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第八十六話「晴れ、時々勇者」

こんばんは、作者です。


世間は連休ですが、私にはあまり関係無く。

仕事が忙しいです。

明日か明後日は更新出来ない可能性大です。

すいません。


さて、今日は普段空気なあの人が主人公です。

なに考えてるか、いまいちよく分からないあの人、頭の中を覗いてみましょう。

あー、、、、。


空が綺麗だなー、、、。


暑いな。


、、、、。


「アーク!アーク!」


ん?


ああ、トッドか。


「こら!アーク!まだ寝ぼけてんのか!朝の9時過ぎだぞ!」


「起きてるよ」


僕はトッドに返事を返した。

今は一応パトロール中だったっけ?

確か、、、。

マックが昨夜、重要な情報を掴んだらしく、スタンと一緒にビルさんに会いに行ったから、俺達二人なんだよ、、な?


「テメー、パトロール中にボケっとすんな!」


「ごめんごめん、、ズズズ」


「鼻!鼻出てるから!まったくお前は!今日は自分で拭けよ!レイナは先生と一緒でいないんだからな!」


あ、そうだったな。

レイナはいない。

なんか不思議な感じだなー。

ずっと一緒にいたからなー。

レイナ、、、。


「聞いてんのかコラ!何とか言え!ハアハア」


「聞いてるよ」


トッドはいつも元気だなー。

何で疲れてるんだ?


「聞いてたのかよ!」


「トッド、あんまり怒鳴ると疲れるよ」


「お、お前のせいだろおおおおおお!!!」


トッドはぐったりしていた。


「とにかく、パトロールしよう」


「そ、そうだな。疲れたよ」


トッドと二人で街を歩く。

なんか久しぶりだな。

昔は良く二人で遊んだなー。

レイナもいたな。


「トッド、なんかこういうの久しぶりだな」


「あ?ああ、まあな」


「ははは」


「ははは」


三人で学校に通っていたのに。ある日突然、訳も分からず勇者にされちゃって。

よく分からないまま旅に出て、アンジーやマックがいなかったら、何回死んだ事か。

最近じゃあオズ、、あれ?オズって誰だ?

ああ、モズに助けられたりしたしな。

ん?助けられたって、いつ?

ま、いいか。

僕は自分が勇者だなんて、とても信じられないよ。

けど、もしそうなら、この世界の平和を守りたい。

そして、また三人でバレンシアを歩きたいんだ。

あ、また鼻出ちゃった。


僕達は、特にあてもなく街を歩いていた。


「な、なあアーク」


「ん?」


「レイナって、俺の事どう思ってるのかな?」


「どうって?」


「鈍いやつだなーお前」


「ごめん」


「そ、そういえば、お前はレイナの事どう思ってんの?」


「え?」


レイナの事?

んー。


「好きだよ」


「え?えー!?」


「何で?トッドはレイナが嫌いなのか?」


「はあ?んな訳ねーだろ!」


「そうだろう?」


「あ、、、。あー、お前に聞いたのが間違いだったよ」


え?

よく分からないや。

僕はレイナもトッドもアンジェリーナもマックも、みんな好きだ。

モズも好きだ。

モズは、最初はよく分からなかったけど、少なくともアンジェリーナやレイナはモズといると幸せそうだ。

とてもいいことだと思う。


「みんな好きだよ」


「はいはい」


む!何だよう!

自分から聞いたくせに!


しばらく歩くと、海岸沿いの、ショッピング街にやって来た。

朝はまだ閑散としているなー。

閑散って何だろう???


「アーク、喉渇かない?」


「渇いた」


「だろ?ジュース買おうぜ!」


「いいよ!」


「よーし!じゃあジャンケンして、勝った方のおごりでどうだ?」


「いいよ!」


「決まりだな!行くぞ!最初はグー、ジャンケン」


チョキ来る!

えっとえっと、チョキに勝つには、えーっと!

チョキ!


「な!?あいこで」


パー来る!

これはチョキでいいよな!


「しょ!」


「しょ!あー!くっそーまた負けた!お前ジャンケン強いよなー」


「まあね。何か、何が来るか分かるんだ」


「あー、昔からそんな事言ってたよな。信じて無かったけど、旅に出て、色んな人、最近だと先生とか!そう、色んな人に出会って、もしかしてアークは本当にジャンケンで相手の手札が読めるんじゃないかって思ったよ」


「本当だよー!」


「今なら信じるよ、さて、行こうぜ!」


「トッド?」


「な、何だ?」


「飲み物は?約束しなかったっけ?」


「ぐっ!こういうのは忘れないんだなお前」


トッドと二人でコーラを飲みながら歩いた。

これ美味しいなー。

アンジェリーナがコーラ大好きなんだよなー。

彼女はマックと仕事してるんだよな。

あんなに仲悪かったのに、最近は仲がいいんだよなー。

何でだろう?

