第三十一話「三人の正義の味方」
おはようございます。
作者です。
いつもありがとうございます。
グランディアに到着いたしました。
いよいよ、ランド王国編のラストに差し掛かります。
それではどうぞ。
翌朝、フカフカのベッドで目が覚めた。
屋根付きベッドだ。
お姫様みたいだな(笑)
いやー、よく寝た。
しこたま食って、しこたま飲んだ。
気疲れもしていたんだろうなー。
カーテンからは朝陽が差し込んでいた。
今日はする事ないんだよなー。
ニールは明日迎えに来るって言ってるしなー。
明日何があるんだろ?
とりあえず、朝ご飯を頼んだ。
トースト、ベーコン、スクランブルエッグ。ココット。スープ。チーズの盛り合わせとサラダが来た。
多いな(苦笑)
完食しました(笑)
食べ終わった頃、紙飛行機がどこからか飛んで来た。
あ、ルースからだな。
ってどーせアミタとのノロケが山ほど書かれてんだろうなー(笑)
朝からテンション下がるな。
読むのは後にしよーっと。
ふらっとフロントまで降りてきた。
コナーさんがやって来る。
「おはようございます、昨夜はよくお休みになられましたでしょうか?」
「ああ。快適でした。ありがとう」
「いえいえ、ご満足頂きまして、光栄です」
ホテルのロビーは人で溢れていた。
貴族のような人達が、騎士を従え闊歩している。
新聞記者のような連中に囲まれてる人も。
サングラスをかけたイケメンや美女。
「あ、来たぞ!」
入り口から現れた熟女に記者が殺到する。
フラッシュが炊かれた。
カメラとかあんのかな?
記者に囲まれた女はだるそうに話した。
「もー、やめてくんない?今はプライベートなんだから、そこんとこわかる?」
「誰?」
コナーさんに聞いた。
「あれは、ベネーリア王国の歌姫です」
「まさか、ピーチなんちゃらか?」
「はい。ピーチウェル・インセンス様です。芸名ですが。本名は誰も知りません」
「ピーチウェル・インセンスか」
気だるそうな話し方、化粧水の広告か、、、桃、、、訳すのはやめておこう(笑)
「何でこんなに人が?」
「ご存知無いのですか?明日は王国の建国記念日で、お城で舞踏会があるんですよ」
「まじかー、この国って何年目なの?」
「約200年です」
コナーは得意気に答えた。
まじかー、200年ねー。
凄いな。
記念の舞踏会には、国内外の要人や、芸能人、文化人が集まるらしい。
ま、他人事だな(笑)
堅苦しいのは御免だ。
俺はコナーさんに、外出すると告げ、ホテルを出た。
ピーチなんちゃらとすれ違った。
「あら、いい風」
ピーチなんちゃらが独り言を言っていた。
街は活気に溢れていた。
昨日は夜だから、よくわからなかったが、街にはランド王国の国旗がいたる所に掲げられていた。
人も馬車も多いな。
舞踏会は城で行われる。
勿論、特定の人達しか入れない。
しかし、街の各所で催し物が行われるらしく、街は祝賀ムードに溢れていた。
城から続く、坂の中腹には巨大な広場があった。
噴水が見える。
骨董市。出店、大道芸人、等々。
広場も多くの人で賑わっていた。
「ママーあれ買って!」
「さあさあ、世にも珍しい魔法具だよー、兄さん、寄っていかない?」
「輪投げだよー、輪投げ」
「串焼きいかがっすかー?」
「腕相撲やってかないか?俺に勝てたら金貨一枚、さあさあ力自慢はいないかー?」
色んな商売あるんだなー。
俺はたこ焼きのようなものを食べながら、紙芝居を見ていた。
この国は、巨大な亀によって造られ。ランド山はその亀の身体だとかそういう話だった。
んなアホな(苦笑)
おとぎ話もいいとこだな。
《お前も充分おとぎ話の住人だぞ。そのたこ焼き美味そうだな》
あ、おはようモトユキ。たこ焼きはやらん(笑)
しかし、亀ってなんだよ?ガ○ラじゃあるまいし。
《ふふ。人の想像力など、そんなもんだ。が、想像出来ることは実現できる》
まあな。
てか、その言葉。よく覚えていたな。
《当然だ》
親父の言葉だ。
ま、今持ち出す言葉でも無いが。
俺は骨董市を回ってみた。
ロクなもんが無いな。
竜のヒゲとか、魔王の爪の垢とか、千年樹で出来た箸とか。
ただ、どれも何の魔力も感じない。
パチモンだった。
時折魔力を感じるものも売っていたが、興味無かった。
ふらふらと歩いていたが、俺はとある店の前で足を止めた。
なんだこれ?
