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第九話「デートの最後は」

いつも読んで頂きまして、ありがとうございます。


予告通り、ふざけ過ぎたかもしれませんが、書いていて楽しかったです。


尚、英文に関しては、作者の英語は錆び付いています。多目にみてやってください。

しばらくは何も言葉が出なかった。


「綺麗でしょ?」


エレーナの言葉に

頷く事しかできなかった。


守らなきゃいけないものね、、、。

おっちゃんの言うことが少しわかった。


「ありがとう。とても素敵な時間だった」


「えへへ」


エレーナは照れくさそうに笑った。


「オズは不思議な人だね」


「え?」


「まだ知り合って間もないけど、いい人だなーってわかるよ私」


「いい人じゃないと思うが」


俺は苦笑した。


地位は地位。

言うなれば、それなりの存在だ。

けど、自分で何かを成し遂げたとか、そんな記憶は無い。


「謙遜しなくていいよ、うまくは言えないけどね、オズの周りにはいつも気持ち風が吹いている気がするんだよ」


「そ、そうか、ありがとう」


風、か。


「さ、そろそろ商人さん達が来てると思うよ。遅れて行って、予定の物買えなかったらお母さんに殺されちゃう(笑)」


「あはは、じゃあいこっか。」


俺達は急いで丘を降りた。

途中で俺は転んで、転がりながら下へ到着し、エレーナに大爆笑されたのは内緒だ(笑)


ひとしきり笑った後、慌てて心配してくれたが、持久力はともかく、俺の身体はそんなにヤワじゃない。


広場に戻ると商人達が来ていて、数店の露店が出ていた。


縁日みたいだな。


食べ物を売っている店もあり、子供達が親に何かをねだる光景が繰り広げられていた。


どこの世界も子供は同じだな。


そんな俺はカヌレのような焼き菓子をエレーナに買ってもらった(笑)


べ、別に食べたくて食べてる訳じゃ無いからね。

エネルギー補給だ。


エレーナは食料品を買い込んでいた。


主に調味料などだ。


「オズ、いっぱい食べるから、すぐ無くなっちゃう」


「ごめんなさい」


「あはは、食事が賑やかでいいって意味よ」


ここが、夕方のスーパーなら、新婚夫婦に見えただろう。


《んなわけねえか》


それにしても、広場は大賑わいだった。


「いつもこんな大盛況なの?」


「ううん。もうすぐお祭りだから、みんな色々準備があるからよ」


お祭り当日は、村の屋台が並ぶらしい。


広場近くの家の台所で作られたものが色々振る舞われるそうだ。


田舎の法事みたいだな。

無駄に現代知識の多いオズならではの感想だった。


しばらく、エレーナにくっ付いてまわった俺は両手に買い物袋を抱え込んだ姿に変身してしまった。


旦那様は大変だ(笑)


「こんなとこかな」


そう言いさして、エレーナがこっちを見た。


「あ、、、オズ、大丈夫?いっぱい持たせちゃったね」


「平気平気!」


「ほんとに?オズ体力無いから心配」


「男の子だから平気」


「子?」


エレーナの目がニタッと三日月の形になる。


「うるさい!(笑)」


「何にも言ってないよ(笑)」


楽しい買い物だった。


「あ、もう一個買いたいものあるの、ちょっとここで待ってて」


「え?付いていくよ」


「いいのいいの、ここにいてね」


エレーナはそう言うと、アクセサリーのような物を売っている店に走っていった。


お洒落したい年頃なんだろうなー。


しばらくしてエレーナが戻ってきた。小さな紙袋を持っていた。


「何買ったの?」


「秘密」


「ぶー」


「いい年してふくれても、かわいくないよ(笑)」


最近、エレーナとの距離がだいぶ近くなってきた気がする。


「さ、帰ろー」


「おー」



広場から離れて、歩き出した時、そいつは現れた。


盆踊り男。ルーズ?いや、ルーカス?


なんかそんな名前だったと思うが。


「エレーナ」


走ってきたルーシー(笑)が話しかけてきた。


「なんだテメェ」


え?俺?


