第四十七話「オクトパ?」
こんばんは作者です。
ちょっと短いですが。
楽しく書けました。
テッサで、手続きや聞き取りを済ませて、村に帰って来たのは夜の9時過ぎだった。
はぁー、疲れたなー。
門番と挨拶を交わし、門をいつもの様に抜けた。
一目散に家に向かった。
遅くなるのは紙飛行機で知らせておいたけど。
お腹すいたなー。
「ただいまー」
お家に入った。
何かいい匂いがするぞ、何かが焼ける匂いがした。
どっかで嗅いだ事あるなー。
「おかえりー」
ローラとおっちゃんが出迎えてくれた。
「お腹すいたよ。いい匂いするねー」
ローラとおっちゃんが苦笑していた。
ん?どうした?
「あんたも隅に置けないねー」
「わはは。かわいらしい子じゃないか!」
え?
あ、、、まさか!
その時、ドタドタと台所から走って来る足音がした。
「オズー!おかえりー!会いたかったでー!見てこれ!見てこれ!ローラさんに台所借りて、うちが作ってんでー!」
シルフィーだー!!
カットソーにショートパンツを履いて、エプロンを付けたシルフィーが走ってきた。
か、かわいい!
彼女の手には、お皿に盛られた、黄金色に輝く幾つもの丸い物体があった。青海苔とソースと、マヨネーズの様なものがかかっている。
「た、たこ焼き?」
「たこ焼きって何?これはブレザール名物、オクトパ焼きやでー!」
オクトパ、、ス、焼き?
たこ焼きじゃねーか!
ああー、段々風の国のイメージが壊れて行くー。
「ランデルさん。これ持っててください」
シルフィーはおっちゃんにお皿を渡すと。
俺に抱きついて来た。
「オズー!好きやでー」
「ちょ!ちょ!ちょ!」
俺にだっこちゃんみたいに抱きついて、顔中にキスしてきた。
ウヘヘ(笑)
おっちゃんがたこ焼きをハフハフ摘みつつ爆笑していた。
ローラと目があった。
ローラはウインクして来た。
ようやく気が済んだのか、シルフィーは離れてくれた。
にしても、ウヘヘ(笑)
「何でここにいるの?」
「お休みもろてん!忙しくなる前にいっぱい甘えて来いって、リーアム兄ちゃんが言うてくれてん!」
シルフィーはニマーっと笑った。
「いつ来たの?」
「今朝!」
「いきなりオズの彼女ですってやって来てねえ、お世話になりますって頭下げるからねえ。この子がカイロスさんが言ってたエルフのシルフィーちゃんかと思ってねー。目がクリクリして可愛いねえ」
エルフ?
そう言えば、シルフィーはエルフ耳バージョンだった。
「シルフィー?」
「へへー、勇気出して本当の姿で訪ねてみてん。ちゃんと挨拶せなって思って」
「わはは。大丈夫だ!うちはエルフに偏見など無い!俺も昔エルフと一緒に仕事した事あるからな!」
おっちゃんは相変わらずたこ焼きをパクつきつつ、笑顔で話した。
たこ焼きが無くなりそうだ。
「あー、ランデルさん。食い過ぎやでー、もっと焼かな!ちょっと待っててなー!」
シルフィーは台所に走って行った。
「あはは」
シルフィー!
シルフィー来たー!
この時の俺は、どれだけデレデレしていたか分かったもんじゃなかった。
「可愛い子じゃないか!この野郎!お前にはもったいないな」
おっちゃんが、俺の肩をバンバン叩きつつ笑った。
「ホントホント。家事もお手伝いしてくれたし、この人も、娘が出来たって言って喜んでるしねぇ」
「ローラ!それは内緒だろうが!」
おっちゃんは狼狽えていた。
「さあさあ、役立たずの男共にご飯食べさせないとねえ、ほらほら、二人とも、ダイニングに来なねー、オズは手を洗ってから来なさいねー」
俺たちはすごすごとローラの指示に従った。
うちで一番偉いのはローラだな(苦笑)
そして、ブレザール公国の風物詩らしい、オクトパが始まった。
いわゆるタコパだタコパ(笑)
「美味しいやろー?今日はオーソドックスなやつにしてんけど、出汁に浸して食べる、ブライトストーン焼きってのもあるねんでー」
明石焼きか?
明石焼きだろ?
なあ?なあ?
「なあ、似たような物で、もっと大きくて平たくて丸いのも無い?」
「何で知ってんのー?ビッグスロープ焼きって言うねんでー、明日作ったろか?」
「あるんかい!」
ビッグスロープ、、大きい阪、、だろうな。
もう好きにしてくれ。
おっちゃんは賑やかな食卓を見ながら、ニコニコとしつつ、酒を飲んでいた。
ローラはシルフィーが手伝ってくれるから、今夜はゆっくりご飯を食べていた。
シルフィーはローラのリクエストにお答えして、俺との馴れ初めを話していた。
「ほんでなーテッサまでたどり着いてんけど、もうめっちゃお腹空いててな。間抜けな顔して歩いてた、あ、ごめんね、オズから財布すってもうてん」
そこも話すんかい!