モズとレイナも仲良くなったしなー。

良かった!

レイナは最初、モズをカスとか言ってたしなー。

ガンナーかー。

レイナも頑張ってるんだなー。

今何してるかなレイナ。


「ク!ーク!アーク!」


ん?呼んだか?


「どうしたの?」


「ボケッとすんなって!こんな人気の無い場所をパトロールしててもしょうがないだろ?他行こうぜ!」


「そ、そうだね」


僕達はまだ開店前のショッピング街を抜けて、街の中心部へ向かった。


ここは沢山の人がいた。

お店も開店準備をしていた。

僕達は寝ている酔っ払いを起こしたり、ゴミを拾ったりしていた。

トッドはヒポにゴミ袋を付けて、拾ったゴミをポイポイと投げ入れていた。

ヒポは尻尾をフリフリついて来る。

仲良しだなー。


二時間ほど作業をした。

特に事件は起きなかった。


「アーク、お腹空いたー」


「空いたねー」


、、、、。

あれ?


「昼にしようって言ってんの!」


「あ、ああ。そっか」


トッドと繁華街へ向かう。

何食べようかなー。


「トッド、何食べよう?」


「ハンバーグステーキ!」


「昨日も食べなかった?」


「くだらない事はよく覚えてるんだな!今日もあの店に行くんだ!」


昨日、スタンに連れて行ってもらった店が気に入ったみたいだ。


僕達はそのレストランに行った。

何だかよく分からないが、トッドはこの店の味と、ウエイトレスさんの制服が気に入ったらしい。

レイナに着せたいとか言ってたっけ?


今日も僕はチーズのとろけたハンバーグにした。

美味しかったんだー!

トッドは辛いトマトソースが乗ったハンバーグだ。

ランチはパンとバターライスが選べる。

サラダとスープもついて来るんだよ!

僕とトッドはライスにした。


「美味い!」


「美味しいね!あ、ヒポってご飯食べないの?」


「あ?今更か?ヒポは魔力を力の供給源にしてるから、緊急で補給する時以外はメシはいらないんだよ!とはいえ、ヒポにも食べさせてあげたいな」


トッドはテイクアウトでハンバーグランチを追加していた。

優しいとこあるよね。


ハンバーグランチを平らげてお店を出た。


トッドはヒポを呼び出して、ハンバーグランチを食べさせていた。

ヒポは口をソースまみれにしつつも、美味しそうに食べていた。


平和だなー。

、、、、、。

眠くなって来たよ。

、、、、、。


その時だ。


《アーク!緊急事態だよ!》


わっ!

びっくりした!


《いちいち驚いている場合じゃないから!》


そう。

この声は、僕の剣の声。

たまに話しかけて来るんだー!

理由はよく分からない。

子供の頃から、この剣を離さなかったってお母さんが言ってた。

いつ頃からか、剣の声が聞こえるようになった。

僕の頭っておかしいのかなー?


《おかしくないよ!って、そんな事言ってる場合ではないんだよ!誘拐だよ。誘拐が起きようとしてる》


え?

えー!?


《早く私を握りなさい!》


う、うん。

僕は剣の柄に手をかけた。


頭がスッキリして来た。

光が身体に溢れるようだ。

あ、何か見える。

頭の中に、ぼんやりとした光景が浮かび上がった。

路上を行く豪華な馬車を見つめる視線だ。

何だろうこの黒く汚れた感情?


《アーク、君が今見ているのは、誘拐犯から見た視線だよ、この近くだ》


そうか。

じゃあ。

行くか!


《よし!》


「トッド、ちょっとした用事が出来た。俺はすぐそこまで行って来る。お前はここにいてくれ!」


「え?ええ?アーク、お前、、?剣を握ってんのか?お、俺も行くよ」


「俺一人で大丈夫だ。ヒポはまだご飯食べてるじゃないか。じゃあな、動くなよ!」


「お、おう行ってらー」


俺はトッドとヒポを残し、狭い路地を挟んだ建物の壁を交互に蹴って、ジグザグに壁を登った。


「すげー!」


下でトッドがびっくりしていた。

高い所から行ったほうが何かと便利だからな!


俺は頭の中の映像に従って辺りを見回した。

あった!

映像に映っていた看板。

水着の女の子が描いてある派手な看板が少し前方に見えた。

俺は屋上づたいに建物を移動した。

一直線だ!


