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19-5.ウラナα君の憂鬱

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-5.ウラナα君の憂鬱


3日後には伎芸天事務所のチームが到着した。シオはウラナαの押す車椅子で動き回れる様になり、忙しく指示を出している。

シオの意図する事が、すぐに理解出来るウラナαをシオは大変気に入り

「この奴隷を売ってはくれまいか?」

と申し出てオコに優しく(怪我人なので)頭をはっ倒されていた。

「あの子たちはあげませんよ。大事なお客様なので」

このやり取りは後々考えれば、かなり危険だったと思う。魔女メハシェファが、パピーズに目を付けないとも限らないからだ。

いやそれ以前にパピーズを表に出しすぎだったのかも知れない。


だがこれはマーリンの希望でもあった。

「ウラナよ、ウラナαがのう」

紛らわしい相談をして来たのは、ダンチビ工房で作られた、ミスリル製の軽量車椅子が届いた日の事だった。

「ウラナαがどうかしましたか?」

「どうも自信を失っている様なのじゃ」

それは俺も気づいていた。


子供のコミュニティで、"リーダー"に求められる資質は実に難しい。

運動(スポーツ)が出来る」

が最初に皆に認められる条件だろう。分かりやすいからだ。

「勉強が出来る」

は小学校ではまだ評価されず(ただしイケメンは除く)

「ガリ勉」

とか否定的に評価される場合もある。


「公平さ」

「判断力」

「勇気」

などリーダーの資質が考慮される様になるのは、中学生以降だろう。

小学6年にして、俺は自分のリーダーの資質に限界を感じた。リーダーと言っても給食班長だったが。

俺は班長になると、今までじゃんけんで決めていた当番の種類を

「男子は力があるから食器運び、女子は料理運び」

と決めた。合理的と思ったのである。


だがこれは誰の理解も得られず、担任は特に理由も告げず、俺を一日で班長から下ろした。

後で分かったのだが、食器運びは配膳。料理運びは食器に料理を盛る。と決まっていたので、少しでも自分の皿に多く盛りたい生徒たちは、血眼でじゃんけんをして料理運びをしたがったのだ。給食が大嫌いだった俺にはそれが理解出来なかった。


「お兄ちゃんは、色々心配する役」

と妹たちに格付けされてしまったウラナαは、自信を喪失していた。

頭の良さ、冷静さでは弟のノヅリαには叶わない。

情熱の熱さと情け深さではオコαに及ばない。

レムリア中にたったひとつの能力をセイコαは持っている。

たった数分早くこの世に出たと言うだけで、自分はなぜ長兄としてリーダーをやって、あれこれ心配しなくてはならないんだろう?


「そんな事をウラナαは考えてるよ」

オコもステルも気づいていたが、これはウラナα自身が解決すべき事、と思っている。

「車椅子を、ウラナαに押させてはどうじゃろう?」

「彼の仕事をこれ以上増やすのですか?倒れちゃいますよ」

「逆じゃ、コンサートが近づくまでは、警備は大人だけでも間に合う。弟妹たちも自分で判断出来る様になって来た。シオ・ラメンの近くにおれば、奴の仕事振りから、人の上に立つ事とはどう言う事か、悟るのではないか?」


もっともな提案なので、ビッグセブンに相談してみた。

オコやパーサは慎重論だったが、師匠は

「危険はあるが、このままウラナαが意欲を失い、傀儡のリーダーになってしまうデメリットの方が大きい。そう言う時、"魔が差す"のだよ」

と言って、俺が

「パピーズをツアーに帯同する事に、最終的に決断したのは俺だ。消極的だった俺のケツを、みんなが蹴っ飛ばして決断させてくれた。危険はいつもあって、上位の生命体であれば、独自にパピーズの存在に気づく可能性もある。その時の為にも、ウラナαに育って貰いたいと思う」


スミティと"僕"よ。脳内でスターウォーズエピソードIVのラストのヨーダとオビワン・ケノビみたいに、ホログラム状でウンウンうなづくの止めてくれないか?


俺はウラナαをシオの所に連れて行き、事情を話した。

「この者はある組織で、いずれ部下を率いて行かねばならぬ身ですが、弟妹が優秀すぎて自信を失っているのです。シオ殿のナイラス宰相としての仕事振りを見れば、得るものがありましょう。小さいですが小太刀や弓、 魔術の腕もあります。愛犬(ウラナβ)共々、護衛にもなります」

「私も弟が家督を継ぎ、挫折を味わった者です。そう言う事なら、ラースでのコンサート終了までお力になりましょう。かの者は長男の悲哀を味わっているのですね?ならば私が兄になりましょう」


一瞬ちょっとあれな妄想が頭をよぎった俺の表情をシオは見逃さなかった。

「あ、今変な事想像しませんでしたか?私はカー様一筋なので、心配は要りませんよ」

やっぱりマザコンかと思ったが、カー様はカライ元大佐の事だった。

一途な乙女の純情だなあ…。


そう言う訳で、人間の子供に仮装したウラナαは弟妹から離れてシオ宰相付きになったが、結構ウラナαの所に相談に来る弟妹の姿が見受けられた。

やっぱり頼りにされているんだなあ。


「お兄ちゃんだけずるい」

と言うオコαらしい感想で、コンサート終了後は

オコαはオコと社長の元(後にリュナにも)で

ノヅリαは師匠の元で、そして

セイコαは聖狐天神殿で過ごす事が多くなり、パピーズは一心一体ながらも自分の道を歩む様になるのである。


シオは特にウラナαに何も教えていない様だったが、ナイラスを離れてからも念話ラインは切れず、色々相談に乗って貰い、シオのことを

「兄さん」

と公言する様になった。

そしてリーダーに大切な資質

「決してゴリ押しせずに皆の意見をよく聞き、だが知らないうちに自分の考えを、皆の総意である様に誘導して行く」

と言う事が出来る様になっていった。

これは俺にも欠けている所なので、勉強させていただきました。



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