おっちゃんの視線が痛いな。
ローラは大爆笑だった。
「〜。ほんでなー、もうあかん!って思った時。この人が颯爽と現れてん」
その間も、続けてシルフィーは俺の活躍を語っていた。
おっちゃんとローラは時折驚きつつ、嬉しそうに俺の活躍を聞いてた。
「〜。んで、めっちゃ呑気なまま、倒してもうてん」
おっちゃんが驚いていた。
シルフィーは先へ進む
「〜。でな、私がエルフやって分かっても、可愛い、可愛い、連発してくれてなー。エヘ」
エヘ(笑)
「結局「何か食べ」言うて、お金までくれてん。そん時はそれでバイバイしてんけどなー」
おっちゃんとローラは感心顔だった。
エヘへ。
「お前な、格好いいけどな。そもそも冒険屋たるもの、油断して掏摸に合うとか何事だ!」
おっちゃんはちょっと苦笑しつつ怒っていた。
「面目ない!」
「ランデルさん。あんま怒らんといてあげてー。うち一回も失敗した事無かったんやけど、オズ、一度は防いでんでー。それに、すって無かったら出会ってないし」
シルフィー。優しーい。
「そ、そうなのか。そうか。まあシルフィーちゃんに免じて、今日は勘弁してやろう」
おっちゃんは矛先を収めた。
しかしローラの目がキュピーンと光った!
「なーに上からものを言ってんのさ!ゴブリンに油断し過ぎて毒矢を食らって、行き倒れになってたのは誰だったかしらねえ!それが無かったらあたしらも出会ってないんだけどねえ!」
ローラのツッコミが炸裂した。
「ぐっ!面目ない!」
おっちゃんは撃沈した。
さあさあ、先に進もうシルフィー。
うぷぷ。
シルフィーは採掘場の話や舞踏会の話をした。
あれはいい夜だったなー。この辺の話はおっちゃん達も知ってるな。
うんうんと頷きながら、二人は聞いている。
王を殺した話。
脱獄した話。
あ、、、。
「〜。ほんでな、その日の夜に、オズがナパマに帰って来てんけどな、再会して、いきなり倉庫で押し倒されてん!初めてやったのにー!」
ぶっ!
俺はビールを吹いた。
そ、それも話すんかい!
ローラは笑い転げていた。
「お前なあ。よそ様の大切な娘さんの初めてを、倉庫でってのは無いだろ?何てムードの無いヤツだ。しかも、あるまじきは任務の最中に!節操の無いヤツめ!」
おっちゃんは怒っていた。
年頃の娘を持つ、親父の顔だ。
「す、すいません」
しかし、またもやローラの目がキュピーンと光った。
おっちゃんの額にうっすら汗が滲む。
「なーに言ってんのさ!怪我のせいで居候させてもらってた村長の家の納屋で、あたしを節操無く押し倒したのは誰だったかしらねえ。あたしも初めてだったんだけどねえ!」
ぶっ!
ローラのツッコミに、おっちゃんがビールを吹いた。
「す、すいません」
「うちの男共は、そろいもそろってデリカシーの無いヤツらだねえシルフィーちゃん」
「す、すいません」×2
ローラは強いな(苦笑)
撃沈した俺たちを横目にローラとシルフィーはケラケラ笑っていた。
「でね、シルフィーの技を真似してみたんだー」
その後、俺は昨日の武勇伝を語っていた。
「やー、照れるわー、シルフィードとかカッコ良すぎやー、嬉しいー」
シルフィーは真っ赤になっていた。
おっちゃんとローラは爆笑していたけど。
賑やかで楽しい夕食だった。
「あ、せや!デザートあるねんでー」
シルフィーはトタトタと自分の荷物に向かい、箱に入った物を持って来た。
「ブレザール公国の名菓やでー、切って食べるねん!ローラさん。包丁借りるでー」
台所に行って何やらしつつ、戻って来たシルフィー。
手に持ったお皿には、緑色の棒のような物が、切り分けられて並べられていた。
所々に黄色の粒くらいの固まりが見えた。
ま、まさか。
そう、羊羹だ。
端っこが美味い。
「千年樹って名前のお菓子でなー、ブレザール公国を表現してるねんてー。端っこが美味しいねんで」
やっぱりかい!
「小豆と抹茶で作るの?」
「オズの言うてる事ようわからんけど、ショーズっていうお豆さんと、露草っていうお茶とマロンを使うねん」
ショーズって!(苦笑)
マロンはマロンかよ!
「ショーズの白いやつを煮て、裏ごしして、皮と中身に分けて、数回さらした物に、砂糖と水を加えて煮る。それに寒天を加えてさらに煮詰め、あらかじめ蜜で煮たマロンを入れ、あがる寸前に露草を加える。色々端折ったけど、だいたいそうだろ?」
「すごーい!何で知ってんの!」
シルフィーがびっくりしていた。
おっちゃんとローラもしかりだ。
いかん、ついつい。
ニホンのお菓子にはうるさいのさ(苦笑)
「に、似たようなのが、俺の国にもあったからねっ!」
みんなで羊羹を食べた。
柔らかい甘さと、抹茶の苦み。食感とアクセントになる刻んだマロン。
大変美味しゅうございました。
その後、完全に酔ったシルフィーは。
「ローラさん、オズと一緒にお風呂入ってもええ?なあ、ええやろ?」
「ああ。好きにしな。ふふふ」
ローラに聞くところがにくいな。
うちの力関係をよく分かっている。
俺はシルフィーに拉致されて風呂場に連行された。
おっちゃんとローラは苦笑しつつも、目を合わせて嬉しそうにしていたが、俺は見てなかった。
あれ?前も似たような事あったな?
ま、いいや。ウヘヘ(笑)
その夜。
俺とシルフィーは、ベッドの中で久しぶりに、一つの風になった。
《上手くも綺麗でも何ともねーよ!このエロ殿下が!!》
モトユキのツッコミが聞こえた気がした。
この終わり方も久しぶりの気がした。
読んで頂きまして、ありがとうございました。
シルフィーが押しかけて来ました。
そして、いちいち似た者親子なおっちゃんとオズ。
女は強しです。はい。




