55-20.新帝謁見2
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
55-20.新帝謁見2
「ようこそ参られました。人類の代表洲都呂卿よ。朕が大東皇帝である」
大東では皇帝の名を直接呼ぶことはない。
陛下だ。
先代の老帝は
「万歳爺」
と呼ばれていたが、新帝には流石に使わない。
また〇〇帝というのは諡で、崩御されてから次の皇帝の時代で決められるものである。
これは前世の日本でも同じで、年号に天皇をつけるのは崩御されてからだから(昔は諡と年号は別だった)、現在は昭和天皇までだ。
武家社会でも直接名を呼ばないのは同じで
「信長様」
などと呼んだら首が飛ぶのを覚悟せねばならなかった。
「御屋形様」
「大御所様」
などと、その人の立場に応じて呼称が決まっていた。
ちなみに江戸幕府の大名・旗本(奉行所だと与力クラス)を奥方は
「殿様」
その下の御家人(奉行所だと同心クラス)の女房は
「旦那様」
と呼んだ。
中村主水もそう呼ばれている。
「帝にあらせられましては麗しきご尊顔、拝謁いたしまして恭悦至極に存じます」
と、予め予習した通りに口上を述べた。
細かい所にこだわると
「恐悦至極」
は畏れかしこまるさま。
「恭悦至極」
は相手の好意に最高に感謝する。という意味で、人類の代表は大東皇帝の上でも下でもないので、こっちが相応しい。
自動翻訳されたレムリア語では同じだが、宮廷の書記官は漢字で速記するので、この違いは大きいのだ。
まあ
「会えて嬉しいです。お元気そうですね」
くらいの意味ではあるが。
「丁寧なる挨拶。痛みいる。早速だが、此度の訪問の目的をお聞かせ願いたい」
もう全然11歳じゃない。
だが顔だけ見れば小学生だ。
「承りました。それでは」
「人払いだな?」
皇帝が右手を上げると、潮が引くように家臣が去る。
もちろん、外国使節の中に暗殺者が居る可能性はあるし(うちには約3人ほどヤバい奴が居る)、書記は記録せねばならないので、何人かは残る。
もちろん隠密警護の者や、班田派のスパイも聞き耳を立てていることだろう。
人払いと言っても皇帝は決して孤独ではないのだ。
ただし味方は一人もいないが。
古代魔法の甲骨文字結界の中で、コンコンの結界術が通用するか?
については事前に確認済みだった。
「それは初代様が対策済みや。結局使わへんうちに蓬莱に追放されたけどな。まあいきなり新帝とあてらがおらん様になるし、甲骨文字結界の警報が鳴りっぱなしになるよってに、宮殿中大パニックになるやろけどな」
と、なんだか嬉しそうだ。
初代様でもやらなかった実験を自分でできる。
というのが痛快らしい。
師匠によると、蓬莱野孤系の結界術は、認識疎外を基本にしているので、深刻な干渉はないだろう。
との事だった。
ちなみに古代結界がガッチリ球形に展開されているので、コンコンの得意技
「エレベーター地下結界」
は使えない。
まあ俺も対策は用意してある。
「ほうこれがビッグセブンの結界か。刮目すべきものだな」
と新帝は興味津々だ。
「皆様が外でお待ちです。手短にお話をいたしましょう」
「分かった」
御意は目上に対してなので、皇帝は使わない。
「五香はいかがですか?」
皇帝は既に五香の素性も、派遣の目的も承知している。
「快適だ。まるで母の懐で眠るが如し。その上事務作業では、もう元には戻れぬ頼もしい秘書だ。その上、宮中に来てから6人の間者を始末している」
「お褒めいただき、ありがとうございます。渋るキャーリー神を説得した甲斐がありました」
「うむ。大東朝廷は無論天帝様を信仰しておるが、醍醐教を信じる者もいる。朕も持仏をこのように」
懐から小さめの神像を取り出す。
「珍しく女形の大黒天ですな?」
腹の出たニヤニヤ笑いのおっさんではなかった。
「大黒天は醍醐教ではペンジク神界シバヤン神の習合。とされているが、密教派は息女のキャーリー神と習合させる様なので、この様に朕も持仏としてして、五香を賜った感謝を捧げている」
