第四十三話「貴様のゲームに付き合ってる暇は無いんだよ」
こんばんは、作者です。
休暇中の主人公。
相変わらずの巻き込まれ体質です(笑)
それでは、本編どうぞ。
次の日。
俺はテッサとベネーリア王国の中間にある村にいた。ワーズアという村だ。
ランド村よりちょっと大きい村だ。
宿屋、レストラン、飲み屋、道具屋、などが一軒ずつある。
よくゲームなんかで登場する、城とちょっと離れた所にあるダンジョンとの中間にあるような村だ。
だいたいはランド村と似たような雰囲気の村。
ひとつ大きく違う点は、だーれもいない事だ。
「兄貴ー、怖いっすよー。ホラーじゃないっすかー」
「び、ビビンバ、あ、噛んだ。ビビんな!情けない!」
ビビるJohnny'sの面々と俺。
ジョニーズ。
俺が名前を付けてやった。舎弟、、もとい、チャラ男達だ。
俺にぶっ飛ばされたジョニーを筆頭に。ジョーイ。ジョルジオ。ジョルノ。
よくもまあ似たような名前が集まったもんだ。
だから名前をジョニーズにしてやったんだ。
我ながらいいネーミングセンスだわな。
ちなみにジョニーは戦士。ジョーイは戦士兼弓使い。
ジョルジオは魔法使い。
ジョルノは武道家兼回復役だった。
なかなかバランスのいいパーティーだな。
本気を出して、ランクアップして来たのにも、納得がいった。
さて、何してるかって?
ギルドからの依頼でね。
村人全員が行方不明になった村の調査を頼まれたのさ。
生活感はあるのに、人気の全く無い村。
確かにホラーだわ。
受けるんじゃなかった(苦笑)
い、井戸とか無いよな。
ニホンで見たホラー映画がトラウマだった。
何が悲しくて、私生活で怖がらなきゃいけないのか理解に苦しむよ。
村は昼間の、のどかな光に包まれていた。
夜に来るわけねーだろ!
「兄貴ぃー」
「うおっ!」
「ど、どうしたんですか?」
「いきなり声をかけんな!びっくりするだろうが!」
俺たちは完全にビビっていた(苦笑)
「よし、手分けして村の様子を探るぞ」
「は、はい」
「一通り廻ったら戻って来いよ。何かあったらすぐ知らせろ。俺がここにいるからな」
「は、はい、、ええ!?兄貴はやらないんですか!?」
「俺は司令塔だ。誰かが決まった場所にいないと困るだろうが!」
ビビっているからだとか言わないよ!
ちなみに俺達は村の中心にある、池の側にいた。
「ほらほら、さっさと行け!日が暮れるまでいたいのか?」
「そ、それだけは、い、嫌っす。行きます、行きますよー」
ジョニーズは村に散った。
小鳥のさえずりが聞こえる。
普段は平穏な村だそうだ(苦笑)
依頼書の掲示板で、ジョニーズに会っちゃったのが運の尽きだったなー。
昨日突然、村人が消えたらしい。
発見したのは商人。
この村は農作が盛んな村だそうだ。
街道からは離れている。
たまたま立ち寄った商人が村の異変に気付いて、ギルドへ駆け込んで来たんだ。
居合わせたのがジョニーズ。俺は巻き込まれた(笑)
これで霧でも出てたら、完全にアレみたいだな。
しばらくして、ジョーイが戻って来た。
「兄貴!」
「おう」
「俺、家に入ったんす。そしたら、食卓にご飯が残ったままだったんすよ。で、結構豪華なご飯で。もしかしてって思って、飲み屋行ってみたんす。そしたら、飲み屋も酒とか食事が出されたままで。これってあれっすよね?」
「夜に全員消えたんだな」
「そうっすよね?良かったー、間違って無かった」
ジョーイはなかなか頭がキレるな。
ジョニーズの頭脳なんだろう。
次にジョルノが戻って来た。
「兄貴ー!人の気配がしました」
「ホント!?」
「は、はい。でもおかしいんす。壁を隔てた向こう側にいるような、いないような、すんません!」
ジョルノは上手く説明出来ないようだった。
色々聞くと、人の気配はするんだけど、同じ空間にいないような感じなんだとさ。
ジョルノは武道家だ。
繊細な気配を感じるんだろう。
次にジョルジオが戻って来た。
「兄貴ー!」
こいつら出だしがいつも同じだな。
「どした?」
「魔力の名残があるっす。あっちの方です」
ジョルジオは街のとある方向を指さした。
さすがは魔法使いだな。
俺にはさっぱりだ。
そして、ジョルジオが指さした方向から、ジョニーが走って来た。
「あ、兄貴ー!人がいた!子供を見たっす!」
俺を含めた全員が色めき立った。
「ま、まじ?どこっすか?ま、間違えた、どこだ?」
調子を狂わせつつ俺が聞いた。
「あっちあっち!」
ジョニーが方向を示した。
「よし!行くぞ!」
俺達は全員で、そちらへ向かった。
細い路地を抜け、家々が集まる場所にたどり着いた。
「どこだ?」
「あれー、さっきこの辺で見たのに!」
「勘違いじゃねーの?ほら、何とかの正体見たり枯れ尾花って言うじゃん」
ジョーイ。なかなか風流な言葉知ってんだな。
漢字が合ってるかも分からんがな(苦笑)
「見たんだよ!見たの!」
秋なのに、何故か生暖かい風が首筋を撫でた。
ゆ、幽霊?