「お、兄ちゃん、気になるもんでもあるかい?安くしとくよ」
俺があるモノに釘付けになってると気づいた店主が話しかけてきた。
禿げ上がった頭のオヤジだ。特に特徴もない。
マ○オが老けたらこんな感じだろうな(笑)
「これ、何?」
俺は気になったモノを指差した。
「ん?ああ、これか?ガラクタだ」
それはガラクタと言うには過ぎた魔力を持っていた。
「ガラクタね」
「どっかの骨董品集めが趣味の貴族が手放したもんだ」
「へー」
「何でも昔、勇者が使っていたとかなんとか、ま、よくある由来のシロモンなんだが」
「どうやって使うの?」
「わからん(笑)わからんから観賞用だったらしいが、魔力も何も感じないから売ったんだと、ま、ガラクタだな(笑)」
「そうか」
この魔力を感じないのか?
「買うか?」
「いくらだ?」
親父の言い値はガラクタにしては、ま、それなりの値段だった。
例えて言うなら、駆け出しの勇者【ああああ】が、棒きれの次の次に買う剣みたいな値段だ(笑)
買った。
「毎度ありー」
毎度来てねえよ(笑)
しかし、なんだこれ?
って言うか、なんでこれがあるんだろう?
弄ってみると、俺の見立てが確かなら、あと一回使えるみたいだ。
ま、暇つぶしのついでだ、持っとこ。
ぶっちゃけこういうモノが好きなんだ。
何買ったかって?
秘密だ(笑)
下らないモノに散財した俺は、買い食いをしながら広場を歩く。
と、前方に人だかりが出来ていた。
「おやめ下さい」
「何だと、我の命令に逆らうのか?」
ざわざわ。
何だ何だ?
人だかりの後方の人に聞いてみた。
「どしたの?」
「あ?ああ、有名な貴族が、妾漁りをしてんのさ」
人だかりの真ん中には、綺麗な女の子と、その彼氏みたいな男。
そして、その女の子の手を引き、連れて行こうとする貴族の男と取り巻き連中。彼氏は必死に貴族に懇願していた。
「やめて下さい。レーナは私の婚約者なんです」
「知った事か、我は、我が望む物を手に入れる、下々の者の意志など関係ない」
「どうかお許しを、ゲイル様、先日私の父からやっと、アインと結婚の許しが出たばかりなのです」
レーナと呼ばれた娘が泣きながら乞うていた。
うわうわ。
ありがちー(苦笑)
ゲイルと呼ばれた貴族は、綺麗な顔立ちだが、残忍な笑みを浮かべていた。
紋章の彫られた真っ白な鎧を纏っていたが、薄汚れて見える。
似合わねー。
てか、どっかで見た紋章だな、どこで見たっけ?
「それがどうした?我の後宮へ来い、貧乏人との結婚より、よほど幸せだ」
「お金などいりません。わたくしはアインがいればそれでいいのです」
「ふはは、そうかそうか、我より、そのアインとやらが大事か?よかろう」
「で、では?」
レーナの顔が明るくなった。
しかし。
「ではレーナとやら、貴様の未練を断ち切ってやろう。アインが死ねば、思い残す事は無いな」
ゲイルは口元を斜めに上げて、冷たく笑い、剣に手をかけた。
レーナが凍りつく。
周りの人だかりが、ざわつき、すこし遠巻きになる。
「どうか、お許しを、どうか!どうか!」
「ならん!我は貴様が欲しい!」
レーナは意を決した顔になる。
「わ、わかりました。貴方様の元へ参ります。ですからアインの命だけは、、、」
「レーナ!」
アインが苦悶の表情で叫ぶ。
「ならん!」
ゲイルは続ける。
クソ野郎め!
「レーナ、我は貴様が欲しいと言った。貴様の心もな。アインとの思い出は今ここで忘れ去れ、アインには死んでもらう」
ゲイルは剣を抜いた。
まじかよー、最悪だな。
「どうかお助けを、誰か!誰か助けて下さい!」
アインがゲイルに、周りの群集に向け絶叫した。
誰も目を合わせようとしない。
ひでーな。
ま、相手は貴族だからな、分からんでも無いが。
ゲイルがアインに迫る。
「いやーぁぁぁぁぁ!」
レーナの叫びが広場に響いた。
しゃーねーな。
俺は、前にいた男が動き出そうとする、その肩を制し前に出る。
ボロボロの剣を持った男だった。
こらこら、俺の出番だ、ケルン!お前の出る幕じゃねーよ。
ん?ケルンって誰だ?
