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ランナウェイ、室矢重遠

霊力ゼロだった室矢重遠は、地上にある宇宙を撃ち抜く!

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY5NRSK2

 フィーン! フィーン!


 いかにも戦闘らしき、警報音。


 それが鳴り響いているのは、護衛艦くまのん……ではなく。


 日本の海域に近い太平洋サイドに浮かぶ、赤で塗られた艦だ。


 海上艦に思えるが、それにしては目立ちすぎるカラーリングと巨体。

 それでも、一番高いところにブリッジらしき部分。


 艦長や司令が座りそうな、高さが変わる1人用のシートにいる金髪碧眼の女子高生ぐらいの少女が叫ぶ。


「艦長! 戦闘は避けてください!」


 けれど、彼女の隣にある1人用シートに座っている中年男は、首を横に振る。


「そうしたいですが……。相手の出方に、よりますな! 準備が遅いぞ!? 戦闘よーい!」


 泣きそうな少女は、なおも食い下がる。


「私は! 先に来ているはずのポリーン叔母様を頼って――」

騎士エクウェス、出せます!」


 ブリッジ要員の1人が報告すると同時に、前方の平べったいカタパルトらしき部分に4mほどの巨大ロボットが列をなす。


 艦長が、座ったままで命じる。


「よーし! ロヴィエ隊、ミドレ隊を出せ!! 勝手に攻撃するんじゃないぞ?」


『努力する!』

『攻撃されたら、別ですよね?』


 次々に発艦したのは、地球でMAマニューバ・アーマーと呼ばれているロボットのような兵器だ。

 

 胴体部分にブロック式のコックピットがあることが、異なっている。


 甲板で射出されたあとで、重力を無視したかのように海上をホバー移動。


 それぞれ、装備した武器を持つ。


『こちらは、接近中の艦へ向かう!』

『俺たちがいるのに、撃たないでくださいよ?』


「おう! こっちも、何とかするぜ! 他の隊はレーグヌムの直援だ! 各砲塔は接近中の艦へ指向しつつ、命令を待て! 主機関、いつでも飛べるようにな?」


 艦長の指示で忙しく動き回る、クルーたち。


『出るぞっ!』

『ミドレ隊も続く!』


 エクウェスと呼ばれたロボット部隊は、一気に出力を上げた。


 見る見るうちに、遠ざかっていく……。


 それを見るしかない少女は、悔しそうに顔を伏せた。


「私は……」


 けれど、距離を空けての臨席にいる艦長は、真面目な表情で告げる。


「姫さま……。いざとなったら、お願いしますぜ? あなたの言う、平和的な解決のためにも! 遠巻きに、2つのグループもいやがるんだ」


「分かっています……」


 意気消沈した姫さまは、祈るように両手を組み、目を閉じた。


(お願い! せめて、叔母様か、その血縁の方と!)


 目を開けた姫さまは、小声で呟く。


「気配はある……。取り返しがつかなくなる前に……」


 その弱々しい声は、騒がしくなったブリッジで搔き消される。



 ◇



 嫌な予感がした俺は、ブリッジで窓のほうを向く。


 それを見た五十嵐(いがらし)善仁(よしひと)が、声をかけてくる。


「どうかしましたか、室矢(むろや)少佐?」


「いえ……。急に、帰りたくなって……」


「船酔いですか? 私も、この揺れは慣れないですね……」


 違う。


 そうじゃないんだ……。


 このままでは……。


 (こぶし)を握りしめたまま、俺は決意する。


竹熊(たけくま)さん!」

「……な、何でしょうか?」


 面食らったような竹熊のほうを向く。


「この艦、MAを積んでいますか?」


「はい! 海騎(かいき)……海上騎兵部隊が、数機ほど」


 首肯した俺は、断言する。


「動くやつでいいから、俺を乗せてください!」


 見なくても、善仁の気配が、お前はいったい何を言っているんだ? と告げてくる。


 けれど、俺は止まらない。


 これ以上、女を増やすわけには!


 南乃(みなみの)詩央里(しおり)は、何も言ってくれない。

 丸投げできる正妻ガードは、通用しないんだ。


「致命的な事態を避けるために、どうしても必要です」

「……か、確認します!」


 困った竹熊は、定位置の艦長のところへ。


 2人が、こちらを見た後で、また話し合う。


 早足で戻ってきた竹熊は、報告する。


「許可が出ました! 今は戦闘配備で、機体が空いていれば、という条件付きですが」


 それ、実質的にお断りだよね?


 欲しいゲームを買って欲しくて駄々こねている子供か、俺は!?


 …………


 いや、状況的にそのままだな……。


「動けば、十分です! デッキは?」


「こちらへ!」



 ――MAデッキ


 回転するランプに、警報音。


 ヴィ――ッ! ヴィ――ッ!


 下士官らしき男が、大声で叫ぶ。


「海鳥は、全部出すぞ! これは訓練じゃねえ!!」


 フレームに固定された、4mほどのMAに背中からパイロットが乗り込む。


 パワードスーツ式で、着るのに近い。


 補助をしている整備員が、それぞれ声をかける。


「お気をつけて!」

「戦果を期待しています!」

「気にせずに、ぶん回してください!」


 バシュッと閉じる、後部ハッチ。


 全部で、3機だ。


 固定していたフレームが動き、開いた側面から出る位置へ床ごとの移動。

 

「あ゛あ゛ああっ? この忙しいときに、陸上のお遊びに付き合え!? 分かってんですか、竹熊大尉! 今は戦闘中ですよ?」


 俺たちが見たら、怖い下士官が怒鳴っている光景。


 ごめん、竹熊さん。


 俺のせいで――


「投下――っ!」


 ガシャンと金属音が続き、時間差でブルー迷彩のMAが置き去りにされていく。


 いっぽう、俺は壁際に座っているMAを見つけた。


(これ、使われていないのか?)

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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