↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/2314

袋のねずみ(2)

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


1-15.袋のねずみ(2)


ガチャンという音に驚いて振り返ると、侍女が真っ青な顔をして立っていた。茶道具が床に散乱している。

「あ、あの、早まられてはなりません。きっとボン様が主上をお助け下さいます。って主上がボン様」

訳の分からない事を言っている。


集中しすぎて侍女が入って来たのに気づかなかった。しかもつい思考を口にしていたらしい。二重の不覚だった。

慌てて落ちた茶道具を侍女が片付けている間に、隣室にあった碁の本を背中に引き寄せた。前に魔術の先生から習った、嘉門という近距離で小さな物なら引き寄せる生活魔法だ。


「いや、ここにこう石を打たれると、この地が死んでしまうが、その後の戦局を考えれば見殺しにするしかないか」

「ああ、碁の話ですか。最近主上は考え込んでおられたので、まさか自ら命を絶たれるのかと…」


「愚かな事を。私は自分を含めて、殺す事が禁じられています」

「左様でしたね。申し訳ございません」

キャピキャピ軍団の中では多少は落ち着いてると思っている、名前をベンガニーというこの侍女は、ほっとした様子であった。

「今新しいお茶を」

「ああ、頼みます」


やばいやばい。今日はヨウコが居ないのだ。いつもはヨウコが気を配ってくれるので油断していた。今の所、俺たちはすっぽり袋に包まれたネズミと同じ。どこかに穴があればいいが、あいにくどこにもない。なければ穴を開けるしか無いのだ。

俺はこれからの通過儀礼を考える。修行の完成として、これから半年、様々な儀式が待っている。


近隣巡幸(国内を巡り出家を決意する)、

出家式(実の親とは生まれた時以来会った事が無い。俺には出生以来の記憶があるので覚えているが7人目の子で、ボンを産んだことに、主に財政的な面で心より喜んでいた。こんな親でも、一応出家する挨拶をする建前なのだ)、

滝行(滝は付近に無いので、スコールを浴びる)、

火渡り行、

断食行、

徹夜の読経行。


大変な密度のスケジュールが始まる。密行も顕行もあり、顕行の場合は多くの僧の前で行う。始祖の出家と修行を、形だけなぞって行くのだ。

このうちのどこで仕掛けるか…。ヨウコと綿密に相談して行かなければならない。


ベンガニーが新しい茶を淹れて持ってきた。

「ありがとう、下がっていいよ」と言ったのだが、なかなか部屋を出ようとしない。

「どうした?」

「主上がお疲れと存じまして、せめてもの息抜きに私が手作りした物をお持ちしました。喜捨をお受け下さい」


このような時ボンは断ってはならない。

例え貧しい子供が木を削って作った不細工な人形であっても、ボンは感謝して受け取るのだ。ましてこの娘は俺の気疲れを察して、せめてもの慰みに手芸品か何かを贈ってくれたのだ。

平たい木箱を押し付けるようにして、ベンガニーは走り去って行った。


なかなかしっかりした娘も中にはいるのだな。あの子はキャピキャピする仲間達を、いつも後ろで微笑んで見守っていた。

茶を飲みながら木箱を開けると、意外なことに手綴じの冊子だった。

題名は

「宮廷物語-ポン様とキョウコの物語」


お前かぁ〜っ!回し読み本の作者はっ!!

ベンガニー結構好きなキャラですw


読んでいただきありがとうございます。

気に入られましたら、

ブックマーク登録、★評価頂けるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。