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18-33.解析会議

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


18-33.解析会議


さて約束の5時間も過ぎ、ビッグセブン+パピーズ+マーリン+エール(四娘憑依中)が俺の家に集まった。

コンコンが地下エレベーター風結界を使う。

何遍乗っても気持ち悪い降下感である。


「では只今より、トンボくん2号が撮影して来た画像の編集結果を発表します。視界360度の超精彩画像ですので、ウラナ君とマーリン師にご協力頂き、先程やっと処理が完成しました。ありがとうございました」

感謝されても許さんもんね。

「画像は毎秒600枚の制止画像として記録され、前後比較で差異のあるものだけを抽出し」

「理屈はいい。何か判ったのか?」

マーリンは機嫌が悪い。

せっかく僅かな時間を割いてレムリアを縦断したのに、3メタルは初代妖狐様への里帰り報告で、留守だったらしい。


「選択には僕の主観も入る余地がありますゆえ、もしお時間があれば、6万4000枚ほどの要注意画像をご確認頂くと幸いです」

やだよ。それに師匠が見落としたデータを俺が見つける事なんてない。

「今晩見せてちょ。見張りしながら見とくで」

ああパーサなら…。ってなんで最初から俺たちじゃなくてパーサにやらせないんだよ!


「僕が気になっていたのは3点」

師匠が二枚の画像プリントを差し出す。

「なんかこのタケノコの山みたいな背景の画像①と②では、タケノコの本数が一本違います」

って百本以上生えてるんじゃないか!こんな超精彩な間違い探し、眼精疲労で倒れるわ。

「続いてこの左端にチラッと写っている手。誰のものでしょう。そこには人はいませんでした」

今度は心霊写真かよ。


「最後は組み絵になります。45枚の画像を比較検討するに、この結界の穴は、ゆっくりと移動している如くに思われます」

「それってトンボくんが飛んでるからじゃないの?」

「トンボくんは発見されない限り、目立たぬ場所に止まって撮影を開始します。そして超高性能な複眼を持っているので、敵に見つかる前に異常を察知して場所を変えます。今回は一度だけ変えていました」


「どれくらいトンボくんはあっちにいたの?」

「40時間くらいですね」

「でさ、結局トンボくんは何を見たの?」

オコが根源的な問いをする。それを知りたいから集まってるけど、これだ!と言う様な決定的なものは、何も写っていなかった。


「順番に拾っていきましょう。まず背景よね。これってどっかの田舎?」

大御所が金羊毛を使って空間に穴を開けた向こう側は、確かに屋内には見えなかった。

「見た事ない様な…、なんか懐かしい様な、なんやけったいな場所やな」

オコαがおずおずと手を挙げる。

βが"がんばれ!"と言う様に、おすわりしてじっとαを見つめている。

「オコα、何か気づいたか?」

「ススキが…」

「うん写ってるな」

「春なのに」


「ちょっと分析しますね。別の植物かもしれないので」

師匠は画像をどんどん拡大して行き、細胞レベルで確認する。

「間違いなくススキですね。確かに奇妙だ」

「つまり南半球と言う事か?」

「大氷原の短い秋はまだ来ないので、これはヤクスチラン?」

「いや指名手配されている大御所は記録の神殿を通過出来ないので、大氷原に達する事は出来ない。なのでその先のヤクスチランにも行った事はないんじゃないか?だいいち大氷原が通れるなら、イグルーの村の3メタルが気づくだろう」


「でもさ、金羊毛を使えばヤクスチランに直接、空間を破って入れるんじゃない?」

今度はノヅリαが手を挙げる。

「これはウラナ神様やノヅリ神様とも話していたのですが、エールのいた村を大御所が襲った時、エールの張った結界を破るのに時間がかかったために、女性を殺害せずに放置しました。これは空間を結ぶ穴が閉じるまでの時間は、案外短いのかも?と。それでウラナ神様の命で僕が今度の穴が閉じるまでの時間を計ったところ、約30分と判りました。もちろん大御所が襲撃の失敗を悟って、強制的に穴を閉じた可能性もありますが」


「ノヅリαよ、いい考察じゃった。名付け親とは大違いじゃ。しかし魔術師たるワシから言わせて貰えば、空間の穴を閉じる法力?を持つ大御所が、なぜ空間移動を金羊毛などと言う、怪しげなアトランティスの遺物魔具に頼るのであろうか?」

まだ師匠を根に持っているマーリンが弟子に答えた。

「では大御所には空間移動の術は使えないと?」

「そう見るのが妥当であろうよ。それが罠でない限りはな」


大御所には通称カペラと言う、おそらくアドミン並みの宇宙生命体が付いている。その者なら制限なく空間魔法が使えるのではないか?

『それはレムリア神と呼ばれるこの星のローカル責任者が許可しないと思われます。マーリンが言っている事は、そう思わせる罠かも?と言う部分を含めて正当性があります』

スミティの耳打ち。


「あとすごくてきとーなかせつ。言ってもいい?」

ベンガニー推理小説が好きなステルが言った。

子供っぽいいつもの振る舞いとは裏腹に、こう言う時のステルの指摘はハッとする程鋭い事がある。

「オーゴショはね、いのちからがらじぱんぐーからにげだして、ひみつのばしょに来た。金ようもうを使ってね」

「そうなるわな」

コンコンが孫の話を聞く様に、頷きながら聞いている。

「なぜ金ようもうで、ほうらいにもどらない?ステルなら、くやしかったらリベンジするよ」

「確かに大御所逃亡後、上警は才蔵らを使って大御所再来の警戒網を敷いた。だがそれは無かった」

エールに憑依した四娘が語る。


「つまり…。うーん分からなくなっちゃった」

「ステル坊はこう言いたいんやろ?金羊毛で通した空間の通路は、二度とおなし場所には渡せんのちゃうか?と」

「そうそう、おばあちゃんありがとう。それがステルの言いたい事」

「しかし同じ蓬莱でも慈班宮は東国、例えば太津京であれば離れているけど」


「待て、ステルよ。そなたの仮説が正しいとすれば、今回同じ妖狐の里に、日を置いて二度襲来して来た事を、どう説明するんじゃ?」

「あっ!そうかステル、ポンコツでした」

頭を自分でコツンとする仕草が可愛いが、俺はステルの言った事が引っかかってならなかった。

確かに屈辱的な敗北のあと、四娘もビッグセブンも去った蓬莱を、才蔵だけで守れる訳が無いのだ。


『カペラの命令?』

『考えられますね。この会議の場では言えませんが、大御所は小者で、出来る事が限定されています。ステルの言った事も一理あるかと』

『でも二度も妖狐の里に…』

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