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第七十七話「エボニー&アイボリー」

こんばんは、作者です。


ヘンリーに話は聞けるのか?

即席バカップルが頑張ります。

俺の手にあったのは、白いセミオートの銃だった。

紋様と色以外はエボニーと同じ形をしていた。


何でこんなものを持ってるかって?

ずーっと持ってたよ。

最初にグランディアに行った時、骨董市で買ったのがこれだもーん。

あの時も言ったけど、好きなんだよこういう物が。


半ば忘れていたんだけどね(苦笑)

エボニーを見て思い出した。


「そ、それはアイボリー!あ、あんたどこでそれを?」


「骨董屋で買った。あと一発弾が残ってる」


そう、あの時も言ったが、あと一回使えると。

デュラハンに向けて撃とうとしたけど、使わずに済んだしな。


「骨董屋で!?そ、そうか。あんた名前は?ビルの紹介で着たとか言ってたな?さっきは済まなかった。話を聞かせてくれ。この通りだ」


ヘンリーは土下座した。


うわうわ。


けど真剣な表情だった。


「わ、わかった」


「ほんとか?」


ヘンリーが子供の様に顔を輝かせた。


「こんなところじゃなんだ。俺の工房に来てくれ」


俺達はヘンリーにいざなわれて博物館の裏にある工房へ行った。


石造りの建物だった。

ヘンリーは台所でガチャガチャやっていたが、やがて不揃いのカップにコーヒーを入れて、パウンドケーキの入ったお皿を持って戻って来た。


「すまないな。来客なんかほとんど断っててカップが揃わなくてよ。あと、これは俺のお手伝いが焼いたものだ。あいつはちと野暮用でしばらく来られなくてな、お菓子しか無いのさ。まあそれはいいとして、お嬢さんの口に合うといいが」


申し訳なさそうにヘンリーが言った。


「わー!美味しそー!ヘンリーさん!ありがとう!」


レイナがパッと輝いた。

場が和んだ。

これも彼女の力か?


「美味しい!」


レモンの香りがするパウンドケーキをパクつくレイナ。

遠慮無しかよ。


「良かった良かった。失礼な事ばかり言ってしまって済まなかった。お詫び代わりだ。沢山食べてくれ」


ヘンリーが頭をポリポリしていた。


お手伝いさんねえ。


「ヘンリー?お手伝いさんてまさかレコニスって名前じゃないよね?」


「な!?何故それを?そ、、そうか、あんた、いや君がビルが言っていた男か。フランクを助けてくれたそうだな。それを聞くと、ますますさっきの非礼を詫びないとな、すまん。さっきはただのふざけたカップルにしか見えなくてな」


「モズ!あたし達カップルに見えるんだってー。ふふふー!」


こらこら。


「レイナ、、お前はまったく!」


「えー、嫌?」


レイナは嘘臭く、悲しそうな顔を作った。


ぐっ!

そ、そういう事じゃなくてなー。


「ふふふー」


「はっはっは。よく分からんが、主導権は彼女にあるようだな。君はモズ。彼女はレイナというんだな。ヘンリーだ。よろしく!」


俺達は今更だが、握手を交わした。

レイナは手の粉をぱぱぱと払ってモグモグしながら頭を上げ下げして握手をしていた。

天真爛漫なやっちゃな!


「さて、とりあえずアイボリーの事は置いておいて、俺に聞きたい事があるんだろう?」


ヘンリーが真面目な顔になった。


「モグモグ。美味いな。あ、、。あ、そうだ。モグモグ。食ってる場合じゃなかったな、モグモグ」


「モグモグ、モズー。口にモノ入れながら喋ったら失礼よ、モグモグ」


「お前もじゃねーか!」


「モグモグ、ふふー美味しい!」


「わっはっは、気に入ってくれて何よりだ」


とりあえず、コーヒーを飲んで一息ついた。


「銃紋について聞きたいんだけどさ」


「銃紋か。あれは魔力を使って発射する銃ならではの物だな。火薬が弾と同時に前方へ押し出されるのと同じように、魔力もまた形こそ無いが、弾を押し出しているのさ」


「なーるほど。そもそもどうして魔力で弾を押し出そうとしたんだろう初代ヘンリーさんは?」


「え?最初からそういう物だったみたいだが?」


「ま、マジかー!」


「ち、違うのか?」


火薬が最初かと思った。

アイボリーを取り出してまじまじ見てみた。

撃鉄が大きい。

撃芯に魔法陣が施されていた。

そ、そういう事か。


「いや、何でも無い。火薬で撃つ事を最初に発明したのか」


「そうだ。ちなみにエボニーとアイボリーは大昔にここにたどり着いた勇者から、曾祖父が受け継いだ。勇者曰わく、自分にはもう必要が無いと言っていたそうだ。勇者は農夫として、この地で生涯を終えたそうだ。曾祖父は当時、戦乱が続いていたこの地方の状況を打開する為に銃を研究し出したのさ」


