プロローグ
4年くらい前の過去作を、大幅に改稿したものです。
宜しくお願い致します!
「セシー?セシリア?顔色が悪い。大丈夫か?」
「大丈夫です……」
王城の一室で、ソファーに隣り合わせで座っている魔族と人間。二人は深い絆で結ばれているのが伝わってくる。
「セシー、君も薄々気づいていると思うが、君のお腹の中には私達の子が宿っている。セシー、ありがとう。私達の子供だ」
「アレク様……」
「どうした?浮かない顔をしている。もしかして……後悔しているのか?もしそうだとしても、すまない。離すことはできない」
窓から柔らかな風が入り込む。長く美しい髪がサラサラと揺れる。血のように赤い瞳、不気味だと忌み嫌われる魔族。その特徴を濃く持つ魔族のアレクセイ。
セシリアは、アレクセイに恋してしまった。人間と魔族が結ばれるなど言語道断。侯爵令嬢であるセシリアは、家族の反対を押し切り、逃げるように駆け落ちしたのだ。
妊娠?私のお腹の中に赤ちゃんがいるの?
セシリアは、そっと腹部に手を当てる。
「嬉しい……。でも、不安です。この子は、受け入れてもらえるでしょうか」
人間と魔族のハーフ。このまま、魔族が暮らすこの国で生きていけるだろうか。
「この子は、魔力が強い。まだ妊娠初期なのに、ここまで感じ取れるのは異例だ。きっと大丈夫だ」
「ふふ、アレク様がそうおっしゃるのなら、安心です。っ!」
ぐらりと視界が揺れる。
どうしたのかしら。
「セシリア!セシリア!誰か!おい、すぐに医者を!」
「どうされたのですか?王妃様‼︎ すぐに医者を呼んで参ります」
だめだ……。力が入らない。
「陛下、魔力が強すぎて王妃様の身体に影響がでております。つわりの症状とも違います。このままでは王妃様の命の危険にも繋がりかねません」
「なんだとっ‼︎ セシー、なんとしてでも助ける……」
「恐れながら申しあげます生まれ育った人間の国へ、連れて行かれた方がいいかと思われます。魔力の強い子は意図せず、母体を傷つけることがあります。周囲に魔力の強い者が多いここにいては、魔力が暴走しかねません」
「だが……」
アレクセイは、ベッドに横たわる血の気の失せたセシリアを見つめ、言葉に詰まる。
「ごめん……なさい……迷惑かけて……」
「セシリア……愛してる……」
私もよ。アレク。
だからこそ、あなたとの子どもである、この子を産みたいの。
もし、国に帰ったら、この子の力を利用しようとする者が現れるかもしれない。
守らなければ。
「産まれるまで、一緒にいる」
「陛下!なりません。王妃様と駆け落ちしたことが知られれば、戦争になりかねません。どうか軽率な行動はお控えください。王妃様は一一なのですから」
「分かっているが……」
「大丈夫よアレク……心配しないで」
「どうにかして、人間の王に話をつける。産まれたらすぐに連れ帰る。それまで待っててくれ」
待ってる。
私の決断は正しかったのかしら。
きっと過去に戻れたとしても、私はあなたに恋をする。後悔はしていないわ。でも、一つ心残りがあるとすれば、アレクとこの子と一緒に暮らしたかった……。
ねぇ、一一ン、こんな私を許してくれるかしら。どうか、幸せになって。あなたの幸せが、私達の希望なのだから。
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