第13話 対盗賊 市街戦闘
「見えた。あの街か」
途中の無人島で一泊し、さらに北東に進んだところ、目的な街が見える距離まで来た。双眼鏡を覗くとそこには中世ヨーロッパのような石作りの港街が写っている。
「どこに上陸しますか?」
「町外れ、と言いたいところなんだがなァ…」
「なにか問題が?」
横に居た佐久間に無言で双眼鏡を渡す。意図を察した佐久間は双眼鏡を受け取り、覗き込む。
「なるほど、街側で何らかの問題発生、と言う訳ですか」
「そう言うことだ」
街からは幾つかのの黒い煙が立ち上っていた。火事。それもそこそこ大規模な物だ。
しかし港の漁師たちの動きからなにかただの火災ではなに何かを感じる。
ふむ。
「保険をかけとくか。総員。戦闘用意。エミリア達は避難誘導を頼む」
「了解」
「わかった。任せろ」
『隊長。自分達は?』
「マクナイト以下PTボート隊は留守番。大発とPTボートを守れ。攻撃されたら撃ってもいい」
『Yes Sir』
「本隊はこれより港部に接岸。住民の避難誘導、及び消火活動を行う。火災が何者かによる攻撃の場合は俺、家島、海原、三好、西村の5人で排撃する。自衛戦闘は許可。武装勢力は確認しだい即連絡しろ。行くぞ」
『『『「「「了解!(Yes Sir!)」」」』』』
ステータスを開き、格納を使う。予めどこに何を装備するかを決めておくとボタン1つでフル装備になれることがわかった。本当に便利だよな。
三十年式銃剣に三八式騎銃、弾薬は一式弾帯を2つ使い120発携行。
左足に自作の手榴弾入れを帯革で下げ、M24柄付手榴弾を3発差し込む。後ろの腰辺りにM714を1丁装備、弾帯の右側に日本刀を差し込む。略帽を被り、九○式鉄兜を被って上から白い長襷を締める。
槓桿を引き、その時を待つ。
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「総員!着け剣!」
銃剣を抜き、着け剣。家島、海原、三好、西村の4人も銃剣を抜き、それぞれの主兵装に着け剣していく。
「接岸しました!」
「総員!下船!手はず通りに動け!」
そこらかしこから悲鳴や怒号、叫び声が響く。火の元に走っていく途中、こちらに逃げてくる住民から海原を通して話を聞く。こう言うときこの体は不便なんだよな。
「おい!これは何事だ!」
「なんだ?あんた?」
「すまんが時間がない。何が起きているのか手短に説明願おう」
「あ、ああ。それがよくわからんが盗賊の襲撃だとよ!あんたらも早く逃げた方がいいぞ!」
「なるほど。忠告感謝する」
その後も何人かから話を聞くが盗賊の襲撃と魔物の襲撃の二種類の話が聞けた。
「どっちが本当の話なのやら」
「ま、それもすぐわかるだろ。ほらな」
見るとそこは広場だった。どうやら盗賊が魔物を使役して略奪を働いているらしい。
「数は盗賊がおよそ50、魔物が500と言ったところか」
「流石に骨が折れるであります」
盗賊はこちらに気づかず、荷物の持ち出し等に勤しんでいる。
「隊長。報告によると、他の場所でも盗賊と魔物が出没しているとの事です」
「めんどいなァ。よし。増援だそうか」
「それがいいと思うであります」
さっそくステータスを開く。今この場に5人。俺を除いた4人+増援で1個小隊を形成する。
召喚。お馴染みの光と音がし、人形を形成する。
「隊長!気取られました!」
「仕方ねェ。各員撃ち方始め。敵を近寄らせるな」
「「「「了解!」」」」
4人に指示をだし、さっそく召喚した面子に向き合う。
「瑞原 加菜恵。以下46名ただいま着任致しました。これより隊長の指揮下に入ります」
「着任ご苦労。峰岸 深雪だ。これからよろしく頼む。さっそくで悪いがただいま我が隊は襲撃を受けている街の救援活動をしている。現在手が足りていない状況だ。海原の指揮下に入り敵勢力を排撃してくれ」
「了解。総員!着け剣!御姉様に続け!」
あ、海原とは知り合いなのね。てかよく見たらあの部隊章、挺女1小の部隊章だわ。
「挺進女子第1小隊復活の狼煙や!第2分隊行くで!」
と、見ているとエセ関西弁のアホ毛の生えた少女が軍刀を片手に吶喊し始める。
「第2分隊を援護してやれ。第3分隊、第4分隊撃ち方始め!」
海原の号令で第3分隊が素早く据え付けたした九六式軽機関銃を撃ち始め、第4分隊は九七式自動砲、及び九六式軽機関銃を撃ち始める。
第3分隊の軽機関銃が火を吹き、第2分隊が突撃、第4分隊は第3分隊から離れた位置から援護射撃を行う。第1分隊は小隊長の元で周囲を警戒中だ。恐らく大陸での経験からだろう。
「てめぇら!何者がはっ!」
「なんなんだ!なんなんだよこれは!」
「流石非公式の精鋭部隊。練度が違うな」
瞬く間に盗賊と魔物達が壊滅させられていく。遮蔽物が無いとはいえ撃った弾がほぼ確実に命中していくのはやはり練度故か。
と、未知の攻撃に晒され、浮き足立っていた所で第2分隊の銃剣突撃が敢行される。
銃剣を突き立て、軍刀で切り伏せ、至近距離で発砲、次々と敵を屠っていく。
最初は女ばかりと侮っていたのか下品な笑みを浮かべていたがその顔は次第に青ざめていた。
特に凄まじいのが第2分隊長だ。小柄な細い体で笑みを浮かべて軍刀を振るい、返り血を浴びながら敵を切り伏せていく。時々距離を取られるが、一〇〇式機関短銃を腰だめで発砲しつつ突撃、相手に飛び掛かり、銃剣を突き立てたり、軍刀を振るったりしている。
戦闘開始から約3分。近代装備があるとはいえ約11倍の戦力を倒し切った。俺要るかな?これ。
「御姉様!粗方片付きました!」
「よし。隊長。どうするでありますか?」
「そうだな…よし。これより掃討戦に移行する。第3分隊は門の前にて逃げようとする敵勢力、及び入ってこようとする敵勢力を排除しろ。残りは分隊毎に分散して街に入り込んだ敵を排除しろ。以上、行動開始!」
「「「「「「了解!」」」」」」
散開する仲間を見ながら煙草に火を着ける。さて、これから忙しくなるぜ。
窓から身を乗り出していた間抜けを撃ちながら、ぼんやりとそんな事を考えていた。