だが戦乱の最中、エボニーとアイボリーは盗られたのか無くしたのか、アイボリーが行方不明になってしまったそうだ。

だからエボニーだけが展示されていたのか。

当たり前か、アイボリーは何の因果が俺の手に渡ったからな。

エボニーには弾が入っていなかった。又故障していたようで発射出来なく、完全には機構を解明出来なかったそうだ。

仕方なくエボニーを参考にしつつ、大砲を模して、一発づつ火薬の力で撃てるものを作り上げて、それを魔力で撃てるようにし、装弾数を上げる為に回転式にしたそうだ。

勇者かー。何者だったんだろ?


「それに、エボニーに試作の弾を込めて撃とうしたらしいが、魔力が足りないのか、故障箇所を修理しきれなかったのか、発動しなかったらしい」


「なるほどねー」


俺はアイボリーのセーフティーを外さずにグリップを握り、トリガーに指をかけた。

銃身を光彩色が巡った。


うわっ!


「な!?モ、モズ、あんた、、撃てるかもしれんぞ?」


「そのようだ、って、話が脱線したな。まあ参考になったが。俺は銃紋が見えるかもしれん。フランクを撃った犯人の手がかりになるかもだ」


「本当か?、、、。ふむ。なるほど。ビルが君を寄越す訳だ。確かに銃紋には人それぞれの特徴が出るな。よし、ちょっと試してみるか?」


ほどなくして、俺は工房の地下にある、試射場に来た。

テレビでよく見る場所だった。

わー、やっぱりどこの世界も同じだなー。


ヘンリーが銃を持って来た。

銀色のリヴォルヴァーだった。

カッコいいなー。


「ヘンリー、、さんも魔力で撃てるの?」


「今更呼び捨てでいいさ。撃てるさ。作ってる自分が撃てなきゃどうしようもないからな」


ヘンリーは、弾を込めて、ジャキってシリンダーを戻した。


「シリンダー傷むよ」


「お!?詳しいな、まあな」


ヘンリーはやや苦笑していた。

レイナはキャッキャと興奮している。


「いいなー、いいなー、あたしも撃ちたい!」


「お嬢さんは後でな」


「やったー!」


いいなー(苦笑)


ヘンリーは撃鉄を起こし、身体の正面に片手で構えた。


やがて、引き金が落ちた。


ドン、と軽い音がした。


その瞬間、見えた!

茶色い光が。

前方の紙の的に穴が空いた。


「見えたか?」


「ああ、茶色い光だった」


「そうか。どうやら本当のようだな。俺は地の精霊術を操る。それを使って銃の加工もしているからな」


「なるほど」


「しかし、君は不思議な男だな。魔法が視覚化出来るのは当然だが、視覚化されていない部分まで見えるとはな」


言いたい事はわかる。

魔力は目に見える形にした時しか普通は見えない。

酸素や幽霊が見えないように、あるものが見えない事はよくある。

が、俺は精霊王モドキだ。

精霊の力が加わっているものなら、何でも見えるよ。


「まあな、少々特別でな」


「モズは精霊術のスペシャリストだもんねー!」


「そ、そうなのか。恐れ入るよ」


「なあヘンリー、赤紫色の銃紋ってどう思う?」


「赤紫だと?んー。本人の魔力そのものが色濃く出ているようだな」


そうだ。

それぞれ色がある。

ヘンリーは地の精霊がベースになっていた。

だから茶色い色をしていたんだろう。

けど、赤紫、、、。

ヘンリーに聞いてみようかな。


「ヘンリー、心当たり無いか?」


「うーん。分からん。何人ものガンナーを見て来たがな」


「ガンナーって何?さっきも博物館で書いてあるのをチラッと見たけど」


「ああ、銃を生業とする者だ。冒険屋と兼業しているのもいるな。保安官とは違うぞ。ガンナー協会といってなギルドとは違う独自の機関がある。そこに所属している者達をガンナーと呼ぶ。紛争解決や、護衛、警備みたいなギルドから来る依頼から、曲芸撃ちの興業や早撃ちコンテストみたいな大会のスポンサーからの賞金で生計を立てているのさ」