全員が同じ事を考えていたみたいだ。
汗タラーってやつだな。
その時。
視界を横切る影。
少年が路地の奥に見えた気がした。
あっ!
「あっ!」×全員
、、、、、。
幻覚か?
「み、見えたな」ジョルノ
「見えた」ジョーイ
「確かに」ジョルジオ
「ほらー!!居たんだって!」ジョニー
「追うぞ!」
俺の言葉で全員が動いた。
路地の奥に進んだ。
いない。
その時、路地奥の出口に少年の背中。
追った。
いない。
その時、近くの家屋の裏に少年の姿。
裏に向かう。
いない。
その時、家屋の裏の空き地の奥。お墓が集まる辺りに少年の姿。
追った。
いない。
そして、お墓の奥の、教会の様な建物の中へ入って行く少年の姿。
「あそこか」
また教会か。
教会は嫌いだ。
俺達は教会にたどり着いた。
古びているが、きっちり手入れされている教会だった。
古めかしい扉を開けた。
中はまだよく見えない。
「は、入るぞ」
「は、はい!」
ジョニーズを連れ立って、俺は教会に入った。
天井にステンドグラスが見える。
暗い茶色を基調とした調度品。
そして、いたる所に蝋燭が灯されていた。
少年は一番奥に立っていた。
「おい。大丈夫か?何があった?」
「お兄ちゃん達、誰?パパやママはどうしたの?」
6才くらいだろうか?
あどけない少年だった。
俺達を見て震えていた。
「俺達はそれを調べに来たんだ。何があった?教えてくれないか?」
ジョニーが優しく聞いた。ジョニー。中々いいお兄さんっぷりじゃないかー。
「わかんないの。夜寝てて、起きたらこんな事になってて」
「そ、そうか。とりあえず、一緒にいよう」
ジョニーが少年に近づいた。
「待て!」
ジョルノが言った。
え?何何?
ジョルノは続ける。
「おいガキ!テメー何者だ?俺は騙されないぞ」
ジョルノの言葉に困惑の表情を浮かべる少年。
「何者って、僕はロアだよ」
「ロアか。そうか。こらジョルノ!テメー何恐がらせてんだ!」
ジョニーが怒った。
「お兄ちゃん優しいね」
ロアが笑った。
ジョニーが嬉しそうにしている。
ロアは屈託の無い笑みを浮かべながら続ける。
「お兄ちゃん達も、僕の世界に入れてあげる」
え?
ロアの笑みが、黒く変容した。
教会が揺らいだ。
ちょ!ちょ!ちょ!
次の瞬間。
俺達は教会にいた。
そう、変わらず教会にいた。
しかし、教会はさっきのそれとは違った。
いたる所に血や油の様なモノがこびり付いている。
木は腐り、朽ち果て、金属の調度品は錆び付いていた。
蝋燭の火と、俺達だけがそのままだった。
「な、なんだこりゃ!テメー。ロア!何しやがった!」
ジョニーが怒りの表情を浮かべながら、ロアに問いただした。
「うふふ。我の力を示したまでよ」
ロアの声色は、先ほどまでの、少年のそれでは無かった。
「貴様。何者だ?」
やっと俺のセリフだー!
「知りたいか?」
「いや、別に」
「な!?我を愚弄するのか?」
「どうしてもと言うなら、聞いてやらん事も無い」
ぶっちゃけ、どーでも良かった。
「人のクセに頭が高いヤツだな」
「そんな事より、村人をどこへやった?」
「ふふ。ふはははは。動じないのか。この事態に。いいだろう。この村にいくつかヒントを残して来た。それを集められれば、村人を返し、我の正体を教えてやろう、ただし、亡者達が徘徊する村で、生き延びる事が出来ればだがな」
俺は窓の外を見た。
どす黒く曇った空。
外は夜のように暗かった。何故か、点々と松明が焚かれている。
その松明に、時折、この世のモノとは思えない生物が照らされていた。
毛も皮も無い。
剥き出しの肉体を持つ、猿の様な生物だった。
「ひ、ひぃーっ!兄貴!兄貴!なんなんすかコイツら!ど、どこなんすかココ!」
「ふはははは」
この反応が欲しかったんだろうな。
ロアは悦に入っていた。
「ここはどこだ?」
「さあな。我が作った空間とだけ言っておこう。助けを呼んでも無駄だぞ。ここは世界と隔離された空間だ。神にも悪魔にも、誰にも見えんよ」
俺の問いにロアが答えた。
「なるほど。で、ここでお前とゲームをするわけだ」
「ふふふ。その通りだ。怖いか?ふはははは」
「で、俺達がクリアすれば、村人を返してくれる訳だ」
「正解だ!ふはははは」
「なるほど、だが断る!」
「な!?貴様バカか?人の貴様に拒否権など無い!」
「めんどくさい!」
「あ、兄貴ー!わざわざ波風立てなくてもー!」
ジョニーが叫んだ。
だがおあいにく様、俺はめんどくさがり屋だし。
ついでに、人じゃねー!
