------ではないんですね。)
水精霊
「言霊使い自体は、非常に少ないがいる。昔は、私達と協力したことで強力な術を行使することが可能だった。だが、精霊が森に消えて以降、すべての作業を自分で行わなければならない。補助する者は誰もいない。よって、出来る術も拙く、実戦には到底使えない。」
えーそうなの。俺は、結構簡単にできるけど、なんで?
水精霊
「なぜか、創造力と絶対なる自信が足りないからだ。術に必要なイメージ・原理・外観・効果範囲など様々なことを霊力で構築し、自分の心に絶対なる自信を持っていないと、術は発動しない。」
有希
「川での戦いで、ラッキーは見たこともない術を発動させていたのですが、あれが言霊によるものなんですか?」
水精霊
「そうだ!【カマイタチ】はわかるが、【真空表壁】は私にも全くわからん。」
(高校生の頃、興味本位で気象や宇宙のことを勉強していたから、原理は知っていたんだ。あとは、絶対皆を助けると自信を持って放ったら出来たんだけど。あ、でも索敵や遠方憑依を創った時は、きちんと発動するまで時間が掛かったよ。)
全員、呆れた顔をしていた。
水精霊
「なるほど、ラッキーは純粋なんだな。そして、皆を助けるという思いが術の発動に至ったのだろう。さて、ラッキーここからが本題だ。私達精霊一同、皆、ラッキーに感謝をしている。同時に惜しいとも思っている。」
(えっと、何が惜しいのですか?)
水精霊
「寿命だよ。小型犬の寿命は約15年程、たったそれだけしか生きられない。ラッキー程の言霊使いが15年でいなくなるのが惜しい。」
(でも、そればかりは、自然の摂理だし、どうしようもないんじゃ?)
水精霊
「寿命を延ばす方法はある!それが眷属化だ。人間の魂とリンクすることで、その者は眷属となる。メリットは、主人と同じ寿命となる。この場合なら、15年から90年程に延びる。」
眷属化、そんな方法があったのか。おそらく、精霊の力があって初めて成り立つのだろう。俺の場合、有希ちゃんの眷属になればいいということか。当然、デメリットもあるのだろうな、なんとなくわかるけど。
(デメリットは、主人が死ねば同時に眷属者も死ぬことから、一生、主人を護らなければならないということですか。いわゆるボディーガードですね。)
それに、仕える主人の本質を見抜けなければ、一生奴隷扱いされる可能性もあるか。有希ちゃんに限って、それはまずありえないだろうけど。
水精霊
「------ふ、察しが良くて助かる。ただ、眷属化は一生に一度しか出来ない。一度契約し、解除したとしても無理だ。魂が保たないのだ。だから、人間側にとっても、眷属化はとても重要だ。」
おいおい、それって、俺1人に言ってもだめじゃないか。有希ちゃんとの協力あってこそだ。俺は有希ちゃんを見ると、
有希 「私は、さっき話を聞いたわ。眷属化の件、OKよ!」
良いのかよ!一生に一度しか出来ないのに。
(良いの?一生に一度しか出来ないのに。)
有希
「昔のように、精霊様がいた状況なら悩んでいたでしょうけど、今は即決よ。なにより、私はラッキーとずっと一緒にいたいしね。」
水精霊 「ラッキーは、どうするんだい?」
俺にとって、人生いや犬生を左右する重大な局面に陥った。
俺はどちらを選べば良いのだろうか?
俺は----------
ブックマーク、評価、感想をお待ちしています。




