8-33.冥界への旅路3
※第8部の主な登場人物
◯旅の仲間
メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。
聖狐天の父となる。
オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。
コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。
ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。
パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。
ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。
コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの恋人。
◯その他の登場人物(神)
イグルー…大氷原の村の娘。村長の孫。メープル朝の末裔。
パナ…元八娘のパー子。人間となってアルディンの妻となる。
アルディン…バクロンのイザン朝第五王子。王位を捨ててパナと結ばれる。
神官…記録の神殿のマッチョな神官。料理を始め、おもてなしの達人。
◯ペンジク4神
シバヤン…南レムリア最高神の一人。破壊と創造の大神。
パトゥニー…シバヤンの第一夫人。慈悲と再生の母。
サンディ…シバヤンの作った美少女人造最終兵器でシバヤンの第二夫人。
キャーリー…シバヤンとパトゥニーの娘でサンディの妹。人生崖っ淵の最後の希望。漆黒の美少女神。
◯ナンバーズ
一娘…最初に生まれた自動式侍女人形にしてシバヤン家の宮宰。シバヤンも頭が上がらず、ナンバーズ全員に恐れられているスーパー秘書。
五娘…ナンバーズにしてキャーリーの親友。レムリア最速。
二娘…ナンバーズだが、現在は聖狐天の部下になっている。武芸の達人でメル、オコ、御供の師。
七娘…巨大スーツに乗り、宇宙での活動も可能なナンバーズ。
六娘…ナンバーズの一人。ナンバーズ唯一の人間の消化器官を持つサイボーグで、シバヤン家の料理長。
◯箱庭世界
ハヤテ…警備隊長。
ノモ…村長のコボルト。
影夫…力試しトーナメントに出て来た謎の存在。
ハピネス…箱庭世界魔物国の女王。
ゾフィア…第一王女。
レティア…第二王女。
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
8-33.冥界への旅路3
「あては先に行ってますえ」
コンコンは本来冥界の存在なので、わざわざ世界の果ての宿屋を通らなければならない理由はない。
そのまま姿を消した。
シバヤンの宮殿からいきなりだって行けるのだが、もうこれは温泉でいっぱいやりたいとか、大氷原の村でお気に入りの犬達に会いたい。とか、パトニカトルんとこでワインが飲みたい。といった自分の都合だろう。
宿屋の主人、エノキドは話を聞いて
「それは厄介事になったなあ。冥界の蝋燭殿に行けば、そのパナと言う女性のおおよその寿命がわかるだろうさ」
そう言うのもあるんだ。イマー様の部下が現世に迎えに行くために、対象者のおおよその寿命を知る為らしい。
「まああれは目安だがな。今にも尽きそうな蝋燭の人が、新薬がよく効いて次の日蝋燭が凄く伸びてたりする。ああそうだ。呪いならウチのが専門家だよ」
「なんですよぅ。人殺しの悪鬼みたいに」
まあ間違ってはいないだろう。エノキドの現在の妻メラッサは悪鬼ウンババに操られて、ギルガメシュを殺した毒婦だったのだから。
「まず、呪いには二種類あってね。相手を害そうとして発する呪いと、一念が強すぎて知らず知らずに発動する呪いだけど、今の話では後者ね。その女王さんは娘を拐かした相手を呪ってはいない。ただ娘に帰ってこいと呼びかけている。実はこう言うのが一番厄介なのよ」
師匠が熱心にメモを取っている。前者の呪いなら師匠も人間界では第一人者の解呪研究者だし、かける方の第一人者のメラッサ自身が後者は厄介だという事は、ちょっとやそっとの解呪では役に立たないという事だ。
「ナイラスの鎖国は誰も害さない呪いですよね?」
「あああれは坊やが解呪したんだったね。あれは元々解呪条件が記載された呪いだから、坊やにしか解けなかった代わりに坊やなら簡単に解けた。今度のは自然発生だから、女王にもやめられない。と言うより呪いを解くには一つしか条件がない」
レティアを連れ帰ると言う事だな。
やはり真っ当に初代から依代技術の真髄を学び、パナとレティアを分離するしかない様だ。
「まああんまり愛想がないのもいけないからさ。玉藻のやつに手紙を書いてあげるよ。あいつが追われてる時に匿った恩を覚えてるなら、役に立つかも知れないよ」
初代はボンに会う前に、この宿屋に隠れて傷を癒していた時期があったそうだ。悪女同士、古い輩だという。
『この坊やはうちの旦那のお気に入りなんで、よくしてやっておくれな。メラッサ』
だけの短いメッセージだったが、ありがたくいただく。
その後は渡し舟に乗って冥界入りの審査を受け、2日後に許可が下りる。
「遅かったな。蝋燭殿で見てみたけど、パナの蝋燭、ごっつい太くて長いで。ただちょっと」
「ちょっと?」
「ヒビが入ってはる」
折れたらアウトじゃないか。
ヒビが呪いによる状態異常という事か。
「まあふっとい蝋燭やったから今日明日という事はないやろ。気になるんは、そうやのうて」
なんだ?
