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8-34.妖狐の家々

※第8部の主な登場人物

◯旅の仲間

メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者(イノベーター)"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。

聖狐天の父となる。

オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。

コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。

ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。

パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。

ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。

コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの恋人。

◯その他の登場人物(神)

イグルー…大氷原の村の娘。村長の孫。メープル朝の末裔。

パナ…元八娘のパー子。人間となってアルディンの妻となる。

アルディン…バクロンのイザン朝第五王子。王位を捨ててパナと結ばれる。

神官…記録の神殿のマッチョな神官。料理を始め、おもてなしの達人。

エノキド…世界の果ての宿屋主人。

メラッサ…エノキドの妻。

◯ペンジク4神

シバヤン…南レムリア最高神の一人。破壊と創造の大神。

パトゥニー…シバヤンの第一夫人。慈悲と再生の母。

サンディ…シバヤンの作った美少女人造最終兵器でシバヤンの第二夫人。

キャーリー…シバヤンとパトゥニーの娘でサンディの妹。人生崖っ淵の最後の希望。漆黒の美少女神。

◯ナンバーズ

一娘…最初に生まれた自動式侍女人形(ナンバーズ)にしてシバヤン家の宮宰。シバヤンも頭が上がらず、ナンバーズ全員に恐れられているスーパー秘書。

五娘…ナンバーズにしてキャーリーの親友。レムリア最速。

二娘…ナンバーズだが、現在は聖狐天の部下になっている。武芸の達人でメル、オコ、御供の師。

七娘…巨大スーツに乗り、宇宙での活動も可能なナンバーズ。

六娘(ロク)…ナンバーズの一人。ナンバーズ唯一の人間の消化器官を持つサイボーグで、シバヤン家の料理長。

◯箱庭世界

ハヤテ…警備隊長。

ノモ…村長のコボルト。

影夫…力試しトーナメントに出て来た謎の存在。

ハピネス…箱庭世界魔物国の女王。

ゾフィア…第一王女。

レティア…第二王女。

◯冥界の妖狐たち

先代妖狐…若くして死んだのち引き篭もったため世話出来なかったオコを気にかけている。

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


8-34.妖狐の家々


「今なんか言わはったか?」

「いえなんでもないですわ。ところでなんでわたくしは起こされたのですか?」

「いや他意はないで。目覚ましポーションのテストや」

「なんですの、もう人騒がせな」

オコは今回のパナの経緯を話した。

「ああそれでですのね」

「なんやて!あんたなんか知っとるんか?」

「何も。ただ最近夢の中で頭の周りを手が羽根の女がくるくる飛んでるので」

どうも女王の一念がそんな形で現れる様だ。


依代を再び引き離す方法は先代も知らなかった。

実は旅の前に、念話で聖狐天のところの先先先代(サンコン)にも聞いたが、やはり同じだった。

しかも鼎尾銀狐(サンコン)にしっかり釘を刺された。

「今回の事でシバヤン殿に手法が流出するのは良くないです。メグル様やノヅリ様が直接手術をやっていただけないでしょうか?」

主である聖狐天暗殺に繋がる軍事技術と言う事だった。

それは難しい事を話し、シバヤン家(シバヤン、パトゥニー、キャーリー、サンディ)には神聖な誓いを立てて頂く事で納得して頂いた。


そもそも聖狐天を作ったのはシバヤン家で、今回の手法を知らなくても聖狐天を害する事は容易いだろう。

シバヤンが、聖狐天にシバヤンの属性が入らない様、どれだけ腐心(主にコンコンとダガムリアルへの依頼)したかを話し、シバヤンが聖狐天を滅する利害はない事を話して、なんとか理解して貰った。