目的の看板の所まで来た。


下を見ると、今まさに豪華な馬車の前に、幌馬車が横付けにされて、覆面を付けた男達が銃を片手に標的と思われる馬車を取り囲んでいた。


「セレッグ家令嬢の馬車だな!」


銃を御者に突きつける。


馬車からは剣を持った男が二人降りて来て、誘拐犯に向き直って口を開いた。


「だったらどうした?」


「令嬢を渡せ!命は取らん」


「やはり誘拐か!そうはいかん!」


「威勢だけはいいな」


誘拐犯の一人が御者を銃の尻で殴り、気絶させた。

護衛と思われる二人が動く。


パン!パン!


しかし幌馬車の近くに立っていた男の銃が火を噴いた。


護衛の剣が粉砕された!


すごいな!

あれはもしかして、魔力で発射する銃なのかな?


「な!?き、貴様ら、ただの誘拐犯では無いな?」


「問答無用、死ぬか?」


「わかりました」


馬車から声がした。

やがて金髪を綺麗にまとめ上げ、落ち着いた花柄のドレスを着た女の子が降りてきた。

そばには使用人と見られる妙齢の女性が付き添っていた。

令嬢かな?

彼女は青い瞳が印象的な、美人だった。

え?お前でも美人とか思うのかって?

バカにしてもらっては困る。

これでも一応、年頃の男の子なんだ。

まあ剣を握っていればの話なんだけどね。


「大人しく、あなた方と参りましょう。ですから、この者達の命はお助けください」


令嬢は凛として、言い放った。


「ふん。さすがに肝が据わっているな。いいだろう」


「わかりました」


令嬢は歩み出そうとした。


《ねえ、剣を握っていても天然は天然だよね!助けなきゃでしょ!今だよ!行きなさい!》


あ、忘れてた。

何しに来たんだか。


俺は剣を抜いて、五階くらい建物の上から飛び降りた。


令嬢の前に着地した。


「な?何だ貴様!ど、どこから!?」


「屋上からだ。保安官だ!誘拐犯!逮捕する!」


着地した姿勢のままバッヂを見せた。

さっき銃を撃った男が驚きの声をあげた。


「な!?何だと!保安官だと!しかもあの高さから?くそ!よく分からんが、お前ら、やれ!」


令嬢の周りには四人いた。

彼らは一応令嬢に当たらないような角度から銃を撃つために移動しようとした。


遅い!


「隠れてて」


令嬢を馬車の扉の影に押し戻しつつ、俺は地面を蹴った。

俺の身体は低く滑空して左側の男二人に向かった。

視界に銃を俺に向ける男達が映った。

俺は左手を地面に突き、宙返りするように頭を下にして射線から外れた。

男達の背後に回る。

一人は柄の尻で首筋を打って気絶させた。

向き直った男の腹にパンチをぶち込んだ。男はくの字に折れ曲がって、地面に倒れた。


よし!次!


令嬢の馬車を中心に馬車の右側へ回る。


ダン!ダン!


右側の二人が銃を発砲した。

一発は明後日の方向へ飛んで行き、建物に当たった。もう一発は身体を倒してよけた。

普通の弾かな?

ノロいよ!


驚いた男達が、俺に照準を合わせる前に、一人に俺の跳び蹴りが顔面に炸裂した。

着地しつつ、剣の腹でもう一人の男の足を払った。

男は派手に地面に転倒して、白目をむいた。


ゆっくりと立ち上がった俺は、魔力の銃を持った男に剣先を向けつつ向き直った。


「残るはお前だけだな」


だが、男は動揺した様子は無い。


「ふん!少しは出来るようだな。だがなこの銃に勝てるかな?来いよ!ここまで来れればだがな」


確かに剣を粉砕する程の威力だ。

どうやって近づくかな。


《アーク、バカなの?私があんな銃に負けると思うのかい?》


え?負けないの?


《当然です!あ、口癖がうつっちゃった。私を何だと思っているんだい?》


何って、、、剣?


《違うよ!ち、違わないけど!と、とにかく、この剣は強い!この剣を持つ君は速い!まさに光のようにね!さあ行くんだよアーク!》


わ、分かった。

よく分からないけど。

行くか。


俺は男に向かって突撃した。


パン!


男の銃が唸りをあげた。


よし、剣と自分を信じよう。

飛んで来る弾が見えた。

ゆっくりと剣を振りかぶる。

何故か時間はたっぷりある気がした。

まるでシャボン玉みたいに浮かんでいるように見える弾を上段から斬った。


あ、斬れた!


「なーーーあーーー!?ばーー、ばーーかーーなーー!?」


遅いよ!

話し方まで遅くなったのかい?


