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13.初クエストクリア

 間もなく、リットーゲイルはウマの姿で戦利品を担いでいた。倒した冒険者の数も10人まで増えれば、様々なアイテムを落としていくものである。

 フェリシアン隊は、それらの武具を売り払うと冒険者ギルドに戻って、薬草を手渡しクエスト達成を報告した。


「こちらが達成報酬です。お確かめください」

「確かに受け取りました」

 フェルシアンは、銀貨の入った革袋を受け取ると、冒険者ギルドを出て自宅であるアパートメントを目指した。先ほどヤ・ラーレ隊と衝突したばかりなので警戒しているのだろう。


 アパートに戻ると、フェリシアンはやっと肩の力を抜いてベッドの上に腰をかけた。

「とりあえず、報酬を分けましょう」


 帰り道の途中で人間に戻っていた、リットーゲイルことクードヴァンは、手に入った硬貨を眺めていた。

「金貨1枚に、銀貨14枚に、銅貨8枚ですか……」


 フェルシアンの話では、銀貨は都会の労働者が一日働いて1枚が相場のようなので、薬草の報酬銀貨5枚は悪くない仕事と言える。

 首尾よく見つかれば……という話だが……


 クードヴァンは、にっこりと笑った。

「金貨は隊長に預かってもらい、他の硬貨は山分け……ということでいかがでしょう?」

 その提案を聞くと、他のメンバーは意外そうにクードヴァンを眺めていた。

「い、いいのですか……いちばん敵を倒したのは、貴方でしょう?」


 デルフィーヌが言うと、隣で聞いていたイーヴィもうんうんと頷いていた。もちろんフェリシアンもそんな報酬は受け取れないと言いたそうな顔をしている。

 しかし、クードヴァンは言った。

「僕はいざとなれば、例の力を使えばいくらでも劣勢を巻き返せる。だけど、君たちには早めにいい装備品を集めて欲しい」


 彼の言葉を聞くと、フェリシアンたちは下を向いた。

 3人の中で一番強いフェリシアンでも、実力はBランクの下位と言ったところだ。デルフィーヌとイーヴィは、実際にはCランク上位の強さがあると言っても、冒険者になりたてなので世間的にはDランクの一番下ということになっている。


 フェリシアンは頷いた。

「わかりました。お師匠様のご厚意……感謝します」

 全員が言われた通りに貨幣を分配していると、オオカミ族のイーヴィは不思議そうにクードヴァンを見た。

「ところでクードヴァンさんは、実際のところどれくらいの強さなの?」


 その言葉を聞いたフェリシアンやデルフィーヌも、興味がありそうに彼を見た。

「僕の強さ……? そうだね」

 クードヴァンは少し考えこんだ。

「今の状態だと……Aランクの上位と言ったところかな?」


 Aランク上位という言葉を聞いたデルフィーヌたちは、目を大きく見開いて驚いていたが、隊長のフェリシアンだけはそうだろうなと言いたそうに頷いていた。

「Bランク上位の猛者たちを、子供同然に扱っているのですから……控え目なくらいかもしれません」


 確かにクードヴァンの実力はAの上位ランク。騎士団の歴戦戦士くらいの実力だろう。

 しかし、彼がエメラルドユニコーンになったときは、どれほど強くなるのかは本人も想像できないようである。


 やがて、フェリシアンたちが寝静まりクードヴァンも就寝に付こうとしたとき、小鳥が1羽飛んできて引き戸をくちばしで突いた。

「……! もしかして」


 引き戸を開けると、そこにいた小鳥は囀りながら何かをクードヴァンに伝えた。

「……ヤ・ラーレのボスが?」

「ピー!」


 この小鳥はクードヴァン……いや、正確に言えば、本体であるリットーゲイルの使い魔だ。

 彼は先ほどまで、ヤ・ラーレ一行の動向を監視していたのだが、示しを付けられなかったとして、ボスであるゴリモーリから、厳しい制裁を受けた上に冒険者街を追い出されたという。


「ゴリモーリの動向は?」

「ピー!」

 ゴリモーリは、手下たちを引き連れて冒険者ギルドの受付嬢であるゾーイの元に向かったという。

 クードヴァンが険しい顔をしていたら、今度は渡り鳥が飛んできて少し離れた枝に羽を休めた。


「ピュイ!」

 どうやら先ほど、ゴリモーリの手下たちは覆面を付けて民家に侵入。就寝中だったゾーイを強襲して拉致したという。渡り鳥の話では、この場所……つまりフェリシアンのアパートを聞き出せと命令していたことがわかった。

「わかった……ありがとう」

 そう伝えると、鳥たちは飛んで行き、クードヴァンは静かに引き戸を閉じた。


「どうされましたか?」

 フェリシアンが目を瞑ったまま話しかけてくると、クードヴァンはうつむき目元を隠したまま答えた。

「少し用事ができた。念のため……戸締りは厳重にしておいてくれ」

「承知しました」


 丁寧にドアを開閉させると、クードヴァンはボソボソと言った。

「あの受付嬢のゾーイさんは、けっこう気に入ってたんだよ……いけないよねぇ」

 その手が手すりを強く握ると、その周囲からは枝葉が生えていく。

「関係のない人間を巻き込んだうえに、僕らの存在を脅かしたりしたら……」

 クードヴァンの目は闇の中で緑色に光を放ち、その表情がゲス顔になった。

「ざまぁ……したく、なっちゃうじゃないか」

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