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11-12.四娘

※第11部の主な登場人物

◯旅の仲間(ビッグセブン)

メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者(イノベーター)"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。

聖狐天の父となる。

オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。

コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。

ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。

パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。

ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。

コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの恋人。

○ナンバーズ

四娘…隠密活動に特化。謎の侍女人形(オートマタ)

○妖狐一族

白銀丸…初代妖狐の娘。医術に優れる。真名はイネ。

◯ナイラス神界

アヌビス…ミイラ製造者の神。父はセトだが、実の父はオシリス。オシリスの体を繋ぎ合せて再生する。母はネフティス。パーサを妹とし、マァトに思いを寄せている。

ラー…太陽神。

マァト…ラーの娘。アヌビスに思いを寄せている。

セベク…鰐頭の神。セト家の執事。

レネネト…コブラの頭を持つ女神。セベクの妻。

ハトホル…愛と美の女神。永遠の17歳。

○狼の群れ

ウプウアウト…狼神。

サラ…ウプウアウトの母。

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


11-12.四娘


「あれが誰もその姿を見たことがないと言う」

「四娘姉さんだがね。アシもこないだ見回りしとったら、急に声を掛けられて初めてあったんだて。それでも顔は見せてくれーせん」

謎の四娘の事は神界でも話題で、若い男神の中では、いつの間にか絶世の美女という事になってしまい

『誰が四娘を射止めるか?』

と言う様な騒ぎになってしまった。

しかしもちろんそんなお調子者の若い神々に四娘が捕まる訳がなく、ストーカー化した者達に、シバヤンが

「今度見かけたら、滅する」

と宣言したため、騒動は収まった。


パーサによると四娘は隠密行動のために特化されたナンバーズで、勝手に信者である盗賊達の絶大な信仰があり、その者達を密偵に使う事もあると言う。ペンジク神界の神々は、自分の都合で動いて居るだけで、特に人間にとっての正義の味方ではないので、四娘が盗賊を使っても特に問題はないのだった。四娘の方でも盗賊に便宜を図る様な事は一切ないので、それ程盗賊の事を信用してはいないとの事だが。


「四娘姉さんのあの黒い霧の姿だけでも、見た者は少ないんだわ。今度五娘に自慢しよかしゃん」

黒い霧の目撃談は100年に一度程。製作者のシバヤンと主人のサンディを除けば、素顔を見た者はいないとの事だった。

「まあ、あと4回は黒い霧見られるでよ」

手術の度にバグを取りに来る。という事か。


あと4頭の手術は滞りなく終わった。

と言っても、ビスに比べればバグが寄生していた期間が長いので体力の消耗が激しく、師匠が特別に犬属用に調合した生命力回復ポーションをかなり使わないと、今にも冥界に旅立ちそうだった。

しかし粘り強い3人の施術者の努力で、ようやく4頭とも助かった。

一頭の手術の終わるたびに四娘はバグを受け取りに来た。


4頭目の手術が成功した時、パーサからバグを受け取った黒い霧は、直ぐに帰ろうとはしなかった。

「姉様、どうしやあた?」

とパーサが尋ねると、

「此度はもう一つ、頂いて行くものがある」

と言った。

その後の事を俺は良く覚えて居ない。


パーサによると、俺の姿が黒い霧に包まれて、霧ごと消えてしまったと言う。

うろたえるオコがパーサに

「なぜお姉さんを止められなかったの?」

と問い詰めたそうだ。パーサは

「こちらも木っ端微塵に破壊される覚悟なら同士撃ちはできたかもしれせんが、そんな戦いやらきゃあたら、メグルさが死んでしまうでよ。それに四娘姉さんは敵じゃにゃあ。何か考えがあるんだて」

オコも待つしかなかったと言う。


俺は意識を失っていたらしい。

多分夢を見ていたと思うのだが、思い出せなかった。

気がつくと

「メグっ!メグっ!」

と呼びかけるオコの声で目が覚めた。

「良かった。気がついたのね!」

俺は翌日森の広場に倒れていたと言う。

「何があったの?」

「思い出せない」

思い出そうとすると激しい頭痛が襲う。


何か夢を見ていたはずだ。

とてもいい夢や、何か役に立つ夢を見たあと目が覚めて、その夢を思い出そうとしても思い出せない事が誰がでもあると思う。

悪夢に限ってしっかり覚えて居るのだが、忘れたくない夢に限って思い出せず悔しい思いをする。

だが、ふとしたきっかけで、全て思い出す事もある。


今回もオコに看病されながら3日ほどして、夢(現実の記憶?)が、急に蘇って来た。

「パーサ」

俺は念話で話した。

「何か思い出ゃあたかね」

「多分」

「それは誰にも言ったらあかんで。アシにもな」

「判った。だが四娘に受けた指示だけは(ビッグセブン)に伝えねばならない」

「明日朝、アヌビスさやウプウアウトに気付かれん様に集めるで」

流石に察しがいい。これはナイラス神界に知られてはならないのだ。


【夢の内容1】

気がつくと、俺は何か広間の様な所にいた。

あかりは充分にあったが空気は澱んでおり、何か地下室の様な感じだ。

女が一人立っていた。

こちらをじっと見つめている顔を見て、俺は驚愕した。あの顔だ!

首を古代の斬糸に落とされて自制を失った五娘。そしてジャルディン王を庇って爆発をもろに受け、寝たきりになったシュニア王妃(ウル・オートマタ)


腹話術人形の様な顔。それが俺をじっと見つめている。

「驚かせてしまったか。隠密活動にはこの方が都合がいい。魔素(エネルギー)も使わぬしな」

シュッと表皮が顔を覆って、見た事のある顔になった。

「一娘さん?」

「一娘を知っているのか。これも仮の顔だ」

四娘は他のナンバーズの様に一娘に"様"をつけない。対等と言うより、部下が上司を対外的に呼び捨てにする、ビジネスライクな感じだ。


「人類の代表殿とそのお仲間に頼みがある。ナイラスの者どもに知られぬ様に、ある事を成し遂げて欲しい」

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