「ふはははは!愚かな人間共め!遊び半分だったが、永遠にこの空間をさまようとよい!ふはははは」
遊び半分かよ!
「あ、兄貴ー助けてー!」
「承知しました。あれ?メイド?」
失礼した。
とあるドラマにはまっていてな。
「さらばだ人間共!」
ロアは高らかに笑って、空中へ飛び上がっ、、、。
れなかった。
「ふざけんなー!」
俺のパンチが炸裂した。
ドガガガガー。
ロアは吹き飛ばされ、祭壇の様なモノに突っ込んだ。
「な!?何だ!?」
起き上がったロアが狼狽しつつ言葉を吐いた。
「誰にも見られないんだよな?」
「な!?は、はい?」
ポキポキと拳を鳴らしつつ、不適な笑みを浮かべているであろう俺(苦笑)
「な、なんだ貴様、、、貴様、、、?、あ、、、まさか、、、?そんなハズは、、、?」
ロアが唖然とした。
「黙れ!喋ったら殺す!動いたら殺す!息をしても殺す!この三流神が!」
「あ、兄貴?」
ロアは口を手で塞いで固まっている。
ジョニーズは驚嘆していた。
「こいつはモルペウス。夢を司る神の一人だ」
「か、神様ー?」
ジョニーズが、鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔をした。
「そうだよなモルペウス?」
「ひ、ひいっ!」
ロアは思わず悲鳴を上げた。
「お前は悪戯が過ぎる。神なら何でもしていいと思ってるんだろ?だが世界は、お前の遊びに振り回されるほど軽いもんじゃねーんだよ!ついでに、俺は、お前のゲームに付き合っている程暇じゃねーんだ。どうせチクチク残弾を気にしながら、弱い主人公を動かして、意味不明なメッセージをかき集めなきゃいけないゲームなんだろ?めんどくせー事させるんじゃねー!」
正体に気付いたのは、異世界に飛ばされた直後。
後半はニホンで買って来たゲームの愚痴だ(苦笑)
「お、お助けー」
「問答無用」
俺はロア、いやモルペウスをフルボッコにした。
三流神ごとき、フルパワーの俺に叶う筈が無かった。
ありがとうよ。
わざわざ誰にも見られない空間に招待してくれてよ。
数秒後、ボコボコになったモルペウスが全裸で土下座していた。
隣には、着ていた服がきちんと畳まれて置いてあった。
「た、大変申し訳ありませんでした、まさか、あなた様がおられるとは」
「喋ったら殺すと言わなかったか?」
「はうっ!」
モルペウスは、又、口を押さえて黙り込んだ。
ジョニーズは完全にフリーズしていた。
「さっさと元に戻せ!口を開くな!息もするな!そして、この事を誰かに喋ったら、全裸で魔界に放り込んでやるぞ!」
俺の言葉に、口を手で塞いだまま、高速で何回も頷くモルペウス。
「ジョニーズ!お前らもだ。喋ったら、最初から存在が無かったかのように、物語から削除するぞ!」
ジョニーズも何故か口を手で塞いだまま、高速で頷いた。
一時間後。
俺達は村を後にした。
村は村人達が戻り、平穏を取り戻していた。
村人達は、いきなり意識を失ったと言っていた。
その後の事は、よく覚えていないようだった。
とりあえずは解決したわな。
モルペウスは色々書かれた誓約書に血判を押させてから解放した。
他言無用とか、俺の下僕になるとか、そういう内容だったけど、無事に天界に帰れると分かって、嬉々として判を押していた。
悪い神では無いが。
夢なんて、時々、悪戯なもんだ。
だが、相手が悪かったな(笑)
その後、ジョニーズは前にも増して、俺を崇拝するようになった(笑)
ジョニーズ自体、イケメンで、それなりに優れた冒険屋チームなので、ファンが多いんだけど、ジョニーズ効果で、俺の女性ファンが増えた。
ジョニーズは俺のファンクラブと親衛隊を作ろうとしていたが、本気で止めさせた。
シルフィーに殺されるからだ(苦笑)
とまあ、こんな日々を送っています。
シルフィー!
会いたいよー!
読んで頂きまして、誠にありがとうございました。
ま、何というか、作者の願望です(笑)
チマチマ進めなきゃいけないゲームにチートを使ったらどうなるか?
書いてみたかったんです。
オズは、フルパワーなら、一級神とほぼ互角です。
この作品の中では、精霊王は、太古の神と肩を並べる存在ですから。
モドキとは言え、その気があれば精霊王だったオズも又、強いんです。
三流神がオズの足元にも及ばないのは当然です。
ま、実際のモルペウスが三流神かどうかは、さて置きですが(笑)
ではまたー。