俺たちが施術をやったら悲惨な結果しか想定出来ない。


「これは次々と起こしても意味なさそうやな」

魔剤の購入数にも限度がある。

「もう一人だけお会いしとこうか?」

「お義祖母(コンコン)様、もしかして?」

「戦狐やで」

「キャ〜ッ!」

オコがピョンピョン跳ねる。

何百年も前、アンゴルモア大王のレムリア征服の際に一歩も引かずにジョウザを守り抜いた妖狐だ。

自身も大変お強い方だったが、何万というアンゴルモア軍に対し同じ位の数の兵馬俑(リモートロボット)を動かして守り抜いた大魔術師でもあったそうだ。ジョウザでの座学でも英雄扱いだった。


戦狐の家は随分距離が離れており、ステルが1日で走れるギリギリだった。

「多分ここやけど」

歴代妖狐にあてがわれている、小じんまりしているが豪華な住宅とは違い、戦狐の家は丸太小屋だった。

流行りのログハウスと言うより

「背理法♩」

とか歌いながら巨人が覗きそうな山小屋だ。

そして驚いた事に、一人の農婦が薪を割っていた。

てかそれが戦狐だった。

40歳位だろうか?日に焼けた小柄な農婦。

しかしおそらく化粧っけのない顔に宮廷美顔術を掛ければ結構な美人だろう。


「戦狐様、お久しぶりです」

コンコンが満面の笑みで呼びかける。みんな戦狐が大好きなのだ。

「ああ、チビちゃんか。元気かい?」

ちょっと北関東の訛りがある(良く知らないけど)。

先々代をチビ扱い出来るのはこのお人だけだろう。

「はい!」


「戦狐様、お休みになっておられないんですね」

「あ!辞めた子だ!」

戦狐は、学生時代本店でアルバイトし、今は故郷で支店(フランチャイズ)を起業している某本屋(バンガード)の支店長の様にオコを呼んだ。

「はい、辞めた子です!サイン下さい!」

オコは妖狐を辞めた事に引け目はない様だ。嬉しくてちょっと涙ぐむ。

「そこでメソメソしてんのが旦那(モトボン)かい?おい、この子、幸せにしてやんなよ。妖狐辞めんのよっぽどなんだよ」

「はい、終生添い遂げて幸せにします」

結婚式の時の様な事を言わされた。


「あん?ワシが起きてる理由?忙しくてねえ。旦那がアレになっちゃったもんで」

戦狐の主のボンは、アンゴルモア帝国に折れなかった(いくら妖狐が勇ましくても主がグダグダなら負け)功績により如来に成仏したのだ。

「「「おめでとうございました」」」

「まあ大通智勝っていうマイナーだけどもさ」

いやいや如来だもん。俺がなれなれって言われてる菩薩位とは格が違う。

大いなる知恵の力で勝利した。と言う意味だろう。


コンコンは今回の話しを大雑把に話した。

「ああ依代か。ワシは羅漢果の実を使うとったが、兵馬俑は使い捨てだからなあ。再利用とかは…。ああそうそう、アンゴルモア配下の大東暗黒魔術師が、兵馬俑の依代を分離して無力化する護符を使おうとしててな。ワシが気がついて粉砕したが」

「その、全部?」

「ああ、一枚記念に持っとるよ。そこの手箱に入れたはずだ」

箱根細工の箱をカチャンカチャンと動かして、蓋を開け、黒光りする金属製の護符を渡してくれた。

「これ、どうやって使えば」

「知らね。初代様ならわかるかなあ。あるいは力ある道士なら」


「ありがとうございます」

初代様で分からなくても、大東史上最強の道士なら知り合いだ。

「うまく行くといいなあ。それからオコの旦那よ」

「はい」

「面倒だろうが、菩薩にはなっとけ。醍醐系の福利厚生(レクリエーション)施設はいいぞ!特に温泉が」

「まあ引退(リタイア)したら」

「それでいい。若いうちは記録の神殿で我慢せんとな」

え?あそこよりいいのか?


「ちょっとタンジンに会ってくる」

いいかげんにしなさい!

とオコにハリセン(流石に竹針は抜いてある)で突っ込まれた。

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