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第五十五話・Gun&Smoke 編「いざ自由の国へ」

こんばんは、作者です。


いよいよ新編に突入ですー。


タイトル通りのストーリーになるよう、頑張ります。

数日後、俺はカイロスの執務室にいた。

依頼の件でカイロスに呼ばれたんだ。

カイロスは席を外しているらしく、しばらくここで待ってるように言われた。


落ち着かない。


「あれメッチャ美味しくなかったー?」


「あれマジウマだった、こいつなんてよー」


「言うなよトッド!」


俺の他には勇者達がいた。時折喧嘩しつつも、楽しそうに話をしている。

俺はぼっちだった。


アンジーの視線を感じる。こ、怖いんですけど。


《オズ殿》


?な、何だ?

キョロキョロしてしまう。みんなの白い視線が突き刺さった。ぅぅ。


《私です。アンジェリーナです》


はっ!

目の前にいるアンジー、、アンジェリーナからの念話だった。


《アンジーでいいです。貴方は特別です。父や叔父から聞きました》


な、何をどこまで聞いたのやら(汗)


《念話のチャンネルも叔父から聞きました。他の者には聞こえてません。銀髪の精霊使いだと伺っています。他に隠し事もあるようですが、それは貴方が話したい時で結構です。ついでに、皆の前ではモズと呼びますね》


そ、そうか、ありがとう。で、何だ?


《いえ、特に用事はありません。居心地が悪そうでしたので、話しかけてみました。後、少々貴方に興味がありましたので》


そうなんだ。ありがとう。てか、興味って何だ?

あ、聞こえてるんだっけ?


《ふふ。聞こえていますよ。この前の夜、トッドに腹を立てて殴ろうとなさいましたよね?》


アンジーは顔色一つ変えずに窓の外を見ている。

今日は雨だった。

テッサのビル群が雨に煙っていた。


「でねーでねー、ウケるでしょー?」


「マジでー?ギャハハハ」


うるさいなーこいつら。


んで、あ、ああ、あれか。


《あの時、ほんの瞬間的に膨大な力を感じました。そ、それで、、》


アンジーは何故か言いよどんだ。

アンジーの横顔は相変わらず無表情のままだった。

むー、よくまじまじ見ると、綺麗だなー。

アンジーの顔がちょっと紅くなった。


《そ、それでですね。いつかお手合わせをと、、、》


お、お手合わせ!?

いやー、俺には彼女がいるし、け、けど、アンジーは魅力的だし、、いや、しかし、、、。


「そ、そういう事では無い!!」


アンジーが叫んでいきなり立ち上がった!


勇者達が固まる。


「ア、アンジェリーナ?」


「す、すまん。何でもない」


アンジーは赤面しつつ、また座った。


《うっかり喋ってしまったでは無いですか!そういうお手合わせではありません!け、けど、私に勝てたら、、そ、その時は話が別です、って、私は何を言っているんだ!》


アンジーは赤面しつつ、顔を覆っていた。


「アンジー大丈夫?具合悪いの?」


レイナが心配そうにした。


「だ、大丈夫だ」


お手合わせって、そっちの意味か。

って、待てよ。

勝てたらなんだって?

アンジー!

おーいアンジー!


《し、知りません!》


狼狽えるアンジー。

なかなか可愛いじゃないか。


《そのくらいにしておけ、弟に殺されたいのかの?》


カイロス!

やべー。それは困る。

ってどこにいるんだ?


《ふむ。今から入るとこじゃ、あまりに面白い会話だったので、ちょっとな、ふぉっふぉっふぉっ》


カイロスー!!


《叔父様!!》


俺とアンジーがハモった。アンジーと目が合ったが、恥ずかしそうにそらされた。

ウケケ。


カイロスが部屋に入って来た。


「すまん。待たせたの。ふむ、くつろいでおるようじゃの!何よりじゃ」


俺とアンジーの方を見ながらニヤリと笑った。


他の奴らの頭の上にはハテナマークが浮かんでいた。


「早速じゃが!仕事の依頼じゃ。とりあえず、世界を救う事になるかもしれない依頼じゃ」


カイロスが勇者達を見ながら言った。


「せ、世界を!」


「ウケるー!超やりたい!」


「やっと俺様向きの依頼が来たぜー」


「確かにな、けど、どぶ掃除もお似合いだったぜトッド!」


アーク、レイナ、トッド、最後はマックだ。


「て、テメー!馬鹿にしてんのか!」


トッドが怒った。

どぶ掃除って、、、勇者に何やらせてんだ!


