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第3話(特殊能力はこの世界でも稀によくある)

 特殊能力チートと言われて僕は一瞬、おおっ、と思ってしまった。

 だがすぐに、説明役などが全て不在なこの世界で、どうしろというのだと思った。


「僕、自分の特殊能力チートが分からない」

「そうなのか? ……やはり普通にギルドに行かないと分からないか」


 そう言って呻くようにカイルが顎に手を当てて悩む仕草をする。

 そういえば追手と言っていたが何か事情があるのだろうか?

 でもまだそこまで親しいわけでもないので、僕は根掘り葉掘り聞くことが出来ない。


 どうしようと僕が聞くのをためらっていると、


「ん? ギルドが何なのか分からないのか?」

「は、はい、そうです」


 僕は誤解されたけれど、頷いておくことに。

 そもそもそのギルドが、僕がゲームや漫画や小説で知っているような物と同一とは限らないからだ。

 するとカイルが、


「ギルドというのは冒険者ギルドの事だ。冒険者を一括で管理する営利企業、といった方が正しいか。そこに登録をして仕事を斡旋してもらう、そして仕事を受けて信頼が大きくなればより高い給金のいい仕事を提供してもらえる、といったシステムだ」

「へー、そうなんだ。僕の世界のゲームなどに出てくるのと似ている気がする」

「ゲーム?」

「映像付きの物語のようなものです」

「そんなものがあるのか。異世界はやはりこの世界と変わっているな。男に獣耳が無いし」


 いえ、普通獣耳は無いです、そう僕は思ったが、この世界では当たり前なので黙った。

 そこでカイルが何かを考え始めて、


「ここは辺境の地だから、おそらくは俺に関しては大丈夫だろう。後は、タクミをそのギルドに連れて行ってギルドカードを作れば、その時、能力測定がされるから特殊能力も分かるだろう」

「そんな便利な方法が……でも珍しい能力だと、異世界から来たって気づかれたり……たり……」

「うーん、特殊能力はこの世界でも稀によくあるから、放っておかれる事がほとんどだな」


 稀によくあるといわれて、どっちですかと僕は思いつつも、放っておかれるならまあいいかとも考える。

 とりあえずはそこで測定してもらわない事には、どうにもならないらしい。

 そこでカイルがじっと僕を見る。


「一番の問題は、獣耳が無い事だな。女として登録するか……だが女は珍しいから目立つ。でも獣耳が無いから男と言えないし……」

「そ、そうだ、僕、獣耳のカチューシャを持っています」

「獣耳のカチューシャ?」

「は、はい、偽物の獣耳のようなもので」

「……とりあえずつけてみろ」


 カイルに言われたので僕は慌てて、自分の荷物を確認した。

 そして貰っても仕方がないなと思ったそれを取り出す。

 白い猫耳だ。


 後はこれを頭に装着する。


「ど、どうでしょう」

「……可愛い」

「え?」

「いや、これなら大丈夫だ。変わったアクセサリーだと思われるだけだろうし」

「本当ですか!? よかった……」


 そう僕が安堵する。

 これで少なくとも女の子に登録される事態は避けられた。

 それからカイルと一緒に少し歩いていくと馬車が通りかかり、カイルが少量の銀貨のようなものを渡して、僕達を町まで荷台に乗せて行ってもらえることになったのだった。


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