大東でも蓬莱でも醍醐教は外来宗教だが、帝をはじめ醍醐教への信仰心を持つお方も多いらしい。
特に大東の主要宗教のタオ教は
「無為自然」
が信条なので、ご利益を求めて強力な密教の方が人気がある。
「それで、お話とは五香の返還について、ですか?」
急に皇帝口調でなくなる。
やはり母とも慕う五香がいなくなるのは心配な11歳なのだろう(オコたちの感想は違う模様)。
「キャーリー神様には、畏れ多くも帝の現世でのご滞在が尽きるまで(要は死ぬまで)、と約定を頂いております」
「そうか!それは有難い。だがキャーリー神様は、朕の寿命が千年以上ある事をご存知か?」
それ、ちょっと頭痛い。
「永遠に続く神々の命において、100年も1000年も大差ありませぬ」
五香が口を開く。
「嬉しいことを言ってくれる」
新帝は本当に嬉しそうだった。
「今回の訪問の目的はそれではございません。陛下は先帝の晩年に、宮殿結界の一部が書き換えられたのを、ご存知ですか?」
※55部の主な登場人物
◯旅の仲間(ビッグセブン+α)
メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目なまもなく18歳(僕)と結構浮気症な66歳(俺)が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表(略して人代)"を押し付けられる。
聖狐天の父となる。朱雀国ガルーダ元帥となる。
オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。大聖母。
コンコン…先先代妖狐。通常は子狐に憑依しているが、最近は仙桃の力で元の姿も長くとれる。
ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。第26部でさらなる進化を遂げ、龍神ケツァルコアトルにも化身。別名悪食。
パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスと美しい牝馬に変身出来る。
今後は小説家になるらしい。
ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの夫。
コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの妻。
"僕"…"俺"の中に共存する肉体の本来の持ち主。スミティと共にウラナに様々な助言をする。
メルファ…元聖狐天四天王。元暴風の魔女メル=ハバ。大聖母の騎士となる。
八咫…ノヅリ師匠とコリナンクリン社長の息子。寄宿舎学校に通っている。
トトム…師匠と社長が駆る飛竜。知性が芽生えつつある。
○聖狐天神界
聖狐天…オコを崇める人々の信仰が造り出した神をオコの分魂とメグルの造った依代で具現化した新しい神。ウラナ夫妻の娘。
シャミラム…聖狐天四天王の一人。元北風の巫女。
サンコン…聖狐天四天王の一人。オコの先々先代の鼎尾妖狐。
二娘…聖狐天四天王の一人。ナンバーズ一の武人。
シグルーン…沼地の魔女。悪霊島に元から住む魔女。正体は元オーディンの戦乙女。メルファに代わって聖狐天四天王の一人になる。
ドルマ…ゴルモア大草原の元霊犬。聖狐天を守護する魔喰い。よつばを産む。
○ナンバーズ
一娘…ナンバーズの統括。シバヤンの宮宰。
五〜七娘の母。
二娘…武人。聖狐天に仕える。八娘の母。
三娘…シバヤン宮廷の家事一般を取り仕切る。完全なお掃除をする侍女人形。
四娘…隠密活動に特化。上警で働く侍女人形。
五娘…キャーリーの親友。足が速い。大東に送られるに際して、五香と改名。
六娘…唯一人間と同じ消化器官を持つ。記録の神殿で修行中。
七娘…背が高い。宇宙での活動に特化。
八娘…パーサ。クローン分裂したもう一人の八娘のパー子は、人間のパナとなりバクロン元第5王子にして元国王アルディンの妻。