「黙れお前たち!場所をわきまえろ!」


出た。アンジー。

怒ったアンジーも素敵だよー。


アンジーは赤面して俯いてしまった。


《オズ殿も場所をわきまえて下さい》


アンジーの蚊の鳴くような念話が聞こえた。


「ふむ。続けるかの」


カイロスは依頼の内容を語り出した。

勇者達の顔が輝いた。


依頼の内容は二点。


この大陸南方の、小国が集まる地域がある。

そこは、アメリア連邦と呼ばれ、一応一つにまとまっているらしい。

その連邦国家から、最近銃が密輸されていて、盗賊などの手に渡っているのはこの前知った。

本来は連邦以外では使用不可能なはずな事も。


「その原因の解明と、阻止。これが一つめじゃ」


なるほど。


《オズ殿は銃という物が何かご存知なのですね》


アンジーが聞いてきた。

まあな。


「二つめはの、ハリウッドジャムと言われる麻薬の根絶じゃ」


ハリウッドジャム。

ああ、例のジャンキーがやってたやつか。


銃の流出と麻薬の拡散は、ほぼ同時期に始まったらしい。

カイロスは、必ず因果関係があると言っていた。


「依頼主は、アメリア連邦の主権国家である、アミマイ共和国の連邦保安局長官である、ビル・ベイツ提督じゃ。わしの旧友じゃ」


アメリア連邦は軍を持たない。小国が集まって出来た歴史から、連合軍を編成しようとしたが、足並みが揃わなかったらしい。

ま、各国の力の差とかあるんだろうしな。

国力に応じて兵を出すと、それはそれで、各国間の発言力に影響するだろうしな。


「ま、そもそもランド王国に侵略の意図も無かったしの。いたずらに混乱を招くようならいっそ、治安維持はそれぞれ自前でまかなったほうがいいと判断したんじゃ。とはいえ、一定のクサビは必要じゃからの。それで生まれたのが連邦保安官じゃ」


連邦保安官というのは、各国に配置され、治安の維持や、各国が連邦条約を破らないか監視しているんだそうだ。

その長官がベイツ提督なんだとさ。

連邦条約ってのは、連邦に加入する為に最低限守らなければいけないものらしい。

喧嘩をしないとか、人の物を盗まないとか、校則みたいなもんらしい。

当たり前だわな、それぞれ勝手な事してたら、一緒になった意味がないもんな。


「って、ちょっと待て!連邦って広いんだろ?保安官局がどのくらいの規模か知らんけど、治安維持とか国を監視とか出来るの?」


「ふむ。よい質問じゃ。そこで銃が出てくるんじゃ。銃は本来は保安官しか持っていないものじゃったんじゃ」


なるほどー。

ニホンの警官みたいなもんか。


「ち、ちょっといいですか?先ほどから出てくる柔って何ですか?」


アークが優等生みたいに手を上げて発言した。

字が違うよアーク。

格闘技じゃないからね。


「あたしもしりた〜い。汁って何ー?」


レイナ、食べ物や分泌物じゃないから!


「そ、そうだ獣って何だ?」


トッド、お前の頭の中は召喚獣の事でいっぱいか!


「ふむ。知らんようじゃの。他の二人はどうかの?」


「名前くらいなら聞いた事がある。一応、軍人だからな」


「知りません」


マックとアンジーが答えた。


「ふむ。銃と言うのはの、火薬の力で鉛の弾を発射する装置じゃ。大きさはこれくらいかの」


カイロスは手を銃の大きさに広げた。

だいたい合ってる。


「え!?」


勇者達は驚いていた。


「ぶ、武器なの?」


とレイナ。

何だと思ってたの?


各人色んなものを思い描いていたようだが(笑)

予想が外れたらしい。


「なあカイロス。銃にそれほど抑止力があるとは思えないけど?」


俺の素朴な疑問だった。

こないだの盗賊がいい例だ。

魔法に適うか?


「ふむ。よい質問じゃ。銃の成り立ちについて話をしとこうかの」


銃は太古の昔にあった二丁の銃が起源だそうだ。

何故銃があったのか、どこにあったのかは誰も知らない。

とある勇者の持ち物だそうだ。

エボニーとアイボリーと呼ばれているそうだ。

しかし、勇者しか使えなかったらしい。


それを研究して、似たものを編み出した男がいた。

アミマイ出身の男だそうだ。名前をヘンリー・ヘインリーと言うそうだ。

その男が作ったのが、発射機構を火の魔法に変換したものらしい。

それが銃の始まり。

やがてそれは改良され、使用者の魔力に応じてパワーアップが可能なものへと変わる。

今現在が、6発式の回転型リヴォルヴァー拳銃になっているらしい。

なるほどね。それなら剣士や魔法使いにひけをとらないな。

あれ?


「盗賊の持っていたやつってそんなんだった?」


パチンコ玉みたいな威力だったけど?