ま、いっか。
「ふはは、誰も助けん。我を止められる者などおらんわ、誰かおらんか?ふはは、おらんだろう!」
「はーい」
間の抜けた声が響いた。
自分で言うのもなんだが、正義の味方にしては覇気が無さ過ぎだな(笑)
俺は手を挙げながら、群集から前へ出た。
ゲイルは俺の声に振り向いた。
「何だ貴様!?」
「何だ!?って、呼ばれたから出てきたのに」
「な、なんだとー!我を誰か知っているのか!」
「知らん!というかどーでもいい」
「な!?」
群集がざわめく。
「バカだなアイツ、殺されるぞ」
「カッコ付けたって、相手はゲイル様だぞ?」
ひそひそ声が聞こえる。
あらら、喧嘩売る相手間違えたかな(汗)
「ふはは。バカめ!知らんなら教えてやる。我はゲイル。この国の宰相ゲイドを父に持つ貴族であるぞ!」
「で?」
「な、なんだと?」
「それがどうしたと言っている」
「き、貴様、何が言いたい?」
「誰の息子とか、地位がどうのとか、うんざりなんだよ、そんなもんは知らん。お前が糞野郎って事はよくわかった」
吐き捨てるように言っちゃったよ。
なんつーか。
自分に向かって言ってるような部分もあって、つい感情的になっちゃったよ。
親父が精霊王でもな、俺は何も出来ない。
何も変えられない。
何も力の無い存在なんだよおぉぉぉ!!!
ゲイルに向けてでは無かったが、やり場の無い怒りが発散され、ゲイルが後ずさりした。
「ぶ、無礼者め!我に覇気をぶつけてくるとは。許さん!者共、こやつを討ち取れ!」
ゲイルの取り巻きが、前に出てきた。それぞれに剣を抜く。
やっべー、やっちゃったよー、張り切って出てきたはいいけど、何にも考えて無かった。
本気出したら大騒ぎになるだろうし。
カイロスの依頼もぶち壊しになるかもだし。
どうしよ、どうしよ、パパー(泣)
「ふぉっふぉっふぉっ、それまでじゃ」
この笑い声は、まさか!
振り向くと、その人はいた。
テッサの変人にして、偉大な魔導士、カイロスが。
「ふぉっふぉっふぉっ」
「カイロス!何でここに?」
「ぬお?お主、紙飛行機を読んでおらんのか?」
あ、、、忘れてた(笑)
「まったく。それにしてもお主、、、。隠れて暮らすとか、、、どの口が言っとるんじゃか」
カイロスは愉快そうに笑った。
「面目ない(苦笑)」
「な、貴様、、いや、貴方はカイロス、、殿」
ゲイルが声を絞り出した。カイロスの登場は彼の予想を遥かに超えていたようだ。
また、言葉の端々からカイロスへの恐れが感じられる。
認めたく無い存在だが、あがなえない存在みたいに思ってるようだ。
「ふぉっふぉっふぉっ、ゲイル様。久しいの!まずは孫の非礼を詫びよう」
孫?
勘弁してくれ(笑)
「な!?孫と?こやつはカイロス殿の孫だと言うのか?孫がいるのは聞いているが、まさか」
「ふぉっふぉっふぉっ、信じるも、信じるぬも自由じゃ。だが、こんな無礼者でも、孫は孫じゃ。ここはわしの顔に免じて、剣を収めてくれんかの?」
「な!なんと!ぬう!しかしだ!小奴は!」
「無理は承知で頼んでおる。とはいえ、かわいい孫じゃからのぉ。向かって来るなら、わしが相手じゃ」
カイロスの身体から、膨大な魔力が溢れ出た。
大気が歪む。
本気だと言う意思表示だな。
群集には、カイロスの魔力はよくわかっていないようだった。
ガクガクと怯んでいるのはカイロスと部下達だった。
何をどうやってんのか。
恐えーよじいさん(苦笑)
「わ、わかった。し、仕方ない。貴殿の顔に免じて許そう」
当然だろうな、この魔力を直撃してる訳だからな。
部下達は腰砕けになっていた。
失神している者もいる。
ゲイルは立っていた。
糞野郎だが、口だけでもないらしい。
「ふぉっふぉっふぉっ、流石はゲイル様、お心が広い」
カイロスは恭しく礼をした。
一帯に安堵の空気が広がる。
どこからか拍手が起きた。拍手は瞬く間に広まる。
意味合いはカイロスへの賞賛と、場が収まった事への賛美だろう。
「おお、ゲイル様、皆貴方の身心に感謝しておるぞ?」
カイロスが言った。
流石、年の功だな。
というか、すげーな。
ゲイルは見事に策に引っかかった。
というより乗ってきたのか?