「わー!銃一個で生きてるんだねー、いやーんワイルドー!」


レイナ、銃は一丁と数えるんだよ。


「ガンナーかー。ちょっと待てよ、ガンナーの世界に潜り込んだら、そいつを見つけられるかな?」


「ま、まあそうだが、モズは銃が扱えるのか?誰でもなれる訳じゃないぞ?一応試験とかあるんだが?」


「えー!もちろん扱える!のかなあ?」


「あんたに聞いてんのよ!」


レイナ、ナイスツッコミ。


「と、とりあえず撃ってみたい!」


「あたしもー」


「わっはっは、何事も果敢にチャレンジか。いいぞ、ちょっと待ってろ」


ヘンリーはしばらく裏へ引っ込んだ。

銃か。

オモチャ以外は手にした事無いな。

無機質なゲートが並ぶ地下室に、蛍光灯のような灯りが揺れていた。


ヘンリーが戻って来た。

手には黒い銃とシルバーの銃があった。

黒いのは、ビルが持っていたようなクラシックな西部劇に出てくるような物ではなく、現代風のものだった。

ハイウェイパトロールが持っていそうなヤツだな。

シルバーのは銃身が短く小さい銃だった。

銀色の銃肌にピンクのクローバーみたいな装飾がされていた。


「わー!かわいい!」


レイナが飛び跳ねている。


「お嬢さんにはこれだ。女性の護身用の銃だよ。女性用にグリップが小さくなっていたりとか工夫されている。名前はマイ・スウィート・ボディガードって言うのさ。ちなみに魔力を使うが、あるのか?魔力」


「平気平気!あたしこう見えて、脱いだら凄いのよー!」


意味が分からないよ!

というか脱がなくてもナイスバディーだわ!


「そ、そうか。よく分からんが、まあいい」


ヘンリー、こんな子ですまん。


「モズにはこれだ。長距離を巡回する保安官用に作られた銃だ。名前はロングライダーだ。軽くて撃ち持ちやすい、それにバレルが長いから重心が安定している。初心者には最適だな」


「おー、ありがとう。ってこれヘンリーが作ってるの?」


「もちろんだ!」


「名前も付けたのー?あたしのスウィートなボディガードなんて、ロマンチックな名前ー!素敵ー!」


「あ?あ、ああ、、まあな、ありがとう」


ヘンリーは嬉しそうだった。


俺達は、ひと通り撃ち方の説明を受けた。

ま、俺はだいたい知っていたからな。

レイナは真剣に聞いていた。

いつになくキリッとした顔だ。

こうやって見るといい女だよなー。


魔力は引き金を引く時にグリップ、つまり手のひらに集めるんだそうだ。

魔力を込めずに撃つと、撃鉄が弾を叩いても何も起きないそうだ。

ちなみに火薬も弾には補助として入っているので、暴発防止の意味合いもあるそうだ。

何故暴発しないのかは、魔法陣同士の反作用で打ち消されるからとか何とか言っていたが、正直俺にはよく分からなかった。

レイナは理解しているようだった。


ちょっと悔しい!(苦笑)


「よし、まずはモズからだな」


よっしゃ!


俺は自分が遊びでよくやる撃ち方をとった。

よく映画で見る撃ち方だ。

半身に構えて両手で銃を握る。右手でグリップを握り肘をやや伸ばす、左手の平がグリップの右手を隠すように添えられた。


「モ、モズ?変わった撃ち方だな?」


「オートマチックに慣れているからな」


「オートマチック?ダブルアクションの事か?」


「似たようなもんだ」


正確には違うがな。

ダブルアクションとは、今握っているヤツみたいに引き金を引くと撃鉄も反応して起きるタイプだ。

シングルアクションとは、ビルの銃みたいに、初弾を放つ際に撃鉄を引き起こす必要がある。

俺の言ってるオートマチックってのは、リヴォルヴァー以外の銃の事だ。

ま、詳しい説明は今度だな。


俺は集中して、撃鉄を引き起こした。

何で引き金で起こさないかって?

