袋のねずみ(1)
転生したら転生してないの俺だけだった
〜レムリア大陸放浪記〜
1-14.袋のねずみ(1)
「さて、どうやって逃げるか…」
いや実は逃げるのは簡単なのだ。先先代から狐流の遁術、木の葉隠れを習った。子供の頃に水遁とか火遁とか忍者ごっこで散々やったが(いや出来ないが)、狐流はそう言う目眩し的なものではなく、奇門遁甲と言う陰陽術を応用して、そこにいない様に思わせる術だった。周りから見ると、突然消えた様に思えるのだが、堂々と退場するだけなのだ。
いわゆる"認識阻害"と言う能力になるかな?
オビ・ワンがタトゥイーンで見せた、フォースというやつにも近いかも知れない。
これを見破れる術者は宮殿には居ないやろ。と先先代は保証してくれた。手を触れた人にも効力があるので、ヨウコも一緒だ。
先先代が術を俺に教えてくれた時、天界のブックメーカーには、これは不正ではないかとの抗議が多数あったそうだが、天帝の裁断が下る前日に、先先代が俺に遁術を教える約束をしているのでセーフだ。
かくして、俺たちのオッズが大幅に下げられた訳だが、賭けは宮殿を脱出出来るか?に対してである。
穴狙いの神々は、俺たちが
「逃げない」
にベットしているのだ。
つまり、ただ逃げられたところで…。
「ジョウザの因果を断つことは出来ない」
からである。
タンジンの率いる近衛僧兵団は、基本宮殿から出ることはない。あくまでも呪詛や魔術、物理侵攻がボンに対して行われた時の防衛装置だ。宮殿を出て門前町を抜ければ、それ以上は追われない。
だが、ギンランが束ねる寺院や信者たちは、レムリア大陸の東半分に多数存在する。回状を廻されれば、その力が及ぶ範囲から逃げ出す前に捕まる。
運良く大陸の西部に逃れても、懸賞金でも付けられれば一生逃亡生活だ。
「やはり死ぬしかないか…」
茶道具がガチャンと落ちる音がした。
何やらヤバイ状況に!
続きは明日。セイムタイムセイムチャンネルで!
「転生したら転生してないの俺だけだった」
は毎日17時更新です。
読んでいただきありがとうございます。
気に入られましたら、
ブックマーク登録、★評価頂けるとありがたいです。




