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別れ(1)

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


1-38.別れ(1)


明日でダラに到着と言う夕刻、俺たちは商団の夕食に無断参加する為、馬車を降りた。丁度2号車から2人が降りて来る所だったが、タンジンの様子がおかしい。涙を流している。明日でメルと別れるのが辛い?


「いや大変有り難い秘密を教えて頂いた。これでわしのこれからの道が定まった思いです」

「こちらこそ、あれ以来誰にも打ち明けられず本当にこのままで良いのか、ずっと悩んでいました。でも秘密にして来たのは、タンジン様に打ち明ける為だと、今分かりました」

メルが告った?とオコが目をキラキラさせていたが、違うぞ。


「主上とヨウコ様は生きて居られる。例えそれがメル殿が見た夢幻であっても、わしはそれを信じて生きて行きます」

「本当にタンジン様に会えて良かった。タンジン様、今後は?」


「『主上はあえて衆生を救うために、ボン(梵)の高みに上るのを拒まれたのではないか?』これは翌日あの現場に花を手向けたある僧の言葉です」

「はい。小さい頃聞いたジョウザのボン様たちは、雲の上の神様。でもヨウコ様は違う。私の近くにいて下さる」

まあ今そばにいるけど。


「そうです!私はこれからの人生、この教えを民に広めようと思います」

「素晴らしいご決意です」

「そしてもう一つ、大きな野望があります。ボーサットが衆生を救うならば、やがて衆生を救う事で悟りを開いてボン(梵)となるボーサット(菩薩)がいてもいいと思うのです」

「衆生を救うためのボン…」

「はい、そう言う方を私は探したい。ああ主上が本当に生きて居られたら」

いやいや俺そんな崇高なの無理だから。


「メル殿は?」

「ダラから南にある、故郷に帰ります。そこで私の前世の師、マーリン様に師事しようと」

「メル殿は今でも最高水準の魔術師ですが、かの大魔術師の教えを受ければ、世界に並ぶものの居ない大魔術師になれましょう。そしてそうなった暁には?」


「ヨウコ様のように人々を救う存在になりたい。全ての者に優しさを与えるような」

ヨウコも随分高評価。でもメル、だったら"可愛くない"で野生動物殺しちゃダメだぞ。


メルはこの後、里でマーリンの教えを受けて完全なる魔法制御を学び、マーリンの故郷、極西の地で、暴虐非情なる王侯貴族の圧政と戦い

「至高の大魔術師メルハバ(普遍的称号)」

「箒で飛ぶ暴風の大魔女(敵側主観)」

「千の刃を持つ戦乙女(味方兵士側主観)」

などと呼ばれる。


巡礼タンジンはその後各地に伝説を残す。

タンジンこそが衆生救済を願として覚者(梵)となったアミータ(阿弥陀如来)本人。

という説が醍醐学者の一部では唱えられているが、通説ではタンジンの呼称はインクアイラ(探求者)である。

タンジン…


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