「エレーナと一緒に何してやがる」


「ルース!村長から聞いてるでしょ?」


エレーナがフォローしてくれた。


「聞いてるけど、なんでエレーナと2人で歩いてんだよ!?」


いちゃもんもいいとこだな。


「オズは新しい家族だもん」


「な、か、家族?」


エレーナのこうげき、ルースは30ポイントのダメージをうけた。


「よろしく!」


俺はニッコリ微笑んだ。

あそびにんのこうげき、ミス、ダメージをあたえられない。


ルースは俺を無視した。

《このやろう!》


ルースはエレーナににじみ寄り、両手で肩を掴んだ。


「エレーナ、お祭りのダンスの事、受けてくれるよな?」


話が見えないが、誘うとか誘わないとかのアレだろう。


「あれは断ったでしょ?」


エレーナはちょっと怒っていた。


怒った顔もかわいい(笑)


「あ、あらめないからな!うんって言ってくれるまで離さないぞ」


「ち、ちょっと!痛いんだけど!」


《確かにイタイな、って違うか》


大きな声に、こっちの異変に気づいた何人かの人達が、心配そうに見てくる。やれやれ、ルース。

女の子はもっとスマートに誘うもんだ。


《自分を棚にあげるんじゃねー》


モトユキうるさいぞ!


「はいはい、お取り込み中すいませんね」


俺はエレーナとルースの間に無理やり割って入った。


近い近い!


ルースの真ん前に俺が現れた。


流石に近すぎたのか、ルースはエレーナを離して後ずさる。


「なんだテメー、テメーには関係ないだろ?」


「ある。家族を守るのも家族の役目だ」


「な!?」


今度の攻撃はヒットしたらしい(笑)


こいつにはお仕置きが必要だな。


ちょっと実験したい事もあるし。


俺はリュックの中のあるものに意識を集中する。

カードオープン

【ザ・ラスト・アタック・イン・グラデュエーションデイ】


マジックカードが、荷物を持つ俺の右手に現れた。


対象はルース。


よし発動!


その瞬間。


ルースの頭上の何もない空間に、突然チョークまみれの黒板消しが出現した。


「え?」


エレーナが後ろで驚く声がする。


黒板消しは、まるで吸い寄せられるようにルースのおでこに直撃して、当たった瞬間に消えた。


「うわっ!ぷぷっ、なんだこれ?目が!目が!」


ルースは大混乱していた。


「よし、完璧!エレーナ、今のうちに逃げるぞ」


「う、うん」


俺らは絶叫しているルースを尻目に、スタスタとその場を後にした。


イタズラ用マジックカード。意外に役にたつな。

ちなみに俺が使ったカードは。


【ザ・ラスト・アタック・イン・グラデュエーションデイ】

和名・卒業式の日

効果・発動すると対象の頭上にチョークたっぷりの黒板消しがあらわれる。ホーミング機能がついており、お約束のように、ほぼ100%の確率で対象のおでこに落下する。


まあ、あれだ。


太古の昔より、生徒と先生の間で繰り広げられるイタズラの、有名なものの一つだ。


チョークまみれの黒板消しを教室の入り口の扉の上に挟んでおくのだ。


扉を開けると落下する仕組みだ。ただ、これに引っかかるような教師は皆無である。長年知れ渡ったイタズラだからである。


しかし、唯一、成功する日がある。


卒業式の朝である。


最後の朝まで、悪ガキを貫こうとする男子生徒達が仕掛ける、文字通り、最後の攻撃だ。


どこかいつもとは違う雰囲気の教室。ほどなくして、朝礼の為、入り口を開けて入ってくる担任。


そして、、、。

黒板消しはものの見事に担任に炸裂する。


大爆笑の後、蜂の巣をつついたような騒ぎになる教室。


そして、、、礼服を真っ白にした担任を見て、固まる生徒達。


怒られる、、、。


しかし、担任はニタッと笑い。こう言い放つ。


「いやー、まいったまいった、最後の最後に引っかかっちゃったよ」


シーンと静まり返る教室。

騒いでいた男子も泣きそうな顔になる。


生徒は知ったのだ。

最後の最後にワザと引っかかってくれた先生の優しさを、そして、今日、ほんとうに自分達が卒業するんだということを。


長々説明したが(笑)

百発百中、無敵の黒板消しだぜ!

リュウオウも真っ白にしたぐらいだからな、一般人に避けられるはずがない(笑)


しばらく2人で歩いた。


テクテクテクテクテクテク。


「……」


エレーナは元気が無い。


「大丈夫か?」


「うん平気。でも、、、夏祭り楽しみにしてるのに、なんか憂鬱になってきちゃったなー?」


エレーナは沈んでいた。

そらそうだろ。ルースはあの調子だ。聞けば随分前からしつこく誘ってきたらしい。


エレーナが断るのも、無理はない。お祭りの夜にダンスに誘われて、OKをすると、つまりは、そういう意思表示になるという事なのである。


このままじゃ当日も思いやられるな。


エレーナの悲しそうな顔は見たくない。


当日もなんとかするとして、とりあえず、今の空気を変えてあげないとね。


とっておきのカードがあった。


こっそり発動!