俺はそのまま男に突進して、男の銃を切り裂いた。

男の鼻先に剣を突きつけた。


「まだ抵抗するなら!」


「ひ、み、見えなかった。貴様何者だ?わ、分かった」


男は降参した。


その時だ、幌馬車が動き出した。

しまった、まだ仲間がいたのか!


だが動き出した幌馬車は前方から来た何かによって、真っ二つになった。

な?何だ?

御者が腰砕けになって、這いずり出てきた。


「お前はツメが甘いんだよ!戦いは見事だったけどね。やっぱ剣を抜いたらお前は強いな」


聞き慣れた声がした。

トッドとヒポが歩いて来た。

馬車の馬から馬具を外してあげていた。

さすが、馬は切らなかったんだ。

ヒポは首を回して、満足そうにしていた。

今のはヒポの一撃か。

食後の運動には派手過ぎるね。


やがて誘拐犯を縛り上げて、ヒポは保安官を呼びに行った。


「ありがとうございます」


令嬢がにこやかに頭を下げた。


「いえいえ、保安官の仕事ですから」


「お強いんですね。あのお名前は?」


「いや、剣のおかげです。これが無ければただの木偶の坊でして。俺はアークと言います」


「ふふ、ご冗談がお好きなんですね。私はルノです」


謙遜じゃなくて事実なんだけどな。

柄から手を離したら、今の事をどれくらい覚えているのか。


御者の男も気がついたようだった。

護衛達に傷の手当てをしてもらっていた。


「護衛を雇っているんですか?」


「ええ。身の代金目当ての誘拐が絶えなくて。今回は危ない所でした。何とお礼を申し上げれば」


「お礼なんていりませんよ。皆が平和に暮らせるならそれでいいんです」


令嬢は少し驚いたようだった。

けど、それが俺の願いだ。


俺はこんなんだから、剣や周りのみんなに支えられて生きて来た。

支えられていなかったら、今頃この世にはいないだろう。

ちっぽけな俺だけど、そんな大好きなみんながいるこの世界を守りたいんだ。


《ふふ。思った通りの人間だね。私が力を貸すから、一緒に頑張ろう》


剣よ、ありがとう。

剣よ、剣よ、って、名前無いの?

最近のトッドとヒポを見ていると、なんか、名前で呼びたいんだが?


《え?な、名前?リ、違う、コウ、、、こ、これもマズいし。名前、、、付けてくれる?》


えー!?

うーん、うーん。


「アークさん?」


「あ、いや、ちょっと考え事を」


「綺麗な剣ですね」


「ええ、ありがとうございます」


「さっきは驚いてごめんなさい。本気でそんな事を言う人がいるなんて、と思って。でも、貴方なら出来るのかも」


「え?」


「貴方が空から舞い降りた時、私は神様に助けを祈っていました。貴方は空からやって来た勇者様みたいで、とても素敵でした」


「ありがとう」


助けられた、、、か。

じゃあヴィーって呼ぼう。


《え?》


ヴィータ。

バレンシアの古い言葉で【命】とい意味だよ。

剣が無かったら俺は何度命を落としていたか。

君が俺の命綱なんだ。

たから、ヴィー!


《ヴィーか。気に入ったよ》


トッドが保安官と一緒に帰って来た。

誘拐犯は連行されて行った。

令嬢の御者は病院へ向かった。

馬車は保安官が代理で操るそうだ。

心強いな。


さて、もういいかな。

またねヴィー。


《またねアーク》


俺は剣から手を離した。


、、、、、。

、、、、、。

あれ?

どうなった?

あ!誘拐犯!

ズズズ。


「あら、アーク。鼻水。ふふふ。これを使ってください。今日はありがとう。ではまた」


令嬢が僕の鼻をいい匂いのするハンカチで拭いてくれた。

彼女はお辞儀をすると、馬車に乗って、去って行った。


「お前はまったく!そのギャップはなんとかならねーのかよ!」


「え?」


トッドが苦笑してるよ。


「なんも覚えてねーのか!?」


「い、いや、所々は」


えっと、、、。

どうやって倒したんだっけ?

よく覚えてないな。

あとは、、うーんと、、、あ、ルノ!

あの子の名前はルノだ。

そして、僕の剣はヴィー!


「ヴィーだ!」


「え?」


「僕の剣の名前!」


「はあ?」


なんか僕は頑張ったみたいだ。

それでいいや!

みんな頑張ってるんだ。

僕もやらなきゃ!

ズズズ。


「ぎゃははは。アーク、鼻水!」


「うー笑うなよー」


ふきふき、、、。

あー!!ハンカチ返してないやー!!

読んで頂きまして、ありがとうございました。


意外に色々考えてて、やっぱり何にも考えて無いですね。


あの剣が何なのかは、今は皆さんのご想像にお任せします。


ではまた次回。

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