第三目標
戦場を包む黒煙と、断続的に響く爆撃の衝撃波。信奈の瞳には、燃え盛る敵陣よりも、その地獄を完璧にコントロールしている隣の男の横顔が深く刻まれている。
(氏治の腕にしがみついたまま、熱を帯びた金色の瞳で彼を見上げる)
信奈
あはは!見て、あのおぞましい絶望を!あいつらが積み上げてきた誇りも、戦術も、全部あんたの指先一つで塵に変わったわ!
(興奮に震える声を抑えず、陶酔しきった表情で囁く)
最高よ……。あたしの意志が、あんたの手を通じて、あんなに派手に世界を書き換えていく。この感覚、あたしだけが知っていればいいのにね。
勝利への確信と、絶対的な信頼。そして、この残酷で美しい光景を共有しているという特権意識が、彼女の心を激しく揺さぶっている。
(ふと我に返り、不敵な笑みを浮かべて腕を離す。そして、凛とした大名の顔で前方を指し示す)
さあ、絶望の仕上げよ。指揮系統を完全に潰した今、あたしたちが直接あいつらの喉元を締め上げに行きましょう!ついてきなさいよね、氏治!
地平線を染めるのは、朝焼けではなく、敵陣から立ち昇るどす黒い煙だった。方向感覚を失い、逃げ惑う浅井・朝倉の兵たちが、泥濘の中で互いにぶつかり合い、悲鳴を上げている。
(戦場の中心へと駆け出す。金髪の髪が風に激しく翻り、瞳が獲物を狙う猛禽のように鋭く光る)
あははは!逃げなさい!もっと絶望して、泥をすすりなさい!あんたたちが信じていた壁も、誇りも、全部消し飛んだわよ!
もはや合戦ではない。一方的な蹂躙。信奈は、目の前の光景が氏治の計算通りに展開していることに、抗いようのない快感を覚えている。
(馬を急停止させ、振り返って氏治に不敵な笑みを向ける)
ねえ、氏治!あいつらの本陣に、最後の一撃を叩き込んでちょうだい!
あたしがその首を刈り取るまで、一秒たりとも目を離さないでよね!
氏治
はい、信奈様。無線機のマイク第三目標、敵の指揮所と吹き込む。
無線機を通じて冷徹な射撃命令が下された瞬間、空気を引き裂く咆哮と共に、敵本陣の最深部へと砲弾が突き刺さった。凄まじい爆圧が指揮所を粉砕し、土煙と瓦礫が天高く舞い上がる。
(爆風で激しく揺れる馬上で、その光景を恍惚とした表情で見つめる)
あはは!見た!?あいつらの心臓を、あんたが正確に撃ち抜いたわ!
(金色の瞳に狂おしいほどの歓喜を宿し、氏治の方へ激しく振り返る)
最高よ、氏治!完璧だわ!もう誰一人として、あたしたちに指一本触れることはできない。
この絶望こそが、あたしたちが天下に刻む最初の印よ!
(指揮系統を完全に喪失し、混乱の中、守るべき方向さえ分からず立ち尽くす敵兵たちの絶望が、戦場全体に伝播していく。もはや抵抗の意志すら残っていない、静まり返った地獄がそこにあった。)
(刀を抜き放ち、真っ白な刃を高く掲げて号令をかける)
全軍、突撃!逃げる主要人物を一人残らず捕らえなさい。
(再び氏治を見据え、独占欲に満ちた囁きを漏らす)
さあ、最後はあたしたちで、あいつらの絶望を完成させましょう。
感謝しなさいよね、この歴史的な瞬間に立ち会わせてあげるんだから!
氏治
はい、突撃の先鋒は前田利家殿と柴田勝家殿が務めるそうです
信奈
(ふん、と鼻を鳴らして不敵に笑う)
当然よね。利家と勝家なら、あいつらの残骸を片付けるくらい容易いことだわ。
(金色の瞳で前方の混乱した敵陣を見据え、刀を強く握りしめる)
あたしたちが完璧に道を切り拓いたんだから、あいつらには泥にまみれて、最高の戦果を拾い上げてもらいなさい。
(号令と共に、前田と柴田率いる精鋭たちが怒涛の勢いで敵陣へと雪崩れ込む。もはや戦いではなく、一方的な掃討作戦と化した戦場に、兵たちの勝ち鬨が轟き渡る。)
(馬上のまま氏治に寄り添い、陶酔しきった眼差しで彼を見つめる)
見てなさい、氏治。これが、あんたとあたしが作り上げた新しい時代の始まりよ。
(少しだけ声を潜め、独占欲を滲ませて囁く)
……この最高の気分を味わえるのは、世界中で、あたしたち二人だけなんだからね。感謝しなさいよね!
氏治
さて、横山城に帰還しましょう
信奈
(馬の手綱を緩め、満足げに戦場を振り返る)
そうね。あいつらの首を並べて、ゆっくりと勝利の美酒に酔いしれましょうか。
(金色の瞳を氏治に向け、不敵に微笑む)
あはは!あんなに威勢が良かった久政と義景が、今や泥にまみれて震えてる。本当に滑稽な光景だったわ!
(勝利の歓喜に沸く軍勢が、ゆっくりと横山城へと引き返していく。道中、兵たちは氏治の得た戦果と信奈の采配を称え、地鳴りのような歓声が草原に響き渡っていた。)
(馬を寄せ、肩が触れ合うほどの距離で氏治に囁く)
ねぇ、氏治。城に戻ったら、あんたにだけ特別なご褒美をあげてもいいわよ。
(少しだけ照れたように視線を逸らし、ぶっきらぼうに付け加える)
……勘違いしないでよね!単に、あんたが有能だったから、あたしが気まぐれに与えてあげるだけなんだから!
氏治
特別なご褒美が楽しみです
信奈
(不意に直球な返答が返ってきて、金色の瞳を大きく見開く)
……っ!な、ななな、何を当然みたいな顔で言ってるのよ!
(顔を真っ赤に染め、慌てて視線を逸らしながらも、指先で氏治の肩を軽く小突く)
も、もう!あんたって本当に図々しいわね!
あたしが気まぐれに、本当に、その……気分が乗った時にだけ考えてあげるわよ!
(馬上で激しく動揺し、普段の尊大な態度が完全に崩れている。だが、その赤くなった耳たぶと、わずかに震える指先は、彼女が心底ときめいていることを雄弁に物語っていた。)
(ぶっきらぼうに前方を指し示し、照れ隠しに声を張り上げる)
ほら!さっさと城に戻るわよ!あんたが期待しすぎて、道中で馬から転げ落ちないように気をつけなさいよね!
(小声で、けれど確信に満ちた口調で付け加える)
……楽しみにしてなさいよね。天下一の美少女であるあたしが、最高の時間をあげるんだから。




