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21.決戦の舞台

 フェリシアンのアパートに戻っていくクードヴァンだったが、彼の前には見覚えのある人物が現れた。

 背中に大弓を担いだ女性。通称アーチャーである。


 彼女は値踏みするようにクードヴァンを眺めていたが、やがて頷いた。

「その視線の動かし方……人の身になってもわかるものね」

「久しぶりだね」

 彼女の目はごまかせないと感じたクードヴァンは、慣れた様子で挨拶すると、弓使いも少しだけ微笑みを返した。

「今日は、メッセンジャーとしてきたわ。このまま私たちと戦うか……今すぐに仲間を見捨てて自分1人で逃げるか……どちらでも……」

「いや、もう一つあるよ」

「え?」


 弓使いが不思議そうな顔をすると、クードヴァンはニマッと笑った。

「君と2人で逃亡」

 予想だにしていなかったと思われる提案を聞き、弓使いは思わず吹き出しそうになったようだ。

「おもしろい冗談ね……私は、貴方を追い出した人間なのよ? 今さらごめんなさいして許してくれるの?」

「僕はそこまで器は小さくない。君が望むのなら……今すぐに僕のパーティーに招待してもいいくらいさ」


 弓使いは表情を戻した。

「魅力的な提案だけど……私はけじめとして貴方と戦うことを選ぶわ。十中八九……私たちが負けることになるでしょうけどね」

「決戦の舞台は?」

 弓使いは厳しい表情をした。

「貴方宛てに指名依頼を出しておいたわ。明日に冒険者ギルドへ行きなさい……全部わかるわ」

 そう言い残すと、弓使いは姿を消した。

「いよいよ……ということか……」



 翌日、クードヴァンはフェリシアン隊を連れて、冒険者ギルドへとやってきた。

 どうやら受付嬢たちは、勇者たちの依頼状を受け取っていたらしく、ギルド全体が物々しい雰囲気に包まれていた。

 フェリシアンが近づくと、受付嬢ゾーイは心配そうにこちらを見てきた。

「フェリシアン隊長……勇者パーティーから指名依頼を受けています」

「内容は?」

「プラチナ貨……114枚。内容は樹海内での演習訓練です」


 フェリシアンはやはりか、と言いたそうな顔をしたままクードヴァンを見てきた。

 クードヴァンも真顔のまま頷く。これはどう見ても、勇者一行からの挑戦状である。

「わかりました。その依頼……受けましょう」


 決戦の舞台は滝つぼの近く。クードヴァンがまだウマとしか呼ばれていなかった頃に、追い出された場所である。



 目的地に向かいながら、クードヴァンは仲間の戦力を確認した。

 フェリシアン。ランクB下位。

 アリーシャ。ランクB中位。ユニコーン化するとA中位。

 イーヴィ。ランクC上位。

 デルフィーヌ。ランクC上位。

 クードヴァン。ランクA上位。ユニコーン化するとSランク中位。


 勇者。ランクS下位。

 格闘家。ランクA上位。

 戦士。ランクA中位。

 弓使い。ランクA中位。

 修道士。ランクA中位。


 この戦いは、ユニコーン2頭がどこまでフェリシアンたちの戦闘力を引き上げられるかにかかっている。



 目的地に着くと、勇者たち5人組は勢ぞろいして待っていた。

 普通は待ち伏せている側は、罠を張り巡らせたり多くの仲間を呼んでいるものだが、彼らは小細工なしという様子だ。

 勇者はフェリシアンを一瞥すると、すぐにクードヴァンを睨んだ。

「おい、クソウマ……さっさと正体を現しやがれ!」


 クードヴァンは頷くと、指をはじいてユニコーンの姿に変わった。第3形態のユニコーンともなれば、服を破らずにユニコーン化できるのである。


 クードヴァン→リットーゲイル


 その角は90センチメートルほどの長さになっており、体には馬鎧が姿を見せ、角の色は白銀色に光を放っている。

 そして角の周りには、炎、水、大地の粒子が飛び交っていた。


「へっ……上等だ! やっちまうぞお前ら!」

 勇者が叫ぶと、森の中から多数の冒険者たちが駆け出した。その数はおおよそ100人!


 フェリシアンたちは、しまったと言いたそうに顔をこわばらせていたが、リットーゲイルだけは、そうではくてはつまらんと言いたそうに笑っていた。

『頼むぞ、お前たち!』

 その声と共に、森からはクマ、トラ、タカ、イノシシ、イヌなど多くの動物が飛び出した。どうやら、リットーゲイルは動物を操る力を持っているようだ。


 勇者一行と、リットーゲイル隊の戦いがはじまった!



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