闇夜と月光と
ゲーム内では深夜、月もなく星の煌めきが美しく夜空を彩る草原地帯、普段ならあまり敵性モンスターとの遭遇も少なく、大都会の眩しい夜に疲れた人々の癒しスポットとして密かに人気を集めていた。今まさにその美しい草原を4つの影が息を潜めて何者かの到着を待っていた。
「ねぇ、本当にいるのかな?」
「大丈夫だって、ここでの目撃情報が1番多いんだからよ」
「けど、何人か死に戻りしてるんでしょ?」
「心配すんなって!実際1匹倒されてるんだから」
「けど....」
「しっ!前方から何かきた!」
この4人パーティーの中で<Scout>の役職の女プレイヤーが何かを察知し他の4人に注意を促す。このパーティーのリーダーらしき大剣を担いだ男が目を凝らして前方を見ると確かに全体的に細身の人型の影が音をたてずに動いてるのがわかった。
「まちがいねぇ噂のロボットだ」
「リーダー作戦はどうする?」
全身鎧を見に纏い身の丈程の大型盾を持ち獅子のたてがみの様な髪を持つ獣人種の男が大剣を持つ男に問いかける
「まず魔法を撃ち込んで動きが止まった所を全員で囲ってボコす」
「お前は合図で一番強力なやつを撃ち込め」
「うん、わかったよ...」
大剣の男に指示された妖精種で小柄で三角帽子をかぶっ気の弱そうな男は魔法の準備にはいる、他の3人は気配遮断のスクロールを使いObjctに定めたロボットに接近し、その距離が確実に仕留められる距離になった時男は叫んだ
「今だ!やれ!」
だがしかし一向に魔法は飛んでこない
「なんだよ!ここでミスす....」
「ちょっと!早...」
「おい!どうした...」
3人が魔法使いの方を向いた瞬間目に写ったのは、魔法使いの首が胴体から離れ地面を転がり光の粒子になって消えかける魔法使いとその後ろで刀身だけやけに光る2本の刀を持った1つ目の影だった
「何だコイツ!!」
獅子の男が前に出て盾を構え防御の体勢をとった、しかし...
「え?」
影は一瞬で近付くと盾ごと男を縦に真っ二つに切り裂いてしまった
「この野郎!よくも!」
大剣の男がスキルを発動し頭から影に斬りかかろと接近、影はこちらを向いておらず確実に決まったと男は思った。だが、当たる直前自分は宙を舞っていた
「あれ?...」
男はそのまま地面と激突し、光の粒子になり消えていった。影は目にも止まらぬ速度で男の上半身と下半身を切り裂いたのである
「ひっ!バ...バケモノ!」
1人残された女は全速力で逃走を図る、Scoutという職業は移動速度では最速を誇り、女も速度に関しては自信を持っていた。しかし...
「え?....あれ?....」
背中から強い衝撃を受けたと思ったら全然進めなくなってしまった、何が起こったのかと下を見るとそこには
「何....これ....」
両足の膝から下が消失しており胸から刀が生えている衝撃の光景だった、女は何が起きたのかわからず光の粒子になって消えていった。後には影だけが残り徐々にその姿が現れてくる、それは戦国時代の鎧を纏った武者の姿のようであり、影は1人呟く
「これで3組目....」
時間は数時間前に戻る
A.Oは仕事終えて帰宅し、週末は何をするかスマフォを弄りながら考えていた時にメールがきていることに気がつく、差出人はレインで内容は
From:レイン
To:A.O
件名 ロボットがプレイヤーに見つかった
大変よ!何かの拍子で他のロボットが撃破されてその残骸から未知の素材が作れるらしく、プレイヤーが大挙して捜索に乗り出してるの!
A.Oはメールの内容を確認し大急ぎでログイン、2人とMB-7<Antres>に集合し詳しい事情を聞いた。2人によれば何処かのアホ集団が所構わず大規模魔法をぶっぱなし、それに偶然偵察中の<Vulpecula>の内1体が巻き込まれ大破、その残骸を回収され生産職の手によって素材にされた所今まで発見されてなかった未知の素材であったので瞬く間にプレイヤー間に広まってしまったというのが事の顛末らしく、あろうことか暇をもて余したプレイヤーによって夜間に移動する<Vulpecula>の行動パターンも見抜かれ、ゲーム内での今夜辺りから本格的な討伐が開始されるらしいとの事であった
「最悪だ...」
レイン:「ここまで盛り上がったら、もう止める手段はないわよ」
リン:「どうしよう...このままじゃその<Libra>ってのが動き出しちゃうんんでしょ?」
「......」
(偵察中の機体が積極的に攻撃を受ければ...間違いなく敵対行動と認識されるだろう、これを防ぐには探しにきたプレイヤーを止めるしかない)
「2人とも聞いてくれ、今夜捜索に出るプレイヤーの情報を収集してくれ」
レイン:「貴方はどうするの?」
「僕は探しにきたプレイヤーを奇襲攻撃で直接倒すよ」
リン:「それじゃA.O君が危険だよ!みんなに事情を話して止めれば...」
レイン:「残念ながらそれは無理よ...今その素材が生産職の間での物凄い話題を呼んでるの。協力な装備が作れるんじゃないかってね、中には高額な懸賞金をかけたり個人で依頼を出してるのもいるらしいから、説得してもやめるか難しいわ。それに、未知のモンスターが襲ってきて壊滅なんて嘘話だと思われるのがオチだわ」
リン:「そんなぁ~」
レイン:「一番の方法はA.Oが言った通り直接止めるしかないわ。けど、貴方はそれでいいの?全プレイヤーを敵に回すのよ?」
「元より僕は敵扱いだからね、君達だったらPKのリスクはあるが、僕には無いし。何よりこのゲームはまだ始めたばっかりだから、ここで終わらせるわけにはいかないんだ」
レイン:「そっ...なら何も言うことはないわ。行きましょリン恐らく『ミッドリール』辺りにみんな集結している筈だから」
リン:「うん...A.O君!皆が敵に回っても私達は味方するからね!」
「ありがとう...そっちも気おつけてね」
2人を見送ったA.Oは開発を開始する
(奇襲するなら、あの機体が一番だが機体の兵装がどこまで通用するのかわからん、だが掛けてみるか)
「隠密浸透襲撃機『月光』に!」