「エレーナ、元気出して」


「う、うん」


「じゃあ、これ見たら元気出るかな?せーのっ!」


ポン!と奇妙な音がして、俺の頭のてっぺんにヒマワリが咲いた(笑)


サイズは小さいが、夏の元気を詰め込んだような立派なヒマワリ。


エレーナは目を丸くした。そして、、、。


「プッ!な、なにそれ、アハ、アハハハハハハハ」


エレーナはお腹をよじらんばかりに大爆笑していた。


「はーはー、息が、、ププッ、アハハハハハハハ」


どれくらい経っただろうか?


その時、お腹を押さえて座り込んで笑っていたエレーナが立ち上がった。


ようやく落ち着いたようだが、肩を震わせ、俺の頭を見ないようにしている。


両手に袋を抱えて、頭にヒマワリを咲かせている男。


シュールだ(笑)


「やっと笑顔が戻ってきた」

「え?」


「お姫様に悲しそうな顔は似合わないよ」


ちなみにヒマワリは消した。


エレーナは、ちょっと驚いたような顔で俺を見つめている。


「とっておきはこれ、手出してー」


おずおずと両手を出すエレーナ。


紙袋を地面に置いて、フリーになった俺の右手が重なる。


その瞬間。


重なり合った手の中に、一輪の花があった。


トルコキキョウに似た白い花。雪のような輝きを放っていた。


「わー、、、綺麗」


「あの丘に連れて行ってくれたお礼、あとエレーナがいつもニコニコしていられるようにって想いを込めて」


「オズ、、、ありがとう」


「へへ♪」


「これ、見たことない花。何て花?」


「エレーナ」


「え?」


「だから、花の名前はエレーナ」


「ほんとに?」


「俺が、エレーナをイメージして作った花だから」


「すごい、、、さっきのルースにしたのもだけど、オズって魔法使いなの?」


「魔法使いじゃないよ。魔法みたいなものは使えるけど、攻撃とか防御とか回復とか、そういうのは使えない、できるのはイタズラみたいなくだらないのだけ」


「なんか、そういう魔法までオズらしいね(笑)」


「ぐっ」


「アハハ、冗談よ。こんな素敵なお花、全然くだらなくないよ。ありがとう、とっても嬉しい」


エレーナは復活した。


「ちなみに、その花、魔法で作られてるから、エレーナが、こんな花いらない、って思わない限りはお水が無くても枯れないよ」


「ほんとー?すごーい、大事にするね!」


エレーナは俺があげた花を耳に飾ってくれた。


「似合う?」


「よく似合うよ、かわいい」


《今度はちゃんと言えた》


「じゃあお家に帰ろー」


「はーい」


微妙に甘ったるくなりかけた空気を吹き飛ばし、俺達は、家に向かった。


色んな話に花を咲かせながら、、、花だけに。


《上手くもなんともねーよ!》


モトユキの声がした。


ちなみにオズが使ったカードは。


【ザ・キャッスル・オブ・カリ○スト○】


和名・怪盗の恋

効果・発動すると、視認できる範囲内に、任意に色んな花を咲かせることができる。効果は1時間。任意に消すことも可能。


もう一つは、自分のイメージした花を作成することができる。これは発動毎につき一回のみ。


花自体には、特に対象を惚れさせる等の効果はないが、同ジャンルの追加カードで効果を付与する事もできる。


ちなみに元ネタは、人間界でオズが見て、いたく感激した某怪盗が活躍するアニメ映画である。


「一回でいいから、ああいうセリフ言ってみたかったんだよねー」(本人談)

読んで頂きまして、ありがとうございました。


作者もオズも色々頑張ってみました。


オズも言っていますが、2人の距離は近くなってきています。


エレーナはオズの事をどう思っているんでしょう?


あ、ちなみに、卒業式の黒板消しの話は、作者の体験談です。


あの日作者は教室の後ろの扉から、担任が来るのを見張る役をしてました。


確かに見ました。


先生は教室に入る前、扉の上を見て黒板消しに気づきました。


ちょっと考えた先生は、ニタッと笑って扉に手かけたんです。

すぐに教室前方を見たら、先生が頭から教室に入って来たんです。


後にも先にもあれ一回きりでしたね?ありがとうございました海野先生。

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