ダブルアクションの引き金は重いのよ。

狙いがブレるからだ。


ゆっくり引き金に指を当てて、絞るように引く。


ドン。


反動が手に伝わった。

かなり反動あるんだな!


続けざまに六発撃ち切った。


あ、あれ?


ダーツみたいな紙の的には一個しか穴が空いてなかった。


えー!


「はっはっは。初めてにしては一発当たっただけでも上出来だな」


「あははー、下手ー!」


「くそー!ならレイナやってみろよー」


「いいよー!」


レイナはヘンリーに教えられた通り、的に向かって正態し、足を開き、銃を両手で持ち、上から見たら身体の前で三角形を作るように構えた。

うーん。

なかなか決まってるな。

レイナは撃鉄を指で起こし、片目を閉じてジーッと狙いを定めた。


やがて引き金を引く。


パン!


軽い発射音が聞こえた。


ビシッ!


的の真ん中に穴が空いた。


「やったあ!よーし!えいっ!」


パン!ビシッ!

パン!ビシッ!

パン!ビシッ!

パン!ビシッ!

カキン!


「あれ?弾切れ?」


「はは、お嬢、、レイナちゃん。君のは五発入りなんだよ。しっかし。凄いなー君は!?全弾、真ん中付近に集弾しているじゃないか!」


「えへへー!あたしガンナーになれるかなー!」


「才能はあるな!」


「やったあ!」


、、、、。


、、、、。


ぅぅ、、ヘンリー、気の毒そうな目で見ないでくれよ。

レイナ!なんだその可哀想な人を見るような目は?


「く、くっそお!ヘンリー、もう一丁貸せ!レイナに恥ずかしい所を見せてたまるか!」


「お、おう、墓穴を掘るなよ?ほら、俺の銃だ」


「モズー!カスに戻るかどうかの瀬戸際よー!がんば!ダーリン!」


ダーリン言うなし!

う、うへ、、って違うわー!


と、とにかく下手は打てない。

どうすっかな。


待てよ、、、、。

あ、いいこと考えた。


風牙、出番だ。


ミャオ?


へ?僕ですか?みたいな返事が指輪から聞こえた。

そう、君の出番だ。

いいか?風を旋回させて、腕を中心に身体を安定させる。

かつ、ターゲットまで風を飛ばして道を作る。

ついでに弾にもバレル内の溝以外に風で包み込んで回転をかけてホーミングさせるぞ。


フミィー。


泣き言を言うな!

頑張るぞ!


ミャオン!


よしよし。


力を発動させた。

緩やかに風が俺を包み込んだ。


「風?地下室で?」


「モズ?」


二人が背後でそれぞれに反応をしていた。


撃鉄を起こし、狙いを定めた。

風のレーザーサイトが指輪から出た。

レーザーサイト。

映画とかである、赤いライトの事ね。


よっしゃあ!


発射!


ドン!

ビシッ!


反動は感じない。

あ、ちょっと左行ったか?

よし。

ホーミングのコツが分かったぞ。

ウインドスラッシャーと同じだな。


ついでに風の精霊力も弾に込めてみるか?


ニャーン!


オッケエー!

名付けて、【ウインディングバレット・シルフィード】

発射!


ドン!

ズバーン!


紙が裂けた。


「いえーい!見たかー!」


「な!?切り裂いた!?風、、、。まさか風の精霊力を弾に乗せたのか?なんてヤツだ!?」


「すごーい!すごーい!悔しいけど、やっぱりすごーい!」


どうだ!

見たかー!


その後も俺とレイナは仲良く銃の練習をした。

ぶっちゃけかなり楽しかった。


「モズー!絶対ガンナーになろうねー!」


「おう!俺は荒野のガンナーになって、銃一丁で世界を渡ってやるー!」


「わっはっは!頑張れ若者達!」


あれ?何しにここ来たんだっけ?

ま、いっか!

読んで頂きまして、ありがとうございました。


アイボリー。

はい、あの時買いました。

やっと伏線回収しました。


レイナ、見かけによらず、妙な特技がありましたね、色んな意味で(笑)


オズも頑張りました。

さすが主人公!


さて、本来の目的を忘れて暴走し出したバカップル(仮)ですが、この先どうなるのか?


次回ご期待ください。

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