○その他の神・人
アドミン…管理者。スミティを派遣する。
スミティ…アドミンに派遣されたエージェント。メグルの脳内で、メグルの宿主意識の少年と暮らし、メグルに助言する。
マーリン…古代の魔術師。元人類の代表。因業爺。超古代の英雄神イーオンの転生。太古の名はアダムらしい。ゴンドワナでは白いフクロウを依代とする。
ベンガニー…元ジョウザの侍女。大ベストセラー作家。今回はコンサートツアーギョウザ公演のプロデュースと新しい"3メタル物語"の脚本を担当。
小孫妹…ベンガニーが飼っている金糸猴の小猿。
パピーズ…レムリアとゴンドワナを行き来出来る4人の犬人の子(ウラナ、オコ、ノヅリ、セイコのαと4匹の橇犬の仔犬(同β)。
3メタル…初代妖狐の娘白銀丸、初代妖狐の義妹の黄金丸、赤銅丸。
レナルド・ダンチビ…妖狐の里の天才発明家兼工房長。
イグルー…大氷原の族長の娘。ヤクスチランワイン貯蔵庫責任者。ベンガニー本のヤクスチラン語翻訳者を目指している。自著名"威愚瑠烏"
トマレ…大氷原の少女。
ウメダ…元チャガマン公国の王子、現在はアマランタインの夫。ハーフエルフ同士の子。
アマランタイン…千年の眠りから覚めたエルフ女王。
ハツホ…ウメダとアマランタインの息子。
レムリア…レムリアくん。レムリア坊や。ミグルディアの命名。マーリンとハトホルの子。高位の生命体、またはプログラムと思われる。ミグルディアによって新たに『幼な子の君』と名づけられる。本人の希望で『カーヨット』と呼ばれる事になる。
マリス・プロタ…元マチアス・ナビル。名付けの聖女ミグルディアの名付けによって、新しい名を名乗る。
ミグ・プロタ…元ミグルディア。ミグルディアはマーリンの養女。名付けの聖女。
テケ…ルディン村にいた孤児。体力抜群でボディガードに抜擢された。
レイラ…山賊村の姉妹の妹。抜群の動体視力を持ち、上警の捜査官になった。
エール…山賊村の姉妹の姉。結界の展開能力に優れ、上警の捜査官になった。
羽鳥子蔵…異我忍者の上警捜査官。仲間の負った怪我を代わりに引き受ける能力を持つ。
ドロシ…ダンチビの姪。傀儡魔法の才能を持つ。
○オコの家族
吐心…父。蓬莱系移民。
サリナ…母、妖狐の里一の踊り子だった。
御供…オコの弟。二娘とメルファに師事。請われて女神モリガンのタイラン軍に入隊。
リュナ…オコの上の妹。商才に長ける。
愛…オコの下妹。魔性の妹で今はローカルアイドル。
メルファ…元暴風の魔女メルハバ→聖狐天四天王→ビッグ7の8人目のメンバー。
○神々
ダガムリアル…古代神の一人。滅亡したドワーフの祖先神で工芸の神。キャーリーと結婚。
シバヤン…ペンジクの有力神。破壊と創生神。
パトゥニー…シバヤンの妻。慈母の女神。
キャーリー…シバヤンとパトゥニーの娘。ダガムリアルの妻。漆黒の女神。太古の女神スバーハと習合している。
アヌビス…ナイラスのミイラ作りの神。パーサの義兄。馬鹿助。
マァト…太陽神ラーの娘、冥界審査官、冥王補佐、アヌビスの恋人。
記録の神殿の神官…本名は漆黒大陸の神オニャンコポン。
アンゴルモア大王…ゴルモア人の大草原冥界で暮らす先祖神。
モリガン…タイラン島の女神。実体はナイラスのマヤ・ティティ。マヤ・ティティはモリガンの頭の中で夫のイグナスIII世と共存している。
ターワン・ラメン…古代ナイラスの元帥で御供の守護霊。タイラン島の猿人を指揮するため御供を左腕にして復活する。
レムリア神…ついに明らかになったレムリア最高神は宇宙生命体天御中神だった。レムリア神は天御中神の作ったプログラムで、生命の創造と進化を担当。
ワダツミ大神…蓬莱の海神。ムーの主神でカナロアと呼ばれたが、本当はオケアノスと言う古代の海神。正体は宇宙生命体天御中神の組んだプログラムで、生命の環境を整える役目を負う。
朱雀王…朱雀神界の主神。メグルの主筋。
高御産巣日神…天御中主神、神産巣日神とともにレムリアを訪れた神。天御中主神の作ったプログラムか?別の宇宙生命体か?
