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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ふゆ彦
第四章 朱に交われば強くなる

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第79話 手痛い損失

「はぁ~~~~」

 

 ルクスは深い溜息をついた。

 突発型ダンジョンにアパートが飲み込まれ、家を失った。

 

 そのうえに、大家はこのご時世に必須のダンジョン保険に入っていなかったのだ。

 敷金もなにも返ってこず、ルクスとユミエラは宿無しになってしまった。

 

 ユーナがユミエラをいつものように預かってくれているので、ルクスは事務所の仮眠室で寝泊まりをしていた。

 今日やっと新居に入居したところだ。

 

「魔石が売れたからよかったものの……」

 

 二つの魔石に、ミスリルホースとアダマンタイトサーペントは、1500万で売れた。

 問題は新しいアパートだ。

 

 東京は土地がただでさえ高い。

 しかもその都内でも、圧倒的に値段が変わる場所がある。

 

 ダンジョンが発生しやすい土地と、発生しにくい土地だ。

 ルクスたちの元アパートは、発生しやすい土地にあった。

 

 ユミエラの安全のためにも、発生しにくい土地にアパートを借りたほうがよいと勧められ、ルクスは不動産屋に行った。

 保護者がいない半妖――留守にしているがどちらにせよ貴族の父は恐れられるので伏せる――の為、礼金は高く敷金も半年分と言われたのは仕方ない。

 

 仕方ないが、合わせて1千万円が一瞬で消えた。

 それだけではない。

 

 家具が全滅になったので、ユミエラの服やベッドはいいものを。そしてマナ石スマホ、マナ石炊飯器、マナ石掃除機、マナ石冷蔵庫、マナ石クーラーと買いそろえていたら、そっちは500万かかった。

 これでも、まだ買いそろえていないものはたくさんある。

 

 1LDKから2LDKになったが、今後の家賃を考えると憂鬱だ。

 

「は~またレッサーファイヤドラゴンを狩りにいかなきゃ」

 

 深玲と狩ったレッサーファイヤドラゴンは、血と肉以外の買い取りでルクスの取り分は全部で400万になった。

 肉が一番高価なので、買い取り金額は下がってしまったがそこは譲れない。  

        

 レッドバーニーなどを仕留めていた頃と比べると、かなり高給取りになっているのだが支出も大きい。

 残金と、レッサーファイヤドラゴンの代金を足すと貯金は600万と少し。

 

 しかし、安心してはいけない。

 家賃はひと月100万円だ。

 

 以前の五倍である。

 転移石は消費するが、スの実を手に入れる間、ドラゴン狩りしかなさそうだ。

 唯一のいい情報は、ルクスが荷物持ちから戦闘員として給料があがったことだ。

 

「はぁ~お金がふってこないかな~」

 

「これからグランディアに行って、初のヴァシリカに入るのにネガティブな呟きだなぁ」

 

「ルクスさん、お金かしましょうか?」

 

 あちこちで買いだめたあと、グランディア行きのゲートの前でしょうもない会話が起きる。

 ケニーは少し憐みの目で、アリアはICカードを出しながら、ルクスを眺めていた。

 

「いやいや、さすがに俺も未成年にタカる気は! 気持ちだけで充分だよ」

 

「そうですか? いつでも言ってくださいです……あれ? ルクスさんもう70レベル越えてますね」

 

「え、そうなの!?」

 

 ゲートを越えて、平原を歩きながらルクスは驚いた。

 心当たりは、やはり深玲と行ったヒュールの山だ。

 

 Aランクのレッサーファイヤドラゴンをばかばか倒している。

 そういえば、グランディアではレベルが上がりやすいと言われていたことを、今更思い出した。

 

「心当たりあるんだ?」

 

「えっと、深玲さまとレッサーファイヤドラゴンを少々……」

 

「そうなんだ? 良かったね――?」

 

 ケニーは、言いかけてアリアの表情を見て言葉を飲み込んだ。

 嫉妬で涙目のアリアは、そそくさとICカードをアイテムボックスにしまう。

 

「まあ、この先レベルはあったほうがいいし、ね!?」

 

「ケニーさんも、もうすぐレベル50ですよ」

 

「ああ、僕はアーマードベアでがんばったからなぁ……」

 

 順調に各自が強くなっている。   

 これなら、ヴァシリカに強いモンスターがいても心強い。

 三人は、平原でレッドバーニーとブラックバーニーを少し狩ると、転移石を出した。

 

「「「ヴァシリカ!」」」

 

 目を開けると、景色は一挙に夜になる。

 そして、三人はスケルトンやゾンビたちのど真ん中に出現していた。

 

「げぇぇぇぇ!!!」

 

「まさかこんな……!」

 

「武器出しといてよかったです~!」

 

 ルクスはとっさに、ケニーの前方をなで斬りにした。

 弓が武器のケニーは接近戦が弱い。

 距離を稼ぎながら、ルクスは遠くにある城下町を視野に捕らえた。

 

「みんな、こっち!! 多分だけど、あれがヴァシリカだと思う!」

 

「了解」

 

「わかりました!」

 

 悪臭のする周囲を突破しながら、三人は城下町へと急いだ。

 ヴァシリカの洗礼は、まだ続く。

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― 新着の感想 ―
いきなり遭遇!ルクス、強くなっていてよかったねぇ
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