11-13.夢のお告げ
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
11-13.夢のお告げ
【夢の内容2】
「どの様な?」
「まずあの古代遺物については、我々に任せて欲しい」
「我々とは?」
「簡単に言えばシバヤン様だ。宮殿にある古代資料によって、裂谷の要塞にはあの危険な微小兵器がまだ2-300個は死蔵されていると思われる」
「それは…危険ですね」
「ただ殆どは壊れていると思われる。今回は地震により、要塞を覆っていた土が一部露出し、奇跡的に生きていた物が狼を襲ったのだろう」
「なるほど」
「要塞の完全破壊については、当方で担当させて欲しい。生身の人間や神には危険過ぎる仕事だ」
『あとは組織がうまくやってくれる』
と言う奴だな。
「そう言う仕事をする部下も、シバヤン殿は持っているのですね」
「ウラナ殿になら伝えておこう。三娘殿だ」
三娘は家事手伝いロボットで、シバヤン宮殿の文字通りのメイドとして働いている。とパーサに聞いた事があるが、そう言えば四娘と組む時もあるとも聞いた。
そう言う後始末専業でもあるのか。
俺は四娘が三娘の事を、"殿"付けで呼ぶのに気づいた。一娘は呼び捨てなのに。
「三娘さんは怖いんですか?」
「あたり前だ。三娘殿にかかれば、人口100万人の都市も一日で平らな草原に変える事が出来る」
隠密としてどんな所にも入り込める四娘と、全く気配も残らないほど跡形もなく始末する三娘。この二人で今までどれ程の事をやって来たのか?俺は背筋が寒くなって、それ以上は聞けなかった。
「一つだけ教えて下さい。その要塞跡には、おそらくあのバグ以外にも超古代の遺物が出てくると思うのですが、シバヤン殿はそれをどうされるおつもりですか?」
裂谷の上空を飛ぶ鳥が急に落ちた。と言う報告もあったし、まだヤバい物がありそうだ。
「いつもと同じだろう。主は研究して、分解して、使えるものは新しい発明に用い、不要なものは」
そこで四娘は溜息をついた。
「不要なものは?」
「あの部屋に積んでおくのさ。一娘は何度も三娘殿に掃除をして貰っては?と言うのだが、主は『あれらは必要な時に直ぐに探せる様に置いてあるのだ』と言ってお許し頂けないのだ。二度と使わないだろうし、万一必要でも、あの山から見つかるのかどうか…」
四娘がクスッと笑った。
寡黙な忍者。と言うイメージの四娘も笑うのだな。と思っていると、
「私にも感情はある。任務の時は邪魔な事が多いが」
そうだろうな。
「それで、私への頼みとは、裂谷古代遺跡の探索を諦めよ。と言う事ですか?」
「それもあるが、もう一つ大事な事を頼みたい」
「はい」
「貴殿が今いる場所は、何処だと思う?」
「見当もつきません」
四娘が普段から隠れ家に使っている洞窟か何か?と思ったが、広すぎる。野球のダイアモンドがスッポリ入りそうな面積だ。
「ここは、狼の父祖の森の地下だ」
「!」
「裂谷の大魔神軍要塞に対し、古代の神々は果敢に戦ったが、力の弱い神々は地下迷宮に避難した。それがこの森にあるらしい。古き言い伝えによれば、この下に更に地下7層。それぞれに封印されている」
「まさか最下層に古代神の姫君が?」
「貴殿、そう言うの好きか?」
「いえ別に」
生前、俺は殆どゲームをしなかった。若い時はファミコンからプレイステーション1まで、人並みに遊んだものだ。その中にはダンジョンものもあり
「ゼルダの伝説」などは随分やった。もちろんドラクエも通信対応になるまではやったが、あるゲームのダンジョンで、全く先に進めなくなり、何日も何日も思いつく方法を全て試したが、結局最後にセーブした所に戻ってしまう。多分バクだったと思うのだが、そこまでに費やした膨大な時間を思うと急速にやる気をなくしてしまい、ドラクエ等やっていてもダンジョンはトラウマで、そこだけ攻略サイトを見てさっさと終わらせたりした。
そうこうしているうちに、老眼が俺にも訪れ、ゲームの細かい文字が読みづらくなってしまった。なので晩年は殆どゲームはしていない。
ポケモンGOくらいだ。
「その封印は俺たちでも解けそうですか?」
「行って見ればわかるだろうが、多分貴殿らであれば解けると思う。おそらく貴殿らはその為に集まった勇者であるゆえ」
おいおい、とんだ八犬伝だな。俺たちはビッグセブンだけど。
その意味を知ったのは、最初の層のダンジョンに入る時だったが、この時は余り深く考えて居なかった。
「とにかく最下層まで行けと」
「そう言う事だ。危険は余りないと思う。多分各層には外敵の侵入を防ぐ為の仕掛けや衛兵がいると思うが、貴殿らなら突破は容易いだろう」
「そして最下層まで行ったら?」
「行くだけでいい。そこには誰も居ないだろうが、たどりついた者にとって、有益な何かがあるだろう」
良くある地下迷宮の様に、後から悪い魔物が入り込んで暴れ回っている。とかではない様だな。
「あとは封印を掛け直しながら、全員で地上まで戻って来て貰いたい」
「承りました。俺も一つ願いがあります」
「何なりと」
「探索に成功したら、今俺たちがいる玄関を雨除け用の住居として、狼達に使わせてやりたいのです」
「そもそもこれほど長きに亘って地下迷宮があばかれなかったのは、狼達が上に住みついたからだ。その願い、主に伝えよう」
さてこれで、俺たちの旅で初めてのダンジョンクエストが始まる事になった。
あんまり気乗りしないけど、扉の鍵は仲間と開けよう。




