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共鳴アヴェンジホワイト  作者: 朝露ココア
第3部 12章 天の守り人
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4. 三人の師

 小屋の前まで戻り、ゼロと合流した。ロキシアはゼロと挨拶を済ませて、自分の置かれている状況を語り出す。


「まず、ルカ師匠に指導してもらえるのは週に一回だよ。週末まではこの島で魔物と戦ったり……自主練したりして過ごすの」


「なんで週一回なんだよ? 何回も訓練した方が身になるだろ?」


「師匠曰く、何度でも挑めるとそれに甘えてしまうから……とか。一度の手合いで全ての戦闘技能を盗むつもりで来いって言ってた」


 たしかに、その理屈は納得できる。

 しかし、どうしても私には疑問があったのだ。


「でもでも、ロキシアのさっきの動きを見る限り、この島の魔物は大した訓練相手にならなさそうだけど」


「うん……最近はあんまり伸びを感じてないんだ。だから師匠も新しい弟子を取ったのかも」


 私たちを育てるという意図よりも、ロキシアを育てるという意図の方がルカ師匠にとっては強いのかもしれない。まあ、私はゼロみたいに過剰に強くなろうとはしてないし、のんびりやろう。

 ロキシアが次にルカ師匠に挑戦するのは二日後らしい。私たちもその日に訓練してもらえばいいのかな?

 それとも、日をずらした方がいいのか……


「お、貴様ら! 合流したか!」


 その時、小屋の窓を突き破ってルカ師匠が出て来た。

 窓、どうやって修理するんだろう……


「ロキシア! この島でのルールは話し終えたか?」


「えっと、少しだけ」


「うむ! では、ゼロとサーラの挑戦は三日後……ロキシアの一日後としよう! それと……貴様らを指導するにあたり、他の者たちにも協力してもらうことになった。では、さらばだ!」


 そう言ってルカ先生は小屋の中へ戻って行った。喧しい人だなあ……


「じゃあ、東海岸に移動しよう」


「東海岸? そこになんかあるのか?」


「えっと……まあ、来てみれば分かるよ」


 ロキシアがそう言うなら従おう。

 私たちは彼女に続いて東海岸へ向かった。


 ~・~・~


 連れて来られた先には、一つの建築物があった。


「……アパート? こんな無人の島に?」


 二階建てのアパートがある。

 本当にごく普通のアパートで、街中で見るようなやつ。

 なんでこんな未開の地に文明染みた建築物があるのか……?


「ここが私の家。部屋の一つを使ってるんだ。なんで部屋が四つもあるのかと思ってたけど……新しい弟子の為だったんだね」


「ここ、電気とか水道とか通ってるんだ……」


 このアパートはルカ師匠が建てたらしい。

 彼は建築士の資格を持っていて、気晴らしにこれを造ったという。気晴らしでアパート造んな。


「なあ、ロキシアはどのくらいこの島で修行してるんだ?」


「えっと……三ヶ月くらい、かな。色々不便な島だけど……」


「不便かー。たしかに、娯楽とかなさそうだもんね」


「それもそうなんだけど、食べ物がないんだ」


 えっ!?

 食べ物がない……?

 まあ、私たちは魔族だから最悪食べなくても生きていけるけど……飢餓の空腹感を耐えればね。でも、ロキシアは人間のはず。


「食べ物は定期的に大陸に行って買ってこなきゃないんだよ。別に島に監禁されてるわけじゃないからね」


「なるほどー。だったら、アタシ達が飛んで買ってきた方がいいかもね」


「えっ!? 二人とも、飛べるの!?」


 ロキシアは驚いている。

 私たちは魔族であることを説明した上で、彼女の前で飛んで見せた。

 彼女は笑って私たちを受け入れてくれる。なんだか仲良くなれそうな予感がした。


 ~・~・~


「……一階の左が私の部屋。二人は好きなとこでいいよ」


 アパートは本当にアパートである。ルカ師匠、普通に建築デザイナーとして働けばいいのに。


「サーラはどの部屋にするんだよ?」


 空いているのは一階の右、二階の左右。


「そうだなー……せっかくだしロキシアの隣に……」


 私の言葉を遮って。ドン、と何かがぶつかる音が二階から聞こえた。

 もしかしてロキシア以外にも人がいるの?

 ロキシアに視線を送っても、彼女は青褪めた顔で首を横にブンブンと振る。


 私たちは頷き合い、そっと階段を上る。

 二階へ続く階段を上り切り、右側のドアが開いているのを確認。ゼロは突っ込んでいきそうだし、ロキシアは不安そうだし……私が先頭で確認するしかない。

 部屋の中では──


「だーかーら! 白い壁には白いカーテンでしょ? 何回言えば分かるの? 黒色はダサいの、わかる?」


「ああ……すまない……」


「分かったら買いなおしてきて」


 イージアがフェルンネに叩かれていた。

 黒いカーテンを握りしめて、イージアが怒られた子供みたいに佇んでいる。


「……なんで二人がここにいるの?」


 私の声にハッと二人が顔を上げた。

 どう考えても私たちの気配には気付いてたと思うんだけど。


「あ、ああ……サーラとゼロか。そちらの君がロキシアだな。ルカさんから話は聞いているよ」


「ど、どうも……ロキシアです……」


 イージアは若干気まずそうに挨拶した。

 咳払いしてから、彼は説明を始める。


「ルカさんがフェルンネに頼み込んで、ここでサーラの魔導の師をしてもらうことになったんだが……私も巻き込まれてな。創造神からの勅命で、私も君たちの師を担当することになった。こんなことをしている暇はないんだがな……」


「つまり……師匠が三人になる、ということですか?」


「ああ。ただ、魔術を使うのはサーラだけだからな。フェルンネはサーラの専属の師匠と言ってもいいかもしれない」


 えぇ……フェルンネの指導とか絶対鬼畜じゃん。やだ。

 さっきのイージアみたいに叩かれるよ。パワハラ反対。


「それで、ここに家具を運んでたんだね?」


「ああ……っと、私は買い物があるので失礼するよ……」


 イージアはそそくさと私の横を通り過ぎて、空を飛んで行った。

 絶対白いカーテン買いに行ったよね。


 まあ選択肢が増えるのは悪くないか。

 フェルンネ師匠にはできるだけ優しく指導してもらえるように、色々と対策を考えておこう……。 

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