「ハーピーの女王の蝋燭が、あと1cm位しかないんや」
長寿な種族の寿命は長いので(これじゃどっかの政治家みたいだ)、この1cmが何年に当たるのかは判らない。
カゲロウの蝋燭も人間と同じ長さがあるが、物凄い勢いで燃え尽きるそうだ。
ただ女王の死期が迫っているのは確かで
「もしレティアが戻る前に女王が死んだら?」
「その念が残って、女王は悪霊になるやろな」
マズすぎる。急ぐに越した事はない様だ。
「出発しようぜ」
冥界の旅は飛んで行くわけには行かないが、輿を乗せたステルが走ってくれた。トトムは若く、冥界の空気が良くないと行けないので、宿屋の手前で放空(放牧の鳥版)してある。
「もうすぐ初代の家やで」
本当に没年の近さが距離に比例している様だ。
「寝とる寝とる」
先代は初めて見る顔だが美少女だ(オコ痛い)。
声はオコが人間になる時に聞いた事がある。
寝台に死んだ様に(シャレだ)横たわっており、随分色っぽく寝乱れている。先代のボンは大東と色々あって平均よりは若くして亡くなっているので、先代も若い。
かなり時間が立ってカチカチの餅とかが散乱しており、時々は起きる様だ。
「当たり前やろ。御不浄行かないかんさかいにな。10年に一度位は」
膀胱でかっ!
まだデビューしてなかったのでベンガニーのものではないが、極彩色表紙の宮廷小説が開きっぱなしで置いてある。
「あ、これ先代様の遺品庫にあったやつだ。懐かしいなあ」
オコが娘の様な嬌声をあげる。まあうちの嫁も年齢だけなら充分娘なんだが。
「じゃあ例の薬を試して見ようかえ」
コンコンがポーチから、例の紅白顔男から買った瓶を取り出し、先代の口に流し込む。
「うーん…。あれ?もう100年たちましたの?え?いやあ!男ぉ〜っ!」
まあ目が覚めたら7人もいて、中に2人男がいたら驚くかも知れないが、そこまで拒否らんでも。
と思ってたら、あっと言う間に先代が飛び上がり、俺と師匠は床に叩きつけられていた。
「は、速い!」
オコが驚愕している。
「堪忍え。この子は自分の旦さん以外の男はあかんのや」
「お義母様!」
今度は先代が床にへばりついた。
よっぽどコンコンが怖いのだろう。
「嫁の紺と申します」
先代は幼少から先先代のコンコンに厳しく躾けられた。主の死に責任を感じて引き篭もってしまったので、オコはこの先代にあった事はない。コンコンは孫を不憫に思い、影からずっと見守っていたと言う。
「とりあえずポーションは効き目抜群やな」
「凄いですね。効き目の期限は?」
「繁忙期が終われば卒倒や」
「オコちゃんでいいのね。義母が病弱で苦労を掛けました。百年たったらまたお買い物いきませうね。その頃には鬼姑も弱ってるだろうし、二人で銀座三越にお買い物に行きませう」
一体この人のキャラクターモデルは誰なんだ?