日見呼主命…蓬莱の主神。正体は不明。
スクナヒコナ…ヒーナル。波乗りする小さな神。ワダツミの子として、ワイハ人をムー島嶼に導いた。正体はワダツミ大神の創造した上位エージェント。
伎芸天…所属神界のない芸能神。芸能事務所社長。実は醍醐如来の娘にあたる。
フォクシー御酒子…3メタルの振付を担当する世界的振付師。
三元道士…マーリンの弟子の一人でコリナンクリン社長の同級生の親友。
ドスル…名前を奪われた元古代神ロキ。放浪しながら魔女を追う。現在は軍師。
パトニカトル…現レムリア神界最古の神。酒神。ヤクスチランの主神。オオモノヌシとも言われる。
ハトホル…ナイラスの女神。マヤ・ティティの母。前世はイブ。
ハマチャーン…ペンジク神界の猿面の神。
斉天大聖…上警の上級捜査官。水簾洞の主人でハマチャーンのクローン兄弟だった。
クロノス神…運命の神。レムリア人・神々が、漠然と思う時間の神。実際には時間局を統括する四次元神。
醍醐如来…醍醐教の主神。
大日如来…醍醐教密教の主神。
不動明王…大日如来を護る五大明王の一人。だけでなく、大日如来の意を伝えるCOO役でもある。
薬師如来…醍醐神界の医療・薬学の総帥。
観世音菩薩…醍醐神界のお助けヒーロー。33の変化体を持つ。
シンダル王…エルフの祖先神。
制咜迦童子…不動明王の眷属八大童子の八男。
孔雀明王…密教守護神で、ペンジク由来の強力な女神。
西老猴、北武猴、南温猴、東徹猴…水蓮洞の四大猴。
魔光仙女…斉天大聖の娘で売れっ子漫画家。水簾洞の金糸猴。通称マコちゃん。
ディード…ポエミの神。幼名エリッサ。亡命魔神。
○敵
合理キー(仮)…パーサの首を捻じ切った謎の怪力マン。正体は天使のプロトタイプ。
ヨルムンガンド級…オケアノスが警告するラグナロクでの強敵。精神操作系の術者だと思われる。
カペラ…スミティと同等の宇宙生命体の部下。
ケイオス…アドミンと同等の宇宙生命体。
天使兵…宇宙空間でスサ大神を拘束していたフェンリル級怪力天使。生物ではない様だ。兵団単位。
怪僧…黒衣の修道僧の姿の魔女の新しい部下。天使を操る力を持つ。正体は蓬莱東国の銅居。
さらに魔界の魔王"鹿の王"の霊魂の憑依体。
虚無の女神…宇宙生命体でも制御出来ない、天体を飲み込んでしまう負の存在。ブラックホール的なもの。
豚伯爵…鹿の王の家臣の貴族。
◯第55部の登場人物・神
遂準…五葉将軍の元部下。現在の車騎将軍。
班田…引退した大東の悪宰相。
五葉将軍…暗殺されたが、現在も霊として大東のために活躍しているマーリンの元弟子。
栴檀…五葉将軍の部下の幽霊。
大東新帝…11歳の英邁な皇帝。外戚がないため苦労している。真名は超春。
秋桜…蓬莱の宰相の娘、安蜜姫の家庭教師で宰相清腹尋長の相談相手。
太公望…大東の神祇官。不死人。