「ふも、話の途中じゃ!」


す、すいません。


ヘンリーは銃を作り出したと同時に、その脅威も理解した。

それゆえ作られたのが、魔紋認証システムだそうだ。ギルドのと似てるのかな?認証が合わないと発射出来ないらしい。

また、ジャミング機能も搭載しているらしく。

例えば、王宮の中では衛兵以外発射出来ないようだった。

似たような仕組みで、連邦を出ると、発射出来ないらしい。

それで抑止出来ていたのか。


ちなみに盗賊の持ってたのはいわゆるコピー商品だそうで、火薬の力で発射される。


「コピー商品の銃は、広く民間に出回っている。が、それは別に脅威では無い。わしが流出しとると言ってるのは本物の銃のほうじゃ!」


確かに、それが流出したら脅威だな。

ちなみに本物の銃は、アメリア連邦の許可の下にヘインリー商会で作られ、厳重に管理されているはずだった。


「どうじゃ?深刻さが見えて来たかの?」


カイロスが一同を見た。

俺も含めて、皆頷いた。


「そ、それを、阻止、するんですね」


アークが不安げな表情で尋ねた。


「そうじゃ。勇者じゃからの!世界を救わねばならんの!」


カイロスは平然と言ってのけた。

が、あれは企んでる時の顔だ(笑)


《勇者への試練というか、レベルアップの為のクエストか?》


《ま、そんなとこじゃ、こんな事すら解決出来んようじゃ勇者失格じゃからの》


だんだんカイロスが身近に感じて来た。

考えがわかって来た。


「うー、あたし怖いんだけどー、最悪ー」


レイナが凹んでいた。


「や、やってやらー!な、何でも来いってんだ!」


トッドはビビっていた。


「ま、いいんじゃないの?その為にアドバイザーを同行させてくれるんだろ?」


マックがカイロスに尋ねた。

アドバイザー?

ま、まさか。


「ふむ。その通りじゃ、今回はモズが同行する。わしよりずっと銃に詳しい。一応言っとくが、お主らと比べると遥かに弱い。モズの警護も任務のうちじゃ」


うーん。

もはやツッコミ所が満載過ぎて何も言いたくないな。


「いらねーよ、こんな奴!足手まといになるだけじゃねーか!弱っちい奴なんか連れてたら勇者の名が廃る!」


「トッド!失礼よ!カスを守るのも勇者の使命よ!」


レイナ。お前も充分失礼だよ。


「けっ!やってられっか!」


トッドが机に足を放り出した。


「黙れ!カイロス殿の決定に口答えするな!我々は賭けに負けたのだ!仕事をすると約束したでは無いか!」


アンジーが立ち上がり。

憤怒の大魔神になった。


トッドは正座した。


アンジー怖いよー。

笑ってるほうが可愛くていいよー。


アンジーはいきなり赤面して頭を抱えてしゃがみ込んだ。


「ア、アンジェリーナ?」


「だ、大丈夫だ、気にするな」


アークの問いにしどろもどろのアンジー。


「そ、そうか。では決まりですね。やりましょう。我々は世界を救う勇者にならなくてはいけないのです。頑張ります。あと、モズさん。よろしくお願いします」


「こちらこそ、弱いらしいがよろしく頼む」


カイロスにジト目を向けながら答えた。


「ふもっ!決まりじゃの!」


カイロスは窓の外を見ながら喋っていた。


アークと握手した。

レイナも握手した。

柔らかい手だなー。

ウヘヘ。この子は喋らなきゃ超可愛いのになー。

トッドはパチンとタッチをした。

別に嫌がっている様子も無い。

こいつなりの挨拶か。


マックとも握手した。

力強いが、丁寧な握手だった。

軍人か。ニールと似た雰囲気を感じるな。

それに軽薄な振る舞いとは裏腹に、なかなか切れるような印象もあった。


最後はアンジーだった。


《よろしくね。アンジーっちー》


《な!?アンジーっち、って、そ、そんな、誰にもそんな風に呼ばれた事が、、、》


アンジーは真っ赤になりながら握手した。

恥ずかし過ぎて力の加減が出来なかったみたいだ。

手がヒリヒリしたよ(苦笑)


「ねえねえトッド。あの二人ってデキテんのかなー?」


「んなアホな!アンジーが恋とか聞いたことねーぞ」


レイナとトッドのヒソヒソ声に、アンジーは顔から湯気を出して撃沈した。

アンジーは耳がいい。


「ド、ドウヤラ、カ、風邪ヲヒイタヨウダー、ネ、熱ガー」


棒読みのアンジーが、仲間に連れられて帰って行った。


出発は明朝に決まった。


明日からまた、新しい冒険の始まりだー!


シルフィー頑張るよー!

浮気とかしないからねー!

読んで頂きまして、ありがとうございました。


先日もチラッと書きましたが、アンジーが勝手に喋ります。


歯止めが効きません。


こんな部分もあるキャラなんですが、なかなかに暴走気味です。


ま、多目にみてあげてください。

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