第4話 そろそろ練習開始
後8日。今日は1時間練習の時間をとることができる。
音楽室への移動だ。
校長にタコ殴りにされた跡の残る佐野先生率いる3年1組は教室から移動した。
音楽室。様々な著名作曲家の絵画が飾られている。
バッハ、ゴッホ、ベッヘッヘなど……ん?
1つ不自然な絵があった。やけに顔がリアルだ。
なんと絵画に扮して絵に埋まっていた音楽の宮﨑先生だった。
彼女は今年で68歳。68年も生きてりゃまあこのくらいおかしくなるだろう。想定内だ。
宮﨑先生は指揮台に立った。
生徒15人は整列。やっと合唱練習ができる。
「空に弧を描け〜」
「空高く〜」
「見果てぬ先を〜」
岡野以外全員が下手くそだった。
というのも振り分けを確認すれば分かるだろう。
女子5人はほぼ無音のような低音で歌い
男子4人はカスれにカスれた高音
合奏隊は一丁前に膝でリズムを取りながら適当に演奏。
やっとのことで合唱が終わった。
佐野は泣きわめき、宮﨑は指揮棒を折った。
岡野だけが唯一の希望だった。
流石コーラス部部長。プロレベルの美しい高音だった。
これでは岡野個人軍だ。本番までになんとかしなければ……
何やら隣の準備室から騒ぎ声がする。かなり激しめだ。
岡野は恐れることなく飄々とした表情で準備室の扉を開けた。
喧嘩だった。
どうやら生徒たちの歌が下手くそすぎたが故に、
佐野は宮﨑の普段の授業の指導が悪いと煽り、宮﨑は佐野の人格を真っ向から否定した。
佐野は23歳。宮﨑と45歳差。
正直見てられない光景だったが、生徒たちはその様子を真剣に見ていた。
その後色々あり佐野と宮﨑はピアノの全鍵盤をジャンジャンひたすら鳴らす対決をしており、
生徒たちはタンバリンをフリスビーとして遊び始めた。典型的な学級崩壊だ。
この日も何も進まなかった。全員のせいで。
後7日。頑張れ3年1組。




