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かわいいひと:5

急がねばならないはずなのに、準備に1カ月もかけるなんてどうかしている。

それでも異常な速さで準備しているのだと言われて驚く。


「ミナモトに行くには特別な衣がいるんだ」


キヤイルはちょこちょこと自分についてきて、一生懸命に教えてくれた。

かまわれたいのだろう、と孤児院の子どもたちを思い出して聞いてあげる。


「特別な衣って?」

「祈りを込めて母さんが育てて紡いで織った布を、衣に仕立てないといけないんだ。それでなくては神があらわれないんだよ」

「なんであなたのお母さんの衣でなくてはならないの?」


びっくりした顔をされる。


「だって、ネリーはおれのつがいじゃないか」


ネリーこそびっくりする。


「私は私の命を救ってくれたあなたの命を救いたいだけよ」

「でも」


キヤイルは真っ赤になって言う。


「一緒に寝ようって言ったのに」


あの時は狼がかわいくて、動物が好きだからそう言ったのだ。

自分はうっかり魔獣を誘ってしまっていたのだと気づいてネリーも真っ赤になった。


(私は何をしてしまったのだろう)


それでは元はと言えばゲーナのことも自分が原因ではないか。


「一生懸命踊って来るからね」


と頭をなでるネリーの手をキヤイルはパンとはじいた。

幼い瞳に涙がにじんでいる。

どうしよう、とネリーは途方に暮れた。

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