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二週目は誰も失いたくないので、婚約破棄を目指します。  作者: もち


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12 sideアレク

「シリル!!くそっ、どけ!」


連れ去られるシリルに向かって手を伸ばすが、掴むことができず俺の手は行き場を失う。

それでも必死に人混みをかき分け、シリルが消えた路地裏に入り闇雲に足を進める。


「シリル!シリルどこだ!返事をしろ!シリル!」

「アレク様!落ち着いてください!」


追いついたユリウスに腕を捕まれ歩みを止められる。


「落ち着いてられるか!シリルが攫われたんだぞ!離せユリウス!」

「分かってます!しかし緊急事態だからこそ、アレク様が落ち着かなくてはなりません!貴方様が取り乱されてはシリル様を救えません」

「……」


ユリウスの『シリルを救えない』その言葉にようやく冷静になれた。

ああそうだ、まずは冷静に事を整理しなければ……。誰がこんなことを俺が邪魔なら俺を狙えば良いものを、シリルを狙うとは姑息な。

くそっ、手足が冷えて上手く思考がまとまらない。いつもならこんなことは無いのに……シリルが絡むとダメだな。だが言い訳はしてられない。


「アレク様……」

「ユリウス、離宮に残っている騎士団全員シリル捜索に投入しろ」

「はい」

「それと街の出入口とこの街に繋がる関所全てに検問をするよう指示を出せ。たとえ貴族相手でも積荷の検閲は必ず行うよう。もし出来なければクビだと伝えろ」

「かしこまりました」


ユリウスは返事をすると、すぐさま人混みの中へ消えていく。残ったクロードと護衛たちにも指示を出していく。


「クロードは単独でシリルを探しに行け。お前は単独の方が得意そうだしな」

「よくお分かりで。じゃっ、俺は主を探してきますんで」

「護衛は全員俺含め二手に別れるぞ。大人数で動いては相手に気取られる」

「「「はっ!」」」


護衛を三人引き連れて路地裏をくまなく探す。念の為、路地裏含めこの街の地図を頭に入れておいて良かった。拠点になりそうなとこは把握しているから、そこを叩いていけばシリルを攫ったやつを見つけられる。


「お前たちは二人でそっちの小屋を探せ」

「俺とお前はこっちを探るぞ」

「「「はい!」」」


目ぼしい拠点を探し続け日が暮れ始めた頃、一際暗い場所に違和感を感じた。

いくら祭りの最中とは言え、ここだけ異様に活気がない。

警戒を強め奥へ奥へと進んでいくと。


「っ!シリル!」

「殿下……!ダメです!こちらに来ては!」

「撃て」


シリルを見つけた瞬間、気が緩み周囲の警戒を怠ってしまった。いつもなら隙なんて見せないのに、そう教育されてきたのに出来なかった。

銃声が響き渡ったのを理解した途端、肩に激痛が走る。


「っ!ぐっ……」

「殿下!」

「はぁっ、はぁっ、ぐっ……シリル……無事か?当たってないか?」

「ぼ、僕は大丈夫です!大丈夫ですから喋らないで!」

「ああ……」


今にも気絶しそうな痛みだが、易々と気を失うことは出来ない。力を振り絞って背後を確認すると、一緒に行動していた護衛たちが犯人どもを取り押さえるのが見えた。

良かった……これで一先ずは安心出来るか。でも……シリルに怖い思いをさせてしまった……。


「すまない……」


安心したことにより身体の力が抜け、ついシリルに抱きつくように倒れてしまう。

不味い……シリルに触れてはいけないのに……。


「殿下?アレク様!アレク様!目を開けてください!アレク様!」


初めて……名前を呼んでもらえた……。返事、したいのに……意識、が……。


「……」

「アレク様!」


ああ……最期にシリルの顔を見れて、名前を呼んでもらえて良かった。

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