面子を潰される所か、名声を保ったたまま退路が出来たのだからな。
「ふ、ふん。構わん、いささか遊びが過ぎたようだ。アインとやら、レーナと幸せに過ごすと良い」
「おお、ゲイル様、お二人を祝福されるか?皆の者、ご覧あれ。この二人は、ゲイル様によって庇護された。誰も二人の仲を裂くことは出来ないじゃろう。流石はゲイル様じゃ」
「ふはは。他愛も無い事よ、我はこれにて失礼する。では」
ゲイルは上機嫌で、群集の拍手に手を振り、去って行った。
「ああ、ありがとうございました。なんとお礼を申し上げてよいか」
アインとレーナが、俺達に泣きながら頭を下げて来た。
「ふぉっふぉっふぉっ、礼などいらんわい。ギルドの本分をまっとうしただけじゃ。ま、幸せにの、ささ、早よ帰るとよい」
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます」
アインとレーナは、知り合い達に囲まれながら、帰って行った。
野次馬達も、パラパラと捌けて行く。
「カイロス、ありがとう」
「ふぉっふぉっふぉっ、ただの暇つぶしじゃ」
カイロスは子供の様に笑った。
「なあ、アイツあきらめたかな?」
「あきらめるも何も、墓穴を掘ったからの。公の場で二人の結婚を認めてしまったからの」
「あ、ああ、庇護とかなんとか?」
「そうじゃ、流石にそれを自ら覆す程バカでは無い。それにヤツの自尊心がそれを許さんじゃろうな」
「そこまで考えていたのか?」
「いや(苦笑)わしはあの拍手を利用しただけじゃ」
「あー、あれ」
「最初は一人の拍手じゃった。じゃがあれは意図のある拍手じゃった。わしはその者の策に相乗りしただけじゃよ」
「そうなのか?全然わからなかったよ」
「ふぉっふぉっふぉっ、何者だったのかのぉ?」
カイロスは楽しそうに笑っていた。
俺達の後方で、拍手の主が広場を後にしようとしていた。
その男の顔に、満足そうな表情が浮かぶ。
ボロボロの剣を腰に差した男だった。
もちろん俺達は気づいてなかった(笑)
その後、俺はカイロスにこってりお説教をされた。
ルースから報告を聞いたカイロスは、グランディアまで加勢にやって来たそうだ。
ルースは置いてきたらしい。まだルースには荷が重いとカイロスが判断したそうだ。
ついでにルースが熱を出した事も理由の一つだ。
「頑張り過ぎたんじゃろう。お主やニールと一緒にいるんじゃ。引け目を挽回する為に、必死だったんじゃろう。それに、ナパマでも、ゴロツキに何度も襲われたそうじゃからの」
「な!マジか?ってか何で知ってるんだ?俺は何も聞いてないぞ?」
「ふぉっふぉっふぉっ、ニールから聞いた。お主の紙飛行機みたいなもんじゃ。ルースは、なかなか骨のある奴だと、ニールが感心しとったぞ。お主に秘密にしたのは、お主に心配をかけたくなかったのと、ルースの、男の意地じゃの」
「そうだったのか、はは、今度は俺だけ何も知らんのか、風鈴の仕返しだな(笑)」
「ちなみに、ぜーんぶ紙飛行機に書いてあるからの!!」
「す、すいませんでした(泣)」
「ふぉっふぉっふぉっ。ふぉっふぉっふぉっ」
カイロスの笑い声が、グランディアにこだました。
カイロスは用事があるからと、街へ消えて行った。
あー、疲れたー。
とんだ正義の味方になっちゃったな。
カッコ悪ー。
とほほ。
《どんまい!ま、出て行って、啖呵切ったところまでは、お前にしてはカッコ良かったぞ》
モトユキ。お前の優しさがつらいよ(苦笑)
俺は夕方の街をトボトボとホテルへ帰った。
読んで頂きまして、ありがとうございました。
ま、オズはこんなもんですね。
ドンマイです(笑)
カイロスは流石でした。
あと作者の別の拙作から、ゲストが出演してましたね。
なんとなくコラボレーションさせたくて出しました(笑)
ケルンは別に何の伏線でもありません。
それではー。




